僕からのあなたへの想いはどこからやってきてどこへいくのか。

勇黄

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波の音を聴きながら。

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「やっぱりここだ……。」

ひとりごちて
僕は革靴で砂浜をゆく。

入社の時に作ったスーツの裾も
砂まみれになっていたけれど……。
それでもあてもなく歩き続けた。

あの動画を見て勢いでここまで
来てしまったものの……。

(どうしよう……。会社……。
さぼっちゃったよ……。)

これといって取り柄のない僕は
おとなしく真面目に
生きることぐらいしかできなくて
もらった賞なんて皆勤賞ぐらい。

今日会社をさぼって休んでしまい
それすらなくなってしまった僕に
もう居場所はない気がした。

そのままストン、と
腰が抜けたように砂の上に
崩れ落ちて声をあげて泣く。

「うわぁぁぁ!あああ!
……ぅぅっ…グズッ………わあああ…」

長い間泣いてもう声も枯れ
泣く気力も体力もなくなって。

ただただ波の音を聴きながら
暗くなっていく海を
膝を抱えて見つめていた。

「………………あの。君、大丈夫?」


背後から男性の声がして
僕は身を縮こまらせる。

現実から目を背けたくて
なかったことのように
頭を抱えて更に小さく蹲った。








どれぐらい時間が経っただろう。

気がつくとなにか暖かいものに
包まれて誰かの肩に頭を預け
眠っていたようで……。

耳に届く波の音と誰かの温もりの
その心地良さに僕は
また目を閉じようとした。

しかし……。はた、と我に返る。

「えっ!……あ!あああっ!
す………………すみませんっ!」

謝りながら飛び退く僕にその人は
微笑んで首を横に振った。

その肩を貸してくれていた人は
30代ぐらいだろうか……。

端正な顔をした男性で。


さっき声をかけてくれた
人なんだろうか……。

どこか外国の血でも
入っているようなその綺麗な
色の薄い瞳に魅入られてしまう。

『君が……。なんか……儚くて……。
消えてなくなってしまいそうで
心配で、つい。』

「本当に……。本当に
申し訳ありませんでした……。」

僕はそそくさと立ち上がり
去ろうと思った。

でも……。
自分が思っていたよりも
ずっと弱っていたのか
ふにゃり、とまたその場に
膝から頽れる。

『っ!大丈夫か……?』

「えへへ……なんですかね……。
足に力が入らな…………………っ。」

ぽたぽた、と砂浜に
僕の涙が落ちる。

もう涙も枯れたと思ったのに……

『…………泣いていいよ。
泣きたい時は泣きなさい。』

その憂いをおびた優しい声に
僕の中の何かが
プツンと音を立てて切れて……。

その広げられた腕の中に飛び込み
思い切り泣いた。
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