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他人の価値観に決められてたまるか。
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結局、アメリカでの3日間
ほぼホテルのベッドの上で
抱き合って過ごした僕達は
空港で別れを惜しんでいた。
「……………………………すぐ。
またすぐ、来る…グズッ………から…。」
「……………くーちゃん。
俺やっぱり一緒に日本に…。」
「ダメ!仕事あるでしょ?…グズッ…。
明日から出張なんでしょ?無理言って
変更してもらったんでしょう?」
「ぅうー…。」
僕を抱きしめようとするまぁくんから
身を捩って逃れる。
「真仁しっかりして。
………ね?すぐ、だから…。」
「すぐ、ったってさ…。
3ヶ月はかかるでしょ?
ねぇ…くーちゃん…。抱かせてよ…。」
「…………2ヶ月で、来る。
だから……ね?」
自分に言い聞かせるためにも
そう言って僕は
まぁくんを抱きしめた。
「ぅん……紅李翔……。でも、さ……。
やっぱさ、離れられないよ。俺…。」
僕はまぁくんの両頬に手をやる。
「ねぇ真仁。僕のこと愛してる?」
「めちゃめちゃ愛してるよ!
愛おしくて愛おしくて
俺、気が狂ってしまうかと思うくらい
……愛してる。」
「…………僕も、だよ。
僕もめちゃめちゃ愛してる……。
愛おしくて愛おしくてしかたない。
僕のいる場所はまぁくんの腕の中以外
ない、離れたくない、と強く思う。
でも……だから……ね。だからこそ。
まぁくんにはちゃんと
仕事をして欲しい。
僕の好きなまぁくんはもちろん
僕のことすごぉく愛してくれて
ものすごく優しく扱ってくれて
僕のこと1番に考えてくれる
まぁくんだけど……。
それ以外にも飛行機を見る目が
優しい飛行機オタクのまぁくんや
仕事に対して人一倍責任感があって…
飛行機見ると目が生き生きしてて…。
それから頑固で自分の考えを
曲げないところと
一旦決めたら言うこと
全然聞かないとこと……。
たまにSっけがあるとこと…。
お料理全然できないとこと
にんじん食べれないとこと……。」
「……おい、最後のほう
悪口になってないか?…グズッ……
あはは……。」
「ふふふ……グズッ…。
とにかく全部が愛おしい。
だからなくして欲しくない。
まぁくんが大好きな飛行機の仕事。
飛行機に乗る人々を……。
家族を守る仕事を。
まぁくんの誇りでしょ?
この仕事は。」
まぁくんは少し黙って
上を見上げて……。
それからまっすぐに僕をみつめた。
「うん。俺の誇りだ……。
ずっと憧れてがんばって……
やっとこの仕事について。
このごろやっと少し仕事らしい仕事が
できるようになってきた。
まだまだだけど……。
でも本当にこの仕事を誇りに思うよ。
俺もくーちゃんにシェフの仕事
なくしてほしくない。
いつも楽しそうに料理のこと
考えてるくーちゃんはとても
頼もしいしがんばってると思う。
くーちゃんはやわらかい雰囲気だけど
ちゃんと1本筋がビシッと通ってて
とてもかっこいい。
女々しい俺と違って
一人前の大人の男。
でも甘えん坊で寝言が多くて
洗濯が苦手で何度も色物と白のシャツ
一緒に洗ったり
ティッシュまみれにしちゃって
ダメにしたりするけど……
それに虫も苦手で悲鳴あげて
逃げ回るし。あはは!」
「もう!まぁくんたら……
仕返ししたな?ふふふふ!」
2人で笑いあいしっかりと抱き合う。
「まぁくん。2ヶ月。
2ヶ月がんばって。僕もがんばる。
ちゃんと、ちゃんとシェフとして
堂々と来る、から。
アメリカでしか出来ないこと
やってみる。だから……まぁくんは
転勤さらに1年延長して
もっとキャリアアップしてね。
僕、応援してるから。」
「うん。ありがとう……。
くーちゃん英語、大丈夫、か?」
「うっ……。」
「あはは!俺が特訓してやる。
毎日、勉強動画送るから。
それ見て勉強するんだよ?」
「……う、うん。……うん!がんばる!
