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第4章 それは浄化じゃない
それは浄化じゃない
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――何も覆せなかった。何も。
ノクスは特別牢の中でぼんやりと鉄格子の嵌った窓を見やった。アウレリア神殿の離れに収監されてもう1週間が経つ。
バン、とけたたましい音を立てて鉄扉が開き、見慣れた金髪碧眼の神官が姿を現す。切れ上がった緑の目に通った鼻筋は高慢そうではあっても端正な顔立ちと言えるだろう。が、金の長い髪を振り乱し、白く長い神官服の裾を蹴立てるようにして入ってくる様はヒステリックで気が滅入る。
神官はもう一度大きな音を立てて扉を閉めた。
「まったく忌々しい。穢れた魔術師め! なぜ私がお前のような謀叛人を浄化してやらねばならんのだ!?」
「――俺も結構ですよ、浄化なんかはしてもらわなくても」
ノクスはうんざりして顔を壁に背ける。
「うるさいうるさいうるさい! 上からの命令だ」
神官は手を横に薙ぎ払い、ノクスが横たわる寝台の前に立った。
「『したフリ』でいいんじゃないですか」
「そのようにこすっからい嘘はつけぬ! 小狡い魔術師め、今日もそのように爛れた目で私を見おって。まったくイライラさせられる」
「――爛れた目って?」
ノクスが眉をひそめて暗紫の瞳で見上げると、神官は落ち着かなげにぐっと手を握りしめて息をつまらせる。
「……お前は妃殿下を誑かした淫蕩な詐欺師だ。どのような卑劣な手練手管を使って妃殿下のお心を惑わした!?」
「何もしてませんって」
「嘘をつくな! 催淫の術を使ったそうじゃないか。私に見せようとはしないがな」
神官は額に青筋を立て、顎を上げて、ノクスを見下すように腕組みした。
ノクスはげんなりとしてため息をつく。
――この人、話聞かないんだよなぁ。俺の担当らしいけど、苦手だ。
「そんな術はない。あったとしても、なんで貴方に見せなきゃならないんですか」
「なぜと!? 貴様の浄化担当をさせられているこのルキウスにそれを問うか。白々しくも涼しい顔をしおって……貴様の本性、必ず私が暴いてやる。脱げ!」
ルキウスという神官はノクスの肩を掴んで寝床に押し倒した。手錠の嵌められた両手をさし上げて、鋭く聖言を唱える。聖言と同時に、魔鎖がかかったように体が動かなくなった。無防備になったノクスの下半身から、神官ルキウスはズボンと下着をぐいと引きずり下ろす。
「やめろ。これは浄化じゃない!」
ノクスは眉をぎゅっと寄せて顔をそらす。この神官はめっぽう聖力が強く、おまけに力も強い。己の雄を性急にこすり上げられながら、ノクスは息を殺した。
――嫌々やらされてるんだろう。俺に精を吐かせて魔力を削ぐ……本来なら俺と結婚するはずだったカッシア嬢がこの役目をするはずだった。カッシア嬢との婚約が破棄された今、なんとか俺を『浄化』しなければいけないというわけだ。
「……声くらい上げたらどうだ。私がこんなに手数をかけてやっているのだ。よがってみせろ、できるだろう」
純白の神官服の袖もまくり上げず、不機嫌そうにルキウスは低い声を出す。
「っ……い……やだ」
「強情な。本当なら3日に一度でいいものを、お前がなかなか精を吐かぬから毎日来なければならぬ」
――愛撫されながらこうして愚痴を聞かされる身にもなってくれ、気楽に絶頂できる気分ではないぞ。
ノクスはともすれば萎える己の物を見てもう諦めてくれないかと思ったが、嫌々『浄化』にあたっている神官ルキウスはやけに真面目で、なんとかノクスに精を吐かせようと日々数時間も粘っている事がある。
「っ、ま、魔術師は禁欲する……もの……だ!」
「はっ、何が禁欲だ。蠱惑的なその顔で、妃殿下以外も誰彼となく毒牙にかけてきたのであろう」
神官ルキウスは冷たく言って、ノクスを握り込む手に力を籠めた。こすり上げる手がますます激しくなる。
「冤罪だ……っ! いっ……!」
「早く出せ」
「いった……!」
ふ、とルキウスは手を停めた。意外そうに尋ねる。
「……痛いのか? これが?」
「……乾いているのにこんなに力を入れては」
ノクスは目に涙を滲ませ、唇をわななかせる。この神官、ノクスに負けず劣らず色ごとの経験がなさそうである。
「手の焼ける奴だな」
