B２９を撃墜する方法。

模擬弾。

空砲では無いのだ。

　米軍の機銃手が黄色い模擬弾を機内に持ち込んだ。　機銃への装填のためだ。　グレートイーグルには機銃が、前の爆撃手の上。　そして、操縦席の後ろの上。　胴体の横。　尾翼のシンガリ。　そして、爆弾トビラの前についている。　爆弾トビラの前はリモコン機銃だ。　なぜなら、胴体着陸したときに、機銃が出ていると潰れるからだ。　もちろん、機銃は軽くはない。　動作はモーターによる電動操作である。　これが、電波探信儀と連動なのだ。　他の機銃も連動なのだが、この胴体下の機銃がリモコンなのが、電波探信儀連動になったきっかけなのである。　初めは機銃手が乗り込んで、丸い機銃ポッドだったんだが。　「こんな、怖いモノは入れるか。」　が正直なところだ。　高所恐怖症でなくとも、願い下げである。　「胴体の横からならいいが、この場所は・・・」　と誰しもが嫌がる場所だった。　しかし、下から追撃してくる戦闘機には下部の機銃が必要だ。　技師のひとりがリモコン機銃を考えたんだが。　これが、当たらないのだ。　命中率が１割も無い。　どうしても、ハーネスやギアやロッドで、離れた所から動かすからだ。　それで、「なら、電波探信儀の精度をあげて、その値を機銃操作にすればＯＫだな。」　と言い出したヤツがいたのだ。　「電波探信儀の精度を上げる？」　「つまり、アンテナの指向性を上げるんだ。」　「串形アンテナでは、指向性が鋭くないからな。」　そうして、中華ナベ型のパラボラアンテナが考案されたのである。　（日本軍はラッパ型だが。）　もちろん、そのままでは風の影響を受けるから、カバーをつけたのだ。　金属では電波を遮断するから、カバーはアクリル樹脂である。　（日本軍はアクリル樹脂は重いから、薄い木材を重ねたモノだ。）　それで、肝心の模擬弾なのだが。　模擬弾は空砲ではない。　先端が樹脂でつくられていて、そこに赤い液体が入っている。　もちろん、金属の硬い素材ではないから、機体のアルミ合金では穴が開かないのだ。　しかし、赤い色は付くのだ。　命中したところが、判明するのである。　模擬空戦であるから、模擬弾である。　たまに、当たり所が悪いと（風防の隙間や遮るモノが無い。）操縦士や乗員に命中するが、死亡するほどの怪我にはならないようだ。　まあ、赤く腫れあがる程度らしいが・・・　さすがに、眼球に当たると潰れるから、ゴーグルは必須である。　「点検はＯＫです。」　とコパイ（副操縦士）がいう。　機長が、「管制塔へ離陸許可を、こちらはイーグル１番機だ。」　「管制塔から、イーグル１番機へ離陸は３番滑走路だ。」　「イーグル１番機了解。」　米軍のグレートイーグル１番機は滑走路へタキシングして位置につく。　「では、スロット全開だ。」　と機長だ。　「エンジンスロット全開にします。」　とコパイがいう。　４発のエンジンが排気タービンの音を、｛キーーーーン。」　と奏でる。　そして、グレートイーグルは機首があがり、そして主輪が、ゆっくりと地面を離れた。