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しおりを挟む「おはよう」
朝教室につくとすでに美穂がいて、私の姿をみると私の席の前に座ってくれた。
「おはよう。英語の課題してきた?」
「うん、昨日帰り一人だから終わらせて帰ったからばっちり!!」
「やったね!!5番教えて!昨日やったんだけどわけわかんなくなっちゃって」
私は頭がいい部類には入らないが、文系はわりかし得意で、テストでもそこそこの点数がとれる。それとは反対に文系が苦手で、理系が得意な美穂はこうして英語の質問を私にしてくる。
「いいよ。これはね…」
そんな今までと変わりない会話をしていると
「おはよう!!」
私の机の隣を通る神田君が私と美穂に向かって挨拶をしてくれた。
「あっ、おはよう」
昨日の今日で私はどんな顔をしていいのかもわからず少し戸惑い気味に、でもできる限りの笑顔を作って挨拶を返した。
「あー、おはよう、神田君」
美穂はいつもと変わらない様子で声をかけたが、なんとなく不思議そうな顔をしている。
「あっ、英語の課題?俺もわからないとこあるんだよね!大田さん英語できるよね。教えて?」
ちょっとカバンおいてくる、と言っていったん離れればすぐ私の席に戻ってきて、隣の席に腰を掛けた。
その様子をみている美穂がすごく怪訝そうな顔をしている。
「なに?急になんなの?」
まるでわけがわかんないとでも言いだしそうな美穂が神田君に向かっていった。
「え?大田さんに英語教えてほしくって。っていうのと、素直に話せるチャンスは多いほうが嬉しいしね」
なんてことをサラッと言ってくるこの人はだれ??
まるで昨日までとは別人に見える!!
「なに?神田君って実夏狙いなの?」
ちょっと意地悪するかのようにニヤッとしながら美穂が言うと
「うん、そうだよ」
と、ケロッとして笑顔で答えた。
「「へ?」」
美穂と私の声が重なった。。
いや、もう誰この人!!
「え?本気で?」
さっきまでの意地悪をするような顔の美穂はいなくなり、神田君に身体ごと寄せてもう一度聞く。
「うん!本気!昨日告白したし。」
ね?なんて私のほうを見る。
それと同時に美穂からの視線も感じる。
……なにこれ?なんなの?もうやだ!!!!!!!
トイレにでも駆け込もうかななんと思っていたら担任が教室に入ってきた。担任が入ってきたら朝のHRを始めるためにみんな自分の席に戻っていく。神田君と美穂も例外ではなく、座っていた席から立ちあがる。
「あとで教えてね!」
ひと言だけ私につぶやいて美穂が自分の席に帰っていった。
なんだか朝からどっと疲れた……
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