ちっ、とルキウスは舌打ちをして長い髪を後ろに払った。かと思えば、ぬるりとした生温かい感触がノクスを覆う。
「あっ……!?」
ノクスは下腹をびくびくと痙攣させ、思わず逃げようとしてルキウスの手に取り押さえられた。神官ルキウスは己の舌でノクスの陰茎を舐め上げながら囁く。
「私の浄化を受けられる事を光栄に思え。悪しき精を存分に吐いてしまえ」
「……ぁ……っ!」
ノクスは神官ルキウスの口の中で一週間ぶりに達してしまった。寝台に横たわったまま屈辱に打ちのめされていると、ルキウスはノクスの精を飲み下して意気揚々と立ち上がる。
「できるではないか。この調子で貴様の魂を浄めてやる。ありがたく思う事だ」
ノクスは呻いた。これで脱獄がまた遠のく。
立ち去りかけたルキウスに、ノクスは皮肉っぽく尋ねた。
「アウレリア神教ではこれが浄化だと教えているのか。信徒にもこれを?」
――こいつにはもう敬語も使いたくない。
「まさか! 大罪を犯し、反省の色なく、常人には抑えがたい力を持つ魔術師にのみ施す特殊技だ。極秘のな! 信仰揺るがぬ高潔な神官、このルキウス司祭のような者にのみ許されるのだ! 半端な司祭などにはお前のような者、到底扱えぬわ」
ほ、とノクスは安堵の息をついた。ステパノスの国教が爛れた性犯罪の温床になっているわけではなさそうだ。
ルキウス神官は裾を翻して足音高く出て行った。ルキウスの怒声が消えると、あたりはしんと静かになる。ノクスの牢は隔離棟にあり、他にはルキウスの詰所と罪人用の礼拝堂があるだけだ。他の収容人の生活音も聞こえない。
――やっと一人になれたな。
ノクスは半身を起こして寝台に座り、目を閉じて聖錠に意識を集中する。
魔獣との過酷な戦いには慣れていても、罵倒されながら嬲られるのには慣れていない。消耗した心が乱れるのを必死に整え、ノクスは聖錠の術式を視た。
アウレリア神教の使う魔力封じの聖術は魔術とは勝手が違う。
――術式が迂遠なんだ。目的に到達するまでに魔術の万倍の手数をかけて複雑な術式を描いている。およそ実用的ではないが、解くのに恐ろしい時間がかかるようにできている。
まるで魔術を封じるためだけに生まれたかのようだ。
魔力で物理的に聖錠を壊そうと最初は思っていたが、魔力の負荷をかけると暴発する術がかかっている。正攻法で膨大な術式を解くしかないらしい。その術式は数十万とあるが、一度でも解術が途切れると一からやり直しだ。
――もう少し。今ので数千は解いた。このまま解けば……。
ノクスの集中を遮り、バン! と扉が乱暴な音を立てて開いた。現れたのはさっきの神官ルキウスだ。腕を組んで声高にノクスを見下ろす。
「穢れた魔術師ノクス・フェリス! 何をしている」
「……何。もう用は済んだはずだ」
ノクスはびくっと体をすくませ、寝台を後じさった。ルキウスはカチンときたかのように片眉を上げる。
「罪人が何用かとは頭が高い。なぜ夕餉を食わぬ!?」
――食事の皿が来ていたのか。集中していて気づかなかった。もう夕餉の時間は過ぎたみたいだな。
ノクスは戸口に置かれていた皿を気のない目で見やった。解錠に集中したいのに。
返事をしないノクスに苛立ったかのように、ルキウスは足音高くノクスの前にやってきて、粗末なパンとスープをのせたトレイをノクスの胸に押しつける。
「迷惑そうな顔をしおって、……身の程を知らぬ奴。生かしておいてもらえるだけでもありがたいと思え!」
ノクスは目を閉じてルキウスを視界から遮断し、無言でトレイを受け取った。
「神の恵みを無駄にするな」
神官ルキウスはそう言い捨てて、出て行くかと思えばじっとそこに立っている。ノクスが食事を終えるまで監視するつもりのようだ。
ノクスは嫌々ながらにパンをちぎった。
――この神官に見られながらでは食欲が減退する。
「……のせいか」
ルキウスがぼそりと呟いた言葉に、ノクスは顔を上げた。
「食欲がないのは、私が精を吐かせたせいかと聞いている」
「まあ……心理的な打撃はあるけど」
ノクスはスープにパンを浸す。パンだけでは飲み下せる気がしない。
「何が打撃だ。俺はお前のような叛逆者にも憐れみをかけているというのに」
「はあ……」
これが憐れみをかける態度だろうか。
「怪しげな魔力を二度と使えぬように、悪しき精を余さず搾り取れと命じられた。悪いものを取ってやっているのに、なぜそのような目で見るのだ!」
