35 / 85
連載
結婚式と披露宴
しおりを挟む
事前にトラブルがありましたが、結婚式は予定通りの開始となりました。私はあの後ベールを被り、控え室からジーク様のエスコートで移動しました。
ベールを被ると周囲はかすかに見える程度で、足元くらいしか見えなくて歩くのもなかなか大変です。裾が長く重いドレスも慣れないせいか、私の緊張を増す材料にしかなりません。もう、早くも心臓はダッシュして走った直後のようで、心なしか手が震えている様な気もします。
思えば私が夜会にでたのは二度だけですが、あの時はラルセンの方が中心でした。他国の来賓を迎えて、この様な華やかな国事は初めてなので、失敗しないかと神経が焼き切れそうです。結婚式という幸せなはずのイベントも、こうなると緊張しかありません。
それでも…ベールの存在と、ジーク様の何度も労わるような、励ます様な言葉のお陰で、何とか竦む足を前に進める事が出来ました。
会場に入ると、割れんばかりの拍手で迎えられました。これは…ベールで周りが見えないのは幸いだったようです。もし見えていたら、私はこの先に進む事が出来なかったように思います。人の圧に怯みそうになった私でしたが、ジーク様がキュッと少し強めに手を握って下さったお陰で、何とか逃げ出さずに済みました。きっとジーク様はこの様な場も慣れていらっしゃるのでしょうね。元より動揺する事などないように見えるので、その強さが少し羨ましく思いました。
式の流れは事前に何度も侍女さん達から説明を受けていたのもあり、特に戸惑う事なく終わりました。ベールのせいで周りの様子がわからなかったのは残念ではありましたが…そのお陰で怖気づかずに済んだように思います。
式は幸いにも滞りなく終わりました。結婚式自体は儀式中心で、厳かに淡々と進んでいく感じでした。他国の方々と会話する様な場面もなかったので、転ばない限り失敗する様な要素もありませんでしたが…
長くはなかった式でしたが、終わった頃には緊張の連続ですっかり疲れ切っていました。いえ、まだこの後には披露宴もあるのですが…
ジーク様にエスコートされたまま控室に戻ると、ジーク様達は来賓たちとの挨拶があるとかで部屋を出ていかれました。今はラウラやベルタさん、侍女さんと護衛の騎士とルーベルト様が残りました。
男性陣に一旦部屋を出て貰った私は、ウエディングドレスから普段用のドレスに着替えました。まだ披露宴で着るので皺になるのを防ぐためです。着たままではソファにも座れませんからね。披露宴は同じ清翠の間で行いますが準備もあるので、それまでの時間は私にとっては貴重な休憩時間です。
「式だけだけど、終わったわ…」
「エリサ様、お疲れさまでした」
着替えた私は、身体が重いと感じながら身をソファに沈めました。このままソファに倒れ込みたい誘惑に駆られますが、髪が崩れるのでそういうわけにもいきませんわね。でも、ずっと立っていたせいで足にかなりきているので、今は座れただけでも幸せを感じました。
「さ、エリサ様、まずは軽食をどうぞ」
「今のうちに少しでも食べておいてくださいね」
そう言って侍女さん達が、簡単に食べられる食事や焼き菓子を持って来てくれました。式の前は緊張のし過ぎで全く食欲がなかったのに、少し気が抜けたせいか身体がお腹が空いているのを思い出しました。現金な自分の身体にビックリです。それでもさすがにたくさん食べる気にはなれませんでしたが。私は準備してくれたパンや焼き菓子、果物などを頂きました。
「まだ披露宴があるのよね…」
「そうですね。でも、最初だけですからもう少し頑張ってください」
式だけでも十分に大変だった私は、この後の披露宴を思って気が重くなりました。他国の王族や大使がいらっしゃる場に出るのは、まだまだ慣れそうもありません。幸いなのは披露宴は最初の部分だけ出ればいいと言われている事です。
これはラルセン王の妃は番で、王が番を人前に出したがらないためなので、私もそれに準じたのです。番だと公表していませんが、獣人の方は匂いというかオーラでわかってしまいますから。誰もそこに言及しないのでしょうか?まぁ、その辺は宰相様がうまく情報統制をしていそうな気がしますね。
