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全部僕が悪いんだ。
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国際電話がかかってきたのは
僕が渡米する予定の3日前だった。
「はい。………?………。はい。
隅坂紅李翔ですが。
………………え!?真仁がですか!?
なん、でっ!……
それでっ!容態は?
真仁は大丈夫なんですよね?
真仁はっ!
……………………そんなっ…………
すぐっ!すぐ行きますっ!
…………ぅぅぅ………………。はい…………。
よろし、くおねが…いします………。」
電話は真仁の会社の人からで
真仁が勤務中に血を吐いて
病院に運ばれた、との連絡だった。
すぐ行きます、と無理なことを叫ぶ
僕に落ち着いてください、と言って
会社の人は僕の乗る予定の
3日後の飛行機を変更して
早く行けるようにします、と
配慮してくれて……。
手配ができるまで
少し待ってください
直ぐに出られるように支度を
しておいてください、と
言われた僕はあまりのことに
脱力してその場にへたりこむ。
よく泣く僕なのに
涙のひとつも出なかった。
治療をして容態は今は安定していると
言っていたけれど
まだ意識が戻っていないらしい。
支度を済ませた僕は母親に電話した。
ことの詳細を告げ
早く行くことになることを話す。
「紅李翔。気を確かに持って。
慌てないで行くのよ。
それからちゃんと食べて寝ないと
あなたが倒れたらそれこそ
本末転倒だからね。
気をつけてね……。
…………それから。真仁くんの
おうちのほうにも連絡しなさいよ。」
そう言われて初めて
そのことに気づいた。
まぁくんの実家には何度か
電話をしていたがいつもそっけなく
返されるだけでなかなか
話せてはいない。
「もしもし、お義母さん。
紅李翔です。
実は真仁の会社から
真仁が倒れたと連絡がありまして
僕は予定より早く渡米します。
容態は安定している、とのことですが
意識がまだ戻っていないようです。
向こうに着いてわかり次第
またご連絡致しますので…。」
お義母さんは電話口で絶句していた。
「あの子を……真仁を
よろしく、ね……紅李翔、くん……。」
パートナーとなって初めて
名前を呼んでもらえるのが
こんな時じゃなかったら
よかったのに、と思いながら
僕は着いたら連絡することを約束して
電話を切る。
ちゃんと食べろ、との
母親の言葉を思い出して
やっとのことで砂を噛むように
味のしないパンをひとつ
水で流し込んだ。
(落ち着け……紅李翔……。
大丈夫。まぁくんは絶対大丈夫。)
心の中でそう唱えていないと
いられないほどひどく動揺している
僕は喉がカラカラで
ともすると呼吸さえ忘れて……。
それでも思い出したように
無理やりに息をして
空気を取り込んでいる。
また電話があり、5時間後の飛行機に
乗れることになって戸締りをし
タクシーに飛び乗った。
空港に着くと慌ただしく手続きをして
あっという間に離陸。
乗れたのは夜の便で目下の街並みは
キラキラと輝いていたが
僕の目にはなにも映っていないも
同然で……。
ただ呆然と闇の部分を見つめていた。
眠剤を飲んでみるものの
まったく眠気はやってこずに
まんじりともしないまま
飛行機はアメリカへと降り立つ。
「そんなことは絶対に……
させやしない。
僕とまぁくんを引き裂くなんて
神様でもさせやしない。
離れない。絶対に……。」
くじけてしまいそうになる気持ちを
奮い立たせてゲートを出ると
見知った顔が出迎えてくれていた。
「紅李翔様!こちらです!」
「!!ああ!深見さんっ!!
来てくださったんですか!?」
「車、用意してます。とりあえず
乗ってください!こちらです!」
不安から崩れ落ちそうになる体を
ようやく支えて後部座席に乗り込むと
深見さんが僕に
水のペットボトルを手渡し
10分ぐらいですから
少し休んでください、と言ってくれて
つかのま目を閉じる。
そうすると頭の中では嫌な想像が
頭をよぎり僕は冷や汗をかいて
ガバリと起き上がった。
「もう、着きます。その横のケースに
紙おしぼりがはいってますから
使ってください。大丈夫ですか?」
「……はい。
……ありがとうございます。」
「病室は1201号室です。
私は車を置いてきますから。」
「………………はい。」
ゴクリ、と唾を飲み込んで
入口に到着した車から降りて
足早にエレベーターに向かい
上階へとあがる。
1201号室の前で僕は一瞬逡巡した。
祈る思いでドアをそっと開ける。
「まぁくん……。」
そこには酸素マスクをつけ
点滴や機械を繋がれている
まぁくんが横たわっていた。
僕は腰が抜けてその場に座り込む。
看護師が英語で話しかけて
くれているみたいだったけど
まったく頭に入ってこず
僕は呆然とただただ嫌な感じに
早鐘を打つ心臓の音が
身体中に響くのを
こんな大きな音だっけ……と
変に冷静に考えていた。
「紅李翔様!大丈夫ですか!?」
遅れて病室に入ってきた
深見さんが僕に走り寄り
支えて立たせてくれる。
「ま……まぁ……く、ん……。」
よろよろとベッドに近づき
まぁくんの手をやっとのことで
握った。
「まぁくん……。まぁくん。
来たよ……。紅李翔だよ……。
ね、起きてよ、まぁくん……。
真仁……。まぁくん……。」
遠くで深見さんが容態を
聞いてくれている声がしていたけれど
それどころじゃない。
まぁくんに起きてもらわないと……。
ダメだ……。
「ねぇ!真仁!真仁!