ルキウスは震える拳を握りしめて俯き、怒鳴った。
――何も知らないのか。哀れだな。
ノクスは食事をやめてトレイをテーブルへ置く。
「精に悪いも良いもない。怪しげと言うけど、魔力は聖力と同質のものだ。術式が異なるだけ……」
「そんなわけがない! 貴様、アウレリア神の教えを愚弄するか!? 背教者め!」
ルキウスは顔を上げて眉を歪め、ノクスの襟首を掴んだ。
――信じるわけないか。
ノクスは苦く微笑する。
「……試してみればいい。あんたの聖力と、俺の魔力が異質かどうか。俺は『アウレリアの御業』を行う事ができるから」
「嘘をつくな。『アウレリアの御業』は神からの癒しの恩寵だ。信仰のない貴様などに使えるわけがなかろう!」
神官はノクスの鼻に己の鼻をつけんばかりにして怒鳴った。とてもうるさい。
『アウレリアの御業』は神殿を訪れて高額なお布施をした者にだけ与えられる癒しの恩寵である。聖杖をかざせば怪我や軽い病が癒える。だがノクスは『普通の癒しの魔術だな』とずっと思っていた。
ただ、癒しの魔術は民間では絶えて見られない。癒しの術について書かれた本は今では絶版しており、貴族の図書館にあったとしても禁帯出だからだ。
「だから、試してみればいい」
「聖杖は選ばれし神官にしか扱えぬ決まりだ! 貴様などに渡せるか!」
「聖杖を通した方が信じてもらえるかと」
「ふっ、そのような世迷言で聖具を奪おうとしても騙されぬ! さすが悪知恵の働く術師め」
神官ルキウスはノクスを見下ろして鼻でせせら笑った。
――ほんっと話聞かねぇ。聖杖なんか使わずとも癒せるっての。腹立つな……!
ノクスは目を据わらせ、手錠の嵌った手でルキウスの指を掴んだ。ルキウスは飛び上がる。
「な、なんだ!?」
「指先に傷がある」
ノクスはルキウスに切り傷を確認させて、それからその傷に息を吹きかけ、小さく「サナト」と唱えた。見る間に傷が消えて塞がっていく。
「!?」
「もう痛くないはずだ。『アウレリアの御業』と何か異なるか? 同じだろう?」
神官ルキウスは己の指とノクスの顔を何度も見比べ、さっと青ざめた。しばらくは無言だったが、長い髪を乱して激しくかぶりを振る。
「……魔性の技だ。神の信徒を誑かそうと、このような偽りの目くらましを!」
ノクスはため息を噛み殺す。
――駄目か。狂信のあまり、己の感覚を否定している。
「あれだけ浄化したというのに、まだこれだけ余力を残していたのか!? もう魔術など使えぬはずが! おのれ」
ルキウスはノクスにのしかかり、寝台に押し倒した。服を脱がせ始める。
「やめろ、これは浄化じゃない!」
「黙れ。俺がお前を綺麗にしてやる。真っ当なただの人間になるんだ。術など使えても何の価値もない! 棺に入るまで、お前は一生ここから出られないのだから」
ルキウスはノクスの雄を握りしめて囁いた。
――一生? ふざけるな。
ノクスが蹴りを繰り出そうとすると、ルキウスは聖言を唱えてノクスを寝台に釘づけにする。腰の上に跨ってかがみ込み、歪んだ笑みをうかべて、ノクスの陰茎を濡れた口に含んだ。
「覚悟するがいい。一晩かけてすみずみまでお前を浄めてやろう。隠し持ったその悪しき精、一滴残らず絞り出してくれる」
※ ※ ※
「あっ……あ……ああっ……」
「朝は出がいいと聞く。せっかく私が早起きして来たのだから、そのように意地を張るでない。素直に達してしまわぬか」
ルキウスはノクスを舐め上げながら小声で叱った。唾液に濡れた陰茎がルキウスの指でこすり上げられて、ぐちゅぐちゅと鳴る。拙かったルキウスの舌遣いは日ごとに巧みさを増して淫靡に蠢くようになり、ノクスを翻弄していた。
「出……さ……ない……! やめろ!」
「ふん、そのような強情を申しても、結局、お前は私の舌の上で出すのだからな」
ルキウスはふふ、と含み笑いする。
――ここ数回成功しているからって、調子に乗りやがって。
「いや……だ」
「駄々っ子のような我儘を申すな。たくさん出せば後で礼拝に連れて行ってやる。外に出たいと言っていただろう」
拘束の聖術をかけられながらも必死でもがいていたノクスは、ぴたりと動きを止めた。礼拝堂に行けばルキウスの浄化から逃れられる。
――ああ、でも一度出さなきゃ駄目なのか。
抵抗を止めたノクスを見下ろし、ルキウスは目を細めた。
「そうだ、力を抜いて私に身を任せるがいい。お前は私の舌が好きだろう?」
「ふっ……ざけるな」
