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愛おしく、狂おしく、愛を囁く

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『ほら、また泣く…』


『だって慶都さんが泣かせるから』


『惚れた女性を泣かせるなんて最低だな』


『そうですよ、最低です。そして…最高に素敵です』


慶都さんは、微笑みながら私のおでこにキスをした。


『彩葉を一生守るから。安心して俺についてきてくれ、雪都と一緒に』


その言葉は私の心を大きく揺さぶった。


胸の奥に宿る熱い思い。


この人となら一生を共に出来ると、改めて覚悟出来た。


『私、慶都さんとなら、たとえ何が起こっても怖くない』


『ああ。彩葉と雪都に悲しい思いは絶対させない』


大好きな大好きな慶都さん。


今日は、あなたの隣でその美しい寝顔を見ながら眠りたい。


そして、明日の朝、目覚めた時にはちゃんとあなたにいてほしい…


こんな風に、これからはいつだってあなたが隣にいてくれるんだって、実感したいから。


明日の結婚式、楽しみだね…


慶都さん、おやすみなさい。


次の日、晴天の空の元、私達の結婚式が始まった。


チャペルの祭壇の前に立つ、慶都さん。


私はお父さんと腕を組んでレッドカーペットを1歩ずつ踏みしめた。


純白のウエディングドレスの私の横で、うっすら涙を浮かべるお父さん。


その思い、すごく伝わってるよ。


今まで本当に…ありがとう。


そして、慶都さんと交代して、式は、誓いのキス、指輪交換…と、どんどん進んでいった。


その間も、お父さんは雪都の隣に座ってずっと泣いてる。


あれ、弥生も泣いてる?


みんな、やっぱり…涙もろいよ…


式は滞りなく終了し、全員がチャペルの外に出ると、オーシャンビューの美しい景色が出迎えてくれた。


『さあ、皆さん笑って下さい~』


プロのカメラマンが撮る笑顔の集合写真。


九条家のお父様、お母様、そして、私のお父さん。


顔が固いよ、緊張してるの?


本当にみんな、ずっとずっと長生きして、雪都の成長を見守ってね。
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