大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

コンビとソロ 終

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距離は…だいたい二十歩?もう少しあるかもしれないが、こんだけ離れてたら大差ない。
魔法を避けつつ、少しずつ二人に近づいていく。
「二十」
よく見ると、攻撃しているのはアーネじゃないっぽいな。
「十九」
あれは…魔法陣?お得意の自立魔法陣置いてるのか。
「十八」
で、当のアーネはユーリアの回復か。
「十七」
骨折を治すのは…たしか中二級レベルの回復魔法だったな。
「十六」
それを『圧縮』しているなら、かなり早い回復になる。
「十五、十四、十三」
流石にユーリアが素手でも剣を使うより強いとかは無いと思うが、スピードを上げる。
「十二、十一、十」
大分近づいてきた。アーネが組んだ自立魔法陣の攻撃はワンパターンなので、パターンさえ読めれば対処もしやすくなる。
「九、八、七、六」
二人の表情も見えてきた。回復がほとんど済んだらしく、ユーリアが素手だが、突っ込んできた。
「五、四、三!」
「二、一、か?」
最後はユーリアが合わせてきやがった。
グッと二人の距離が縮まり、剣には近すぎる間合いまで寄られる。
「《パワー・ブロー》!」
「嘘っ!?戦技アーツ!?」
驚いた、まさか素手での戦技アーツが使えたとは。
凄まじい勢いで正拳突き…とでも言うのだろうか?まぁ、真っ正面からなんの小細工もなく繰り出された。
風を斬り、音を鳴らして飛んできた、白く輝く拳は。
「いやー、焦ったわ」
回転しながら避け、遠心力の乗った事により、より強い加速のついた盾にぶっ飛ばされた。
「《ブレイズ》!」
「んあ?」
約二歩先にいたアーネは、今の攻防で下がり、距離をとっていたようで、さらにそこから魔法を撃ってきた。
え?タカが下級魔法なら、お前が頑張って耐えられる程度だろ?ってか?
馬鹿抜かせ。
まさか『圧縮』をしても元の《ブレイズ》の数倍以上あるサイズの下級魔法なんか、下級魔法とは言わねぇんだよ。
見た感じ、縦横三メートルぐらいの極大火球。 
そんなのが目の前に。
…はぁ?
「どぉぉぉぉ!?」
焦る一方、冷静になる自分が俺の中にいた。
さぁ、冷静な自分よ!この魔法への解決策を!
………待て待て、フィールドが働いているから、最悪死ぬことはないって!
そっちの解決策はいらねぇぇぇぇぇぇぇ!
えーっと、そうだ!
ぎしり、と身体が軋むほど捻り、全身をバネのようにたわめる。
構えは金剣と白剣を胸元へ引き寄せ、《影縫い》と同じように揃える。
繰り出すのは当然、戦技アーツ
しかも名前が皮肉にも、この場面に見合ってるってのがいいね。
「っつ!《焔落ほむらおとし》!」
赤い光が身体を覆い、戦技アーツの発動と同時に地面を蹴る。
途端、俺の身体に溜まっていたエネルギーが開放される。
戦技アーツと相まって高速回転し、さらに身体が弾丸のように飛び出した俺は、極大の火球のド真ん中、そこを貫くようにして飛び込む。
炎に突っ込むが、熱いと感じる前に突破する。
一瞬程度なら、体質の関係でギリギリ行けるからな。
抜けた先には、呆けた顔のアーネ。
勢いそのまま、アーネの額を金剣の先で貫いた。
…もちろん、比喩だからな?死んでないからな?
………多分。
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