「お前が死ねばよかった」と言われた夜【新章スタート】

白滝春菊

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俺を拒絶するな※

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 それからしばらくの間、ヴィクトル様は家にあまり戻ってこなかった。
 彼が不在の間、私は静かな日々を送っていたがリディア姫との再会を待ちわびている。リディア姫とは手紙を交わすたびに早く会って話がしたいと思う気持ちがどんどん強くなっていった。

 その日がようやく訪れ、私はリディア姫の遊び相手として城に行くことが決まった。
 その知らせを聞いた時、楽しみで仕方なかった。リディア姫はお姫様としての立場を持ちながらも彼女は決して高圧的ではなく、むしろ親しみを持って接してくれる。それが私にとっては心から嬉しく、また会いたくてたまらなかった。

 私がヴィクトル様の執務室に足を踏み入れると彼はすでに机に向かい、書類に目を通していた。
 貞操帯をつけていくことが決まっていることにわずかに身が引き締まるが、それでもリディア姫との再会を待つ気持ちは強かった。
 彼女との会話や時間を過ごすことで私はどれほど心が軽くなるのかを知っていたからだ。

「リディア様がお前に何度も合わせろとうるさいんだ」
「はい……お疲れ様です」

 ヴィクトル様は顔を上げることなく、うんざりとした声で言った。確かにヴィクトル様が面倒に感じているのは理解できるがそれでもリディア姫のために動いてくれることに感謝した。

 最近、辛いことが多かったけどリディア姫の温かさに触れることで私は心から癒されるような気がした。リディア姫に会えるなら貞操帯を付けるぐらいなら我慢できる。

「あ……どう、しましたか?」

 リディア姫のことを考えていると、いつの間にかヴィクトル様は私の目の前まできて、苛立った様子で私を見下ろしてくる。

「会うのがそんなに楽しみか?」
「え?」
「……俺は忙しいんだ。無駄な時間は掛けたくない」

 そう言うと私の肩を掴み、そのまま乱暴に引き寄せて唇を塞いできた。いきなりのことで心臓が跳ね、熱い舌が絡みついてきて口の中が彼の味で満たされる。

「ん……んっ……」

 このキスはただの愛情表現ではないことはもうわかっている。これは子作りの合図で……だから何故、今、このタイミングでキスをされたのかわからない。
 
 何か嫌な予感がして私は慌てて離れようとした。しかし、ヴィクトル様は私を離そうとせず、背中の方へと大きな手を回すと体を触り始めた。
 激しいキスをしながらもヴィクトル様は私を撫で回し、器用に胸元のリボンを解いてブラウスを脱がしてくる。

「ま、待ってくださ……あうっ」

 ブラウスの前をはだけさせ、机の上に無理矢理押し付けるように乗せられると首筋を強く噛まれて鋭い痛みが走った。
 まるで私から抵抗する力を奪うかのように彼は私の体に痕を残していく。今からリディア姫に会うのにそんなに沢山残さないで。

 ヴィクトル様は私の体を弄りながら、たまに耳元にふっと息を吹きかけて私をびくつかせて楽しんでいるようにも見えた。

「あの、やめてください……これ以上は帰ってからで……」
「うるさい」

 私が嫌がっていることに気を悪くしたのか胸元までボタンを外してはだけさせると胸の先端に口を当てて舌で転がすように舐め始め、乳首も指先で擦ったり摘まんだりして刺激を与えてくる。
 ざらざらした舌が肌を這って、固くなった乳首を指の腹で執拗に擦られて恥ずかしい声が溢れていった。

「あっ……やぁ……」

 水音をわざと立てながら胸を吸い上げたり、ねっとりと這う舌の感触のせいで私の体はどんどん敏感になって、舌先を硬くして舐められて、押し付けたり強く吸い上げたりして私を追い詰めてくる。

 なんでいきなりこんなことするの。これからリディア姫と会うというのにこんなことまでされてはあの人の所に行けなくなってしまう。

「やだ……ヴィクトル様、もう、やめてくださっ」
「俺を拒絶するな」

 押しのけようとするととヴィクトル様は怒りを含んだ低い声でそう言って、ねっとしとした舌使いでもう片方の胸を舐められる。
 自分で胸を触ってもあまり感じないのに苦手なヴィクトル様にされると何故か気持ちよくて口から漏れる声を抑えることができない。

