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罪悪感なんてもたなくていいのよ。
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まず僕は養子縁組をする時に
お世話になった弁護士の葛城さんに
会いに行った。
たくさんの手続きを
素早くしなければならないと
思ったからだ。
快く引き受けてくれた葛城さんは
僕を見て大人になったね、と驚く。
「もう24ですからね。ふふふ……。」
「そうか~早いね!……あ、最近
お店に行けてなくてごめんね。」
そう言う葛城さんに
何かあったんですか?と聞けば
パートナーがちょっとね……と
暗い顔になった。
「どう、したんです、か?」
「うん、仕事で腰を痛めてね。
なかなかよくならなくて……。」
介護職の彼氏さんは入居者のかたが
転倒するのを庇って
腰を強打したらしい。
「それは心配ですね……。
あ!僕、いい指圧師さん
知ってるんです。
試しに行ってみてください。」
そう言ってお世話になっているmaruyamaclinicの
円山先生の弟、亮信さんの
病院を紹介した。
弁護士事務所をあとにし
その足で最初に勤めた
まぁくんの従兄の糀さんのお店へ。
ちょうどディナーの仕込みの
前の時間。
「よう!紅李翔!久しぶりだな!
真仁に会いに行ったんだろ?
元気してたか?」
会うなり僕の頭を撫でてそう言う
糀さんの手に
まぁくんのそれを思い出し
僕は顔を赤らめた。
「ご無沙汰してます!
真仁がんばってました。
いつもパソコンにメールを
ありがとう、と伝えてくれ、と。
……本当にありがとうございます。」
「従兄バカ、だからな……ははは!
真仁には甘いんだ。
そのパートナーのおまえにもな。」
「ありがとうございます。
……。あの。」
「アメリカの店だろ?
もう探してある。
ボクの顔は広いからね!ははは!
ちょうど紅李翔の新しい挑戦に
ぴったりな店があるんだ。」
「糀さん……。ありがとうございます……。
本当に、本当に……。
ありがとうございます!
……ぅぅ…………。」
泣き崩れようとする僕の肩を
ぐっと支えて苦笑する糀さん。
「紅李翔ってそんな泣き虫だっけ?
……あ、真仁のことになると
ダメなんだな。
うちの店で修行してたとき
何を言われても泣かなかったのにな。
高校卒業のあとバイトから修行に
変わった時とか
だいぶ過酷だったろうに……。」
「真仁のことになると弱いんです……。
すみません……。グズッ……。
僕たちのこと偏見なく
見守ってくださって
ありがとうございます。」
「初めて会った時にわかったよ。
真仁が好きな人がいる、って
言ってたのこの子だな、って。
愛かぁ……。
ボクまだ巡りあわないな……。
そんな人に。」
「糀さん、すごくモテるのに……。」
「なんでだろう……。」
真剣に悩んでいる糀さんの姿を見て
少し笑ってしまった。
「ふふふ……きっと現れますよ。」
そう言うとやっと笑ったな、と
また頭を撫でてくれた。
「まぁ、とにかく。紅李翔と真仁に
媚び売っとけば
最悪老後の心配はない。アハハハ!」
「!!糀さんったら!……ふふふ。
わかりました。
僕たちに任せてください!ふふふ!」
おーい、ボクはまだ諦めてないよ、と
おどけてみせた糀さんは
仕事の話だけどな、と切り出した。
「アメリカの6ヶ所にボクの友達が
約半年後に店を出すんだ。
その中のロサンゼルスは
空港の中にできる。
その店は日本食をベースにした
多国籍料理を売りにするんだそうで
イタリアン部門がまだ決まってなくてな。
そこの基盤作りを
手伝ってやって欲しい。
メニュー開発や
実際のレシピ作りをやる。
向こうで開業して軌道にのるまでの
期間でいいそうだから
ちょうどいいだろう?」
「……とてもありがたいお話です。
ありがとうございます。」
「帰ってきてからは帰ってきてからで
また考えればいいさ。
ボクのとこでもいいし。」
「…………グズッ…本当に……。
本当にありがとうございます。」
「おまえはボクの家族だからな。
助けるのは当たり前だし
力になりたいんだよ。」
「糀さん……。」
また泣きそうになる僕を制して
パスタ作るから食べてって、と
糀さんは厨房へ入っていった。
「すみません……。
これからディナーの仕込みなのに。」
「まかないの残りだから
心配すんなー!」
「はい!ありがとうございます!」
パスタを食べてほっこりとし
それからお店の詳細とリモートでの
面接をする日時を聞いて
僕は店を出た。
(こんなにもまわりに僕たちを
守ってくれる人がいる……。
幸せだ……。)
あたたかい涙がこみあげる。
歩きながらしばらく泣いて
実家へ向かった。
「紅李翔おかえり!」
そう言って迎えてくれたのは
姉の奈那美。
その腕にはもうすぐ8ヶ月になる
赤ちゃんが抱かれている。
そう……。奈那美は
僕との約束通り養子をもらって
結婚して赤ちゃんができ
実家に暮らしていた。
「奈那美!のんちゃん!ただいま!」
「ほら~おじちゃんでちゅよ~。
和~。会うのは3回目でちゅね~。」
「……ねぇ。奈那美も
赤ちゃん言葉使うんだね……。」
「何よ、キモイって言いたいの?」
「ちょっと……ね。わ!イテ!
