219 / 2,021
本編
亡き人と再会
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耳に響いたあの音が引き金になって、あの森のことを思い出した。
間違いない。
来る。
あ、ああ、あ あ。
背中が。せ中ガ。背ナカが。
ああああ熱い!ああああああああああああああ痛い痛い!ああああああああ焼ける焼ける焼け………
―――大丈夫。
誰かの。聞いたことのある、けれど聞こえるはずのない誰かの声が聞こえた。
―――大丈夫、落ち着いて。ほら、目を開けようか。
いつの間にか固く閉じられていた目を、言われた通りにゆっくりと目を開けるとそこには。
『やぁ、レィア。逢いたくなかったけど、逢いたかったよ』
いつものビキニアーマーを着て立っている、ナナキの姿が。
「なな、キ?」
けれどそれは有り得ない。ナナキは死んで、その遺体は灰になり、今は俺の薬指に指輪としてはまっている。
そして今気づいた。怪我が、治ってる…?
『あぁそうだよ。ボクはナナキ・フィーネ。えっと…まぁその、死んでるけど…っと!』
「っ……!」
思わず抱きしめた。
そのまま、時が止まったみたいにずっと抱きしめてた。
『うぇっと…こういうのって、されると結構恥ずかしいんだね……………そろそろ終わってくれる?』
「…すまない」
そっと腕を解くと、ナナキが今度は抱きしめてくれた。
しかし、それも一瞬。
『さて、感動の再会したばっかりで悪いけど、喋らなきゃいけないことが山ほどあるんだ』
急にナナキは真剣な顔になった。
「待ってくれ、その前に聞きたいことが…」
『山ほどあるみたいだねぇ、何何?なんでボクがいるのかって事と?ここは何処かって事でしょ?あと、あの魔族はどこ行ったかって事に…あぁ今増えたね。何で心を読めるのかって事もか。よし、全部答えていってあげようか』
パン、とナナキが手を叩くと、その場に椅子と机が出てきた。…また疑問が増える。
『さて、取り敢えず、ボクがなんでここにいるか、だね』
椅子に深く腰掛けながら、ナナキは答え始めた。
『まず、念押ししておくけど、ボクは死んでる。その上で、僕が最期にレィアにしたことを覚えているかい?』
「忘れる訳がないだろ?記憶の全移植。ってーか、心読めるなら言う必要ないだろ?」
『まぁね。さて、その上で、ボクのスキルは?』
「物に命を吹き込むスキル。だな」
『疑問に思わなかった? なんで物に命を吹き込むスキルがキミに記憶を移植出来たのか、って』
「…」
『考えもしなかった?珍しい。でも、このスキルでも不可能じゃないんだよ』
そう言って、ナナキは頭をコンコン、と叩いた。
『ちょっと危険だったけど…キミの脳細胞、そのほんの一部に対してスキルを使ったんだ。その結果、その細胞は、ナナキ・フィーネという生命を吹き込まれ、ボクとなった。…まぁ、イメージとしては寄生虫みたいなものだね』
「お前…そんな事してたのかよ…」
『でもね?その細胞はボクになりはしたものの、普通は自我は存在しないし、そこからどうすることも出来ないし、指一本も動かすことも出来ない。そうでしょ?キミは精々、ボクの記憶が流れ込んだ結果、それを見てた程度でしょ?』
「まぁ、そうだな…」
『その為にだけにそんな危険なこと、普通はしないよね?した理由は?簡単だよ』
「…別の目的があって、記憶の閲覧は副次的な効果、か」
正解、とナナキが肯定する。
『その本来の目的は、キミが再び紅色の鎖…血鎖を使った時に、ボクが一時的にキミの脳内で生成され、強制的にこの部屋へと呼び寄せるって効果』
ナナキは、更に話を核心へと進めていった。
俺の知らない、俺の話へと。
間違いない。
来る。
あ、ああ、あ あ。
背中が。せ中ガ。背ナカが。
ああああ熱い!ああああああああああああああ痛い痛い!ああああああああ焼ける焼ける焼け………
―――大丈夫。
誰かの。聞いたことのある、けれど聞こえるはずのない誰かの声が聞こえた。
―――大丈夫、落ち着いて。ほら、目を開けようか。
いつの間にか固く閉じられていた目を、言われた通りにゆっくりと目を開けるとそこには。
『やぁ、レィア。逢いたくなかったけど、逢いたかったよ』
いつものビキニアーマーを着て立っている、ナナキの姿が。
「なな、キ?」
けれどそれは有り得ない。ナナキは死んで、その遺体は灰になり、今は俺の薬指に指輪としてはまっている。
そして今気づいた。怪我が、治ってる…?
『あぁそうだよ。ボクはナナキ・フィーネ。えっと…まぁその、死んでるけど…っと!』
「っ……!」
思わず抱きしめた。
そのまま、時が止まったみたいにずっと抱きしめてた。
『うぇっと…こういうのって、されると結構恥ずかしいんだね……………そろそろ終わってくれる?』
「…すまない」
そっと腕を解くと、ナナキが今度は抱きしめてくれた。
しかし、それも一瞬。
『さて、感動の再会したばっかりで悪いけど、喋らなきゃいけないことが山ほどあるんだ』
急にナナキは真剣な顔になった。
「待ってくれ、その前に聞きたいことが…」
『山ほどあるみたいだねぇ、何何?なんでボクがいるのかって事と?ここは何処かって事でしょ?あと、あの魔族はどこ行ったかって事に…あぁ今増えたね。何で心を読めるのかって事もか。よし、全部答えていってあげようか』
パン、とナナキが手を叩くと、その場に椅子と机が出てきた。…また疑問が増える。
『さて、取り敢えず、ボクがなんでここにいるか、だね』
椅子に深く腰掛けながら、ナナキは答え始めた。
『まず、念押ししておくけど、ボクは死んでる。その上で、僕が最期にレィアにしたことを覚えているかい?』
「忘れる訳がないだろ?記憶の全移植。ってーか、心読めるなら言う必要ないだろ?」
『まぁね。さて、その上で、ボクのスキルは?』
「物に命を吹き込むスキル。だな」
『疑問に思わなかった? なんで物に命を吹き込むスキルがキミに記憶を移植出来たのか、って』
「…」
『考えもしなかった?珍しい。でも、このスキルでも不可能じゃないんだよ』
そう言って、ナナキは頭をコンコン、と叩いた。
『ちょっと危険だったけど…キミの脳細胞、そのほんの一部に対してスキルを使ったんだ。その結果、その細胞は、ナナキ・フィーネという生命を吹き込まれ、ボクとなった。…まぁ、イメージとしては寄生虫みたいなものだね』
「お前…そんな事してたのかよ…」
『でもね?その細胞はボクになりはしたものの、普通は自我は存在しないし、そこからどうすることも出来ないし、指一本も動かすことも出来ない。そうでしょ?キミは精々、ボクの記憶が流れ込んだ結果、それを見てた程度でしょ?』
「まぁ、そうだな…」
『その為にだけにそんな危険なこと、普通はしないよね?した理由は?簡単だよ』
「…別の目的があって、記憶の閲覧は副次的な効果、か」
正解、とナナキが肯定する。
『その本来の目的は、キミが再び紅色の鎖…血鎖を使った時に、ボクが一時的にキミの脳内で生成され、強制的にこの部屋へと呼び寄せるって効果』
ナナキは、更に話を核心へと進めていった。
俺の知らない、俺の話へと。
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