7 / 41
7
しおりを挟む
【天竺市役所】は私たちが思っていたよりも大きな外観の綺麗な庁舎だった。
良いな…予算もいっぱいありそう…。そう思う私は心が貧しいのでしょうか?
「明日から、ここで研修を行うようになるんですよね?」私の言葉に北条先輩が頷く。
大分日も落ちてきて、退庁時間を過ぎたのかチラホラと帰宅する人も見える。
その人たちは楽し気に笑いながら、こちらをチラチラと気にするが、隣のイケメンはまったく意にも介さず辺りを眺めている。
「これだけ、邪気があってもこの人たちは感じないんですかね?」小声で呟くと、「まあ、実際は影響を受けていても『今日はなんだかむしゃくしゃする』とか『嫌な気分だ』ぐらいなんだろうな」と北条先輩が答える。
そうやって気が付かないうちに邪気を浴び続ければ、人は狂暴になる。それが喧嘩や虐待へと繋がり大きな事件へと発展する。…まるでドミノ倒しのように…。
それを解って犯人が魂を逃がしては悪霊を増やしているとしたらそれは危険人物だ。
明日からそれが誰でどんな目的でやっているのかを解明しなければならない。
私たちはそのために来たのだから…と真面目に考えていたのにお腹が「グーッグググー」と主張を始めた。…うん、腹が減っては戦は出来ぬっていうし先ずは腹ごしらえだ!
そう思い隣に立つ先輩を見ると、彼は地面に崩れ落ち二つ折りになって声も出さずに爆笑していた。…私の腹の音一つで楽しんでいただけたのなら何よりです。
先ずはホテルへと帰ってご飯を食べることに致しましょうか。
明日から働く意欲を養う為にも栄養をつけねば!…そう思っていたのに…
「あの…?先輩…私はなぜにこのような場所にいるのでしょうか?」
私はテーブルの正面に座る北条先輩にコッソリと話しかけた。
「俺が来たかったからだ」簡潔に答えるけれど、私はなんで北条先輩と一緒にレストランでディナーをしなければならないのかを聞いているんですよー⁈
市役所見学を終えた私たちは、あの後ホテルへと引き上げました。今日は色々あって疲れたし、コンビニでお弁当でも買ってこよう…お肉が食べたいから生姜焼き弁当にでもしちゃおうかな?
それともジャンクフード祭りも良いなぁ…フライドチキンも最近食べていないし…と脳内肉祭りを開催していた私に先輩がいきなり「ああ、俺、食いたい店があって、そこ予約したからお前も来いよ」と言ったのだ。
「嫌です」と即答したのに「もう二人分予約したし、お前ごときに拒否権はナイ!適当なワンピースでいいから着てこい」と無理やり約束させられたのだ。
…ひ、ひどい…私の生姜焼き…ジャンクフード…とも思ったが、でももしかしたら美味しい串焼きのお店とか露店かもしれないし…と気を取り直し、指定された一張羅のワンピースを着てロビーに集合した。先輩は自分が連れている女が汚い恰好をしているのが許せないのかもしれないし、ワンピースならお腹を締め付けずお腹いっぱい食べられると判断した結果だ。
それなのに、無理やりタクシーに乗せられて…着いたお店は高級レストランの夜景がきれいな予約席ですよ⁈…私とこんな店に来てもどうしようもないじゃないですか‼
これだったら、串揚げとか焼き鳥が食べたかった…ビールもキュッとね…ああ…。
はっ?!もしかして先輩が本命と来るための下見か?それに付き合わされているのか?…突然私は気が付いてしまった。
あり得る…。たしか春原さんは食事代も経費で落とせるって言っていたし、高いお店に来ても経費ならタダ‼本命と来た時にどんな雰囲気か知りたかったってことか?成程ね~!さすがは北条先輩だわ抜け目がない。
納得した私はとりあえずビールを頼もうとしたが、残念ながらここにそんなものはなかった…リキュール…?食前酒…?…あの、これはどうすれば良いのでしょうか。
「先輩…あの、何を頼んだらいいか分からないんですけれど…」こっそり囁くと、
「ああ、こんなところで先輩って呼ぶのは止めろ。好奇の目で見られるからな。俺がお任せで頼むからとりあえず、食事を楽しめ…嫌いなものはないよな?」
北条先輩…いや、北条さんの言葉に従い、注文もお願いする。
食事を楽しめと言われても、マナーを思い出すのに必死で、味なんかろくすっぽ思い出せないまま、食事は終わった…。あー高級なお肉もワインも味なんか全然わからなかった自分が恨めしいぜ…。
その上、極度の緊張感から、私はたった1杯のワインでグデングデンに酔っぱらってしまったのだ。もうもう、本当に穴があったら入りたい…。
気が付いたとき、私はホテルのベッドの上にいた。…あー頭痛い…。
二日酔いかもしれないが、喉がひりつくほど乾いている。ベッド脇の冷蔵庫からミネラルウォーターを出してごくごくと一気に飲む。あー美味い。
そこで私は気が付いた。…あれ?ここ私の部屋じゃないぞと。
私の荷物も無いし…昨日は…記憶が無いけど、北条先輩が連れて帰ってくれた訳じゃないのかな…?部屋中をキョロキョロと見回していると、バスルームから音が聞こえてくることに気が付いた。…誰か…いる?
