【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

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王太子殿下の訪問

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 その翌々日、お兄様がセレスティーヌ様を伴って我が家を訪れました。正式訪問となると警備の問題などもあって大変なので、今回は内々での訪問です。
 訪れたのは、セレスティーヌ様とモラン様、護衛と侍女、お兄様の従者のマルクとテオドール様でした。テオドール様はお兄様がセレスティーヌ様の元に向かわれた際、護衛も兼ねてご一緒していただきましたが、まさかその後も一緒だったとは意外でした。
 でも、テオドール様はモラン様達と気安く話をしていらっしゃいますし、セレスティーヌ様も時々テオドール様に声をかけていらっしゃるので、皆様とはかなり親しいようです。お兄様にとっては恩人ですが、リスナール国の皆様にとっては下位貴族で商人でしかないので、ちょっと意外でした。

(それよりも…今日はお兄様に聞きたい事があるのよね)

 そうです、今日ようやくお兄様に会えたので恋人の事をお聞きしたかったのです。恋人がいると聞きましたが、それが誰なのかまでは教えてくれなかったので、私とお母様はずっとモヤモヤしていたのです。

 セレスティーヌ様はお忍びという事もあり、シンプルなドレスでの訪問でした。側近と護衛と侍女も最低限で、大国の王太子としては少々不用心ではないでしょうか…そりゃあ大人数だと却って目立つので、これくらいが安全なのかもしれませんが。

「今日は皆様に、彼を紹介したくて連れて参りましたの」

 そう言ってセレスティーヌ様が示したのは、お兄様と同じ銀色の髪と青い瞳を持つ少々武骨な顔立ちをした護衛騎士でした。美形とは言い難いですが、真面目そうで清潔感があって所作もきっちりしています。もしかして彼は…

「皆様のご想像通り、彼が私の相手ですの」

 予想していた通り、彼がセレスティーヌ様のお相手のようです。内々に聞いてはいましたが…露わにしてしまっていいのでしょうか。この手の秘密は知っている者が多くなればなるほど危険でしょうに。

「ラフォン侯爵家の皆様には、とても申し訳ないと思っております」
「いえ、レアンドルの身を守って頂くためと聞いておりますので、そのようなお気遣いは不要です」
「それはそうですが、大切な嫡男をこんな形で奪う事になってしまいました。その事をどうしても一言、直接謝りたかったのです」
「それは…どうか頭をお上げください」

 そう言って頭を下げられるセレスティーヌ様でしたが、私達は慌ててしまいました。大国の次期女王が簡単に頭を下げるなど、あってはならない事だからです。でも…そのお陰でセレスティーヌ様の印象は随分変わりました。殿下もきっと、好きな方とご自身のお心に誠実でありたいのでしょう。王族としては褒められた事ではないのでしょうが、私も政略結婚なんて…とずっと思っていたので、そのお気持ちは痛いくらいにわかります。

「王太子殿下、我が家は心から思う相手としか結婚しない主義です。ですから殿下のお気持ちはわかるつもりです。この秘密はここにいる者は決して口外致しませんから、そのようにお気にされる事は何もございません」
「侯爵、ありがとうございます。私の力をかけてレアンドル様をお守りするとお約束致します。勿論、レアンドル様の恋も応援するつもりですわ」
「え?」
「まぁ…」

 セレスティーヌ様の言葉に、私とお母様は思わず声が漏れてしまいましたが…やっぱり恋人がいると言うのは本当ですのね。ただ、それをセレスティーヌ様もご存じだとは思いませんでした。いくら偽装結婚とは言え、お兄様が他に想う方がいるとはっきり言ってしまって、大丈夫なのでしょうか…



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