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婚約破棄?もちろん王子有責です
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夜会から一夜明けた翌日、我が家に王家からの使者が訪れました。クラウス王子の一方的な婚約破棄への謝罪と、婚約破棄を受け入れてくれるようにとの懇願でしたわ。こんな手紙を出さなければならないなんて、王家も大変ですわね。
「やはり陛下はクラウス王子には甘いのですね」
「まぁ、その甘さのせいで馬鹿に育ったんだがな」
「でもいいじゃありませんか。マイヤー侯爵家で引き取って下さると言うのですから」
お母様はにこやかにそう仰いました。確かにあの不良債権を引き取って下さると言うのです。ここは熨斗を付けた上に、ネギや鍋も一緒に差し上げたいところですわ。
「だが、何の瑕疵もないアルーシャが破棄されるのは我慢ならん。婚約破棄はこちら側がするのが条件だ。あと慰謝料もだ」
「ええ、当然ですわ」
お父様もお母様もやる気満々ですわね。この場合は殺る気とも言えましょう。縁が切れるのは大歓迎ですが、こちらが有責など絶対に認められませんからね。
その後、何度か王家とのやり取りが繰り返されて、こちらから破棄すると言う形で婚約はなくなりました。クラウス王子が抵抗したとも聞きますが、宰相をはじめとする重鎮も我が家を支持したので、陛下としては我が家の要求を呑むしかなかったようです。
まぁ、他家にとってもあんな勝手がまかり通っては、いつ何時自分が被害に遭うかもわかりません。貴族は契約を重視しますし婚約だってその一つなのですから、当然と言えば当然です。悪しき前例を作らないためにも、ここは王子有責一択なのです。
婚約時に交わした契約通り、王家からは多額の慰謝料を頂きました。その中には王家所有の鉱山も含まれていて、我が家としてはそれが手に入っただけでも御の字です。
ついでにマイヤー侯爵家にも慰謝料を請求しました。婚約者がいる身で、私という婚約者がいるのを知っていながらクラウス王子と恋仲になったのです。これは貴族社会では致命的な違反行為なので、それに対して責任を取るのは当然ですわ。
「それで…次の婚約は…」
「ああ。一応陛下はリートミュラーの令息を…と仰っていたが…アルーシャが嫌なら断ってもいい。既にほら…こんなに釣書が届いているし」
お父様が指さした先には、テーブルに山積みになった書類―釣書の山でした。これ全て、私との婚約を希望する令息たちからのものです。中々に凄い景色ですわね。
でも、これも当然と言えましょう。だってほら、私って美人ですし、家は国内で三番目に力のある公爵家なのです。そこに婿入りしたいと願う男性はいくらでもいるでしょう。昨日の今日でこれですから、これからもっと釣書が届くのでしょうね。
それから一週間後、釣書は更に数を増やしていましたが…
「アルーシャが気になる方はいたかしら?」
「お母様…そうですわね、これといって特筆すべき方は特には…」
「そう…」
残念ながらこの年で残っている有望な方っていないのですよね。優秀な方ほど小さい頃に相手が決まってしまいますから。婚約者を捨てて…なんて男性は論外ですし…
「お父様、一度リートミュラー令息にお会いしてみたいと思いますの」
「アルーシャ…だが…」
「だって、条件だけ見てもリートミュラーのご子息以上の方がいらっしゃらないわ」
「しかし…」
「彼が問題なのは外見だけでしょう?だったら改善の余地はあるのではないかしら?」
「うむ…」
お父様は渋っていますが、これはきっと王家の言いなりになるのが腹立たしいからでしょうね。でも、現時点で最も好条件なのがリートミュラーの令息なのです。彼が問題視されるのはその外見です。でも、肥満は食事や運動、生活習慣でいくらでも改善出来るのではないえしょうか。
それよりも重要なのはその能力と魔力です。膨大な魔力と魔術の腕、そして魔術への探求心は捨てがたいのですよね。魔力は遺伝しますし、北の要でもある我が家に有能な魔術師が手に入れば領地は一層安泰です。あの身に纏っていた術式だけでも、彼がいかに優秀かがはっきりしていますわ。
