零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

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ツポレフ対九七式改

敵はイー16とは違うが・・・

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 「オレに続け!」と、機首を下げて急降下体勢に入る伊佐美隊長機だ。
背後にサポート機が離れずに降下する。
 そして、それぞれが敵機に狙いを定めて機体を反転して急降下に移るのだ。
眼下のソ連軍機は・・・編隊を分散しつつあるようだ。
 サイトウ君の慧眼が、「敵は分散するぞ。」と、叫ぶ。
急降下する機体を編隊を解いて分散する敵機の1機にしぼることは容易い。
 無理な旋回でも、我が九七式改の空戦フラップが微妙な操作を自動でこなしてくれるからだ。
そして、九七式改の高張力アルミ合金が急降下の速度超過に耐えてくれるからだ。
 零戦では、翼の主桁(翼の骨)だけに使っていたが・・・この九七式改は翼の主桁の他に、3本の桁を通して翼の強度を増しているのだ。
 エンジンの高馬力に配慮して、中島飛行機の技師が九七式から設計変更したものだ。
急降下の速度規制(これ以上、出すと機体が分解する速度。)が飛燕(3式戦闘機)並みに強い(つおい)のだ。
 あの、米軍のグラマンが追撃したが・・・飛燕には振り切られてしまったという記録が少なくない。
隼(はやぶさ、1式戦闘機)では、570キロもだせば機体が分解する危険が・・・
 ところが、飛燕は680キロでも大丈夫なのだ。
あの、頑丈な米軍機を振り切れる戦闘機が飛燕だ。
 その飛燕の使えない液冷エンジンを使い慣れた空冷星形へ変換した5式戦が無双なのは当然なのである。
よく、見識者は5式戦は空中勤務員の誉めるほど、たいしたことは無いなどと見識をひけらかすが・・・
 そいつらに、言いたい。
日本軍戦闘機でP51マスタングへ対抗するなら・・・何に乗る?
 著者は、迷わず5式戦だ。
絶対に勝つ自信があるのだから。
 ハイオクタンのガソリンと航空用オイルを入れた5式戦は無双なのだ。
土井技師が心血を注いだ飛燕だ。
 防弾鋼板を座席に、非常口あり、燃料防弾ゴム板あり、対米軍機として5式戦がベストなのである。

 それぞれ散開したソ連軍機ツポレフを追尾する九七式改だ。
高性能の会話が明瞭な無線電話で、どのソ連軍機を追うか割り振り・・・攻撃がダブらないように・・・
 ところが、無線機性能が落ちるソ連軍戦闘機は・・・
「おい、イワン。」「なんだ。」「うしろだ。」「良く聞こえない。」
 「うしろだよ、ガ、ガガ。」
「なにが、ガ、ガ、ガ、だ。」
 と、会話が通じない内に・・・九七式改の7ミリ機銃が機体を貫く。
しかし、ツポレフは撃たれ強いのだ。
 「くそっ、なかなか当たっても、こいつ堕ちないぞ。」と、サイトウ君だ。
ツポレフは操縦席周りに防弾鋼板を、そして燃料タンクにも・・・
 それで、操縦者は守られて、燃料タンクは中々火を噴かないのだ。
これには、零戦の撃墜王である坂井三郎氏の言葉がある。
 「Bー17(四発爆撃機)に会敵したとき、いくら撃っても中々落ちなかった。」
「集中して同じ場所へ撃ち込んだら、やっと煙が・・・出て・・・」
 「そしたら、乗員が落下傘で脱出して、コントロールを失った機は煙を吐いて墜落した。」
と、経験を述べている。
 現在のバルカン砲ならB-17も銃弾が命中すれば、カンタンに堕ちるだろうが・・・7ミリ機銃では、なかなか無理だったのだ。
 「くそっ、これでもかっ!」と、サイトウ君がエンジンカウルを連続で狙った。
やがて、煙がエンジンから・・・ペラの回転が遅くなったような・・・
 風防が開いた・・・ソ連軍操縦士が座席から飛び降りる・・・
落下傘が開いて・・・満州平原へ降下だ。
 「おい、集中して銃弾をあびせれば、なんとかなるぞ。」と、無線だ。
「翼はダメだ、エンジンだ。」「おう。」
 ツポレフは防弾装備が重量があり、運動性が落ちる機体だ。
それで、九七式改の追撃を振り切ることができないようだ。

 「おい、やっと1機堕としたぞ。」
「くそっ、オレは逃げられてしまった。」
 「煙を吐いていたんだが・・・」と、残念そうだ。
「無理して追撃するなよ。」「オレ達は輸送機の番犬だぞ。」「そうだった。」
 先の大戦で、戦闘機の操縦士は僚機である爆撃隊を守らねばならないんだが・・・
どうしても、敵戦闘機へ・・・そして、爆撃隊の守りがおろそかになって・・・ 
 敵戦闘機は堕としたんだが・・・味方の爆撃隊に甚大な被害が・・・
ということが、多々あったそうだ。 
 とくに、海軍は傾向が強い。
「輸送船の警備なんてできるか!」「軍艦は敵の空母を沈めるためにあるんだ。」
 と、いうことらしい。
それで、先の大戦で輸送船が米軍の潜水艦にヤラれて・・・兵站が陸軍の前線へ送られないことに・・・
 そして、前線の兵は、腹が減って餓死していったのだ。
それほど、陸軍と海軍の固執は強かった日本軍なのだ。
 そう、日本軍の欠点は島国根性なのである。
日本軍は、それが特に強いのだ。
 現在の自衛隊も同様なのである。
空自は偉そうにしてるし・・・海自は海ばかり見てるし・・・陸自は遠慮して暮らしてるし・・・
 先の大戦の負けは、大きかったのだ。
現在では、自衛隊は米軍のワンコなのである。
 まあ、韓国軍よりは役に立つらしいが・・・

 「満州軍の宿舎が・・・」「いかん、敵の戦車に砲撃されてる・・・」と、叫ぶ空挺隊員らだ。
零式輸送機の窓から眼下を観る・・・砲撃される満州軍隊舎が見えるのだ。
 「戦車の前ではイカンぞ。」
「うむ、あの丘に降下しよう。」と、すこし離れてところにある丘を指す降下係官だ。
 「よし、コースをとるぞ。」と、機長が旋回を始める。
2号機も同様に旋回をはじめた。
 双発輸送機は旋回半径が大きいので、それなりに飛行コースをあらかじめ設定して飛行しなければならないからだ。
 急旋回で揚力を失えば・・・即、墜落なのである。
戦闘機と双発輸送機は運動性能が月とスッポンくらいの差があるのだ。
 「各員、対戦車擲弾筒の砲弾を余分に持て。」と、指示がでる。
「T-2とは違う戦車かもしれん。」と、眼下の戦車を観る副官だ。
 藤堂隊長は空挺部隊全体の隊長という立場だ。
空挺部隊の現地の指揮は副官に任されている。
 最前線は、どんなことがあるかわからないからだ。
思いもかけないことが多々、最前線では起こるのだ。
 戦争や紛争、事変とは・・・そういうものなのだ。
「まもなく、丘に上へ・・・」と、航空士だ。
 赤いランプが廻りだした。
各空挺隊員らは、天井のワイヤーへ落下傘の引きヒモの金具を架ける。
 降下準備に余念がない。
思いがけないミスが命取りだからである。
 なんども確認だ。
そう、再確認の労をいとわないのが空挺部隊員である。
 
 胴体横のハッチを開いて、係官が様子を見る。
敵戦闘機は居ないようだ。
 九七式改が、それなりの働きをしてくれたようだ。
「よし。」と、最初の隊員の肩を叩く。
 「やーーーーっ。」と、叫んで飛び出す隊員だ。
無事に落下傘が開いたようだ。
 いちおう、予備の落下傘は反対側に装備してるが・・・開かないということは、畳み方が悪かったということだ。
罰ゲームが恐ろしいのだ。(予備を使って降下したら、罰ゲームが、予備もダメなら命は無い。)
 最初に降りた副官が丘の反対側へ降りる。
地面でバウンドしてショックを吸収する。
 でないと、足を骨折しかねない。
「集合だっ!」と、指示を出す。
 擲弾筒を背中にかかえた空挺隊員らが順次集まってくる。
西北西の方向にある満州軍の宿舎より砲撃の噴煙が上がってるのが・・・見える。
 「敵戦車を処理してからだぞ。」と、副官だ。
味方である満州軍の救助は・・・それからだ。
 目先の脅威を取り除かねばならない。
「横一線配備だ。」と、指示が飛ぶ。
 今の所、集まってきた隊員らは、計40名ほどだ。
風に流されたりして、離れた所へ降下した隊員らは丘の背後目指して集まりつつあるが・・・待ってられない。
 一刻も早く敵戦車を殲滅しなければ・・・満州軍の兵の救助ができないからだ。
「目標までの距離は?」と、斥候を出す。
 隊員の一人が・・・距離計を持って・・・丘の上へ・・・
距離計は、カメラのレンジファインダーや戦艦の測距儀と同じ装置だ。
 横に長いパイプで、端に窓があり、内部の装置で調整すると敵までの距離が出るのだ。
現在はレーザー光線を使う装置があるが・・・当時は光学式の装置だった。
 戦艦三笠の艦橋にあるヤツと同じだ。

 「副官。」「ん、なんだ?」
「戦車までの、おおよその距離は900です。」
 「うむ。」
「距離900一線投射。」「用意・・・」 各員が手を挙げる。(用意よしの合図。)
 「てぇーーーーーーーーーーーっ。」
「ポン。」「ポン。」「ポン。」 40発の対戦車手榴弾が上空へ・・・
 そして、大きな弧を描いて・・・降下してくるのだ。
そう、擲弾筒は丘の向こうから撃てるのだ。
 敵からは隊員らが見えないからね・・・
40発の対戦車弾が雨あられと降ってくる。
 動いてる戦車には、数で上からの攻撃なのだ。
40発の雨に当たった不幸な敵戦車の砲塔やエンジン部が破裂する。
 内部で対戦車弾の高温ガスが・・・ソ連兵やエンジンを焼き尽くすのだ。
数秒で骨まで焼ける高音ガスだ。
 苦しませて殺すのではないから武士の情けというやつである。
T-3型戦車20両の内、最初の空挺部隊の攻撃で4両が破壊されて・・・3両がエンジンがダメになり、乗員が遁走したのである。
 残りは13両のT-3型軽戦車だ。

 ここで、ソ連軍の新型T-3型について解説しよう。
T-2型軽戦車はドイツ軍との紛争で鹵獲した、ドイツ軍のⅢ号戦車のエンジンをパクッたエンジンの速度向上型だ。
 いままでのTー2型では時速19キロだったが・・・それが、30キロは出るようになった戦車だ。
なんとか、敵の攻撃を避けられるような速度がだせるようになった戦車だ。
 ソ連軍の戦車はエンジンは欧州の真似だ。
鉄の鋳造技術はデンマークの真似だし、エンジンはドイツの技術の真似である。
 それで、真似なので低スペックとなる。
日本の技術を真似する韓国が低スペックなのと同じだ。
 所詮、朝鮮人の真似は日本の足元にも及ばないのである。
真面目で几帳面でウソをつかない、相手を裏切らない、約束は順守する日本人と1000年以上の開きがあるのが・・・半島の民族なのだ。
 「なんだ、どうしたんだ。」
「イワノビッチ隊長。」「敵の攻撃です。」
 「どこからだ。」「わかりません。」
「4号車、偵察へ。」
 「オレですか。」「そうだ。」
「・・・・」「イヤなら収容所だぞ。」
 「わかりました。」
イヤ、イヤ、斥候へ出る4号車だ。
 基本、満州平原は平坦な土地である。
まあ、丘が少しはあるが・・・
 「おい、イトウ。」「なんだ。」
「戦車が1両、出てきたぞ。」
 「そうだな、ヤルか。」「うん。」
「距離は。」双方の敵までの角度から三点測量で距離を割り出した。
 「750だな。」「方向はバッチリだ。」
「副官。」「なんだ。」
 「1両、たぶん偵察だと思うんですが。」
「なら、ヤってやれ。」「わかりました。」
 「おい、いいってさ。」「よし。」
「シメシメ、なんも知らずに動いてるぞ。」 
 「よし、発射だ。」と、筒の上で対戦車弾を筒へ落とす。
すると、底へついたら・・・「ポン。」と、山なりに対戦車弾が飛んだ。
 そして、戦車の屋根に見事に命中した。
そして、高温ガスを砲塔の装甲へ・・・みるみる、装甲が溶解する。
 砲塔の天井は厚さが3センチほどだ。
あっという間に穴が開いて・・・そこから、高温ガスが・・・砲塔内に充満する。
 その前に、操縦席のハッチが開いて操縦者が遁走する。
あとの3名は、黒焦げだ。
 しかし、4号車の犠牲は無駄ではなかった。
イワノビッチ隊長は丘の向こうから対戦車砲弾が発射される様子を目撃していたのだ。
 しかし、丘の向こうでは敵の位置がわからない・・・
どうしても、丘の上まで行かねばならない。
 「いかんぞ。」「丘の向こうでは・・・無理だな。」
「そうだ、次の斥候を行かせて・・・位置を特定できれば砲撃できそうだな。」
 「おい、6号車。」「ハイ?」
「おまえが斥候だ。」「・・・・」 返事ができない。
 なぜなら、4号車の悲惨な末路をみてしまったからだ。
果たして、この戦いは・・・・・

 
 

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