これはヤバい…拙いことになる前に逃げ出さなくては…そう思い、ベッド脇の机に乗っていた自分のバッグを掴むとソロソロと逃げ出した。…鞄の中身もちゃんとある。
スマホ、財布…と確認しつつドアに手を掛けた瞬間、バスルームの扉が開き、上半身裸の北条先輩とバッチリ目が合ってしまった。
…その瞬間の私は素早かった。鞄からスマホを出すと北条先輩の上半身裸の画像を激写して脱兎のごとく逃げ出したのだ。…いや~我ながら素晴らしい逃げ足だったと思う。
…結局、先輩にとっ掴まり、みっちりとお説教をされた上で私の傑作写真は消されてしまったのだけれど…残念。
良いな…予算もいっぱいありそう…。そう思う私は心が貧しいのでしょうか?
「明日から、ここで研修を行うようになるんですよね?」私の言葉に北条先輩が頷く。
大分日も落ちてきて、退庁時間を過ぎたのかチラホラと帰宅する人も見える。
その人たちは楽し気に笑いながら、こちらをチラチラと気にするが、隣のイケメンはまったく意にも介さず辺りを眺めている。
「これだけ、邪気があってもこの人たちは感じないんですかね?」小声で呟くと、「まあ、実際は影響を受けていても『今日はなんだかむしゃくしゃする』とか『嫌な気分だ』ぐらいなんだろうな」と北条先輩が答える。
そうやって気が付かないうちに邪気を浴び続ければ、人は狂暴になる。それが喧嘩や虐待へと繋がり大きな事件へと発展する。…まるでドミノ倒しのように…。
それを解って犯人が魂を逃がしては悪霊を増やしているとしたらそれは危険人物だ。
明日からそれが誰でどんな目的でやっているのかを解明しなければならない。
私たちはそのために来たのだから…と真面目に考えていたのにお腹が「グーッグググー」と主張を始めた。…うん、腹が減っては戦は出来ぬっていうし先ずは腹ごしらえだ!
そう思い隣に立つ先輩を見ると、彼は地面に崩れ落ち二つ折りになって声も出さずに爆笑していた。…私の腹の音一つで楽しんでいただけたのなら何よりです。
先ずはホテルへと帰ってご飯を食べることに致しましょうか。
明日から働く意欲を養う為にも栄養をつけねば!…そう思っていたのに…
「あの…?先輩…私はなぜにこのような場所にいるのでしょうか?」
私はテーブルの正面に座る北条先輩にコッソリと話しかけた。
「俺が来たかったからだ」簡潔に答えるけれど、私はなんで北条先輩と一緒にレストランでディナーをしなければならないのかを聞いているんですよー⁈
市役所見学を終えた私たちは、あの後ホテルへと引き上げました。今日は色々あって疲れたし、コンビニでお弁当でも買ってこよう…お肉が食べたいから生姜焼き弁当にでもしちゃおうかな?
