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18.毅然な態度

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だが部屋に着いたらそこは2人きりの空間。
リボンは腰を抱いているグラファイの手を叩き、少し距離をとった。

「グラファイ様、私はあなたに身体を許したと言うのに、こんなにも長い間連絡もいただけないなんてあんまりです。これでは私、都合の良い女みたいではありませんか。

私、そんな女になり果てる気はございません。私を大事にして頂けないと言うことでしたらもうお会いには来ないでください」

リボンは淑女として毅然と言い放った。
リボンは男性の扱いとして、あなただけしかいないと甘えておいて、それと反対に自分が許せない線があるということは、男に前もって知らせておくのが大事だと思っていた。

だから今回もそのようにしただけだ。グラファイもあの日のことを考えたらリボンのことを手放すつもりはないはず、そう思っているからリボンは強気なことが言えるのだ。
それほどに甘い濃密なひとときを共にしたとリボンは信じて疑わなかった。

だがリボンの言葉を聞いたとき、グラファイの顔はいつも通りの笑顔でいながらもその眼が冷たいものに変化した気がした。

「どうしたんだい、リボン?たかだか1週間連絡をしなかっただけじゃないか。それをそんなふうに感情的になるなんて。さぁこっちにおいで」

グラファイが少し怒っているかもしれないと思ったが、それでもリボンはここでは引いてはいけないと思い、毅然とした態度を続けた。
ここで引いてしまえばこの先もきっと何かあればグラファイが優位な関係になってしまう。
関係と言うのは始まりが大事なのだ。

そう思ったからこそリボンは強くでた。

「まぁ!グラファイ様はとっても長い1週間を”たかが”と言うのですね。そんなにも私のことを大切にしてくださらない人だなんて思いもしませんでした。私はこの1週間眠れずにグラファイ様のことを思い焦がれていたと言うのに………

でもよく分かりましたわ。私はグラファイ様とお会いしないほうがよさそうですね。

もうお帰りになってください」

リボンがそう言った時、何か強い衝撃が襲った。ぐあんぐあんと頭を揺らす感覚。
なんだか覚えがあるこの感覚。

ぼーっとする頭でリボンを逡巡する。

そうだ、あの時カダールに叩かれたときの感覚によく似ている。
もしかして私はグラファイに叩かれたのだろうか、未だ揺れる頭で必死に考えようとするリボンのドレスの胸元が掴まれ、身体が浮いた。

「リボン、もう少し甘やかしてあげるつもりだったけどどうやら君には先に教育が必要なようだね。

誰がいつ会うかの選択肢を君にやるといったんだ?勘違いするなよ。
女など男の言うことを聞いておけば良いんだ。それは偉そうにわめきやがって。
これ以上ぐだぐだ言うようならもっと殴るぞ」

グラファイは自分がこれまで見た誰よりも冷たい眼でリボンを見ていた。
きっとこの言葉に嘘はない。
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