満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
129 / 212
手がかり・・・

時間がない。

しおりを挟む
 半島の馬車は2台だろう。 12人を誘拐したのだ。 1台では無理だ。 西部劇で、幌馬車が6頭立てだが、あれでも6人くらいが限度だ。 でないと、騎馬で追跡してくるヤツから逃げられない。 半島の馬車は2頭立てが多い。 馬屋があるはずだ。 そして、両班貴族の屋敷も調査する。 まず、両班しか資金的にできないからだ。 それで、満州国から誘拐して逃げる馬車のルートは数が限られるのだ。 それを、1本、1本、偵察で撮影した写真で追うのだ。 その先に両班貴族の屋敷でもあれば、あやしいのだ。 おそらく、両班貴族は献女の値を吊り上げているだろう。 なんせ、12人の生娘だ。 安くはないのだ。 それも満州産だ。 半島娘ではないのだ。 聞いた話では、朝鮮娘の3倍の価値が満州娘にはあるらしい。 ヒトを値段で判断はどうかと思うが、そういう時代であったのだ。 読者にはご理解を、お願いしたいのだ。 そうして、手がかりがつかめないで無駄な時間が・・・ それは、満州国の朝鮮との国境を警備していた、鉄虎隊の装甲車からもたらされた。 突然、深夜のもかかわらず、若い娘が助けを求めてきたのだ。 なんでも、両班貴族の館からスキを見て逃げ出してきたらしい。 その娘は馬を飼っている農家の出だそうで、乗馬ができる。 それで、両班にオモチャにされて、貴族が寝入ったスキに見張りの眼をごまかして、両班貴族の馬屋から馬を拝借した。 そして満州への国境を目指していたらしい。 なんと、下手なオトコ以上に気丈夫な娘だ。 鉄虎隊の装甲車を見て、どれほど娘は勇気つけられたことか・・・ 娘の言葉から12人が誘拐された両班貴族の場所が判明した。 それを、鉄虎隊の装甲車からの無線を聞いた本郷隊長は、「全機、出撃。」 の緊急命令だ。 「離陸後、場所は無線で送る。」 「なお、完装だ。」 完装とは機銃弾や増槽の燃料満タンのことだ。 つまり、助けるまでは帰還するなだ。 本郷隊長に敬礼する間も惜しんで、97式は暗黒の夜空の飛び立った。 時刻は午前4時だ。 すぐに夜明けだ。 やがて、無線で場所や建物の特徴などが、送られてきた。 場所は満州国の国境から97式で往復可能なソウリの街だ。 ヘイジョウよりは近い。 ソウリの街の図面を出して、夜間ライトで照らした。 その間、操縦は新型自動航行装置が機体を飛ばしてくれる。 以前は、まっすぐ飛ぶだけだったが、新型は風や気圧に対応して機を保ってくれる優れものだ。 地面から97式が降りられそうな場所が把握できた。 なんせ、100メートルあれば飛びたてるのだ。 降りるのに50メートルほどなのだ。 3機づつ、小隊をつくった12機の討伐隊全機はソウリの街を目指した。 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕のずっと大事な人

BL / 連載中 24h.ポイント:1,228pt お気に入り:35

転生少女は異世界でお店を始めたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,295pt お気に入り:1,713

氷の公爵はお人形がお気に入り~少女は公爵の溺愛に気づかない~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:816pt お気に入り:1,596

ときめきざかりの妻たちへ

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

孤独な王弟は初めての愛を救済の聖者に注がれる

BL / 完結 24h.ポイント:1,242pt お気に入り:691

処理中です...