ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

47話 動き出す影

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「…ということがありまして、今に至ります」

スズハさんの壮絶な過去は思ってた5倍重かったけど、性格の特殊さとか強さの秘訣とかがよく分かった

「なるほど…結局エルフの国ってどこにあったんですか?」

「それが…私もよく分からないんです。あそこにいた時はずっと修行の日々でしたし、国の外に出ることがありませんでしたから」

「そうですか、まぁ秘密が多い方がわくわくしますからいいですね」

「そういうものですかね?ふふ」

あたりはすっかり暗くなり満点の星空が輝いていた

「…そろそろ宿に帰りますか」

「そうですね」

2人がミスティに戻ろうと歩いていると数人の獣人が外に向かって歩いていった

「…こんな遅くから外に行くなんて、何かあるんですかね?」

「アニマストは小さな国でありながら世界中と貿易をしていますから、夜行性の獣人の多さを利用して夜間も動いているのだと思いますよ」

「あぁ、なるほど」

獣人でもそういう仕事なら作業服的なの着ると思ってたけど私服なんだな、皆帽子被ってるしストリート系でも流行ってるのか?

2人はその日は何事もなく宿に戻った。
研究所に泊まりがけのヒアラとキュアー、そして1人で出かけたマホロはその日帰ってこなかったのでそれぞれ1人でゆっくり過ごした

「マホロさんがいないと気軽でいいなぁ…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次の日、ノノは特に予定もなく昼頃ゆっくりと起きた

「スズハさん、まだいるかな?」

着替えを済ませ隣の部屋のスズハの様子を伺おうとノックをする

「スズハさーん、いますかー?」

……返事は無い

「もう出かけたかな?スズハさーん?居ないですかー?」

……相変わらず返事はなかった。が、部屋の方でバタンと大きな何かが倒れるような、落ちるような音がした

「!?す、スズハさん!?大丈夫ですか!」

思わず取っ手に手をかけるとなんと鍵は開いておりすんなりと中に入れた

しかし、中に入ったノノの目の前に広がった光景はあまりにも衝撃の光景だった

「な、スズハさん!?!?」

「…ふぇ?」

ベッドの下に掛け布団と枕ごと落ちていたスズハは下着も着ずに全裸で寝ていたのだ

「な、なんてことだ!え、エッチすぎる…!普段は魔法使い特有のゆとりのある服だからあまり見えないが、首から背中、下半身にかけての美しい曲線美、それにたわわと実る大きな乳房、うつ伏せのため性格には分からないが推定Fは超えるか…!?それに傷一つない適度な大きさのヒップ!安産型が最強とネット界隈では騒がれているが、ここまで確信に迫った実物は大人のサイトでも見たことがない…!これがスズハさんの生まれたままの姿…」

はっ!?ここまで喋っておいて今やっと自分がやばいことをしていることに気がついた!普通のラッキースケベなら目を逸らして照れるところだろ!何をまじまじと観察して具体的な解説をしてるんだ俺は!

だ、だがとにかく今はこのままにしてはおけない、何とかしなければ…

「スズハさーん!起きてください!」

スズハが抱いていた掛布団をそっと取って体を隠すように巻いたノノはなんとか誤魔化すように呼びかけた

「んん…ノノさぁん…?」

「ちょ!ちょちょ!掛布団どかそうとしないで!ゆっくりでいいので意識を起こしてください!」

「…ん?布団?なんでこんなぐるぐる巻き……」

そこまで言ったところでスズハは時間が止まったように固まり、数秒後顔を真っ赤に染め上げた

「す、すすすみません!はしたないところを見せてしまいました!私ったら何を…!み、みました…?」

「……ばっちり見ました。」

「の、ノノさん…ぶん殴る!」

「ま、待って下さい!魔力制御して!?素が出てますって!!」

2人の攻防はしばらく続いた

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「はぁ…もうお嫁に行けません…」

やっと着替えを済ませたスズハはうなだれながら宿から出てきた

「はは…大丈夫ですよ、スズハさん可愛いんですから」

「この顔もほんとに自分の本来の顔なのか分かりませんけどね…アリーシャが可愛く整形しただけかも」

「もう、なんでそんなこと言うんですか!ほら、早く出かけましょう。以前来た時に仲良くなった人に会いに行くんですよね?」

自分の顔をなぞりながらすぐネガティブな発言をするスズハを見てられずノノは強気で引っ張る

「あぁ、ノノさん強引です~」

「…まさかこの人、懐いたら甘えん坊になるタイプか…?」

「んぇ?何か言いました?」

寝起きが悪いからか、ずっとグネグネしてるスズハは普段とはまるで別人だ

「いえ、愛嬌があるなって思っただけですよ!」

「え、あ、愛嬌ですか!?そんな、照れちゃいます!」

「…冗談ですよ」

「はっ!?ひ、酷い!乙女心を弄ぶんですか!?」

妙に女々しいスズハはちょっとめんどくさいタイプだった

「素の性格からは考えられない発言ですね…だが、それがいい!」

「…すみません。では行きましょうか」

「え?切り替えはや!」

でも、なんだか昨日の1件でお互いの距離が縮まった気がして楽しかった

しばらく歩くと、ミスティの街の南門に辿り着いた。最初に入ってきたのが北門なので初めて来る所だ

「スズハさんの知人ってこの街じゃないんですね」

「そうですね、以前お世話になったときにジィジさんとはお会いしてたので顔見知りでしたが、滞在していたのもここではなくて今から行くノールの村でした」

「ノール?そんな村が沢山あるんですか?洞窟なのに凄い開拓されてるんですね」

「いえ、そこまでないですよ。確かミスティの他にはノールを含めて5個くらいしか村はなかったです。獣人国家自体昔から発展していた訳ではなく最近頭角を現して現在進行形で発展してる国ですからね」

「へぇ…そうなんで…ん?あれ、スズハさん」

周りをキョロキョロしながら歩いていると、昨日の夜見かけた謎の集団と似たような格好の獣人達がまた街をコソコソと出入りしていた

「あの人達ですよね、私も気づきました。昨日は貿易の作業員かと思いましたけど…どうやらそうでもないかもしれないですね」

「そうですよね、ちょっと雰囲気が怪しいというか…追ってみます?」

「追いましょう。このアニマストでまた何か起きたら大変ですから」

スズハはノノと自分に流れる魔力を表面に展開し透過するとその獣人の集団を追うためノノと2人で隠密行動を始めた
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