「ふざけてなどおらぬ。こんなに欲をはらんで大きくはりつめていながら、出さぬと強情を張るお前が俺は可愛いのだ」
「うるせぇ! 変態クソ野郎」
「どうしてそんなに口が悪いのだ。私のノクス」
「お前のじゃない!」
「私が管理しているのだ。私のものだろう。――お前のように美しい魔性は、私にしか管理できない」
喉の奥深くまでノクスの肉茎を呑み込んで、ルキウスはノクスを舌で撫でさすった。口淫しながら左手で己のものをしごいているのを、ノクスは知っている。
「ああっ……! あ、」
「ああ! ノクス……!」
陶然としてルキウスは呻いた。
――どうしてこうなった。
収監されて一か月と経たないうちに、神官ルキウスはノクスを己の所有物のように扱うようになってしまった。あれだけ罵っていたくせにとも思うが、男女の交遊が禁じられた神殿の中で、密接にかかわっていれば無理もないのかもしれない。
――毎日のように口淫されては、禁欲もできない。
聖術とて禁欲が必須である。禁欲を怠ればミサで『アウレリアの御業』の聖務も披露できず、ひいては周囲にも禁を破った事が露見する。それが幸いしてか、ルキウスに口淫や手淫以外の事はまだされていない。
――無害化のためにすぐさま雌化されるかと思いきや、なぜか口淫だけで済んでいる。ルキウスは浄化以外は命じられていないようだ。俺の獣毒後遺症についても知らない様子。
魔力と共に、己の欲を管理できるという自信も失われていく。ノクスはぐたりと寝台に体を横たえた。ルキウスはいそいそと服を着せてくれる。
「さあ、祈りの時間だ。アウレリア神に頭を垂れるお前を見れば、大司教様も誤解だとわかってくださる」
「誤解……どれ?」
――いろいろありすぎてどれだかわからない。
気怠く言ったノクスの顎を、ルキウスは思わしげに持ち上げる。
「お前が妃殿下を誑かしたという噂だ。私はお前の事を『淫蕩な魔術で人心を惑わす傾国の魔術師』だと聞いていた。だからこそ、魔術にも誘惑にも惑わされぬ強い信仰と聖力に恵まれた私がお前の浄化役に選ばれたのだと。ところがお前は強情な禁欲ぶりで、一向に私を惑わそうとせぬ。初めこそ『私に売る媚はないというか』と腹が立ったがな、……お前の芸の無い素朴な性格では、そもそも媚を売る法も知らぬのだろうと思うのだ。そもそも禁欲が命綱の魔術と催淫術とやらの相性はとてつもなく悪いだろう。思えば何か、話がおかしいのだ」
「…………」
このルキウスという神官、信仰一辺倒と思いきや、自分で考える頭もあるようだ。
ノクスが見直していると、ルキウスはかっと緑の瞳を見ひらいた。
「それにだ! 私に媚態の一つも作らぬお前が、妃殿下を誘惑したなどと信じられるか! 私は『女に生まれていれば妃になれた』と言われ続けた美貌の持ち主だぞ!? お前が妃殿下に拝謁する機会は一度しかなかったのだろう?!」
ルキウスは目を尖らせて詰問した。氷山の如く高いルキウスのプライドが、ノクスが己をさしおいて王妃を誘惑していたとは信じたくないらしい。
――だが正鵠を射てはいる。
ノクスは頷いた。
「白騎士と陛下も同席の上で、一度きりの拝謁だ。とても誘惑など」
「だろう!? やはりな!! 私も気になって調べさせたのだ。私もフローレス伯爵家の血筋だからな、裏の情報網はある。だがお前が妃殿下と密会していたという目撃情報は、一度も聞かなかった。お前は妃殿下のお出ましになる夜会にすら出席せず、皆が顔を知りたがるほどだったそうではないか」
ぎらぎらと光る目で、ルキウスはノクスの両手を握りしめる。
「妃殿下とは何でもないのだな!? 誘惑した事もないな、そうだな、ノクス!?」
「当たり前だ」
「よし!!」
ルキウスは勢いをつけてノクスを寝台から引き起こした。胸まで隠れる黒いヴェールをかけてノクスの顔を隠し、念入りに黒いフードを被せた。どうも罪人の顔を隠すきまりらしい。
「さあノクス、アウレリア信徒らしく敬虔に祈る姿を見せろ。お前は誤解されているんだ。万が一にも処刑されるような事があってはならない」
「穢れた魔術師でも?」
胡乱な表情で問うたノクスに、ルキウスは自信満々に顎をそらして言う。
「もう穢れてはおらん。俺が浄化しているのだから!」
――だから、あれは浄化じゃないって……。
何度言ってもわかってもらえていないらしい。手を引かれて立ち上がるノクスに、ルキウスはぽつりと呟いた。
