【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵

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短いお別れ

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「どこだ……どこにあるんだ……?」

アーベルの声が、夜の静寂の中に響く。

俺は小さくため息をつきながら彼を追っていたが、嫌な予感しかしなかった。イースターの祭りで隠された卵を探しているだけのはずなのに、なぜこんなに学園の外れまで来てしまうんだよ。

(……まさか、結界の外にまで行く気じゃないだろうな?)

俺が焦る間にも、アーベルはどんどん森の奥へ進んでいく。そして——

視界が開けた。

月明かりに照らされた湖が目の前に広がる。

(やばい、ここは……!)

学園の結界の外——魔物が棲みついている危険区域だった。

俺は駆け出そうとした。しかし、それよりも早く——

ザバァンッ!

湖の水面が爆発するように弾け、巨大な黒い影が姿を現した。

「なっ……!?」

アーベルの目が見開かれる。

異形の魔物。異様に長い触手がうねり、無数の黄色い眼がぎょろりと動く。まるで湖そのものが意思を持ったかのようにうねり、アーベルを喰らわんと触手を振り上げた。

「くっ……!」

アーベルは懸命に魔力を練ろうとするが、焦っているせいか詠唱が乱れている。このままでは——

(間に合わない……!)

俺は迷う暇なく、詠唱を開始した。

「《闇の鎖よ、敵を絡め取れ》!」

黒い魔法陣が足元に浮かび上がり、闇色の鎖が魔物へと伸びる。触手を絡め取り、その動きを封じ——

……るはずだった。

バチンッ!

「はっ?」

鎖が魔物に触れた瞬間、あっさりと弾け飛んだ。まるで何かに弾かれたかのように、俺の黒魔術は完全に打ち消されていた。

(……黒魔術が効かない?)

焦る俺をよそに、魔物の触手がアーベルへと迫る。

(くそっ、次の詠唱を——)

だが、間に合わなかった。

「——《聖なる輝きよ、邪を祓いたまえ》!」

突如、湖の闇を切り裂くような光が降り注ぐ。

「ぐぎゃあああっ!!」

魔物が耳障りな悲鳴を上げる。

光の奔流の中心に、白銀の法衣をまとった男が立っていた。

「アルマン司教……!」

アーベルが驚いた声を上げる。

「無事ですか、アーベル殿下」

アルマン司教は優雅に聖印を切ると、さらに神聖魔法を唱えた。

「《聖炎の裁き》」

金色の炎が魔物を包み込み、焼き尽くしていく。湖の表面が揺らぎ、魔物の触手が徐々に崩れていった。

「ぐ……グギャアアアア!!」

最後の咆哮を残し、魔物は光の中へと消えていった。

——完全に、浄化された。

俺は息を飲んだ。黒魔術が通じなかった相手を、神聖魔法はまるで何事もなかったかのように一瞬で祓った。

「どうして……ここに?」

アーベルが息を切らしながら尋ねると、アルマン司教は静かに微笑んだ。

「学園の外れに向かったと聞いて、無礼かとも思いましたが尾行させていただきました。まさか、魔物に襲われるとは思いませんでしたが……間に合ってよかった」

「……ありがとうございます」

アーベルは安堵の表情を浮かべた。

(黒魔法を使うところ見られたか…?後で呼び出されるかもしれんが…まあ、アーベルが無事ならいいか)
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