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my hero
なな
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「嘘だ。シアは愛されていただろう。シスターに、孤児院の皆に、僕に」
ライラの言葉は、力強く。
そう。私は愛されていた。
孤児院育ちだとしても、幸せだった。
「シア、安心して。孤児院の人々には手を出させない」
ライラの大きな手に優しく頭を撫でられて、そうしたら限界だった。
ポロポロと涙が零れ落ちて、ライラの姿が歪んでいく。
「…本当に?」
「もちろん」
「…逆らったら、シスターを殺すと言われたの。言われた通りにしないと孤児院も潰すって。あそこが私のせいで無くなったら、みんな困ってしまうわ」
「うん。1人でよく頑張ったね」
「こんなこと、したくなかったの」
「知ってるよ。だってシアは、弱っている魔族に魔力を与えてしまうような、優しい子だから」
ヒソヒソと囁かれていた声は、ライラが“魔族”と言った瞬間、大きなざわめきに変わった。
悲鳴が上がり、静観していた人々も武器に手をかける。
その様子を、ライラは何の感情も無さそうな瞳で眺めていた。
「僕は魔族で、この世界の嫌われ者だ」
ライラは証明するかのように、その体から魔力を放った。
夜の闇を溶かしたような、深い藍色の魔力は人々の動きを瞬く間に封じてしまった。
「シアが望むなら、国だって滅ぼして見せる。ねぇシア、どうして欲しい?」
ライラの言葉は、力強く。
そう。私は愛されていた。
孤児院育ちだとしても、幸せだった。
「シア、安心して。孤児院の人々には手を出させない」
ライラの大きな手に優しく頭を撫でられて、そうしたら限界だった。
ポロポロと涙が零れ落ちて、ライラの姿が歪んでいく。
「…本当に?」
「もちろん」
「…逆らったら、シスターを殺すと言われたの。言われた通りにしないと孤児院も潰すって。あそこが私のせいで無くなったら、みんな困ってしまうわ」
「うん。1人でよく頑張ったね」
「こんなこと、したくなかったの」
「知ってるよ。だってシアは、弱っている魔族に魔力を与えてしまうような、優しい子だから」
ヒソヒソと囁かれていた声は、ライラが“魔族”と言った瞬間、大きなざわめきに変わった。
悲鳴が上がり、静観していた人々も武器に手をかける。
その様子を、ライラは何の感情も無さそうな瞳で眺めていた。
「僕は魔族で、この世界の嫌われ者だ」
ライラは証明するかのように、その体から魔力を放った。
夜の闇を溶かしたような、深い藍色の魔力は人々の動きを瞬く間に封じてしまった。
「シアが望むなら、国だって滅ぼして見せる。ねぇシア、どうして欲しい?」
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