「……なぜ謀叛の疑いなどかけられた。『護国の大賢者』とまで呼ばれたお前が」
※ ※ ※
ノクスは特別牢の中でぼんやりと鉄格子の嵌った窓を見やった。アウレリア神殿の離れに収監されてもう1週間が経つ。
バン、とけたたましい音を立てて鉄扉が開き、見慣れた金髪碧眼の神官が姿を現す。切れ上がった緑の目に通った鼻筋は高慢そうではあっても端正な顔立ちと言えるだろう。が、金の長い髪を振り乱し、白く長い神官服の裾を蹴立てるようにして入ってくる様はヒステリックで気が滅入る。
神官はもう一度大きな音を立てて扉を閉めた。
「まったく忌々しい。穢れた魔術師め! なぜ私がお前のような謀叛人を浄化してやらねばならんのだ!?」
「――俺も結構ですよ、浄化なんかはしてもらわなくても」
ノクスはうんざりして顔を壁に背ける。
「うるさいうるさいうるさい! 上からの命令だ」
神官は手を横に薙ぎ払い、ノクスが横たわる寝台の前に立った。
「『したフリ』でいいんじゃないですか」
「そのようにこすっからい嘘はつけぬ! 小狡い魔術師め、今日もそのように爛れた目で私を見おって。まったくイライラさせられる」
「――爛れた目って?」
ノクスが眉をひそめて暗紫の瞳で見上げると、神官は落ち着かなげにぐっと手を握りしめて息をつまらせる。
「……お前は妃殿下を誑かした淫蕩な詐欺師だ。どのような卑劣な手練手管を使って妃殿下のお心を惑わした!?」
「何もしてませんって」
「嘘をつくな! 催淫の術を使ったそうじゃないか。私に見せようとはしないがな」
神官は額に青筋を立て、顎を上げて、ノクスを見下すように腕組みした。
ノクスはげんなりとしてため息をつく。
――この人、話聞かないんだよなぁ。俺の担当らしいけど、苦手だ。
「そんな術はない。あったとしても、なんで貴方に見せなきゃならないんですか」
「なぜと!? 貴様の浄化担当をさせられているこのルキウスにそれを問うか。白々しくも涼しい顔をしおって……貴様の本性、必ず私が暴いてやる。脱げ!」
ルキウスという神官はノクスの肩を掴んで寝床に押し倒した。手錠の嵌められた両手をさし上げて、鋭く聖言を唱える。聖言と同時に、魔鎖がかかったように体が動かなくなった。無防備になったノクスの下半身から、神官ルキウスはズボンと下着をぐいと引きずり下ろす。
「やめろ。これは浄化じゃない!」
ノクスは眉をぎゅっと寄せて顔をそらす。この神官はめっぽう聖力が強く、おまけに力も強い。己の雄を性急にこすり上げられながら、ノクスは息を殺した。
――嫌々やらされてるんだろう。俺に精を吐かせて魔力を削ぐ……本来なら俺と結婚するはずだったカッシア嬢がこの役目をするはずだった。カッシア嬢との婚約が破棄された今、なんとか俺を『浄化』しなければいけないというわけだ。
「……声くらい上げたらどうだ。私がこんなに手数をかけてやっているのだ。よがってみせろ、できるだろう」
純白の神官服の袖もまくり上げず、不機嫌そうにルキウスは低い声を出す。
「っ……い……やだ」
「強情な。本当なら3日に一度でいいものを、お前がなかなか精を吐かぬから毎日来なければならぬ」
――愛撫されながらこうして愚痴を聞かされる身にもなってくれ、気楽に絶頂できる気分ではないぞ。
ノクスはともすれば萎える己の物を見てもう諦めてくれないかと思ったが、嫌々『浄化』にあたっている神官ルキウスはやけに真面目で、なんとかノクスに精を吐かせようと日々数時間も粘っている事がある。
「っ、ま、魔術師は禁欲する……もの……だ!」
「はっ、何が禁欲だ。蠱惑的なその顔で、妃殿下以外も誰彼となく毒牙にかけてきたのであろう」
神官ルキウスは冷たく言って、ノクスを握り込む手に力を籠めた。こすり上げる手がますます激しくなる。
「冤罪だ……っ! いっ……!」
「早く出せ」
「いった……!」
ふ、とルキウスは手を停めた。意外そうに尋ねる。
「……痛いのか? これが?」
「……乾いているのにこんなに力を入れては」
ノクスは目に涙を滲ませ、唇をわななかせる。この神官、ノクスに負けず劣らず色ごとの経験がなさそうである。
「手の焼ける奴だな」
ちっ、とルキウスは舌打ちをして長い髪を後ろに払った。かと思えば、ぬるりとした生温かい感触がノクスを覆う。
「あっ……!?」
ノクスは下腹をびくびくと痙攣させ、思わず逃げようとしてルキウスの手に取り押さえられた。神官ルキウスは己の舌でノクスの陰茎を舐め上げながら囁く。
