【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

文字の大きさ
150 / 238

卒業式です

 リシャール様を救出した翌々日は、我が学園の卒業式です。私は今年は在校生代表として送辞を述べる御役目を賜ったので、出席しないわけにはいきません。

(でも、気が重いのよね…)

 毎年、送辞も答辞もその年の学年主席が担うのですが、今年の答辞は噂通りエルネスト様になりました。その経緯などははっきり言って知りたくもないので、敢えて聞こうとも思いません。私は私の役目を果たすだけ、そのつもりで出席しました。しかし…

(おかしいわ、送辞の原稿が見当たらない…)

 教室の自分の机に入れておいた、答辞の原稿が見当たりません。これは先生が見直しをするかもしれないからと、机に入れておいたのですが、それが仇になったようです。今更書き直す時間もありませんが…

「どうしたの、レティシア様?」
「ベルティーユ様…ええ、送辞の原稿が見当たらなくて…」
「原稿?」
「ええ、内容の修正などがあるかもしれないからと、先生が机に入れておくようにと仰っていたのよ。だから入れたままにしておいたのだけど…」
「おかしいわね、わざわざ人の机の粗探しをする方なんていないでしょうに」

 そうは思うのですが、いくら探しても原稿は見つかりませんでした。

「仕方ありませんわ。なしで行きましょう」
「大丈夫なの?」
「ええ、まぁ。内容は毎年同じですし、大体は頭に入っていますから」

 こうなっては仕方がありませんわね、ぶっつけ本番原稿なしでいくしかないでしょう。答辞は送辞に合わせる必要がありますが、送辞はその必要はないので問題ないでしょう。



「いい送辞だったわよ」

 式の後、ベルティーユ様がそう褒めてくれました。内容的には毎年恒例で文章の組み合わせが違う程度ですし、人前で話をするのも慣れているので特に緊張する事もありませんでした。リシャール様と二人きりになる緊張感に比べたら、全く大した事ありませんわ。

「それにしても…殿下は最後まで締まらなかったわね」
「はぁ…」

 それに関してはもう、コメントしたくもありませんわ。私が送辞だと知って慌てた上に、相変わらず緊張感があるのかないのかわからない落ち着きのなさに、会場では秘かに失笑する方もいたくらいです。今年は国王ご夫妻がご出席でいつも以上に厳かな雰囲気でしたが、それを台無しにしたのがエルネスト様だったのですよね。

「卒業パーティーは荒れそうね」
「今年卒業でなくてよかったですわ」

 そう、式の後は卒業パーティーです。卒業生とその親や婚約者が出席するパーティーですが、在校生では生徒会のメンバーが出るくらいです。私は首席だったので在校生代表と言う形で出る必要がありましたが…

「レティシア様は、パーティーに出るの?」
「いえ、私は家の事情があるので今日は…」
「ああ、婚約者の件ね」

 そうです、私はリシャール様の事があったので、欠席にして頂いたのです。騎士団の事情聴取もありますし、学園にその旨を申し出たところ、そういう事であればやむを得ずとのお言葉を頂いて免除になったのですよね。まぁ、私がいてはエルネスト様の立場がありませんから、幸いなのではないでしょうか。



感想 209

あなたにおすすめの小説

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

恋人が聖女のものになりました

キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」 聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。 それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。 聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。 多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。 ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……? 慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。 従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。 菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。 小説家になろうさんでも投稿します。

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した

基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。 その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。 王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。