まぁくんが先生だったら
がんばれるよ!」
「俺もなんか生きる気力が
湧いてきた!そしたら2ヶ月なんて
あっという間だ。…………くーちゃん
無理だけはすんなよな?」
「うん。まぁくんもね。
ちゃんと食べて睡眠とってよ?」
しっかりと手を握り合いキスを交わし
僕は機上の人になった。
「……うっ…………う...グズッ……
ぅぅ……うっ…………。」
ひとりの帰りは予想以上にさみしくて
僕は大人げなく嗚咽をもらして
泣き始めて……。
「隅坂様……。大丈夫、ですか?」
「……っあ...グズッ……深見さんっ……。
帰りもいてくださったんですか?」
「たまたま同じになりました。
……お水、飲まれますか?」
僕が頷くとすばやくお水と毛布を
持ってきてくれる。
「お気遣いありがとうございます…。
僕泣いてしまって…。
ごめんなさい……。」
「いえ。お気になさらず。
この辺りのお客様は皆様イヤホンして
いらっしゃいますから。」
「……ごめんなさい。」
「紅李翔様。……実は私も
遠距離恋愛のようなものでして。」
「……えっ?…そう、なんですか?」
「ええ。彼女も違う会社の
CAなんです。
なかなか時間が合いません。
今は年に……合わせて3ヶ月一緒に
いられればいいほうなんです。」
「……さみしくない、んですか?」
「んー。さみしくない、と言えば
嘘になります。でも彼女も僕も
仕事に誇りを持ってて。
それに……。」
「それ、に?」
「僕たち、子供を持てないんですよ。
僕がダメで。
それでかなり2人で葛藤もしました。
別れることも考えたし
いろいろ治療もしたし
他の方法も考えたんですけど……。
結局、お互いの仕事に没頭して
定年になったら2人で田舎で
のんびり暮らそう、ってことに
なりまして。」
「…………そうだったんですね。」
「悩んでいた時に真仁くんにね。
言われた言葉に救われました。」
「真仁が?」
「ええ…………。
俺は子供を持たない。
それは同性とか異性とかの
問題じゃないんだ。
俺、独り占めしたいんだよ、紅李翔を。
取られるのやなんだ、って。」
「えええ!そそそそんな……。」
「ふふ……。真っ赤ですよ?
はい、おしぼり。」
「す……すいません……。
なんか恥ずかしい……。真仁ったら……。」
「惚気られただけかと
思ったんですけどね……。
その後真仁くんに言われた
言葉が刺さりました。
結局は自分が幸せと思うかどうか。
自分の人生は己が決めるものだって。
他人の価値観に
決められてたまるか、って。
普通、ってなんだ?誰が決めたんだ?
結婚したら普通子供を
持つだろう、って……
その普通、って誰が思う普通なの?
そんな誰が決めたかわからない基準に
縛られるなんておかしい、って……。
俺は親にはならないけど
飛行機整備士として
飛行機を利用する人々、家族を
守るから、って。」
「……僕も同じです。同じなんです。
イタリアンを食べに来てくれる
人たちを、家族を見て
食べているその時だけでも
幸せな気持ちになって欲しい、と。
そうして家族を支えて
守っていきたいんです。」
深見さんは少し涙ぐんで頷いた。
「私も…私もそう思うことにします。
CAの仕事も、飛行機に
ご搭乗くださる人、家族を
守る仕事です。
だから……がんばります。」
「一緒にがんばりましょうね!
深見さんの奥様にも
お会いしてみたいです。」
「またアメリカへ行くんでしょう?
アメリカでお会いしましょう!
また真仁くんに連絡します。」
「ええ!是非!……あの…………。
真仁と仲良くしてあげてくださいね。
僕も人のこと言えないけど
友達の少ない人だから。」
「だいぶ変わり者ですからねぇ…。
………ふふふ。」
「みんなそう言うんですけど……
僕、そんなふうに思ったこと
全然なくて。」
深見さんはびっくりした顔をして
僕を見た。
「……そ、それはそれは。
真仁くんは本当に幸せ者ですね。
心底をわかってくれる人が
最愛の人だなんて。」
「……ふ……ふふふ...。真仁...。
どんだけなんですか?あはは!」
「いやあ、あの頑固は相当でしょ?」
「確かに……。ふふふふ!」
すっかり涙も乾いた僕は笑って
幸せな気持ちになり
深見さんは業務に戻っていった。
日本に着いた僕はすぐさま
アメリカ行きの準備を始め
まぁくんからは英語の特訓動画が
毎日のように送られてきて……。
息もつけぬほど忙しい2ヶ月が
幕を開けた。
ほぼホテルのベッドの上で
抱き合って過ごした僕達は
空港で別れを惜しんでいた。
「……………………………すぐ。
またすぐ、来る…グズッ………から…。」
「……………くーちゃん。
俺やっぱり一緒に日本に…。」
「ダメ!仕事あるでしょ?…グズッ…。
明日から出張なんでしょ?無理言って
変更してもらったんでしょう?」
「ぅうー…。」
僕を抱きしめようとするまぁくんから
身を捩って逃れる。
「真仁しっかりして。
………ね?すぐ、だから…。」
「すぐ、ったってさ…。
3ヶ月はかかるでしょ?