「私の浄化を受けられる事を光栄に思え。悪しき精を存分に吐いてしまえ」
「……ぁ……っ!」
ノクスは神官ルキウスの口の中で一週間ぶりに達してしまった。寝台に横たわったまま屈辱に打ちのめされていると、ルキウスはノクスの精を飲み下して意気揚々と立ち上がる。
「できるではないか。この調子で貴様の魂を浄めてやる。ありがたく思う事だ」
ノクスは呻いた。これで脱獄がまた遠のく。
立ち去りかけたルキウスに、ノクスは皮肉っぽく尋ねた。
「アウレリア神教ではこれが浄化だと教えているのか。信徒にもこれを?」
――こいつにはもう敬語も使いたくない。
「まさか! 大罪を犯し、反省の色なく、常人には抑えがたい力を持つ魔術師にのみ施す特殊技だ。極秘のな! 信仰揺るがぬ高潔な神官、このルキウス司祭のような者にのみ許されるのだ! 半端な司祭などにはお前のような者、到底扱えぬわ」
ほ、とノクスは安堵の息をついた。ステパノスの国教が爛れた性犯罪の温床になっているわけではなさそうだ。
ルキウス神官は裾を翻して足音高く出て行った。ルキウスの怒声が消えると、あたりはしんと静かになる。ノクスの牢は隔離棟にあり、他にはルキウスの詰所と罪人用の礼拝堂があるだけだ。他の収容人の生活音も聞こえない。
――やっと一人になれたな。
ノクスは半身を起こして寝台に座り、目を閉じて聖錠に意識を集中する。
魔獣との過酷な戦いには慣れていても、罵倒されながら嬲られるのには慣れていない。消耗した心が乱れるのを必死に整え、ノクスは聖錠の術式を視た。
アウレリア神教の使う魔力封じの聖術は魔術とは勝手が違う。
――術式が迂遠なんだ。目的に到達するまでに魔術の万倍の手数をかけて複雑な術式を描いている。およそ実用的ではないが、解くのに恐ろしい時間がかかるようにできている。
まるで魔術を封じるためだけに生まれたかのようだ。
魔力で物理的に聖錠を壊そうと最初は思っていたが、魔力の負荷をかけると暴発する術がかかっている。正攻法で膨大な術式を解くしかないらしい。その術式は数十万とあるが、一度でも解術が途切れると一からやり直しだ。
――もう少し。今ので数千は解いた。このまま解けば……。
ノクスの集中を遮り、バン! と扉が乱暴な音を立てて開いた。現れたのはさっきの神官ルキウスだ。腕を組んで声高にノクスを見下ろす。
「穢れた魔術師ノクス・フェリス! 何をしている」
「……何。もう用は済んだはずだ」
ノクスはびくっと体をすくませ、寝台を後じさった。ルキウスはカチンときたかのように片眉を上げる。
「罪人が何用かとは頭が高い。なぜ夕餉を食わぬ!?」
――食事の皿が来ていたのか。集中していて気づかなかった。もう夕餉の時間は過ぎたみたいだな。
ノクスは戸口に置かれていた皿を気のない目で見やった。解錠に集中したいのに。
返事をしないノクスに苛立ったかのように、ルキウスは足音高くノクスの前にやってきて、粗末なパンとスープをのせたトレイをノクスの胸に押しつける。
「迷惑そうな顔をしおって、……身の程を知らぬ奴。生かしておいてもらえるだけでもありがたいと思え!」
ノクスは目を閉じてルキウスを視界から遮断し、無言でトレイを受け取った。
「神の恵みを無駄にするな」
神官ルキウスはそう言い捨てて、出て行くかと思えばじっとそこに立っている。ノクスが食事を終えるまで監視するつもりのようだ。
ノクスは嫌々ながらにパンをちぎった。
――この神官に見られながらでは食欲が減退する。
「……のせいか」
ルキウスがぼそりと呟いた言葉に、ノクスは顔を上げた。
「食欲がないのは、私が精を吐かせたせいかと聞いている」
「まあ……心理的な打撃はあるけど」
ノクスはスープにパンを浸す。パンだけでは飲み下せる気がしない。
「何が打撃だ。俺はお前のような叛逆者にも憐れみをかけているというのに」
「はあ……」
これが憐れみをかける態度だろうか。
「怪しげな魔力を二度と使えぬように、悪しき精を余さず搾り取れと命じられた。悪いものを取ってやっているのに、なぜそのような目で見るのだ!」
ルキウスは震える拳を握りしめて俯き、怒鳴った。
――何も知らないのか。哀れだな。
ノクスは食事をやめてトレイをテーブルへ置く。
「精に悪いも良いもない。怪しげと言うけど、魔力は聖力と同質のものだ。術式が異なるだけ……」