叩かないでよ……ふふふ……。
おいで、のんちゃん!」
僕は初めてできた甥を抱く。
「会わないうちに重くなったね!」
んうー!と声を出し
僕にしがみついてくる小さな命に
涙が出そうになり慌てて
買ってきたブロックのおもちゃを
取り出した。
「こら紅李翔!
またなんか買ってきたの?
もう~増えるからやめて!
この叔父バカ!」
「いいでしょ?ほら。
気に入ったみたいだし。」
機嫌よくブロックを投げている
甥っ子を愛おしく見て
相手をしていると母親がご飯よ~と
やってくる。
「紅李翔!いつ来たの?
のんちゃん、赤ちゃんの時の
紅李翔そっくりでね~
いろいろと思い出すわ~。
奈那美は泣いたり笑ったり
激しい子だったけど
紅李翔は穏やかでね~
そんなとこそっくりなのよ。」
「プレーさんが穏やかだから
その遺伝子!もう~お母さん!
なにかっちゃあ紅李翔、紅李翔ってさぁ。」
ごめんごめん、と肩を竦め
ご飯食べましょ、と母親が
行ってしまってから
僕は奈那美に聞いてみた。
「今さ……。プレーさん
国へ帰ってるでしょ?
奈那美さみしくないの?」
奈那美の夫は大学で知り合った
タイと日本のハーフの人で
お母さんの具合が悪くて
里帰りしている。
「泣き虫紅李翔と一緒にしないでくれる?
もう……。和のことと
仕事とで寂しいなんて
思ってる暇もないのよ。」
「……。一言よけい!そっか。
もう仕事も始めたんだもんね。」
「うん。でも和が1歳すぎたら
一度プーケット行ってこようとは
思ってる。
結婚した時に行ったっきりだし。」
「プレーさんがどこでもできる
お仕事でよかったね。
翻訳家なんてかっこいいよね!
見た目もなんか
韓流スターみたいだし。」
「美男美女でお似合いでしょ?
妻も通訳者だし。」
「……真顔でよく言うよね?
……わ!いて!叩かないでって!」
きゃっきゃっと和が僕を指さして笑い
ほら喜んでるじゃない、と
奈那美は笑った。
「ほらのんちゃん叔父さんと
リビング行こ。ご飯今日は何かな?」
僕は甥を抱き上げて言った。
「奈那美お願いがあるんだけどさ……。」
「英語でしょ?教えたげるわよ。
そのかわり親孝行と姉孝行すること。
わかった?」
わかりました、と返し
リビングのドアを開けると
父親がものすごい笑顔で立っていた。
「ほいーのんちゃん来たかぁ?
じいじが食べさせるからね~。
あ、紅李翔おかえり。
のんちゃ~ん~和~。
ほっぺが可愛いなぁ~……。
今日の離乳食は
じいじが作ったんだぞ~」
僕は呆然としてしまった。
父親の変わりよう……。
「………………ぷっ……んふふふふ……!」
「紅李翔~笑っちゃうでしょ?
あのお父さんがさ、あれよ~?
もうお母さん出る幕ないくらい
やってくれるの。
あなたたちのときあれくらい
手伝って欲しかったわ!
決して育児不参加ではなかったけど
あんなにデレデレしてなかった!