「ん……ふぅ……あっ、ぁっ……」
「胸だけでそんなに乱れて……いやらしい女だな」

 違う。と言いたいけどヴィクトル様の言葉を否定できないくらい私の体は勝手に興奮していた。
 胸の愛撫だけで達しそうになっている自分の姿に羞恥心が込み上げてくるのに止めてほしいのに、止めてくれない。胸の先を軽く噛まれて、吸われ、強い快感が襲い掛かってくる。

「ふぁ、ぁ……やぁっ、それ、だめ、だめぇ……っ」

 体の奥から何かが押し上げられてきそうで思わずヴィクトル様の背中を掴むと彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべて私の胸から口を離す。
 離れた際に糸を引きながらぷつりと切れた彼の唾液で濡れた胸が空気に触れてひんやりとした冷たさを感じる。

 たぶん、胸を舐められただけで果ててしまった。
 私は恥ずかしくて顔を横に背ける。だけどヴィクトル様はそんなことはお構い無しに私の秘部へと手を滑らせてきた。

 スカートを捲られ、ショーツの上から割れ目を撫でられ体が震える。またそこを触られてしまう。またあの指と舌で直接舐められたらどうなるんだろう。

「ん……ふぅ……あっ……」
「入れて欲しいのか」
「そんなこと……な、いです……」
「本当にそうか?」

 指を上下に動かして擦るとくちゅりと水音が聞こえる。ショーツが張り付くような感覚がして不快感を覚えながら私は与えられる刺激に耐えるため唇を噛んだ。

 ヴィクトル様は小さく笑いながら何度も何度もそこを指でなぞる。その度に快感が込み上げてきて、私は声を押し殺しながら耐えていた。

「濡れているだろ」

 頭が、ぼんやりする。ヴィクトル様にこんなことされるの嫌なのに、恥ずかしくて嫌なのに、快楽には抗えなくて気持ちよくて変になりそう。
 このまま受け入れたらリディア姫に会えなくなる。色んな感情で頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「あっ……いやっ……」

 割れ目をなぞっていた指が急にショーツの中に入れられて直接そこに触れてきた。その瞬間に頭の中で何かが弾けたような気がした。
 私は足を閉じてこれ以上来てほしくなくてヴィクトル様の手を強く挟むようにして力を込めるが彼の力の方が強くて、びくともしない。それどころかわざと弱い部分に指を擦り付けるように動かされる。

 くちゅくちゅと恥部から出る音が聞こえて私は羞恥心で死にたくなった。何か熱いものが中から流れ出ててきていて、ヴィクトル様はその蜜を指に絡ませながら私を追い詰めるように擦り上げる。

「嫌と言うわりには、体は正直みたいだな」

 耳元で囁くように言われて体が震えた。

「あ、あ、あ……ダメっ、ダメ……ダメで……」
「何がダメだ?」

 ダメって言ってるのにヴィクトル様は私が何を言っても止めてくれなくて。指を動かして何度も私の弱い部分を攻められる。

「やめてっ……あっ……」

  しかしそこでヴィクトル様の指の動きがピタリと止まった。

「どうしてほしい?」

 耳元で低くて艶のある声でそう問いかけられる。何も答えられないでいると耳に彼の熱い吐息が掛かり体が震えてしまう。
 そして耳たぶを噛まれると甘く痺れるような感覚に負けてしまいそうだ。気持ちいい……もっとして欲しい……頭がそれしか考えられなくてリディア姫に会いたいという気持ちとヴィクトル様の愛撫を求める気持ちとが複雑に絡み合っている。

「や、やめてください……何もしないで……行かないといけないから……」
「…………」

 断れた。快楽に勝って拒否することが出来た。そのことが嬉しくて思わず笑みが零れてしまうが、見上げるとヴィクトル様が酷く冷めた目で私を見下ろしていて、背筋に悪寒が走る。

「あ……」

 この人には逆らってはいけないと本能が叫んでいる。さっきまで感じていた熱が一気に冷めていった。リディア姫に会いたいという願望とは裏腹に彼に何をされるかわからない恐怖で体が動かなくなる。
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