「そんなわけがない! 貴様、アウレリア神の教えを愚弄するか!? 背教者め!」
ルキウスは顔を上げて眉を歪め、ノクスの襟首を掴んだ。
――信じるわけないか。
ノクスは苦く微笑する。
「……試してみればいい。あんたの聖力と、俺の魔力が異質かどうか。俺は『アウレリアの御業』を行う事ができるから」
「嘘をつくな。『アウレリアの御業』は神からの癒しの恩寵だ。信仰のない貴様などに使えるわけがなかろう!」
神官はノクスの鼻に己の鼻をつけんばかりにして怒鳴った。とてもうるさい。
『アウレリアの御業』は神殿を訪れて高額なお布施をした者にだけ与えられる癒しの恩寵である。聖杖をかざせば怪我や軽い病が癒える。だがノクスは『普通の癒しの魔術だな』とずっと思っていた。
ただ、癒しの魔術は民間では絶えて見られない。癒しの術について書かれた本は今では絶版しており、貴族の図書館にあったとしても禁帯出だからだ。
「だから、試してみればいい」
「聖杖は選ばれし神官にしか扱えぬ決まりだ! 貴様などに渡せるか!」
「聖杖を通した方が信じてもらえるかと」
「ふっ、そのような世迷言で聖具を奪おうとしても騙されぬ! さすが悪知恵の働く術師め」
神官ルキウスはノクスを見下ろして鼻でせせら笑った。
――ほんっと話聞かねぇ。聖杖なんか使わずとも癒せるっての。腹立つな……!
ノクスは目を据わらせ、手錠の嵌った手でルキウスの指を掴んだ。ルキウスは飛び上がる。
「な、なんだ!?」
「指先に傷がある」
ノクスはルキウスに切り傷を確認させて、それからその傷に息を吹きかけ、小さく「サナト」と唱えた。見る間に傷が消えて塞がっていく。
「!?」
「もう痛くないはずだ。『アウレリアの御業』と何か異なるか? 同じだろう?」
神官ルキウスは己の指とノクスの顔を何度も見比べ、さっと青ざめた。しばらくは無言だったが、長い髪を乱して激しくかぶりを振る。
「……魔性の技だ。神の信徒を誑かそうと、このような偽りの目くらましを!」
ノクスはため息を噛み殺す。
――駄目か。狂信のあまり、己の感覚を否定している。
「あれだけ浄化したというのに、まだこれだけ余力を残していたのか!? もう魔術など使えぬはずが! おのれ」
ルキウスはノクスにのしかかり、寝台に押し倒した。服を脱がせ始める。
「やめろ、これは浄化じゃない!」
「黙れ。俺がお前を綺麗にしてやる。真っ当なただの人間になるんだ。術など使えても何の価値もない! 棺に入るまで、お前は一生ここから出られないのだから」
ルキウスはノクスの雄を握りしめて囁いた。
――一生? ふざけるな。
ノクスが蹴りを繰り出そうとすると、ルキウスは聖言を唱えてノクスを寝台に釘づけにする。腰の上に跨ってかがみ込み、歪んだ笑みをうかべて、ノクスの陰茎を濡れた口に含んだ。
「覚悟するがいい。一晩かけてすみずみまでお前を浄めてやろう。隠し持ったその悪しき精、一滴残らず絞り出してくれる」
※ ※ ※
「あっ……あ……ああっ……」
「朝は出がいいと聞く。せっかく私が早起きして来たのだから、そのように意地を張るでない。素直に達してしまわぬか」
ルキウスはノクスを舐め上げながら小声で叱った。唾液に濡れた陰茎がルキウスの指でこすり上げられて、ぐちゅぐちゅと鳴る。拙かったルキウスの舌遣いは日ごとに巧みさを増して淫靡に蠢くようになり、ノクスを翻弄していた。
「出……さ……ない……! やめろ!」
「ふん、そのような強情を申しても、結局、お前は私の舌の上で出すのだからな」
ルキウスはふふ、と含み笑いする。
――ここ数回成功しているからって、調子に乗りやがって。
「いや……だ」
「駄々っ子のような我儘を申すな。たくさん出せば後で礼拝に連れて行ってやる。外に出たいと言っていただろう」
拘束の聖術をかけられながらも必死でもがいていたノクスは、ぴたりと動きを止めた。礼拝堂に行けばルキウスの浄化から逃れられる。
――ああ、でも一度出さなきゃ駄目なのか。
抵抗を止めたノクスを見下ろし、ルキウスは目を細めた。
「そうだ、力を抜いて私に身を任せるがいい。お前は私の舌が好きだろう?」
「ふっ……ざけるな」
「ふざけてなどおらぬ。こんなに欲をはらんで大きくはりつめていながら、出さぬと強情を張るお前が俺は可愛いのだ」
「うるせぇ! 変態クソ野郎」
「どうしてそんなに口が悪いのだ。私のノクス」
