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商会の勉強
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色々面倒な事はありますが、私はそれよりもリシャール様の方がずっと重要でした。マルセル叔父様の商会で暫く見習いの事前準備のようなものをする事になった私は、それから学園が終わると、叔父様の商会へと通いました。
叔父様の商会は店を持つタイプではなく、穀物などの食品やワインなどの酒類、絹織物などを他国に輸出入するのがメインです。お店らしいお店はなく、商会と言っても見た目は大きな倉庫のようなものなのですよね。それでも、どこの商会も仕事は同じようなものだからと、私はそこで書類整理と備品の管理などの仕事を教えて貰いました。リシャール様のところと勝手は違うでしょうが、それでも知っているのと知らないのでは大違いでしょう。
「ああ、レティ、もし興味があるならこの本も読んでご覧」
叔父様が見せてくれたのは、商会や経済に関する本でした。
「専門書までは必要ないだろうが、商売の基礎くらいは知っていて損はないだろうからね」
「それもそうですわね」
「多少は王子妃教育でも習っただろうが、商会に嫁ぐつもりならこれくらいは頭に入れておくと便利だろう。知識はいくらあっても困らないからね」
「ありがとう、叔父様!」
商会に関わる知識なら何でも手に入れたいと思っていたので、叔父様のお申し出はとても嬉しいですわ。いずれは商法に関する法律書を取り寄せようと思っていましたが、まずはここからですわね。
それからの私は、日中は学園に行き、帰ったらそのまま叔父様の商会に通い、夜は叔父様に借りた本を読んで過ごしました。勉強は嫌いではありませんが、王子妃教育と違って楽しいと思えるから不思議です。これは好きな人のためになる勉強だからでしょうか。王子妃教育はただ義務感だけで、ちっとも楽しいと思えなかったのですが。
「ちょっとあなた、こんな時まで何の本を読んでいるのよ?」
学園のランチタイムの後、私は学園の図書室で借りた本を読んでいました。叔父様に借りた本はもう読み終わりましたが、リシャール様の商会で働く日はもうそこまで迫っています。少しでも仕事に役に立つ知識を…と思ってしまうのですよね。
「ああ、これ?商法に関する本よ」
「商法って…貴女、本気で商会の三男と結婚するつもりなの?」
「勿論ですわ。もっとも、相手次第ですけどね」
「…まさか本気だったなんて…」
ベルティーユ様は話半分に聞いていたのでしょうか。私がここまでするとは思っていなかったようで困惑していますわ。でも、我がラフォン家は有言実行なのです。
「本気も本気ですわ。でも、商会って面白そうですわね」
最初はとっつきにくく感じられた商法に関する本も、ある程度知識が頭に入ってくると楽しく感じるから不思議です。きっとこれらの知識はリシャール様もご存じなのでしょうね。そう思うだけで私の心は温かく、またドキドキしてしまいます。
「もしリシャール様にフラれたら、私、商会を起こして仕事に生きようかしら」
「はぁ?何言っているのよ?」
「だって、リシャール様以外はその辺の小石と同じですもの。だったら結婚は諦めて仕事に生きるのもありかなと思って」
そうですわ、そういう人生があってもいいですわよね。婚約破棄された時に自分の好きに生きようと思ったのですもの。殿下達からの慰謝料もそれなりの額ですし、あれを元手に何か事業を始めるのも楽しそうですわ。
叔父様の商会は店を持つタイプではなく、穀物などの食品やワインなどの酒類、絹織物などを他国に輸出入するのがメインです。お店らしいお店はなく、商会と言っても見た目は大きな倉庫のようなものなのですよね。それでも、どこの商会も仕事は同じようなものだからと、私はそこで書類整理と備品の管理などの仕事を教えて貰いました。リシャール様のところと勝手は違うでしょうが、それでも知っているのと知らないのでは大違いでしょう。
「ああ、レティ、もし興味があるならこの本も読んでご覧」
叔父様が見せてくれたのは、商会や経済に関する本でした。
「専門書までは必要ないだろうが、商売の基礎くらいは知っていて損はないだろうからね」
「それもそうですわね」
「多少は王子妃教育でも習っただろうが、商会に嫁ぐつもりならこれくらいは頭に入れておくと便利だろう。知識はいくらあっても困らないからね」
「ありがとう、叔父様!」
商会に関わる知識なら何でも手に入れたいと思っていたので、叔父様のお申し出はとても嬉しいですわ。いずれは商法に関する法律書を取り寄せようと思っていましたが、まずはここからですわね。
それからの私は、日中は学園に行き、帰ったらそのまま叔父様の商会に通い、夜は叔父様に借りた本を読んで過ごしました。勉強は嫌いではありませんが、王子妃教育と違って楽しいと思えるから不思議です。これは好きな人のためになる勉強だからでしょうか。王子妃教育はただ義務感だけで、ちっとも楽しいと思えなかったのですが。
「ちょっとあなた、こんな時まで何の本を読んでいるのよ?」
学園のランチタイムの後、私は学園の図書室で借りた本を読んでいました。叔父様に借りた本はもう読み終わりましたが、リシャール様の商会で働く日はもうそこまで迫っています。少しでも仕事に役に立つ知識を…と思ってしまうのですよね。
「ああ、これ?商法に関する本よ」
「商法って…貴女、本気で商会の三男と結婚するつもりなの?」
「勿論ですわ。もっとも、相手次第ですけどね」
「…まさか本気だったなんて…」
ベルティーユ様は話半分に聞いていたのでしょうか。私がここまでするとは思っていなかったようで困惑していますわ。でも、我がラフォン家は有言実行なのです。
「本気も本気ですわ。でも、商会って面白そうですわね」
最初はとっつきにくく感じられた商法に関する本も、ある程度知識が頭に入ってくると楽しく感じるから不思議です。きっとこれらの知識はリシャール様もご存じなのでしょうね。そう思うだけで私の心は温かく、またドキドキしてしまいます。
「もしリシャール様にフラれたら、私、商会を起こして仕事に生きようかしら」
「はぁ?何言っているのよ?」
「だって、リシャール様以外はその辺の小石と同じですもの。だったら結婚は諦めて仕事に生きるのもありかなと思って」
そうですわ、そういう人生があってもいいですわよね。婚約破棄された時に自分の好きに生きようと思ったのですもの。殿下達からの慰謝料もそれなりの額ですし、あれを元手に何か事業を始めるのも楽しそうですわ。
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