ねぇ…くーちゃん…。抱かせてよ…。」
「…………2ヶ月で、来る。
だから……ね?」
自分に言い聞かせるためにも
そう言って僕は
まぁくんを抱きしめた。
「ぅん……紅李翔……。でも、さ……。
やっぱさ、離れられないよ。俺…。」
僕はまぁくんの両頬に手をやる。
「ねぇ真仁。僕のこと愛してる?」
「めちゃめちゃ愛してるよ!
愛おしくて愛おしくて
俺、気が狂ってしまうかと思うくらい
……愛してる。」
「…………僕も、だよ。
僕もめちゃめちゃ愛してる……。
愛おしくて愛おしくてしかたない。
僕のいる場所はまぁくんの腕の中以外
ない、離れたくない、と強く思う。
でも……だから……ね。だからこそ。
まぁくんにはちゃんと
仕事をして欲しい。
僕の好きなまぁくんはもちろん
僕のことすごぉく愛してくれて
ものすごく優しく扱ってくれて
僕のこと1番に考えてくれる
まぁくんだけど……。
それ以外にも飛行機を見る目が
優しい飛行機オタクのまぁくんや
仕事に対して人一倍責任感があって…
飛行機見ると目が生き生きしてて…。
それから頑固で自分の考えを
曲げないところと
一旦決めたら言うこと
全然聞かないとこと……。
たまにSっけがあるとこと…。
お料理全然できないとこと
にんじん食べれないとこと……。」
「……おい、最後のほう
悪口になってないか?…グズッ……
あはは……。」
「ふふふ……グズッ…。
とにかく全部が愛おしい。
だからなくして欲しくない。
まぁくんが大好きな飛行機の仕事。
飛行機に乗る人々を……。
家族を守る仕事を。
まぁくんの誇りでしょ?
この仕事は。」
まぁくんは少し黙って
上を見上げて……。
それからまっすぐに僕をみつめた。
「うん。俺の誇りだ……。
ずっと憧れてがんばって……
やっとこの仕事について。
このごろやっと少し仕事らしい仕事が
できるようになってきた。
まだまだだけど……。
でも本当にこの仕事を誇りに思うよ。
俺もくーちゃんにシェフの仕事
なくしてほしくない。
いつも楽しそうに料理のこと
考えてるくーちゃんはとても
頼もしいしがんばってると思う。
くーちゃんはやわらかい雰囲気だけど
ちゃんと1本筋がビシッと通ってて
とてもかっこいい。
女々しい俺と違って
一人前の大人の男。
でも甘えん坊で寝言が多くて
洗濯が苦手で何度も色物と白のシャツ
一緒に洗ったり
ティッシュまみれにしちゃって
ダメにしたりするけど……
それに虫も苦手で悲鳴あげて
逃げ回るし。あはは!」
「もう!まぁくんたら……
仕返ししたな?ふふふふ!」
2人で笑いあいしっかりと抱き合う。
「まぁくん。2ヶ月。
2ヶ月がんばって。僕もがんばる。
ちゃんと、ちゃんとシェフとして
堂々と来る、から。
アメリカでしか出来ないこと
やってみる。だから……まぁくんは
転勤さらに1年延長して
もっとキャリアアップしてね。
僕、応援してるから。」
「うん。ありがとう……。
くーちゃん英語、大丈夫、か?」
「うっ……。」
「あはは!俺が特訓してやる。
毎日、勉強動画送るから。
それ見て勉強するんだよ?」
「……う、うん。……うん!がんばる!
