PUI 〜史上最強の感染症〜

桃冬万本〜ももふまぽん〜

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この世 〜学校の理科室〜

不思議の子

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理科室のドアを開け、この街にワープしたのは良かった。「良かった」のはそこまでだった。
「…で、どうすんだ?」
クソギは、俺に聞いてきた。俺は目の前の惨状を思い知る。この街の人は「人間らしい言葉」をきちんと話していない。いや、見渡す限り、「プイプイプイプイ……」
の声だけが虚しく響く。
「とりあえず、戻ろう!」
俺は、クソギを連れて引き返す。

理科室は、いつもと変わらずに「ザ・学校」という雰囲気を醸し出していた。クソギが怒る。
「何なんだよ!カズキ、何もできねぇじゃねーか!」
俺は、クソギの正しさに落胆した。落ち込んでいるとクソギは俺にヒントをくれた。
「カズキ、二組の不思議ちゃんを知ってる?」
「あ~、あの恐竜みたいに腰曲げて舌ペロペロしながら歩いてる奴でしょ?」
「アイツなんだよ、冒険のカギは!!」
最初はクソギの言っている事が意味不明でしかなかった。クソギは続ける。
「アイツ、バケモノらしいぜ。ウヒヒッ」
クソギは、変な興奮状態の時、ウヒヒッと笑う癖がある。俺は
「ま~ず、落ち着けッ」
と、クソギを宥める。そしてデコピンする。
「ちょっと、トイレ…!」
クソギは、何かを思い出したかのように理科室から出て行った。
そして、五分後に戻って来た。クソギと一緒に女子が入って来た。よくよく見れば「二組の不思議ちゃん」ではないか!彼女は俺に自己紹介した。
「クモウエ ダツ、です。…呼びやすいようにあだ名を付けてください。あ、ダッちゃんで!よろしくお願いします!」
俺は、今まで興味の無かった女子になぜだが快く返す事が出来た。…オーラだろうか?
「おうっ!よろしくな、ダッちゃん!」

こうして三人仲間が集まった。
不思議ちゃんで未知数の、ダッちゃん。
俺の一番の頼れる親友の、クソギ。
行動力とやる気は超自慢、俺(カズキ)。
…未知病討伐隊の結成だ!

すると、ダッちゃんが提案した。
「ねえねえ、せっかくだからさ、三人のチーム名決めない?」
俺らは、賛成した。決めて良いよ、とダッちゃんに任せる。ダッちゃんの事を知りたくなったのだ。…どんなアイデアを出してくるのだろう。
「う~ん…。」
ダッちゃんはしばらく悩んでから、閃いた。
「ぼくら隊ってどう?」
ダッちゃんに、どうして?と聞いてみる。
ダッちゃんは意外とよ~く考えていた。彼女の説明によると、「ぼくら隊」の意味合いは、

ぼ=撲滅する(未知の病を)
く=食らいつく(どんなに相手が強くても)
ら=楽園に戻す(この世界を平和にする)
隊=たいせつにする(人も物も何でも)

そういう事だそうだ。俺らはダッちゃんのアイデアに凄い賛成した。
「じゃ、決まりね!」
ダッちゃんは、はじけるように言ってベランダへ出た。ここは三階だ。嬉しいのか、彼女は晴れ渡る空へ
「お~~~!」
と叫び、なんと、飛び降りた…!
「ダッちゃん!!」
俺らはダッちゃんを止める事はできなかった。

バサッバサッ……!!

何か大きな生き物が空へ舞い上がった。

コウモリのような大きな翼は純白で、
頭には鹿のような黄金の角を生やし、
その身体は光る翠玉の鱗に包まれた、
ギラギラッと煌めく紺碧の瞳の竜が、
クソギと俺を見つめて対峙していた。

その動きは、どこか彼女に似ていた。腰を曲げ舌をペロペロしながら歩いてるあの子に。

その竜は、「乗ってよ!」という風に翼を二回羽ばたかせた。そしてベランダ越しに俺らに近づく。俺らは、竜の背中に乗る。後ろのクソギが、うっひょ~~い、とシャウトした。うっせーよ、俺はクソギにデコピンしようとした。竜の鱗は意外とつるりとしていて危うく落ちそうになった。クソギは、くくっと笑う。

「行くよ!」
そんな声が俺の跨がる竜の身体から聞こえた…気がした。

二人と一匹の冒険が、スタートした!
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