「お前のじゃない!」
「私が管理しているのだ。私のものだろう。――お前のように美しい魔性は、私にしか管理できない」
喉の奥深くまでノクスの肉茎を呑み込んで、ルキウスはノクスを舌で撫でさすった。口淫しながら左手で己のものをしごいているのを、ノクスは知っている。
「ああっ……! あ、」
「ああ! ノクス……!」
陶然としてルキウスは呻いた。
――どうしてこうなった。
収監されて一か月と経たないうちに、神官ルキウスはノクスを己の所有物のように扱うようになってしまった。あれだけ罵っていたくせにとも思うが、男女の交遊が禁じられた神殿の中で、密接にかかわっていれば無理もないのかもしれない。
――毎日のように口淫されては、禁欲もできない。
聖術とて禁欲が必須である。禁欲を怠ればミサで『アウレリアの御業』の聖務も披露できず、ひいては周囲にも禁を破った事が露見する。それが幸いしてか、ルキウスに口淫や手淫以外の事はまだされていない。
――無害化のためにすぐさま雌化されるかと思いきや、なぜか口淫だけで済んでいる。ルキウスは浄化以外は命じられていないようだ。俺の獣毒後遺症についても知らない様子。
魔力と共に、己の欲を管理できるという自信も失われていく。ノクスはぐたりと寝台に体を横たえた。ルキウスはいそいそと服を着せてくれる。
「さあ、祈りの時間だ。アウレリア神に頭を垂れるお前を見れば、大司教様も誤解だとわかってくださる」
「誤解……どれ?」
――いろいろありすぎてどれだかわからない。
気怠く言ったノクスの顎を、ルキウスは思わしげに持ち上げる。
「お前が妃殿下を誑かしたという噂だ。私はお前の事を『淫蕩な魔術で人心を惑わす傾国の魔術師』だと聞いていた。だからこそ、魔術にも誘惑にも惑わされぬ強い信仰と聖力に恵まれた私がお前の浄化役に選ばれたのだと。ところがお前は強情な禁欲ぶりで、一向に私を惑わそうとせぬ。初めこそ『私に売る媚はないというか』と腹が立ったがな、……お前の芸の無い素朴な性格では、そもそも媚を売る法も知らぬのだろうと思うのだ。そもそも禁欲が命綱の魔術と催淫術とやらの相性はとてつもなく悪いだろう。思えば何か、話がおかしいのだ」
「…………」
このルキウスという神官、信仰一辺倒と思いきや、自分で考える頭もあるようだ。
ノクスが見直していると、ルキウスはかっと緑の瞳を見ひらいた。
「それにだ! 私に媚態の一つも作らぬお前が、妃殿下を誘惑したなどと信じられるか! 私は『女に生まれていれば妃になれた』と言われ続けた美貌の持ち主だぞ!? お前が妃殿下に拝謁する機会は一度しかなかったのだろう?!」
ルキウスは目を尖らせて詰問した。氷山の如く高いルキウスのプライドが、ノクスが己をさしおいて王妃を誘惑していたとは信じたくないらしい。
――だが正鵠を射てはいる。
ノクスは頷いた。
「白騎士と陛下も同席の上で、一度きりの拝謁だ。とても誘惑など」
「だろう!? やはりな!! 私も気になって調べさせたのだ。私もフローレス伯爵家の血筋だからな、裏の情報網はある。だがお前が妃殿下と密会していたという目撃情報は、一度も聞かなかった。お前は妃殿下のお出ましになる夜会にすら出席せず、皆が顔を知りたがるほどだったそうではないか」
ぎらぎらと光る目で、ルキウスはノクスの両手を握りしめる。
「妃殿下とは何でもないのだな!? 誘惑した事もないな、そうだな、ノクス!?」
「当たり前だ」
「よし!!」
ルキウスは勢いをつけてノクスを寝台から引き起こした。胸まで隠れる黒いヴェールをかけてノクスの顔を隠し、念入りに黒いフードを被せた。どうも罪人の顔を隠すきまりらしい。
「さあノクス、アウレリア信徒らしく敬虔に祈る姿を見せろ。お前は誤解されているんだ。万が一にも処刑されるような事があってはならない」
「穢れた魔術師でも?」
胡乱な表情で問うたノクスに、ルキウスは自信満々に顎をそらして言う。
「もう穢れてはおらん。俺が浄化しているのだから!」
――だから、あれは浄化じゃないって……。
何度言ってもわかってもらえていないらしい。手を引かれて立ち上がるノクスに、ルキウスはぽつりと呟いた。
「……なぜ謀叛の疑いなどかけられた。『護国の大賢者』とまで呼ばれたお前が」
※ ※ ※
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