まぁくんが先生だったら
がんばれるよ!」
「俺もなんか生きる気力が
湧いてきた!そしたら2ヶ月なんて
あっという間だ。…………くーちゃん
無理だけはすんなよな?」
「うん。まぁくんもね。
ちゃんと食べて睡眠とってよ?」
しっかりと手を握り合いキスを交わし
僕は機上の人になった。
「……うっ…………う...グズッ……
ぅぅ……うっ…………。」
ひとりの帰りは予想以上にさみしくて
僕は大人げなく嗚咽をもらして
泣き始めて……。
「隅坂様……。大丈夫、ですか?」
「……っあ...グズッ……深見さんっ……。
帰りもいてくださったんですか?」
「たまたま同じになりました。
……お水、飲まれますか?」
僕が頷くとすばやくお水と毛布を
持ってきてくれる。
「お気遣いありがとうございます…。
僕泣いてしまって…。
ごめんなさい……。」
「いえ。お気になさらず。
この辺りのお客様は皆様イヤホンして
いらっしゃいますから。」
「……ごめんなさい。」
「紅李翔様。……実は私も
遠距離恋愛のようなものでして。」
「……えっ?…そう、なんですか?」
「ええ。彼女も違う会社の
CAなんです。
なかなか時間が合いません。
今は年に……合わせて3ヶ月一緒に
いられればいいほうなんです。」
「……さみしくない、んですか?」
「んー。さみしくない、と言えば
嘘になります。でも彼女も僕も
仕事に誇りを持ってて。
それに……。」
「それ、に?」
「僕たち、子供を持てないんですよ。
僕がダメで。
それでかなり2人で葛藤もしました。
別れることも考えたし
いろいろ治療もしたし
他の方法も考えたんですけど……。
結局、お互いの仕事に没頭して
定年になったら2人で田舎で
のんびり暮らそう、ってことに
なりまして。」
「…………そうだったんですね。」
「悩んでいた時に真仁くんにね。
言われた言葉に救われました。」
「真仁が?」
「ええ…………。
俺は子供を持たない。
それは同性とか異性とかの
問題じゃないんだ。
俺、独り占めしたいんだよ、紅李翔を。
取られるのやなんだ、って。」
「えええ!そそそそんな……。」
「ふふ……。真っ赤ですよ?
はい、おしぼり。」
「す……すいません……。
なんか恥ずかしい……。真仁ったら……。」
「惚気られただけかと
思ったんですけどね……。
その後真仁くんに言われた
言葉が刺さりました。
結局は自分が幸せと思うかどうか。
自分の人生は己が決めるものだって。
他人の価値観に
決められてたまるか、って。
普通、ってなんだ?誰が決めたんだ?
結婚したら普通子供を
持つだろう、って……
その普通、って誰が思う普通なの?
そんな誰が決めたかわからない基準に
縛られるなんておかしい、って……。
俺は親にはならないけど
飛行機整備士として
飛行機を利用する人々、家族を
守るから、って。」
「……僕も同じです。同じなんです。
イタリアンを食べに来てくれる
人たちを、家族を見て
食べているその時だけでも
幸せな気持ちになって欲しい、と。
そうして家族を支えて
守っていきたいんです。」
深見さんは少し涙ぐんで頷いた。
「私も…私もそう思うことにします。
CAの仕事も、飛行機に
ご搭乗くださる人、家族を
守る仕事です。
だから……がんばります。」
「一緒にがんばりましょうね!
深見さんの奥様にも
お会いしてみたいです。」
「またアメリカへ行くんでしょう?
アメリカでお会いしましょう!
また真仁くんに連絡します。」
「ええ!是非!……あの…………。
真仁と仲良くしてあげてくださいね。
僕も人のこと言えないけど
友達の少ない人だから。」
「だいぶ変わり者ですからねぇ…。
………ふふふ。」
「みんなそう言うんですけど……
僕、そんなふうに思ったこと
全然なくて。」
深見さんはびっくりした顔をして
僕を見た。
「……そ、それはそれは。
真仁くんは本当に幸せ者ですね。
心底をわかってくれる人が
最愛の人だなんて。」
「……ふ……ふふふ...。真仁...。
どんだけなんですか?あはは!」
「いやあ、あの頑固は相当でしょ?」
「確かに……。ふふふふ!」
すっかり涙も乾いた僕は笑って
幸せな気持ちになり
深見さんは業務に戻っていった。
日本に着いた僕はすぐさま
アメリカ行きの準備を始め
まぁくんからは英語の特訓動画が
毎日のように送られてきて……。
息もつけぬほど忙しい2ヶ月が
幕を開けた。
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