そうこうしている間に、再び披露宴のための準備が始まりました。あのウエディングドレスを着て、今度は先ほどよりも少し生地が薄いベールを被ります。こちらは前は胸元までと先ほどのものより短く、視界も随分と明るいです。それでも相手からは顔ははっきり見えないのだそうです。私は別に顔を出しても気にならないのですが、ジーク様が気にするらしいので仕方ありませんね。それにこれがラルセン風なので、次に王妃様になる方のためにも、余計な前例は作らない方がいいのでしょう。
ジーク様が戻ってこられたのは、披露宴が始まる少し前でした。こんな時までお忙しいなんて…と思いますが、さすがに各国の王族の方々を無下にするわけにもいかないようです。連日お忙しかったので体調は大丈夫なのかと心配になりましたが…竜人の体力では全然問題ないそうです。だったらいいのですが…式が終わったらゆっくりして頂きたいですわね。私も休みたいですが…
「エリサ、少しいいだろうか?」
「え?ええ、構いませんが、何か問題でも?」
戻ってこられたジーク様が、着替えを終えた私に声を掛けられました。どうなさったのでしょうか…
「直ぐにわかる事だが…」
そう言ってジーク様は、式の後で部屋を出られた後の事をお話しくださいました。ジーク様は宰相様と一緒に、とある人物と会っていたそうです。その人物は先ほどの式には出席しませんでしたが、この後の披露宴には出て下さるとの事。
ただ…騒ぎになるかもしれないからと、先に教えて下さったのです。その相手は私にも想定外の方で、この場に来るとは全く思っていなかったので、驚きを通り越して何だか現実ではない様な気すらします。いえ、何の目的でやって来たのかがわからないので不安しかないのですが…
「その…何か問題が起きる可能性は…」
「ないとは言い切れないが、向こうに害意がないと私は感じた。ただ…そうは言ってもこれまでの事もあるだけに、信用は出来ぬ。私もあなたの側をを離れるつもりはないし、警備も厳重にしているが…一応警戒はしていて欲しい」
「わかりましたわ」
朝の事もまだ解決していませんし、あの人が何を目的に来たのかも…正直何とも言えません。どちらにしても何か起きるとの前提でいるくらいの方がいいかもしれませんわね。
そう言えば朝の火矢の件は騎士の方々が調べているそうですが、どうなっているのでしょうか…披露宴が終わったらどうなっているのか、わかる事だけでも聞いてみたいですね。
会場への入場は、今回も最後でした。ドアが開き足を踏み出すと、再び割れるような拍手で迎えられました。先ほどは緊張して周りの様子を気にする余裕もありませんでしたが…今回は少しだけ目を向ける事が出来ました。ベールが薄いのもあるのでしょうね。さっきよりは周りがよく見えて、ああ、こんな感じだったのね…と感慨深かったです。
望まれない妃としてやってきただけに、こんなにも拍手を受け歓迎されている今が不思議な感じです。色々と思うところはありましたが…やはり歓迎されるのは気持ちがいいものですわね。今まで歓迎されない人生だっただけに戸惑いも感じますが、前とは違って心が温かくなります。
陛下に続いて壇上に上がると、その場にいた参加者の皆さんから再び盛大な拍手が降り注ぎました。ベール越しですが、会場内は着飾った方々で溢れかえり、華やかという言葉だけでは足りないほどです。国を挙げてのパーティーなので仕方ありませんが、その熱気が見えない壁のようになって押し寄せてくるような気さえします。
一通り祝辞などが終わった後は、各国の王族や大使、貴族や高官から挨拶を受けます。これが私の披露宴に出席した理由で、これが終わればお役御免なのですが…この会場にいる全員となればどれくらいかかるのかと、気が遠くなりそうですわ。
そして、最初に挨拶に現れたのは、この結婚のもう一方の当事者でもある、マルダーンの王族でした。しかし、そこにいたのは…
「…どうして…」
異母兄と共にいたのはカミラと、母国にいる筈の父王、そして王妃でした。いえ、父王と王妃が来た事は、先ほどジーク様から聞きましたが、カミラはジーク様から式への出席を断られていた筈なのに…
しかも驚く事にカミラは、青銀色のトップと金色のスカートという、ジーク様色のドレスを着ていました。昼間から着るにはいささか疑問のある胸元の開いたドレスを身に着け、満面の笑みを浮かべています。思いがけないカミラの姿に、私は嫌な予感がするのを止める事が出来ませんでした。