「わかった。一度会う機会を作ろう」
「お父様、ありがとうございます」
さぁ、噂の白豚令息様がどのような方なのか、ちょっと楽しみになってきましたわ。
「やはり陛下はクラウス王子には甘いのですね」
「まぁ、その甘さのせいで馬鹿に育ったんだがな」
「でもいいじゃありませんか。マイヤー侯爵家で引き取って下さると言うのですから」
お母様はにこやかにそう仰いました。確かにあの不良債権を引き取って下さると言うのです。ここは熨斗を付けた上に、ネギや鍋も一緒に差し上げたいところですわ。
「だが、何の瑕疵もないアルーシャが破棄されるのは我慢ならん。婚約破棄はこちら側がするのが条件だ。あと慰謝料もだ」
「ええ、当然ですわ」
お父様もお母様もやる気満々ですわね。この場合は殺る気とも言えましょう。縁が切れるのは大歓迎ですが、こちらが有責など絶対に認められませんからね。
その後、何度か王家とのやり取りが繰り返されて、こちらから破棄すると言う形で婚約はなくなりました。クラウス王子が抵抗したとも聞きますが、宰相をはじめとする重鎮も我が家を支持したので、陛下としては我が家の要求を呑むしかなかったようです。
まぁ、他家にとってもあんな勝手がまかり通っては、いつ何時自分が被害に遭うかもわかりません。貴族は契約を重視しますし婚約だってその一つなのですから、当然と言えば当然です。悪しき前例を作らないためにも、ここは王子有責一択なのです。
婚約時に交わした契約通り、王家からは多額の慰謝料を頂きました。その中には王家所有の鉱山も含まれていて、我が家としてはそれが手に入っただけでも御の字です。
ついでにマイヤー侯爵家にも慰謝料を請求しました。婚約者がいる身で、私という婚約者がいるのを知っていながらクラウス王子と恋仲になったのです。これは貴族社会では致命的な違反行為なので、それに対して責任を取るのは当然ですわ。
「それで…次の婚約は…」
「ああ。一応陛下はリートミュラーの令息を…と仰っていたが…アルーシャが嫌なら断ってもいい。既にほら…こんなに釣書が届いているし」
お父様が指さした先には、テーブルに山積みになった書類―釣書の山でした。これ全て、私との婚約を希望する令息たちからのものです。中々に凄い景色ですわね。
でも、これも当然と言えましょう。だってほら、私って美人ですし、家は国内で三番目に力のある公爵家なのです。そこに婿入りしたいと願う男性はいくらでもいるでしょう。昨日の今日でこれですから、これからもっと釣書が届くのでしょうね。
それから一週間後、釣書は更に数を増やしていましたが…
「アルーシャが気になる方はいたかしら?」
「お母様…そうですわね、これといって特筆すべき方は特には…」
「そう…」
残念ながらこの年で残っている有望な方っていないのですよね。優秀な方ほど小さい頃に相手が決まってしまいますから。婚約者を捨てて…なんて男性は論外ですし…
「お父様、一度リートミュラー令息にお会いしてみたいと思いますの」
「アルーシャ…だが…」
「だって、条件だけ見てもリートミュラーのご子息以上の方がいらっしゃらないわ」
「しかし…」
「彼が問題なのは外見だけでしょう?だったら改善の余地はあるのではないかしら?」
「うむ…」
お父様は渋っていますが、これはきっと王家の言いなりになるのが腹立たしいからでしょうね。でも、現時点で最も好条件なのがリートミュラーの令息なのです。彼が問題視されるのはその外見です。でも、肥満は食事や運動、生活習慣でいくらでも改善出来るのではないえしょうか。
それよりも重要なのはその能力と魔力です。膨大な魔力と魔術の腕、そして魔術への探求心は捨てがたいのですよね。魔力は遺伝しますし、北の要でもある我が家に有能な魔術師が手に入れば領地は一層安泰です。あの身に纏っていた術式だけでも、彼がいかに優秀かがはっきりしていますわ。
「わかった。一度会う機会を作ろう」
「お父様、ありがとうございます」
さぁ、噂の白豚令息様がどのような方なのか、ちょっと楽しみになってきましたわ。
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