ピアノの家のふたりの姉妹

九重智

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第二章

第二十八話

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 島にいるあいだ、飯島に対する秋子の印象はいくらか改善された。すくなくとも、時田よりはよかった。飯島は時田より真面目に見え、雪子に気があるようだったが、それも真摯な恋のように思えた。とりあえず、秋子はふたりの恋に口を出さないことにした。しかし決めることと行うことは随分な乖離があった。それは宙から地球を眺めるのと、じっさいに地球に住むことほど異なる。誰もが綺麗な、清潔なことを思い描くが、しかしいざ降り立ってみれば、大地を覆うあの穏やかな森林は限られ、不潔な排気ガスがまき散らされている。住むというのは、そのガスとうまく折り合うことなのだが、秋子はまだ宙から眺める以上の想像ができなかった。

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