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第2章
投げつけられる石
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私たちの後ろからは、後ろ手に縛られたイヴァンカ国王族たちが歩かされている。どこまでも強気な2人は広間に集まる国民とともに、戦争を起こすつもりなのだろう。だがもし戦争が起こったところで前線には立たず、兵士・国民が死んでいくのをなにも思わず、感じずに見ているだけの王族。それが現実なのだろう。
歩いた先には王宮広場に集まる国民の姿が見える。ザワザワザワっとしていたのが嘘のように、王たちの姿が見えるとその場が静まり返った。
王たちが立つ場所より1階低い場所、中央広場から近い場所に姿を現したのは囚われているイヴァンカ国の王族達。
そこは上階とは違い、手すりなどがない作りの場になっている。広場に集まる民に少しでも近づける場所として作られたそうだ。そのため、王族たちはその手すりがない場所の最前面まで連れていかれた。
自国の王族が見えたからなのか不思議な緊張感が漂っている。そしてそうしている間にも広場には続々と国民が押し寄せ、広場は人で溢れかえっている。
大勢の人で埋め尽くされているのに、整然とした場に緊張感など感じないのか、それともこの緊張感に心地よさを感じたのか、第3王子が声を上げた。
「皆の者!!私たちのためによくぞ集まった!!
私たちは不当に占拠したカリシャール国の兵士に囚われてしまった。
しかし私たちは誇り高きイヴァンカ国の民だ!このような行いに屈することなくしかと国を守ろう!!さぁ!!敵はあいつらだ!!!」
それに追随するように第4王女が甲高い声を上げる。
「その通りよ!私たちの国を妬んだカリシャール国のこの仕打ちは許されるものではないわ!あなた達!今すぐこの無礼な者たちを取り囲んでしまいなさい!
私たちは誇り高き民族なのよ!こんなことに屈するような民族でないことを知らしめなさい!!」
そんな声が広場に響いたとき、ビュッと音がした。と思ったら、「うっ!!」と声がして第3王子がうずくまった。
そしてまたビュッっといくつも音が聞こえたと思ったら、次は第4王女が頭を押さえていた。
「ちょっと!!誰よ!!
敵はあっちだって言ってるでしょう!!間違ったとは言え、自国の王族に石をぶつけるだなんて許されないわよ!覚えていなさい!!」
そう、広場から投げられた石が王子にも王女にもぶつかり、ぶつかった部分を押さえていたのだ。他の王族にもぶつかっているが、他は耐えるようにその場に立ったままだ。
どうしてこの人たちは王族としての矜持を持っているはずなのに、こんなに落ちぶれてしまったのか。
どこかで間違ってしまったのか、それともこの国の王族は元々こうであったのか。歴史でしか知りようがなく、心の内など知るはずもない。
それでも今さら、今まで起こったことをなかったことになどできない。
この選択も彼らが選んだ選択でしかなかったということ。
歩いた先には王宮広場に集まる国民の姿が見える。ザワザワザワっとしていたのが嘘のように、王たちの姿が見えるとその場が静まり返った。
王たちが立つ場所より1階低い場所、中央広場から近い場所に姿を現したのは囚われているイヴァンカ国の王族達。
そこは上階とは違い、手すりなどがない作りの場になっている。広場に集まる民に少しでも近づける場所として作られたそうだ。そのため、王族たちはその手すりがない場所の最前面まで連れていかれた。
自国の王族が見えたからなのか不思議な緊張感が漂っている。そしてそうしている間にも広場には続々と国民が押し寄せ、広場は人で溢れかえっている。
大勢の人で埋め尽くされているのに、整然とした場に緊張感など感じないのか、それともこの緊張感に心地よさを感じたのか、第3王子が声を上げた。
「皆の者!!私たちのためによくぞ集まった!!
私たちは不当に占拠したカリシャール国の兵士に囚われてしまった。
しかし私たちは誇り高きイヴァンカ国の民だ!このような行いに屈することなくしかと国を守ろう!!さぁ!!敵はあいつらだ!!!」
それに追随するように第4王女が甲高い声を上げる。
「その通りよ!私たちの国を妬んだカリシャール国のこの仕打ちは許されるものではないわ!あなた達!今すぐこの無礼な者たちを取り囲んでしまいなさい!
私たちは誇り高き民族なのよ!こんなことに屈するような民族でないことを知らしめなさい!!」
そんな声が広場に響いたとき、ビュッと音がした。と思ったら、「うっ!!」と声がして第3王子がうずくまった。
そしてまたビュッっといくつも音が聞こえたと思ったら、次は第4王女が頭を押さえていた。
「ちょっと!!誰よ!!
敵はあっちだって言ってるでしょう!!間違ったとは言え、自国の王族に石をぶつけるだなんて許されないわよ!覚えていなさい!!」
そう、広場から投げられた石が王子にも王女にもぶつかり、ぶつかった部分を押さえていたのだ。他の王族にもぶつかっているが、他は耐えるようにその場に立ったままだ。
どうしてこの人たちは王族としての矜持を持っているはずなのに、こんなに落ちぶれてしまったのか。
どこかで間違ってしまったのか、それともこの国の王族は元々こうであったのか。歴史でしか知りようがなく、心の内など知るはずもない。
それでも今さら、今まで起こったことをなかったことになどできない。
この選択も彼らが選んだ選択でしかなかったということ。
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