離乳食なんて作っては
くれなかったわよ?」
母親のボヤキも
わかるような気がした。
だって今にも溶けそうな笑顔……。
(孫、ってそんなに
嬉しいもんなんだな……。)
罪悪感が僕を蝕もうとしたとき
奈那美が肩を叩いた。
「私がちゃんとしたげるから。
あんたは罪悪感なんて
もたなくていいのよ。
あんたはあんたのやりたいように
するのが親孝行であり
姉孝行よ。ね?」
「奈那美……。ありがとう……。」
グズッと鼻を鳴らすと
ほらまた泣き虫始まった!と
からかわれて僕は泣き笑いで
泣いてない!と叫んだ。
「私は今、やりたいことが
全部できてる。
だから感謝してんのよ~。
だって好きな仕事をできてるし
優しい旦那様もGetしたし
子供だって授かった。
私の夢全部叶ってるから。
子供の心配せずに両親に預けて
好きな仕事バリバリできるなんて
最高よ?だから。紅李翔は紅李翔で
好きなようにしなさい。ね。」
「………………奈那美。」
はいはい、ごはん~と行ってしまう
姉に僕は感謝してもしきれない、と
思いながら食卓につく。
家族団欒を囲んだ後
僕はマンションに帰り
シャワーを浴びて
ベッドに寝転がった。
ふいにスマホが鳴る。
「……っ!まぁくん!」
慌ててビデオ通話のボタンを押した。
「紅李翔?ごめん、寝てた?」
「ううん、起きてたよ!」
「……ベッドにいるのか?」
「う、うん。」
まぁくんの顔が欲情してる……。
「紅李翔……しないか?一緒に……。」
「えっ……。」
「くーちゃん抱いてる夢を見てさ……
こんな朝早く起きちゃって……。
その……。下、も…………。」
「!ま、まだそっち5時前だよ、ね?
えっと……。その……。」
「くーちゃん……お願い……。」
「まぁくん……。
僕の手を思い出して……?
握るよ……。」
「んっ……。お、れも……。
くーちゃんの、握る……。」
「はぁっ……。真仁!
裏を撫で……て。」
「……んっは……くーちゃん…………。
先、をっ……。」
「……ん!あ……真仁っ!……は、あ…。」
指示し合いながら自分を慰める。
相手の手を想像して……。
「紅李翔っ!もう、お、れっ!」
「はぁ……んっ……ま、ひと……イくっ!」
2人で自分の手の中に自身の白濁を
零して息をついた。
「ご……めん…………紅李翔……。
顔見せて……。」
イった刺激の波が激しくて
僕はスマホをベッドに
投げ出してしまっていて……。
「あ…………ごめん、まぁくん……。」
「大丈夫?」
「……たくさん、でたの……。」
「えっ……?」
ほら……と僕は頬を赤らめながら
手の中のものをスマホに撮した。
「アメリカでしてから
してなかった……。」
「くーちゃん……。ほら、俺も。」
「まぁくん……。いっぱい……。」
「俺もあれから……。
紅李翔……。抱きたい……。」
「……僕も抱かれたい……。
まぁくんの腕の中に戻りたい……。
はぁ……がんばって早く行くから。
……ね?」
「くーちゃん……。
俺もがんばるから……。キスして?」
「ど、どうすればいい、の?」
「キス待ち顔を……。
お願いします……。」
「!!!へ、変態っ!
……んふふふ!…………んー……。」
カシャ!
「スクショしちゃった……。
可愛い……。」
「バカ!まぁくんのド変態!
……んもう…恥ずかしいじゃん!
……まぁくんもしてよ!
僕もスクショ……」
「あはは!はい!んー!」
そう言うと唇をおもいきり
つきだしてくるまぁくん。
カシャ!
「バカ!タコじゃないんだから!……んふふふふ!」
「あはは!……………………グズッ……。
紅李翔…………。会いたいよ……。」
(まぁくん弱ってるな……。
ごめんね、まぁくん……。
最初から……やっぱり最初から
ついてけばよかった……。)
「ねぇ。まぁくん。横になって?
