日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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今野少尉までもが・・・

ニャン子の餌食になってしまった・・・

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 「これが、多重無線通信車両です。」「試作ですが・・・」と、とうとう実物の車両を見ることができた今野少尉だ。
 「これが、そうなのかっ。」と、思わず、力が入る。
彼の目の前には・・・ネコ耳ニャン子が・・・
 いや、多重無線通信車両が鎮座していたのである。
「以外に、高くないんですね。」と、車両の高さを見る。
 「アンテナが多いと聞いていたので、もっと車高が高いかと・・・」と、少尉が第一印象だ。
「いえ、アンテナは普段は伸ばしていないだけですよ。」と、主任だ。
 「アンテナを使うときに伸ばせばいいんですから。」
穴があったら入りたい少尉殿である。
 確かに、使わないときはタタンでおくものであるからだ。
少尉も隊長戦車で、駐屯地の司令部へ無線を送るときは、アンテナを伸ばすからである。
 「では、実際にアンテナを展開してみましょう。」と、主任が多重無線通信車両のハッチから車内へ・・・
「では、一番大きな通信アンテナからです。」と、声が聞こえる。
 「エンジンスタート。」と、声が・・・
「ガラ、ガラ、ガラ。」と、ジーゼルエンジンが始動する。
 やがて、「グアン、グアン。」と、歯車の音が・・・
多重無線通信車両の上面の淵から四角いアンテナ様の枠が立ち上がるのだった。
 そして、その枠から上へ棒が伸びて・・・まるで、ハシゴ消防車のように、スルスルと高いアンテナ柱ができあがったのだ。
 
 「地上高、20メートルまで展開できますよ。」と、主任がハッチから顔を出して言う。
「下手な基地局の無線塔じゃないですか。」と、驚く少尉だ。
 高さ、20メートルなんて5階建てのビルと同じくらいなのだ。
「これで、満州国境から奉天の司令部まで通信可能ですよ。」と、主任がラッパを吹く。
 まてよ、確か東京から大阪よりあるんだぞ・・・驚く、今野少尉である。
「では、重要な決断を司令部へ指示を仰げるのだな。」と、責任転嫁の少尉殿だ。
 「まあ、それはなんとも、他にもあるんですよ。」
「そうだろう・・・多重無線通信車両というくらいだから。」と、何が出るか楽しみな今野戦車隊長である。
 やがて、主任がハッチへ入る。
「こんどは、戦車同士の通信アンテナだぞ。」と、声が聞こえる。
 「スル、スル、スル。」と、くし形アンテナが伸びていく。(くし形アンテナとは八木アンテナのことだ。)
そして、クルクルと廻りだした。
 「このアンテナは指向性があるから、回転して電波が強い方向を向いて、それを中継できるんだぞ。」と、主任の声が車外スピーカーから聞こえる。
 カラオケができそうだな・・・

 「そうだ、この箱を渡そう。」と、縦長の箱を渡された少尉殿である。
「上にアンテナの先が出てるだろう。」「うん。」「それを、引っ張ればいいのだ。」
 箱の上の金属の丸いヤツを引っ張る・・・それが、伸びてアンテナだ。
「その箱は通信機なのさ。」と、主任がいう。
 「えっ、この大きさで通信機だって。」と、驚く今野君だ。
なんせ、当時は携帯無線機なぞ・・・なかったのだ。
 陸軍の一番小さな無線装置でも、4名の兵隊で分割した運ぶのだ。
そして、組み立てて使うのである。
 それが、片手で持てる箱なのだ。
「そこのツマミを廻せば、いいんだよ。」と、主任がいう。
 それで、黒い小さなツマミを廻すと、プチンと音が・・・
「あ~あ~、聞こえるか。」と、箱の穴から声が聞こえる。
 「下にある穴がマイクだよ。」と、無線機がしゃべる。
それで、「あ~あ~聞こえますよ。」と、しゃべる今野少尉である。
 まるで、ガキの玩具だな・・・
主任が車両から顔を出して・・・「聞くだけなら、数時間使える。」「しゃべれば、そうだな30分くらいかな。」
 「これは、電池でか?」と、今野君が聞く。
「そうだよ、丸い筒の乾電池ができたからね。」と、主任が加える。
 「すごい、これで前線でも困らないぞ。」と、少尉が勝利を確信する。
いままで、偵察は歩きが多いのだ。
 この、無線機があれば伝達時間が短縮できるのだ。
情報は時間が勝負なのだ。
 数分の差が命取りやも、わからないからだ。

 「とんでもない進歩ですね。」と、驚く少尉殿である。
「まあ、それなりに苦労はしたからな。」と、斎藤主任がドヤ顔だ。
 「で、内部を見ても?」と、聞いてみる。
「ん、そうだな、専門の通信隊員が搭乗するんだが・・・」「君の、幹部の端くれだ・・・」
 「いいだろう、乗ってみてくれ。」と、いう主任である。
アレッ、この車両がオレのクルマになるんじゃないのかな・・・
 と、不安に思いながらハッチから・・・
「うわっ、なんですか、これは・・・」と、絶句する今野少尉だ。
 車両内はレバーや計器やボタンや・・・・何百という調整ノブや、訳がわからない装置が・・・
これでは、オレが居るところうが・・・無い、無いのだ・・・
 「・・・・・」なんも、言えない今野戦車隊長殿である。
「どうだ、すごいだろう。」「内地で操作員を特訓中なんだよ。」と、主任がこぼした。
 いまでいうなら、下手なジェツト旅客機の機関員の操作パネルと・・・同じような。
多重無線通信車両の機器類は自動化がされていないのだ。
 なんせ、当時はパソコンという自動化のメインとなる装置がなかった。
それで、あらゆる調整や操作を人力でやらねばならない。
 「これは、オレでは・・・どう、使うんですか?」と、聞く少尉殿である。
ニャン子は、まだまだ姿を現さないようである。

 
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