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ヴィクトルサイド17
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疲れ果てて眠ってしまった彼女の安らかな顔を確認し、そっと部屋を出た。俺は苦々しい表情を浮かべながら、ただひたすら足を進めていた。
執務室に着くと扉を開け、まるで何かに導かれるように机の前に向かう。
引き出しから慎重に一通の手紙を取り出す。それはエレノアからユミルに宛てられたものだった。
何気なくその手紙を手に取ると、俺は一瞬でその異常に気づいた。
手紙の中身に目を通しながら、次第にその違和感が現実のものとなっていく。そして隣に広げたミーティアの日記に視線を落とす。
この日記はミーティアは書いていないとユミルは言っていた。
最初はただの偶然だと思った。しかし、手紙と日記を並べてみると、似たような言い回し、同じ筆跡、そしてインクの色が一致していることに気づいた。
「同じだ」
それが確信へと変わる瞬間だった。手紙と日記をじっと見つめながら深いため息をついた。専門家に鑑定を頼めば、筆跡が一致することは間違いないだろう。これが誰の仕業か、もう見当がついていた。だが、それだけではまだ確定はできない。
「エレノアか」
呟きながら、俺は思わず額に手を当てた。手紙と日記を照らし合わせた結果、筆跡が一致したのはエレノアだった。彼女がこれを全て仕組んだのか。疑念が次々と湧き上がる。
エレノアなら、ミーティアの日記を偽造することができ、ミーティアの動向を事前に盗賊に伝えることもできたのではないか。もしそうなら、ミーティアの死が意図的に仕組まれたものだという疑惑が深まるばかりだ。
俺の推測は今までよりも強い確信に変わりつつあった。しかし、それでもまだ証拠は足りない。これはじっくりと時間をかけて追い詰めていく必要がある。
今はただの予測に過ぎない。だが、エレノアが関与しているとすれば、これから先の展開は想像を絶するものになるだろう。
◆
部下から新たな報告が入った。ユミルを襲った盗賊の残党が隠れているとされる洞窟、盗賊たちの拠点を見つけた。
指示通りに盗賊たちは完全に一掃され、拠点は壊滅状態にできた。
だが、それだけでは終わらなかった。洞窟のさらに奥、隠されていた小屋で、行方不明だったメイドたちが発見された。
その顔は恐怖と疲れに満ちていた。ぼろぼろの衣服をまとった彼女たちは何とか命を繋いでいたものの、心身に深い傷を負っていた。
すぐに回復措置を施し、しばらくしてから話を聞くことができるようになった。彼女たちの口から語られたことは予想を超えるものだった。盗賊たちに攫われ、暴行を受けていたことが明らかになったが、その裏には予想以上の深い陰謀があった。
驚くべきことにメイドたちは盗賊と手を組んでいた人物、つまりエレノアに雇われていたのだ。エレノアはユミルを俺から切り離すため、この事件を仕組んだ。
さらに話が進むと、エレノアは違法植物の花粉を使ってユミルの護衛を無力化し、その隙に盗賊に襲わせる計画を立てていた。
花粉は闇商人から流通しているもので、その効果は判断力を鈍らせ、相手を無防備にさせるものだとメイドたちは証言した。
証拠を押収し、さらに調べたところ、エレノアがその花粉を購入した記録も見つかった。
すべてが繋がった。エレノアがこの事件の首謀者であり、彼女が背後で糸を引いていたことが明確になった。
手にした証拠を並べ、改めてその内容を確認した。メイドたちの証言、押収した植物の証拠、そしてエレノアが購入した記録。これらを元に俺は確信を得た。この事件の黒幕はエレノア以外にあり得ない。
だが、それでも俺の胸に残るのはエレノアに対する複雑な思いだった。彼女がどうしてここまで冷徹にしかも計画的にミーティアやユミルを狙ったのか。その理由がまだ解明できていない。
執務室に着くと扉を開け、まるで何かに導かれるように机の前に向かう。
引き出しから慎重に一通の手紙を取り出す。それはエレノアからユミルに宛てられたものだった。
何気なくその手紙を手に取ると、俺は一瞬でその異常に気づいた。
手紙の中身に目を通しながら、次第にその違和感が現実のものとなっていく。そして隣に広げたミーティアの日記に視線を落とす。
この日記はミーティアは書いていないとユミルは言っていた。
最初はただの偶然だと思った。しかし、手紙と日記を並べてみると、似たような言い回し、同じ筆跡、そしてインクの色が一致していることに気づいた。
「同じだ」
それが確信へと変わる瞬間だった。手紙と日記をじっと見つめながら深いため息をついた。専門家に鑑定を頼めば、筆跡が一致することは間違いないだろう。これが誰の仕業か、もう見当がついていた。だが、それだけではまだ確定はできない。
「エレノアか」
呟きながら、俺は思わず額に手を当てた。手紙と日記を照らし合わせた結果、筆跡が一致したのはエレノアだった。彼女がこれを全て仕組んだのか。疑念が次々と湧き上がる。
エレノアなら、ミーティアの日記を偽造することができ、ミーティアの動向を事前に盗賊に伝えることもできたのではないか。もしそうなら、ミーティアの死が意図的に仕組まれたものだという疑惑が深まるばかりだ。
俺の推測は今までよりも強い確信に変わりつつあった。しかし、それでもまだ証拠は足りない。これはじっくりと時間をかけて追い詰めていく必要がある。
今はただの予測に過ぎない。だが、エレノアが関与しているとすれば、これから先の展開は想像を絶するものになるだろう。
◆
部下から新たな報告が入った。ユミルを襲った盗賊の残党が隠れているとされる洞窟、盗賊たちの拠点を見つけた。
指示通りに盗賊たちは完全に一掃され、拠点は壊滅状態にできた。
だが、それだけでは終わらなかった。洞窟のさらに奥、隠されていた小屋で、行方不明だったメイドたちが発見された。
その顔は恐怖と疲れに満ちていた。ぼろぼろの衣服をまとった彼女たちは何とか命を繋いでいたものの、心身に深い傷を負っていた。
すぐに回復措置を施し、しばらくしてから話を聞くことができるようになった。彼女たちの口から語られたことは予想を超えるものだった。盗賊たちに攫われ、暴行を受けていたことが明らかになったが、その裏には予想以上の深い陰謀があった。
驚くべきことにメイドたちは盗賊と手を組んでいた人物、つまりエレノアに雇われていたのだ。エレノアはユミルを俺から切り離すため、この事件を仕組んだ。
さらに話が進むと、エレノアは違法植物の花粉を使ってユミルの護衛を無力化し、その隙に盗賊に襲わせる計画を立てていた。
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証拠を押収し、さらに調べたところ、エレノアがその花粉を購入した記録も見つかった。
すべてが繋がった。エレノアがこの事件の首謀者であり、彼女が背後で糸を引いていたことが明確になった。
手にした証拠を並べ、改めてその内容を確認した。メイドたちの証言、押収した植物の証拠、そしてエレノアが購入した記録。これらを元に俺は確信を得た。この事件の黒幕はエレノア以外にあり得ない。
だが、それでも俺の胸に残るのはエレノアに対する複雑な思いだった。彼女がどうしてここまで冷徹にしかも計画的にミーティアやユミルを狙ったのか。その理由がまだ解明できていない。
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