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「昨日はお前がいきなり酔っぱらって大変だったんだ」
…はい。ご迷惑をお掛けしました。
「そのうえ、もう眠いから寝るんだってタクシーの中で爆睡されて、意識の無いお前を背負って運ぶのは本当に重かったんだ」
それはそれはさぞかし重かったことでしょう。最近自分でも腹の肉が気になっていたところです。
「だから、こっちの部屋のベッドに寝かせただけで俺の体力は限界。結局ベッドを占拠されてソファーに寝たから首が痛い」
はい、長身のあなた様にはソファーはさぞかし窮屈だったことでしょう。肩でもオモミしますか?
「寝苦しいわ、汗だくだわでシャワーを浴びて出てみれば、お前は逃亡しようとしているし、そうかと思えばいきなりスマホを向けられて写真撮るしで何を考えているのかさっぱり解らん」
…そう聞くと、確かに訳が分からない女ですね。
「先ずは、さっき撮った写真はどうするつもりだったのか言え」
あ、怒っていますね?…何とか言い訳できないかなーなんて…。
「言わないとおあつらえ向きにベッドもあるし、他の方法で聞くことになるぞ」
「はい‼この写真は南原うららかちゃんに送るつもりで撮りました!」
ごめん!君の名前を言わないとドンデモ拷問されそうだったんだ。許してくれうららか。
「…南原がどうして俺の裸の写真なんか欲しがるんだよ?」
「えーっと、先輩の私服とか寝顔とか、プライベートな写真を撮って送ったら私の分の書類仕事を全部やってくれるって言われたので。寝顔は無理だったので、裸なら喜ぶかな~って…」
そう伝えるとものすごい呆れ顔をされた。
「お前…馬鹿すぎるだろう…」そう言って、まだ濡れている髪をかき上げる先輩はセクシーですね。この写真だったら撮っても許されるかな…。
「俺が上半身裸の状態で、お前の目の前にいるってことは、お前と俺がそういう関係だと思われるってことだろう?」
先輩と私がそういう関係…裸の写真を撮ることが出来る関係って…気が付いたとき、思わず全身が熱くなるのを感じました。
「ギャーッ⁈無理無理、絶対そんなこと思われるのは無理―‼」パニックになり、慌ててスマホのデータを消去します。
「分かったら、もう変なことは考えないで諦めて仕事に専念しろよ?」そう言われ、さっさと出ていけと部屋を追い出されました…トホホ…。
部屋へ戻った私はシャワーを浴び、身支度を整えました。今日からいよいよ任務開始です。
…いつまでも過去を引きずっていられませんからね。トホホ
スマホのメールを確認するとおびただしい数の着歴があります。すべて南原うららかからの「北条先輩の写真、早く送りなさいよ‼」だったので、そっと見なかったことにすることにしました。
ロビーに降りると、北条先輩はスーツ姿で立っていました。
「おはようございます!…先ほどは、えっと失礼しました」と敬礼すると「もういいから、急ぐぞ」と笑ってくれたことにホッとします。
急いだかいがあり、始業の30分前には【天竺市役所】に着くことが出来ました。
受付で【狭間田市役所】から来たことを告げると、研修中のタグを渡され、このまま【天竺初期課】へと向かうように促されました。
その間も周りの女子社員からの熱い視線は北条先輩に絡みついているのが判ります。
「やっぱり先輩は目立ちすぎて、こういう事には向いていないんじゃないですか?」と言うと「お前は平凡に埋没しそうで良いな。羨ましいわ」と返されました。畜生…。
【天竺初期課】は私たちのような倉庫の片隅にある訳では無く、3階のフロアをパネルで仕切って丸ごと使用しているようでした。日当たりも良いし、広々としていて解放感抜群です。羨ましい職場環境ですが、これでは出入りする人間を見張るのは困難だと言えます。…
「人の出入りはかなりあるんでしょうか?」隣の席の女性に聞くと、「そうね、葬儀社も天竺市には4社あるし、私達職員以外にも出入りは結構あるかもしれないわね」と教えてくれました。
「葬儀社がそんなにあるんですか?うちの市とは大違いですね…あんな特殊な能力持ちがそんなにいるなんて、さすがは【天竺市】だわ~」と大げさに持ち上げる。
「フフ、そうね。【天竺市】の葬儀社は全て同じお家のご兄弟が立ち上げたらしいのよ。なんだか、跡目争いがあって、揉めたせいで結局別々に立ち上げたとか聞いたわ」
「そうなんだ~!それでも全員才能があったんだから凄いですよね」
「まあ…そうね…」彼女は今までとは打って変わって歯切れが悪くなった。いきなり突っ込み過ぎたかもしれない。
「色々教えて下さってありがとうございます。これからよろしくお願いします」と頭を下げると彼女はあからさまにホッとした様子で「ええ、よろしくね」と答えました。
午前中は研修中に覚えるべき事柄や事務処理の手続き方法などの説明で過ぎていった。
午後になると「やはり脱走した魂の捕縛についても実践してもらった方が説明するよりもいいから」と言われ、【天竺市】で独自に開発されたVRシステムを使って模擬訓練をすることとなりました。
VRゴーグルを付けてVR空間に入ると、臨場的な【魂】を見ることが出来、捕縛の研修が簡単にできる優れもののシステムだった。
しかも魂の吸引力抜群!大量確保を実現した夢の魂掃除機スイトルンまで導入されているではないか⁈お、お前は我が課では買うことの出来なかったお高い掃除機‼その上充電機能付きの500万円の奴だと⁈
…見せてもらおうか、お前の性能とやらを…。
結論から言うと、VR空間だからと言うことを差し置いても凄まじい吸引力を奴は発揮しました。…やはり高いだけのことはあるな。
…研修が終わったらお土産に一台貰えないかな…なんて考えてしまう理来だった。
…はい。ご迷惑をお掛けしました。
「そのうえ、もう眠いから寝るんだってタクシーの中で爆睡されて、意識の無いお前を背負って運ぶのは本当に重かったんだ」
それはそれはさぞかし重かったことでしょう。最近自分でも腹の肉が気になっていたところです。
「だから、こっちの部屋のベッドに寝かせただけで俺の体力は限界。結局ベッドを占拠されてソファーに寝たから首が痛い」
はい、長身のあなた様にはソファーはさぞかし窮屈だったことでしょう。肩でもオモミしますか?