起きてってば!ねぇ!
………………ごめんね……。あのとき
一緒にアメリカに来てれば……。
このあいだ無理やり会社に戻さずに
一緒に日本に帰ってれば!
こんなことにならなかったのに!
全部僕が悪いんだ!まぁくん!
お願いだから!起きて!ねぇぇ!
あああぁぁぁあ………………
ぅぅぅ……。」
深見さんが駆け寄ってくる。
「紅李翔様……。真仁くん
1度目を覚ましたそうです。
でも痛みがあって……。
今、鎮痛剤で眠っているようです。
お医者様が話したいと。
大丈夫、ですか?」
「は……い。……でも僕1人じゃあ…
専門的な英語が
わからないかもしれない……。」
その時病室のドアが開いて
女性が飛び込んできた。
「!!!あぁ……真湖さんっ!」
「紅李翔くん!真仁は……?」
「うわぁぁぁ……ま、こさ……んっ!
まひ、と……ぅぅ真仁……」
「しっかりして!紅李翔くん……。
真仁の容態はどうなの?」
深見さんが泣き崩れる僕の代わりに
説明してくれ医師のところには
真湖さんも同席してくれることになり
ふらつく足でなんとか部屋を出る。
震えながら聞いた医師の説明は
真仁の病状は胃潰瘍の
病変部分からの出血で
出血量は多かったものの
内視鏡治療で止血できたそうだ。
精密検査が必要で
約2週間の入院になるとのこと。
見た感じは悪いものはなさそう、と
いう医師の言葉に少しほっとした。
「ごめんなさい……真湖さん……。
僕がついていながら……。
僕……僕……。」
「紅李翔くんは悪くないわ。
真仁は意地っ張りだから
無理したのよ。まったく……。」
「真湖さん……ごめんなさい……。」
そこへ深見さんが走ってきて
真仁が目を覚ましたと
教えてくれて僕たちは病室へと急ぐ。
「真仁っ!わかる?
紅李翔だよ?まぁくん!」
「…………………ううぅっ……。ぐ……!」
「真仁?まひとぉぉぉ!
まぁくん!…………ぁぁ…………!」
苦しむまぁくんを見て
僕は涙と震えがとまらなかった。
僕が渡米する予定の3日前だった。
「はい。………?………。はい。
隅坂紅李翔ですが。
………………え!?真仁がですか!?
なん、でっ!……
それでっ!容態は?
真仁は大丈夫なんですよね?
真仁はっ!
……………………そんなっ…………
すぐっ!すぐ行きますっ!
…………ぅぅぅ………………。はい…………。
よろし、くおねが…いします………。」
電話は真仁の会社の人からで
真仁が勤務中に血を吐いて
病院に運ばれた、との連絡だった。
すぐ行きます、と無理なことを叫ぶ
僕に落ち着いてください、と言って
会社の人は僕の乗る予定の
3日後の飛行機を変更して
早く行けるようにします、と
配慮してくれて……。
手配ができるまで
少し待ってください
直ぐに出られるように支度を
しておいてください、と
言われた僕はあまりのことに
脱力してその場にへたりこむ。
よく泣く僕なのに
涙のひとつも出なかった。
治療をして容態は今は安定していると
言っていたけれど
まだ意識が戻っていないらしい。
支度を済ませた僕は母親に電話した。
ことの詳細を告げ
早く行くことになることを話す。
「紅李翔。気を確かに持って。
慌てないで行くのよ。
それからちゃんと食べて寝ないと
あなたが倒れたらそれこそ
本末転倒だからね。
気をつけてね……。
…………それから。真仁くんの
おうちのほうにも連絡しなさいよ。」
そう言われて初めて
そのことに気づいた。
まぁくんの実家には何度か
電話をしていたがいつもそっけなく
返されるだけでなかなか
話せてはいない。
「もしもし、お義母さん。
紅李翔です。
実は真仁の会社から
真仁が倒れたと連絡がありまして
僕は予定より早く渡米します。
容態は安定している、とのことですが
意識がまだ戻っていないようです。
向こうに着いてわかり次第
またご連絡致しますので…。」
お義母さんは電話口で絶句していた。
「あの子を……真仁を
よろしく、ね……紅李翔、くん……。」
パートナーとなって初めて
名前を呼んでもらえるのが
こんな時じゃなかったら
よかったのに、と思いながら
僕は着いたら連絡することを約束して
電話を切る。
ちゃんと食べろ、との
母親の言葉を思い出して
やっとのことで砂を噛むように
味のしないパンをひとつ
水で流し込んだ。
(落ち着け……紅李翔……。
大丈夫。まぁくんは絶対大丈夫。)
心の中でそう唱えていないと
いられないほどひどく動揺している
僕は喉がカラカラで
ともすると呼吸さえ忘れて……。
それでも思い出したように
無理やりに息をして
空気を取り込んでいる。
また電話があり、5時間後の飛行機に
乗れることになって戸締りをし
タクシーに飛び乗った。
空港に着くと慌ただしく手続きをして
あっという間に離陸。
乗れたのは夜の便で目下の街並みは
キラキラと輝いていたが
僕の目にはなにも映っていないも
同然で……。
ただ呆然と闇の部分を見つめていた。
眠剤を飲んでみるものの
まったく眠気はやってこずに
まんじりともしないまま
飛行機はアメリカへと降り立つ。
「そんなことは絶対に……
させやしない。
僕とまぁくんを引き裂くなんて
神様でもさせやしない。
離れない。絶対に……。」
くじけてしまいそうになる気持ちを
奮い立たせてゲートを出ると
見知った顔が出迎えてくれていた。
「紅李翔様!こちらです!」
「!!ああ!深見さんっ!!