ベールを被ると周囲はかすかに見える程度で、足元くらいしか見えなくて歩くのもなかなか大変です。裾が長く重いドレスも慣れないせいか、私の緊張を増す材料にしかなりません。もう、早くも心臓はダッシュして走った直後のようで、心なしか手が震えている様な気もします。
思えば私が夜会にでたのは二度だけですが、あの時はラルセンの方が中心でした。他国の来賓を迎えて、この様な華やかな国事は初めてなので、失敗しないかと神経が焼き切れそうです。結婚式という幸せなはずのイベントも、こうなると緊張しかありません。
それでも…ベールの存在と、ジーク様の何度も労わるような、励ます様な言葉のお陰で、何とか竦む足を前に進める事が出来ました。
会場に入ると、割れんばかりの拍手で迎えられました。これは…ベールで周りが見えないのは幸いだったようです。もし見えていたら、私はこの先に進む事が出来なかったように思います。人の圧に怯みそうになった私でしたが、ジーク様がキュッと少し強めに手を握って下さったお陰で、何とか逃げ出さずに済みました。きっとジーク様はこの様な場も慣れていらっしゃるのでしょうね。元より動揺する事などないように見えるので、その強さが少し羨ましく思いました。
式の流れは事前に何度も侍女さん達から説明を受けていたのもあり、特に戸惑う事なく終わりました。ベールのせいで周りの様子がわからなかったのは残念ではありましたが…そのお陰で怖気づかずに済んだように思います。
式は幸いにも滞りなく終わりました。結婚式自体は儀式中心で、厳かに淡々と進んでいく感じでした。他国の方々と会話する様な場面もなかったので、転ばない限り失敗する様な要素もありませんでしたが…
長くはなかった式でしたが、終わった頃には緊張の連続ですっかり疲れ切っていました。いえ、まだこの後には披露宴もあるのですが…
ジーク様にエスコートされたまま控室に戻ると、ジーク様達は来賓たちとの挨拶があるとかで部屋を出ていかれました。今はラウラやベルタさん、侍女さんと護衛の騎士とルーベルト様が残りました。
男性陣に一旦部屋を出て貰った私は、ウエディングドレスから普段用のドレスに着替えました。まだ披露宴で着るので皺になるのを防ぐためです。着たままではソファにも座れませんからね。披露宴は同じ清翠の間で行いますが準備もあるので、それまでの時間は私にとっては貴重な休憩時間です。
「式だけだけど、終わったわ…」
「エリサ様、お疲れさまでした」
着替えた私は、身体が重いと感じながら身をソファに沈めました。このままソファに倒れ込みたい誘惑に駆られますが、髪が崩れるのでそういうわけにもいきませんわね。でも、ずっと立っていたせいで足にかなりきているので、今は座れただけでも幸せを感じました。
「さ、エリサ様、まずは軽食をどうぞ」
「今のうちに少しでも食べておいてくださいね」
そう言って侍女さん達が、簡単に食べられる食事や焼き菓子を持って来てくれました。式の前は緊張のし過ぎで全く食欲がなかったのに、少し気が抜けたせいか身体がお腹が空いているのを思い出しました。現金な自分の身体にビックリです。それでもさすがにたくさん食べる気にはなれませんでしたが。私は準備してくれたパンや焼き菓子、果物などを頂きました。
「まだ披露宴があるのよね…」
「そうですね。でも、最初だけですからもう少し頑張ってください」
式だけでも十分に大変だった私は、この後の披露宴を思って気が重くなりました。他国の王族や大使がいらっしゃる場に出るのは、まだまだ慣れそうもありません。幸いなのは披露宴は最初の部分だけ出ればいいと言われている事です。
これはラルセン王の妃は番で、王が番を人前に出したがらないためなので、私もそれに準じたのです。番だと公表していませんが、獣人の方は匂いというかオーラでわかってしまいますから。誰もそこに言及しないのでしょうか?まぁ、その辺は宰相様がうまく情報統制をしていそうな気がしますね。
そうこうしている間に、再び披露宴のための準備が始まりました。あのウエディングドレスを着て、今度は先ほどよりも少し生地が薄いベールを被ります。こちらは前は胸元までと先ほどのものより短く、視界も随分と明るいです。それでも相手からは顔ははっきり見えないのだそうです。私は別に顔を出しても気にならないのですが、ジーク様が気にするらしいので仕方ありませんね。それにこれがラルセン風なので、次に王妃様になる方のためにも、余計な前例は作らない方がいいのでしょう。
