満州国、戦車開発会社

ゆみすけ

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八七式の試運転だ。

運転免許が無いぞ・・・

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 「それでは、これを動かしてみましょう。」と、技官らが準備を始める。
ソ連軍の侵攻は待ってはくれないからね。
 「ところで、軍曹殿は運転免許は?」と、技官が聞く。
当時は自動車なぞ、満州国には無い。
 あるのは、馬車だ。
戦車を搬送してきたトラックが、現時点で満州国にある自動車なのである。
 当然、軍曹ら兵士で運転免許なぞ・・・誰も、持ってはいない・・・
「おい、運転手くん。」と、トラックの運転手が呼ばれる。
 「えっ、オレは軍人ではないぞ。」と、ブツブツと小声で・・・
「いいから、君にソ連軍へ突撃しろなんて言わないから・・・」と、無理に運転席へ押し込んだのだ。
 基本、戦車の運転は自動車が運転できれば・・・なんとなく、できるようである。
ハンドルが無いんだが・・・レバーで旋回するのである。
 あとは、変速機などは自動車と同じなのである。
「エンジン始動は、わかるよな。」と、技官がつつく。
 「それは、わかりますが・・・このレバーで旋回するんですか?」と、運転手が・・・
「君、わかってるじゃないか。」「では、エンジン始動だ。」
 「クランク廻せ。」
なお、スターターモーターなんて無いから、クランクを数人で廻すのだ。
 エンジンの弾みクルマが回転して慣性がついたころ、「いまだ、エンジン廻せ。」と、技官が叫んだ。
「ギュルン、ギュルン、ド、ド、ド、ド。」と、エンジンが掛かったのだ。
 騒音で、なんも聞こえない・・・手振りで指示する技官だ。
暖気運転に15分ほどかかるようだ。
 あまりに五月蠅いから・・・軍曹らは屋外へ退避である。
「ふう、五月蠅くて・・・」
 「あの、ソ連軍の鉄の箱と同じですね。」と、伍長だ。
戦車は、五月蠅いものなのである。

 やがて、暖気運転が終わり、技官が手で指示をだす。
「ガ、ガ、ガ、ガ。」と、八七式中戦車は前へ動き出した。
 「お、お、動いたぞ。」と、感嘆の声をあげる面々だ。
「しかし、いくらなんでも兵隊じゃない者に戦わせるわけにいかないぞ。」
 「これでは、ソ連軍の侵攻に間に合わないぞ。」と、危機感満載の軍曹だ。
「ノモンハンからソ連軍がチチハルまでは、馬で3日だが・・・」
 「あの、戦車の速度は遅かったから・・・7日はかかりそうだ。」
「技官殿、わしらに戦車の運転と砲撃のやり方を教えてくれないか?」と、聞く軍曹である。
 なぜなら、騎馬ではとても勝てないからだ。
「退避して正解だったんだ。」「この、戦車があれば作戦によってはソ連軍を追い払えるやもしれんからだ。」
と、決意をあらわにする軍曹である。
 「満州をソ連軍に蹂躙されれば・・・満州政府はソ連邦の傀儡になってしまう。」
「それでは、内地がソ連の脅威にさらされるやもしれない。」
 「内地からの応援は時間がかかる、それでは間に合わないんだ。」
「じゃあ、軍曹殿。」と、伍長が・・・
 「そうだ、こんな異国で戦死はイヤだが・・・覚悟、しなければならないかもしれないぞ。」と、軍曹が覚悟を示す。
 「我が、皇軍は全員で9名だったな。」
「そうです、歩兵銃の指導として派遣されたのでから。」と、伍長だ。
 後ろでは、新兵が・・・真っ青な顔だ。
なんせ、兵学校を卒業したばかりだからだ。
 死を覚悟するには・・・すこし早かったようである。
「しかし、恐れ多くも・・・」と、軍曹が宮城方向へ頭を垂れる・・・
 あわてて、他の兵や技官らも・・・
「陛下からお預かりしている新兵を危険にさらすわけにはいかないが・・・」
 「ここは、内地を守るためだ。」
と、決死の覚悟を決める軍曹であった。
 
 「まあ、軍曹殿。」「ここは、ソ連軍が侵攻してくるまでに・・・少しは時間があるんでしょう。」と、技官がいう。
 「そうだな、速度は観た所・・・20キロほどだったからな。」と、思い出す軍曹だ。
「なら、1両に3名で・・・9名が戦車で待ち伏せ攻撃しかないですぞ。」と、言い出す技官だ。
 「本来は四名で運用するんですが、3名でもできますからね。」と、いう技官だ。
つまり、車長と無線手を兼ねるのである。
 車長兼無線手、運転手、砲手兼装填手ということである。
まだ、40ミリ野砲の小口径だから、砲弾も数キロしかない。
 現在の120ミリ滑空砲弾になると・・・装填手が必要になるんだが・・・
「よし、今日は遅いから明日の早朝から訓練だぞ。」「おう。」
 こうして、3両の八七式戦車を対ソ連軍へ使うべく、訓練が始まったのである。
 


 
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