それでスマホを顔の横に置いて…。」
「……グズッ、ん?うん……。」
「ほらこうしたらさ。
横に寝てるみたいでしょ?…………ね?」
「ん……。ありがとう、くーちゃん。
眠ろうか。くーちゃんが眠るまで
見てていい?」
うん、と頷いて
僕はつらつらと話し出す。
「今日ね……とっても幸せでね……。
僕た、ち周りにとても……。
恵まれ、たね……幸せだ……。
まぁくん……。
まぁ……く…ん………ま…………」
僕が寝入ってだいぶたってから
スマホはピロン、と
切れたらしかった。
お世話になった弁護士の葛城さんに
会いに行った。
たくさんの手続きを
素早くしなければならないと
思ったからだ。
快く引き受けてくれた葛城さんは
僕を見て大人になったね、と驚く。
「もう24ですからね。ふふふ……。」
「そうか~早いね!……あ、最近
お店に行けてなくてごめんね。」
そう言う葛城さんに
何かあったんですか?と聞けば
パートナーがちょっとね……と
暗い顔になった。
「どう、したんです、か?」
「うん、仕事で腰を痛めてね。
なかなかよくならなくて……。」
介護職の彼氏さんは入居者のかたが
転倒するのを庇って
腰を強打したらしい。
「それは心配ですね……。
あ!僕、いい指圧師さん
知ってるんです。
試しに行ってみてください。」
そう言ってお世話になっているmaruyamaclinicの
円山先生の弟、亮信さんの
病院を紹介した。
弁護士事務所をあとにし
その足で最初に勤めた
まぁくんの従兄の糀さんのお店へ。
ちょうどディナーの仕込みの
前の時間。
「よう!紅李翔!久しぶりだな!
真仁に会いに行ったんだろ?
元気してたか?」
会うなり僕の頭を撫でてそう言う
糀さんの手に
まぁくんのそれを思い出し
僕は顔を赤らめた。
「ご無沙汰してます!
真仁がんばってました。
いつもパソコンにメールを
ありがとう、と伝えてくれ、と。
……本当にありがとうございます。」
「従兄バカ、だからな……ははは!
真仁には甘いんだ。
そのパートナーのおまえにもな。」
「ありがとうございます。
……。あの。」
「アメリカの店だろ?
もう探してある。
ボクの顔は広いからね!ははは!
ちょうど紅李翔の新しい挑戦に
ぴったりな店があるんだ。」
「糀さん……。ありがとうございます……。
本当に、本当に……。
ありがとうございます!
……ぅぅ…………。」
泣き崩れようとする僕の肩を
ぐっと支えて苦笑する糀さん。
「紅李翔ってそんな泣き虫だっけ?
……あ、真仁のことになると
ダメなんだな。
うちの店で修行してたとき
何を言われても泣かなかったのにな。
高校卒業のあとバイトから修行に
変わった時とか
だいぶ過酷だったろうに……。」
「真仁のことになると弱いんです……。
すみません……。グズッ……。
僕たちのこと偏見なく
見守ってくださって
ありがとうございます。」
「初めて会った時にわかったよ。
真仁が好きな人がいる、って
言ってたのこの子だな、って。
愛かぁ……。
ボクまだ巡りあわないな……。
そんな人に。」
「糀さん、すごくモテるのに……。」
「なんでだろう……。」
真剣に悩んでいる糀さんの姿を見て
少し笑ってしまった。
「ふふふ……きっと現れますよ。」
そう言うとやっと笑ったな、と
また頭を撫でてくれた。
「まぁ、とにかく。紅李翔と真仁に
媚び売っとけば
最悪老後の心配はない。アハハハ!」
「!!糀さんったら!……ふふふ。
わかりました。
僕たちに任せてください!ふふふ!」
おーい、ボクはまだ諦めてないよ、と
おどけてみせた糀さんは
仕事の話だけどな、と切り出した。
「アメリカの6ヶ所にボクの友達が
約半年後に店を出すんだ。
その中のロサンゼルスは
空港の中にできる。
その店は日本食をベースにした
多国籍料理を売りにするんだそうで
イタリアン部門がまだ決まってなくてな。
そこの基盤作りを
手伝ってやって欲しい。
メニュー開発や
実際のレシピ作りをやる。
向こうで開業して軌道にのるまでの
期間でいいそうだから
ちょうどいいだろう?」
「……とてもありがたいお話です。
ありがとうございます。」
「帰ってきてからは帰ってきてからで
また考えればいいさ。
ボクのとこでもいいし。」
「…………グズッ…本当に……。
本当にありがとうございます。」
「おまえはボクの家族だからな。
助けるのは当たり前だし
力になりたいんだよ。」
「糀さん……。」
また泣きそうになる僕を制して
パスタ作るから食べてって、と
糀さんは厨房へ入っていった。
「すみません……。
これからディナーの仕込みなのに。」
「まかないの残りだから
心配すんなー!」
「はい!ありがとうございます!」
パスタを食べてほっこりとし
それからお店の詳細とリモートでの
面接をする日時を聞いて
僕は店を出た。
(こんなにもまわりに僕たちを
守ってくれる人がいる……。
幸せだ……。)
あたたかい涙がこみあげる。
歩きながらしばらく泣いて
実家へ向かった。
「紅李翔おかえり!」
そう言って迎えてくれたのは
姉の奈那美。
その腕にはもうすぐ8ヶ月になる
赤ちゃんが抱かれている。
そう……。奈那美は
僕との約束通り養子をもらって
結婚して赤ちゃんができ
実家に暮らしていた。
「奈那美!のんちゃん!ただいま!」
「ほら~おじちゃんでちゅよ~。
和~。会うのは3回目でちゅね~。」
「……ねぇ。奈那美も
赤ちゃん言葉使うんだね……。」
「何よ、キモイって言いたいの?」
「ちょっと……ね。わ!イテ!
