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25.連れていかれた先

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そのまま手を引かれ、荷馬車にのせられたカダールは建物に連れていかれる。
そこは薄暗く、誰も住んでいないような建物。しかしそこに入るとそこは病院のような匂いがする。

連れていかれた部屋は同じような部屋が並んでいるうちの一つで、そこには一人しか寝れないようなベッドがあるだけ。
その隣にもう一つベッドを入れられるくらいの空間があるだけの部屋。
そこでカダールは子どものように担がれ、ベッドに横にされた。そして、腕と腹をベッドに固定される。

「なんだ!何をするんだ!」

カダールがそう叫んでもカダールを担ぎあげた男は、ベッドにカダールを固定するとそのまま部屋を出て行ってしまった。
入れ替わりで入ってきたのは医者のような白い服を着た男。

「やぁ!君がカダールだね。君が来てくれるのを首を長くして待っていたよ。
いくらでも血を抜いていい被験体なんてなかなか手に入らないからね。

なにより君はとても健康そうだ。これはかなりの量がとれそうだねぇ」

男はわけのわからないことを言いながら、不気味な笑みをカダールに向けながら嬉しそうに話した。

「血?血だと?
なんだそれは。そんな話はしていない!!離せ!!血なんかやらんぞ!!」

「ほう、じゃあどうやって金は返すんだい?」

「それはっ、、、どうにかして返してやるさ!!
僕は伯爵家にいたんだぞ!金なんてすぐに稼いでやる!だからはなせっ!!!」

「はっ、はっ、はっ!!

そうか、そうか。

じゃあその名案が思いつくまで血を頂くことにしよう。
それに血というのは存外高く売れるんだぞ。利子分くらいにはなるさ。

まぁ、もし君が本当に借金を返せたところで、自由にさせてもらえるとは思わないがね。
まずは今日の分から取るとしよう。

………おや?君、ちゃんと栄養は取っているかい?」

血をとるための確認なのか、目を確認した男はカダールに問いかけた。
カダールは2日間食事を取っていないのだから栄養不足に見えたのかもしれない。

「いや!!とってない!!2日間も食事を取れていないんだ。
そんな血は相応しくないだろう!!ほら、解放してくれ!!」

「ちっ!!仕方ない」

そう言って医師は部屋を出て行った。

やった!意図的ではなかったが食事ができなかったことで血を取られるだなんて恐ろしい事態にならずにすんだ!!!

やはり僕は運がいい。
食事ができなかったのも神がこれを見越してのことだったに違いないんだ!!
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