大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

休みと司書

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昨晩はなんやかんやで、かなり夜遅くまでみんなと騒いでいた気がする。
気がする、というのは、誰かが酒を持ち込んだらしく、途中から記憶が曖昧なため。
なんで酒があるのかって?上の学年は普通に飲酒可能な年齢だし、少し歳がいった俺らの同級生でも普通に飲める。ちなみに法律じゃ十八から飲んでいいらしい。
まぁ、上の学年のメンツは、何やら隠し部屋があるらしく、そこで集まってるらしいから、食堂にいたのは俺達だけなんだが。
そういう訳で何が起きたかよく覚えていないが、何とか部屋に戻って寝ることは出来たらしい。
俺が起きた時、何故か俺の髪をアーネとシエルが奪い合うようにして抱き締めていたのは割とマジで謎だが…あえて詮索はしない。ってか、酔って憶えてないってオチが普通に有り得る。
今日は先生の採点で丸一日休み。明日は結果が出て、午後から夏季休暇。追試組は…そのまま午後に追試が入る。
それはさておき。
今日中にどうしてもやらなければならない事があったのだ。いや、手遅れなんだが。
とは言え、朝早く行っても仕方ないのでゆっくりと身体を休め、昼過ぎに目的地に向かう。
アーネに嫌がるシエルを任せ、少し早足で学校に行く。
目的地は──図書館。
ガチャリと音がしてドアノブが回る。
「失礼しまー…っす」
右見て、左見て、誰もいない?よし、狙いのカウンターにはいつも司書はいないから、あとはこの図書館のどこかをうろついてる──あるいは奥で筋トレをしている──司書にバレないように本をカウンターに置いて即座に帰る!
そう、俺がここに来た理由はただ一つ。
ほぼ盗むようにして持ってきてしまった特級魔法の事が書いてある、あの本。
貸出期限を貸出延長手続きなどをせず、ブッチギリで借りっ放しになってしまったあの本を返しに来たのだ!
『…いや、胸張って言う事じゃねぇだろ』
馬鹿、見つかったらどうなるか分かったもんじゃねぇ。
あの筋肉に圧殺されるぞ。多分。
「失礼します、だ?なるほど、確かに失礼だな」
右にはいなかった。左にもいなかった。
声がしたのは──俺の上。頭上から。
あ、やばい。上を見なくても殺気とかそう言った物がビンビン感じられます。
「あー、その、司書さん?」
「なんだ?《緋眼騎士》殿」
「な、何をしてらっしゃるんで?」
「見て分からんのか?」
見てねぇから分かんねぇんだよ。
そーっと上を見ると。
「うおわああああああああああ!?」
天井から吊るされ、蝙蝠のようにして逆さまになったガチムチの司書さんの顔が俺の鼻先から十センチの所にいた。
「何してんだよ!?」
「見て分からんのか?」
「分かるか!!」
「筋トレだ」
そう言って司書さんがそのまま腹筋をし始めた。
「あと五十回で終わるから、少し待ってろ」
『……なぁ今代の。何でコイツ、こんな所で本の番をしてるんだ?』
すまん、俺が聞きたい。
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