「寝苦しいわ、汗だくだわでシャワーを浴びて出てみれば、お前は逃亡しようとしているし、そうかと思えばいきなりスマホを向けられて写真撮るしで何を考えているのかさっぱり解らん」
…そう聞くと、確かに訳が分からない女ですね。
「先ずは、さっき撮った写真はどうするつもりだったのか言え」
あ、怒っていますね?…何とか言い訳できないかなーなんて…。
「言わないとおあつらえ向きにベッドもあるし、他の方法で聞くことになるぞ」
「はい‼この写真は南原うららかちゃんに送るつもりで撮りました!」
ごめん!君の名前を言わないとドンデモ拷問されそうだったんだ。許してくれうららか。
「…南原がどうして俺の裸の写真なんか欲しがるんだよ?」
「えーっと、先輩の私服とか寝顔とか、プライベートな写真を撮って送ったら私の分の書類仕事を全部やってくれるって言われたので。寝顔は無理だったので、裸なら喜ぶかな~って…」
そう伝えるとものすごい呆れ顔をされた。
「お前…馬鹿すぎるだろう…」そう言って、まだ濡れている髪をかき上げる先輩はセクシーですね。この写真だったら撮っても許されるかな…。
「俺が上半身裸の状態で、お前の目の前にいるってことは、お前と俺がそういう関係だと思われるってことだろう?」
先輩と私がそういう関係…裸の写真を撮ることが出来る関係って…気が付いたとき、思わず全身が熱くなるのを感じました。
「ギャーッ⁈無理無理、絶対そんなこと思われるのは無理―‼」パニックになり、慌ててスマホのデータを消去します。
「分かったら、もう変なことは考えないで諦めて仕事に専念しろよ?」そう言われ、さっさと出ていけと部屋を追い出されました…トホホ…。
部屋へ戻った私はシャワーを浴び、身支度を整えました。今日からいよいよ任務開始です。
…いつまでも過去を引きずっていられませんからね。トホホ
スマホのメールを確認するとおびただしい数の着歴があります。すべて南原うららかからの「北条先輩の写真、早く送りなさいよ‼」だったので、そっと見なかったことにすることにしました。
ロビーに降りると、北条先輩はスーツ姿で立っていました。
「おはようございます!…先ほどは、えっと失礼しました」と敬礼すると「もういいから、急ぐぞ」と笑ってくれたことにホッとします。
急いだかいがあり、始業の30分前には【天竺市役所】に着くことが出来ました。
受付で【狭間田市役所】から来たことを告げると、研修中のタグを渡され、このまま【天竺初期課】へと向かうように促されました。
その間も周りの女子社員からの熱い視線は北条先輩に絡みついているのが判ります。
「やっぱり先輩は目立ちすぎて、こういう事には向いていないんじゃないですか?」と言うと「お前は平凡に埋没しそうで良いな。羨ましいわ」と返されました。畜生…。
【天竺初期課】は私たちのような倉庫の片隅にある訳では無く、3階のフロアをパネルで仕切って丸ごと使用しているようでした。日当たりも良いし、広々としていて解放感抜群です。羨ましい職場環境ですが、これでは出入りする人間を見張るのは困難だと言えます。…
「人の出入りはかなりあるんでしょうか?」隣の席の女性に聞くと、「そうね、葬儀社も天竺市には4社あるし、私達職員以外にも出入りは結構あるかもしれないわね」と教えてくれました。
「葬儀社がそんなにあるんですか?うちの市とは大違いですね…あんな特殊な能力持ちがそんなにいるなんて、さすがは【天竺市】だわ~」と大げさに持ち上げる。
「フフ、そうね。【天竺市】の葬儀社は全て同じお家のご兄弟が立ち上げたらしいのよ。なんだか、跡目争いがあって、揉めたせいで結局別々に立ち上げたとか聞いたわ」
「そうなんだ~!それでも全員才能があったんだから凄いですよね」
「まあ…そうね…」彼女は今までとは打って変わって歯切れが悪くなった。いきなり突っ込み過ぎたかもしれない。
「色々教えて下さってありがとうございます。これからよろしくお願いします」と頭を下げると彼女はあからさまにホッとした様子で「ええ、よろしくね」と答えました。
午前中は研修中に覚えるべき事柄や事務処理の手続き方法などの説明で過ぎていった。
午後になると「やはり脱走した魂の捕縛についても実践してもらった方が説明するよりもいいから」と言われ、【天竺市】で独自に開発されたVRシステムを使って模擬訓練をすることとなりました。
VRゴーグルを付けてVR空間に入ると、臨場的な【魂】を見ることが出来、捕縛の研修が簡単にできる優れもののシステムだった。
しかも魂の吸引力抜群!大量確保を実現した夢の魂掃除機スイトルンまで導入されているではないか⁈お、お前は我が課では買うことの出来なかったお高い掃除機‼その上充電機能付きの500万円の奴だと⁈
…見せてもらおうか、お前の性能とやらを…。
結論から言うと、VR空間だからと言うことを差し置いても凄まじい吸引力を奴は発揮しました。…やはり高いだけのことはあるな。
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