B29を撃墜する方法。

ゆみすけ

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自由の女神の下を・・・

とう、とう、着ましたよ。

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 日本海軍の空母が米国へ入港する。 有史、始まって以来である。 「とう、とう、その時が来たんだ。」 空母艦長の山上は感涙にむせんだ。 いまなら、戦艦大和が米国へのお披露目に入港すると同じだ。 日本の軍事力を米国民へ見せびらかすときが来たのだ。 軍事力を抑止に使うなら、見せびらかすことが大切だ。 なにも、軍事機密を出すわけではないのだ。 外観と性能の片りんを見せびらかせばいいのだ。 米国の日本は、すべての面で10分の1と思えばいいのだ。 (例外は海岸線の長さか・・) その10分の1が造った空母を見せびらかすのである。 黄色い猿の空母である。 長さ260メートルの巨体が自由の女神像の下を、ゆっくりと航行する。 タグボートは必要ない。 そのように、建造したのだ。 最悪、随伴の駆逐艦でOKだ。 「でかい、女神ですね。」 「あ、あ、これは、聞いた話だが、米国独立のお祝いにフランスのプレゼントらしい。」 「ヘー、そうなんですか。」 「あの、冠に出ることができるそうだ。」 「見晴らしがいいでしょうね。」 空母乗員が登舷礼(とうげんれい)で、空母の飛行甲板に並びながらの戯言だ。 「どうして、ニューヨークなんですかね、シスコでも・・」 「それじゃ、インパクトが小さいからだろう。」 「自由の女神像を過ぎることが、大切なのさ。」 「まあ、国どうしの、威勢の張り合いだからな。」 確かに、日本の空母がココに入港することは、インパクトが大きいのだ。 米国とは、敵ではないが、仮想敵国だ。 その上で、ここの入港は米国の懐を観た思いだ。 ニューヨーク港で、空母のお披露目のあと、追撃戦闘機を貨車の載せてカリフォルニアまで運ばなければならない。 そこの爆撃機試験場で模擬空戦があるのだ。 大型飛行機が墜落しても、民間に被害がでない場所だとか。 狭い、日本では無理な相談だ。 なんせ、爆撃機追撃用のロケット弾の開発が進まないのは、広い場所がないからだとか。 どこへ、飛んでいくのか、わからない代物らしいからだ。 日本は爆撃機追撃は、戦闘機と別に違う方法も模索しているのだ。 人間が乗らない、つまり戦死がない方法らしいが・・・ 「さあ、接岸だ、忙しくなるぞ。」 「歓迎の女性士官は振袖だろうな。」 「え、え、花束も用意しましたよ。」 「うむ、それで楽隊は。」 「用意できてます。」 「よし、では、米国の歓迎を受けるか・・・」 空母幹部は礼装の軍服に着替えて、接待が大変そうだ。 恥をかかなきゃいいんだが。 わざわざ、女性士官まで用意しての日本国の威信をかけた訪問となったのだ。 なんせ、米国側は、市長から上院議員から、副大統領までが・・・ 日本を出るとき、そんな大げさな用意など要らんを聞かなくてよかった。 山上艦長は胸を撫で下ろした。 いまのところ、まあまあの雰囲気だからだ。 追撃戦闘機を載せる鉄道会社との打ち合わせも、うまくいきそうだ。 警備は日本側でいいそうだからだ。 米国側に警備をまかせられないのは、とうせんだ。 そこは、米国だ。 フェアな勝負が大切な国だからだ。 
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