ジーク様が戻ってこられたのは、披露宴が始まる少し前でした。こんな時までお忙しいなんて…と思いますが、さすがに各国の王族の方々を無下にするわけにもいかないようです。連日お忙しかったので体調は大丈夫なのかと心配になりましたが…竜人の体力では全然問題ないそうです。だったらいいのですが…式が終わったらゆっくりして頂きたいですわね。私も休みたいですが…
「エリサ、少しいいだろうか?」
「え?ええ、構いませんが、何か問題でも?」
戻ってこられたジーク様が、着替えを終えた私に声を掛けられました。どうなさったのでしょうか…
「直ぐにわかる事だが…」
そう言ってジーク様は、式の後で部屋を出られた後の事をお話しくださいました。ジーク様は宰相様と一緒に、とある人物と会っていたそうです。その人物は先ほどの式には出席しませんでしたが、この後の披露宴には出て下さるとの事。
ただ…騒ぎになるかもしれないからと、先に教えて下さったのです。その相手は私にも想定外の方で、この場に来るとは全く思っていなかったので、驚きを通り越して何だか現実ではない様な気すらします。いえ、何の目的でやって来たのかがわからないので不安しかないのですが…
「その…何か問題が起きる可能性は…」
「ないとは言い切れないが、向こうに害意がないと私は感じた。ただ…そうは言ってもこれまでの事もあるだけに、信用は出来ぬ。私もあなたの側をを離れるつもりはないし、警備も厳重にしているが…一応警戒はしていて欲しい」
「わかりましたわ」
朝の事もまだ解決していませんし、あの人が何を目的に来たのかも…正直何とも言えません。どちらにしても何か起きるとの前提でいるくらいの方がいいかもしれませんわね。
そう言えば朝の火矢の件は騎士の方々が調べているそうですが、どうなっているのでしょうか…披露宴が終わったらどうなっているのか、わかる事だけでも聞いてみたいですね。
会場への入場は、今回も最後でした。ドアが開き足を踏み出すと、再び割れるような拍手で迎えられました。先ほどは緊張して周りの様子を気にする余裕もありませんでしたが…今回は少しだけ目を向ける事が出来ました。ベールが薄いのもあるのでしょうね。さっきよりは周りがよく見えて、ああ、こんな感じだったのね…と感慨深かったです。
望まれない妃としてやってきただけに、こんなにも拍手を受け歓迎されている今が不思議な感じです。色々と思うところはありましたが…やはり歓迎されるのは気持ちがいいものですわね。今まで歓迎されない人生だっただけに戸惑いも感じますが、前とは違って心が温かくなります。
陛下に続いて壇上に上がると、その場にいた参加者の皆さんから再び盛大な拍手が降り注ぎました。ベール越しですが、会場内は着飾った方々で溢れかえり、華やかという言葉だけでは足りないほどです。国を挙げてのパーティーなので仕方ありませんが、その熱気が見えない壁のようになって押し寄せてくるような気さえします。
一通り祝辞などが終わった後は、各国の王族や大使、貴族や高官から挨拶を受けます。これが私の披露宴に出席した理由で、これが終わればお役御免なのですが…この会場にいる全員となればどれくらいかかるのかと、気が遠くなりそうですわ。
そして、最初に挨拶に現れたのは、この結婚のもう一方の当事者でもある、マルダーンの王族でした。しかし、そこにいたのは…
「…どうして…」
異母兄と共にいたのはカミラと、母国にいる筈の父王、そして王妃でした。いえ、父王と王妃が来た事は、先ほどジーク様から聞きましたが、カミラはジーク様から式への出席を断られていた筈なのに…
しかも驚く事にカミラは、青銀色のトップと金色のスカートという、ジーク様色のドレスを着ていました。昼間から着るにはいささか疑問のある胸元の開いたドレスを身に着け、満面の笑みを浮かべています。思いがけないカミラの姿に、私は嫌な予感がするのを止める事が出来ませんでした。
133
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。