叩かないでよ……ふふふ……。
おいで、のんちゃん!」
僕は初めてできた甥を抱く。
「会わないうちに重くなったね!」
んうー!と声を出し
僕にしがみついてくる小さな命に
涙が出そうになり慌てて
買ってきたブロックのおもちゃを
取り出した。
「こら紅李翔!
またなんか買ってきたの?
もう~増えるからやめて!
この叔父バカ!」
「いいでしょ?ほら。
気に入ったみたいだし。」
機嫌よくブロックを投げている
甥っ子を愛おしく見て
相手をしていると母親がご飯よ~と
やってくる。
「紅李翔!いつ来たの?
のんちゃん、赤ちゃんの時の
紅李翔そっくりでね~
いろいろと思い出すわ~。
奈那美は泣いたり笑ったり
激しい子だったけど
紅李翔は穏やかでね~
そんなとこそっくりなのよ。」
「プレーさんが穏やかだから
その遺伝子!もう~お母さん!
なにかっちゃあ紅李翔、紅李翔ってさぁ。」
ごめんごめん、と肩を竦め
ご飯食べましょ、と母親が
行ってしまってから
僕は奈那美に聞いてみた。
「今さ……。プレーさん
国へ帰ってるでしょ?
奈那美さみしくないの?」
奈那美の夫は大学で知り合った
タイと日本のハーフの人で
お母さんの具合が悪くて
里帰りしている。
「泣き虫紅李翔と一緒にしないでくれる?
もう……。和のことと
仕事とで寂しいなんて
思ってる暇もないのよ。」
「……。一言よけい!そっか。
もう仕事も始めたんだもんね。」
「うん。でも和が1歳すぎたら
一度プーケット行ってこようとは
思ってる。
結婚した時に行ったっきりだし。」
「プレーさんがどこでもできる
お仕事でよかったね。
翻訳家なんてかっこいいよね!
見た目もなんか
韓流スターみたいだし。」
「美男美女でお似合いでしょ?
妻も通訳者だし。」
「……真顔でよく言うよね?
……わ!いて!叩かないでって!」
きゃっきゃっと和が僕を指さして笑い
ほら喜んでるじゃない、と
奈那美は笑った。
「ほらのんちゃん叔父さんと
リビング行こ。ご飯今日は何かな?」
僕は甥を抱き上げて言った。
「奈那美お願いがあるんだけどさ……。」
「英語でしょ?教えたげるわよ。
そのかわり親孝行と姉孝行すること。
わかった?」
わかりました、と返し
リビングのドアを開けると
父親がものすごい笑顔で立っていた。
「ほいーのんちゃん来たかぁ?
じいじが食べさせるからね~。
あ、紅李翔おかえり。
のんちゃ~ん~和~。
ほっぺが可愛いなぁ~……。
今日の離乳食は
じいじが作ったんだぞ~」
僕は呆然としてしまった。
父親の変わりよう……。
「………………ぷっ……んふふふふ……!」
「紅李翔~笑っちゃうでしょ?
あのお父さんがさ、あれよ~?
もうお母さん出る幕ないくらい
やってくれるの。
あなたたちのときあれくらい
手伝って欲しかったわ!
決して育児不参加ではなかったけど
あんなにデレデレしてなかった!