それともジャンクフード祭りも良いなぁ…フライドチキンも最近食べていないし…と脳内肉祭りを開催していた私に先輩がいきなり「ああ、俺、食いたい店があって、そこ予約したからお前も来いよ」と言ったのだ。
「嫌です」と即答したのに「もう二人分予約したし、お前ごときに拒否権はナイ!適当なワンピースでいいから着てこい」と無理やり約束させられたのだ。
…ひ、ひどい…私の生姜焼き…ジャンクフード…とも思ったが、でももしかしたら美味しい串焼きのお店とか露店かもしれないし…と気を取り直し、指定された一張羅のワンピースを着てロビーに集合した。先輩は自分が連れている女が汚い恰好をしているのが許せないのかもしれないし、ワンピースならお腹を締め付けずお腹いっぱい食べられると判断した結果だ。
それなのに、無理やりタクシーに乗せられて…着いたお店は高級レストランの夜景がきれいな予約席ですよ⁈…私とこんな店に来てもどうしようもないじゃないですか‼
これだったら、串揚げとか焼き鳥が食べたかった…ビールもキュッとね…ああ…。
はっ?!もしかして先輩が本命と来るための下見か?それに付き合わされているのか?…突然私は気が付いてしまった。
あり得る…。たしか春原さんは食事代も経費で落とせるって言っていたし、高いお店に来ても経費ならタダ‼本命と来た時にどんな雰囲気か知りたかったってことか?成程ね~!さすがは北条先輩だわ抜け目がない。
納得した私はとりあえずビールを頼もうとしたが、残念ながらここにそんなものはなかった…リキュール…?食前酒…?…あの、これはどうすれば良いのでしょうか。
「先輩…あの、何を頼んだらいいか分からないんですけれど…」こっそり囁くと、
「ああ、こんなところで先輩って呼ぶのは止めろ。好奇の目で見られるからな。俺がお任せで頼むからとりあえず、食事を楽しめ…嫌いなものはないよな?」
北条先輩…いや、北条さんの言葉に従い、注文もお願いする。
食事を楽しめと言われても、マナーを思い出すのに必死で、味なんかろくすっぽ思い出せないまま、食事は終わった…。あー高級なお肉もワインも味なんか全然わからなかった自分が恨めしいぜ…。
その上、極度の緊張感から、私はたった1杯のワインでグデングデンに酔っぱらってしまったのだ。もうもう、本当に穴があったら入りたい…。
気が付いたとき、私はホテルのベッドの上にいた。…あー頭痛い…。
二日酔いかもしれないが、喉がひりつくほど乾いている。ベッド脇の冷蔵庫からミネラルウォーターを出してごくごくと一気に飲む。あー美味い。
そこで私は気が付いた。…あれ?ここ私の部屋じゃないぞと。
私の荷物も無いし…昨日は…記憶が無いけど、北条先輩が連れて帰ってくれた訳じゃないのかな…?部屋中をキョロキョロと見回していると、バスルームから音が聞こえてくることに気が付いた。…誰か…いる?
これはヤバい…拙いことになる前に逃げ出さなくては…そう思い、ベッド脇の机に乗っていた自分のバッグを掴むとソロソロと逃げ出した。…鞄の中身もちゃんとある。
スマホ、財布…と確認しつつドアに手を掛けた瞬間、バスルームの扉が開き、上半身裸の北条先輩とバッチリ目が合ってしまった。
…その瞬間の私は素早かった。鞄からスマホを出すと北条先輩の上半身裸の画像を激写して脱兎のごとく逃げ出したのだ。…いや~我ながら素晴らしい逃げ足だったと思う。
…結局、先輩にとっ掴まり、みっちりとお説教をされた上で私の傑作写真は消されてしまったのだけれど…残念。
0
あなたにおすすめの小説
英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない
百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。
幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛
春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。
旅は道連れ、世は情け?と言われて訳あり伯爵家の子息のパートナーになりました
さこの
恋愛
両親を亡くし、遺品整理のため王都を訪れたブランシュ。
手放すはずだったアンティークをきっかけに、ひょんなことから伯爵家の跡取り・ユーゴと出会う。
無愛想で口が悪く、女性に冷たいその男は、なぜかブランシュの世話を焼き、面倒事にも付き合ってくれる。
王都ではかつて「親友に婚約者を奪われ、失恋して姿を消した男」と噂されていたユーゴ。
だがその噂は、誰かの悪意によって作られた嘘だった。
過去の誤解。すれ違い。
そして少しずつ見えてくる、本当の彼の姿。
気づけばブランシュは思ってしまう。
――この人は、優しすぎて損をしている。
面倒くさがりな伯爵子息と、無自覚な令嬢の、
すれ違いだらけの甘め異世界ラブコメディ
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる