零式輸送機、満州の空を飛ぶ。

ゆみすけ

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包囲網突破だ!

敵は、幾万ありとても・・・だっ!

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 「よし、このままではラチがあかん。」「合図したら、突破作戦開始だ。」と、イイダ臨時艦長代行が決断する。
「え、え、わかりました。」
 「各員へ告ぐ。」「囲まれた、よって突破作戦を実行する。」
「合図で開始だ、用意を3分で・・・」と、臨時副官代行が艦内放送だ。
 「3分で、OKです。」「うむ。」
「そろそろ、露スケから請求がくるだろう・・・」
 すると、しばらくして・・・ロシア海軍の軍艦から・・・
「ハヤクシロ。」との、モールス信号だ。
 「やはり、請求がきたか・・・」
「もうすこし・・・」
 また、ロシア軍艦から信号だ。
「そろそろ、限界かな・・・」
 頃合いを見て・・・ヤクザの出入りと同じだ。
突撃には、突撃の頃合いがあるのだ。
 「よし、イテコマセーッ。」と、故郷の言葉が出るイイダ君だ。
浪速の風は・・・甘くないのだ。
 
 「全速前進だ。」一斉に砲撃をかませーっ。」
軍艦奉天には、海軍の砲ではなく・・・陸軍式の砲が・・・
 陸軍は狙いを定めて砲撃するのではない。
よく、野砲連隊が砲撃している画像を観ればわかるが・・・着弾観測員がいれば・・・その指示に・・・
 この、敵に囲まれた場合は・・・照準なんて、関係ないのだ。
とにかく、連射して逃げ切るしかないのだ。
 敵に当たらずとも、水柱が・・・それが目隠しになるのだ。

 「やはり、黄色い猿めっ。」「降伏なぞ、しないようだな。」
「よし、こちらも撃ち返せ。」
 当然、ロシア戦艦も撃ち返してくる・・・
それで、互いに撃ち合いで・・・現場は水柱と砲撃の火炎で・・・そして、軍艦奉天が煙幕を・・・
 まあ、ボイラーからの煙が灰色から・・・真っ黒いになったのだ。
「ヤツめっ、逃げるぞ。」「逃がすな。」と、ウラジミール艦長が叫ぶ。
 しかし、戦艦は海に浮かんでるのだ。
波もあれば・・・砲撃の振動もあるのだ。(天気晴朗なれど、波高し。)
 つまり、なかなか当たらないのである。
大砲の砲弾も、当たらねければ、どうってことはないのだ。(赤い彗星の名言だ。)
 混乱している内に・・・軍艦奉天は以前より馬力が増してるから・・・あっと言う間に・・・囲みの外へ・・・
いままでは、石炭ボイラーだったんだが・・・
 釜たきの水兵の労苦を少なくするために・・・石油ガス化ボイラーへ改修したのだ。
それで、釜たき水兵は不要となり・・・労働環境が改善されたのである。
 日本陸軍は労働環境に配意した軍隊なのである。(海軍は?)
そして、軍艦奉天の機銃や小口径砲は陸軍式に改修されてるから・・・連射が・・・
 機関銃のごとくに・・・20口径砲塔から・・・弾幕には最適なのだ。
ちなみに、石油ガス化ボイラーは蒸気機関車用に陸軍が開発したヤツの応用だそうだ。
 船底で汗水ながしての釜たきは過去の労働なのである。
現在は、水温計と圧力計を監視するだけなのだ。
 80名余の水兵で軍艦奉天は危機を脱出したのであった。

 「くそぅ、黄色いエテ公めっ。」「追えーーーーーーーッ。」「逃がすなーーーー。」
ロシア海軍の艦長の悲痛な叫びだ。
 ところが、最高速度で追跡するんだが・・・なかなか、追いつけない・・・のだ。
「おかしいぞ。」「あれは、軍艦プーチャンのはずだ。」
 ところが、だんだんと離されるばかりなのだ。
「おい、釜たきは石炭をくべてるだろうな。」と、苦言の艦長だ。
 副官が伝声管で・・・
すると、ボイラー室から・・・「ちゃんと、やってますよ。」の返事である。
 「なんなら、見に来てくださいよ。」と、釜たき監督官だ。
あんな熱いところへ・・・上級幹部が行くわけ無い・・・それが、ロシア海軍の伝統なのだ。
 「艦長。」「なんだ?」と、艦長臨時代行のイイダ君が振り返る。
「いま、戦闘機隊から返信が・・」
 「もう、すぐ見えるそうです。」
「そうか、なんとかなりそうだな。」と、艦橋から観測窓を開けるイイダ君だ。
 はるか北西から・・・黒い点が・・・1個、2個、3個・・・・
「やはり、我が九七式改は伊達に580キロ最速じゃないな。」と、イイダ君が納得だ。
 九七式改の最高実用速度は580キロ毎時なのである。
つまり、兵装や燃料を切り詰めて軽量にしての最高速度ではないのだ。
 武器や燃料満載での最高速度なのだ。
零式輸送機は480キロ最高巡行速度だから・・・少し遅れるようである。
 さあ、ロシア海軍に生き残れるスベはあるのか?
 
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