離乳食なんて作っては
くれなかったわよ?」
母親のボヤキも
わかるような気がした。
だって今にも溶けそうな笑顔……。
(孫、ってそんなに
嬉しいもんなんだな……。)
罪悪感が僕を蝕もうとしたとき
奈那美が肩を叩いた。
「私がちゃんとしたげるから。
あんたは罪悪感なんて
もたなくていいのよ。
あんたはあんたのやりたいように
するのが親孝行であり
姉孝行よ。ね?」
「奈那美……。ありがとう……。」
グズッと鼻を鳴らすと
ほらまた泣き虫始まった!と
からかわれて僕は泣き笑いで
泣いてない!と叫んだ。
「私は今、やりたいことが
全部できてる。
だから感謝してんのよ~。
だって好きな仕事をできてるし
優しい旦那様もGetしたし
子供だって授かった。
私の夢全部叶ってるから。
子供の心配せずに両親に預けて
好きな仕事バリバリできるなんて
最高よ?だから。紅李翔は紅李翔で
好きなようにしなさい。ね。」
「………………奈那美。」
はいはい、ごはん~と行ってしまう
姉に僕は感謝してもしきれない、と
思いながら食卓につく。
家族団欒を囲んだ後
僕はマンションに帰り
シャワーを浴びて
ベッドに寝転がった。
ふいにスマホが鳴る。
「……っ!まぁくん!」
慌ててビデオ通話のボタンを押した。
「紅李翔?ごめん、寝てた?」
「ううん、起きてたよ!」
「……ベッドにいるのか?」
「う、うん。」
まぁくんの顔が欲情してる……。
「紅李翔……しないか?一緒に……。」
「えっ……。」
「くーちゃん抱いてる夢を見てさ……
こんな朝早く起きちゃって……。
その……。下、も…………。」
「!ま、まだそっち5時前だよ、ね?
えっと……。その……。」
「くーちゃん……お願い……。」
「まぁくん……。
僕の手を思い出して……?
握るよ……。」
「んっ……。お、れも……。
くーちゃんの、握る……。」
「はぁっ……。真仁!
裏を撫で……て。」
「……んっは……くーちゃん…………。
先、をっ……。」
「……ん!あ……真仁っ!……は、あ…。」
指示し合いながら自分を慰める。
相手の手を想像して……。
「紅李翔っ!もう、お、れっ!」
「はぁ……んっ……ま、ひと……イくっ!」
2人で自分の手の中に自身の白濁を
零して息をついた。
「ご……めん…………紅李翔……。
顔見せて……。」
イった刺激の波が激しくて
僕はスマホをベッドに
投げ出してしまっていて……。
「あ…………ごめん、まぁくん……。」
「大丈夫?」
「……たくさん、でたの……。」
「えっ……?」
ほら……と僕は頬を赤らめながら
手の中のものをスマホに撮した。
「アメリカでしてから
してなかった……。」
「くーちゃん……。ほら、俺も。」
「まぁくん……。いっぱい……。」
「俺もあれから……。
紅李翔……。抱きたい……。」
「……僕も抱かれたい……。
まぁくんの腕の中に戻りたい……。
はぁ……がんばって早く行くから。
……ね?」
「くーちゃん……。
俺もがんばるから……。キスして?」
「ど、どうすればいい、の?」
「キス待ち顔を……。
お願いします……。」
「!!!へ、変態っ!
……んふふふ!…………んー……。」
カシャ!
「スクショしちゃった……。
可愛い……。」
「バカ!まぁくんのド変態!
……んもう…恥ずかしいじゃん!
……まぁくんもしてよ!
僕もスクショ……」
「あはは!はい!んー!」
そう言うと唇をおもいきり
つきだしてくるまぁくん。
カシャ!
「バカ!タコじゃないんだから!……んふふふふ!」
「あはは!……………………グズッ……。
紅李翔…………。会いたいよ……。」
(まぁくん弱ってるな……。
ごめんね、まぁくん……。
最初から……やっぱり最初から
ついてけばよかった……。)
「ねぇ。まぁくん。横になって?
それでスマホを顔の横に置いて…。」
「……グズッ、ん?うん……。」
「ほらこうしたらさ。
横に寝てるみたいでしょ?…………ね?」
「ん……。ありがとう、くーちゃん。
眠ろうか。くーちゃんが眠るまで
見てていい?」
うん、と頷いて
僕はつらつらと話し出す。
「今日ね……とっても幸せでね……。
僕た、ち周りにとても……。
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あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
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