来てくださったんですか!?」
「車、用意してます。とりあえず
乗ってください!こちらです!」
不安から崩れ落ちそうになる体を
ようやく支えて後部座席に乗り込むと
深見さんが僕に
水のペットボトルを手渡し
10分ぐらいですから
少し休んでください、と言ってくれて
つかのま目を閉じる。
そうすると頭の中では嫌な想像が
頭をよぎり僕は冷や汗をかいて
ガバリと起き上がった。
「もう、着きます。その横のケースに
紙おしぼりがはいってますから
使ってください。大丈夫ですか?」
「……はい。
……ありがとうございます。」
「病室は1201号室です。
私は車を置いてきますから。」
「………………はい。」
ゴクリ、と唾を飲み込んで
入口に到着した車から降りて
足早にエレベーターに向かい
上階へとあがる。
1201号室の前で僕は一瞬逡巡した。
祈る思いでドアをそっと開ける。
「まぁくん……。」
そこには酸素マスクをつけ
点滴や機械を繋がれている
まぁくんが横たわっていた。
僕は腰が抜けてその場に座り込む。
看護師が英語で話しかけて
くれているみたいだったけど
まったく頭に入ってこず
僕は呆然とただただ嫌な感じに
早鐘を打つ心臓の音が
身体中に響くのを
こんな大きな音だっけ……と
変に冷静に考えていた。
「紅李翔様!大丈夫ですか!?」
遅れて病室に入ってきた
深見さんが僕に走り寄り
支えて立たせてくれる。
「ま……まぁ……く、ん……。」
よろよろとベッドに近づき
まぁくんの手をやっとのことで
握った。
「まぁくん……。まぁくん。
来たよ……。紅李翔だよ……。
ね、起きてよ、まぁくん……。
真仁……。まぁくん……。」
遠くで深見さんが容態を
聞いてくれている声がしていたけれど
それどころじゃない。
まぁくんに起きてもらわないと……。
ダメだ……。
「ねぇ!真仁!真仁!
起きてってば!ねぇ!
………………ごめんね……。あのとき
一緒にアメリカに来てれば……。
このあいだ無理やり会社に戻さずに
一緒に日本に帰ってれば!
こんなことにならなかったのに!
全部僕が悪いんだ!まぁくん!
お願いだから!起きて!ねぇぇ!
あああぁぁぁあ………………
ぅぅぅ……。」
深見さんが駆け寄ってくる。
「紅李翔様……。真仁くん
1度目を覚ましたそうです。
でも痛みがあって……。
今、鎮痛剤で眠っているようです。
お医者様が話したいと。
大丈夫、ですか?」
「は……い。……でも僕1人じゃあ…
専門的な英語が
わからないかもしれない……。」
その時病室のドアが開いて
女性が飛び込んできた。
「!!!あぁ……真湖さんっ!」
「紅李翔くん!真仁は……?」
「うわぁぁぁ……ま、こさ……んっ!
まひ、と……ぅぅ真仁……」
「しっかりして!紅李翔くん……。
真仁の容態はどうなの?」
深見さんが泣き崩れる僕の代わりに
説明してくれ医師のところには
真湖さんも同席してくれることになり
ふらつく足でなんとか部屋を出る。
震えながら聞いた医師の説明は
真仁の病状は胃潰瘍の
病変部分からの出血で
出血量は多かったものの
内視鏡治療で止血できたそうだ。
精密検査が必要で
約2週間の入院になるとのこと。
見た感じは悪いものはなさそう、と
いう医師の言葉に少しほっとした。
「ごめんなさい……真湖さん……。
僕がついていながら……。
僕……僕……。」
「紅李翔くんは悪くないわ。
真仁は意地っ張りだから
無理したのよ。まったく……。」
「真湖さん……ごめんなさい……。」
そこへ深見さんが走ってきて
真仁が目を覚ましたと
教えてくれて僕たちは病室へと急ぐ。
「真仁っ!わかる?
紅李翔だよ?まぁくん!」
「…………………ううぅっ……。ぐ……!」
「真仁?まひとぉぉぉ!
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