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技術移転。
独逸と日本の確執。
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フローラの日本政府に対する工作(まあ、譲歩だ。)により、潜水艦の技術移転が固まった。 やけに、急な話だが。 それは、間に合わないからだ。 半年後の潜水艦比べ(潜水艦祭り)にだ。 独逸帝国Uボートのフローラ型が負けるわけにはいかない。 それは、フローラ自身の名前であることからも・・・ グルップ造船所の技師らに対するプレッシャーは、100トンプレスどころか1万トンプレスであったのだ。 「どうすんだ、これでは、勝てないが。」 「イヤ、フローラ様が秘策があると・・・」 「日本の技術で、勝ってもフローラ様は喜ばんぞ。」 「では、どうしろと?」 「それが、わかれば苦労なんて無いわ!」 独逸技師のみプライドはある。 それも、独逸職人ギルドで、長年培われた物だ。 日本は組合だが、それは強制力まではない、しかしギルドは違うのだ。 逆らえば、生きてゆけないほどだ。 ラノベでも、ギルドの描き方は強権ばかりだ。 子弟関係より、強いのである。 その伝統がグルップ重工も残っているのだ。 だから、日本の潜水艦を・・・なぞバカらしいわ、とのグループと、ここは素直に学ぶべきグループとの、まあ大人げないケンカだ。 それで、社内でUボートVSイ号となった。 もちろん、フローラ様には内緒だ。 そして、独逸政府や日本政府にもだ。 グルップ内部での潜水艦比べとなったのだ。 潜水艦乗員は社内のテスト用の人員だ。 そして、イ号は独逸派遣を借りてきたのだ。 もちろん、日本政府の許可はとった。 乗員は、バレるとヤバいから、独逸人の潜水艦乗りだ。 まあ、艦内の機器は見ればわかるからだ。 内密の潜水艦比べがグルップ社専用の桟橋から始まった。 Uボートとイ号が出港する。 見分は観光船をチャーターして、物見遊山を演技して競技をカモフラージュだ。 旗なぞ立てて、遊ぶ雰囲気を出す。 「まずは、潜航時間だ。」 定番の潜航時間比べである。 乗員がハッチから艦内に飛び込む。 そして、副官がハッチを閉める。 ここまでは、時間差はない。 そして、潜りだした。 だんだん、潜航していく。 「潜望鏡の波が見えなくなるまでだ。」 観光船の技師らは時計の針とにらめっこだ。 イ号の潜望鏡が見えなくなった。 28秒だ。 Uボートは・・・見えてるじゃないか。 そして、水深50までのタイムは? イ号が40でUボートは50だった。 10秒差は大きい。 「では、水中速度だ。」 「あの、ブイの旗を往復する時間で。」 「数キロはなれたところのブイに帝国旗だ。 そして、観光船がゴールだ。 Uボートは30ノットだった。 では、イ号は・・・なんと40だ。 観光船は暗いムードが漂う~ まさか、40なんて! それも、独逸派遣の旧型イ号だぞ。 おそらく、新型は50を下るまい。 「これでは、ハナから勝負にならんわ。」 技師のだれかが、ぼやいた。 「ここは、日本の技術のイイトコ取りしかない。」 「ここは、虚勢を張ったところで、結果は結果だ。」 「フローラ様の落胆した顔は見たくないのだ。」 「日本での潜水艦祭りはUボートと五分五分だった。」 「どうして、ここでは・・・」 そして、フローラ様の進言どうりに、技師が日本からグルップ社に来訪したのは、3日後だった。 潜水艦比べ、独逸大会まで5ヶ月だ。
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