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情熱的なあなたと夜明けを迎えて…

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『どうぞ』


そう言って、部屋に招き入れてくれた。


いよいよ中に入るんだ…


広いポーチで靴を脱ぎ、1歩足を踏み入れる。


まるで未知のジャングルにでも入るみたいな緊張感に、帰るまで心臓がもつか心配になる。


廊下の奧まで進み、ドアを開けると…


目の前に広々とした明るいリビングが現れて、思わずため息がこぼれた。


『素敵…』


そこは、洗練されたオシャレな家具が置かれている、清潔感溢れるオシャレな空間になっていた。


アロマディフューザーから良い香りがしている。


男性の部屋?って思うくらい綺麗に片付けられてて、さすが蒼真さんだと思った。


『あの、この階は1部屋しかないんですか?』


『ああ』


『すごいですね、本当に』


『ここはホワイトリバーの不動産だから』


『えっ、そうなんですか?こんな立派なマンションなら高いんじゃないかなって思ってました。ご実家の持ち物なんて素敵ですね』


『この部屋の家賃を取るとしたら結構高いだろうな。外科医の給料では全然足りない』


『そ、そんなに…』


外科医がどれくらいもらってるのか全く想像出来ないけど、でも蒼真さんはまだ3年目だから…


その言い方じゃあ、やっぱりこの部屋はタダで住んでるの?


だとしたらすご過ぎるんだけど…


『お医者さんのお給料でも全然足りないくらいなら、私なんてこんな素敵なお部屋には一生住めないですね』


ちょっと笑いながら言ってみた。


『そうか?そんなことわからないだろ』


『わ、わかりますよ。住めるわけないです。蒼真さんと私は生きる世界が違いますから』


少し黙ってる…どうしたの?


『…人生なんて、数秒先のことはわからない』


その潤んだ瞳にドキッとする。


『蒼真さん…』


『ここ、祖父と祖母がしばらく暮らしてた場所なんだ』


急に話が変わった?


その言葉と同時に、蒼真さんの顔が少し緩んで優しくなった。
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