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以外に使える鹵獲戦車だ。
露スケとはいえ、戦車だけはバカにできないな。
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「うむ、これは・・・」と、戦車の整備記録を点検していた今野がいう。「どうしたんですか?」と、主任が聞いた。 「あ、あ、これを見てくれ。」と、簿冊を見せる。 「各戦車の走行距離ですか。」「そうなんだが。」「結構走ってるんですね。」と、主任だ。 「いや、そこじゃなくて、鹵獲戦車の方が距離が多いんだよ。」と、今野だ。 「まあ、それは的の役や敵役がありますからね。」と、主任。 「それにしても、距離が倍近いぞ。」と、今野だ。 今野は隊長車ばかりだ。 さすがに隊長車の鹵獲戦車は使えないからである。 「一度、乗ってみるか。」と、「おい、今日の訓練は・・」「うむ、オレは今日は鹵獲戦車だ。」と、掲示板の木札を入れ替えたのである。 「えっ、隊長いいんですか?」と、隊員が。「たまには、使ってみたいのさ。」と、今野だ。 それで、隊員を、入れ替えたのだ。 つまり、ソ連製戦車を隊長車の隊員がはじめて使うのだ。 国旗と軍旗に敬礼して、部隊指揮官の短い講だ。兵舎の周りを駆け足が終わり、朝飯が終わり。 さあ、訓練のはじまりだ。 今野隊長が隊員を前に、指示をだす。 「きょうは、オレが鹵獲に乗る。」「そして、訓練は小隊同士の模擬戦だ。」「了解です。」「では、敬礼。」と副官が指示だ。 答礼して、鹵獲戦車の1両へ乗り込む。 ハッチがでかいな。 (露スケはガタイがでかいのだ。)戦車内は同じくらいかな。 いや、無線機が邪魔だな。(無線機は、わざわざ日本軍が取り付けたのだ。)砲塔内部は、同じくらいか。 「よし、訓練を始めるぞ。」と、指示する今野だ。 「ガラ、ガラ、ガラ、キュル、キュル、キュル。」と、エンジン音と履帯の音が混じる。 乗らなきゃ、わからんが、「以外に振動と音が五月蠅いな。」の感想だ。 「よし、回り込め。」と、指示をだすが・・ 超信地旋回(その場で、旋回する。)がソ連戦車はできない。 それで、片方をとめて、片方の履帯を動かして旋回するのである。 しかし、超信地旋回は無理があるのだ。 履帯へ無理がかかるのだ。 それで、あまりお勧めはしない。 地面が砂地なら問題はないが・・・ 岩ぼこの荒れ地では、ダメである。 そこは、事前の調査がモノをいうのだ。 とくに、戦車は、場所を選ばずと思うかもしれないが、大違いである。 戦車が通れない場所も多々あるのだ。 そして、動輪が後ろか前にあるかで、乗り越える方法も違うのだ。 日本は61式まで、前輪駆動の戦車だった。 それで、高いところはバックで登坂した方が失敗はすくない。 後ろから押すからである。 現在は後輪駆動だから、そのまま飛び越えることができる。 履帯も昔よりは頑丈になってきたからだ。 そして、しばらく乗ってみて思ったのだ。 「以外に、使えるんじゃあないかな。」と、である。 露スケ、露スケと口ではバカにしているが、戦車の性能はバカにはできない、と思った今野隊長である。
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