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親友に相談しました
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あの朝チュンから十日ほど経った頃、私は自分の部屋にクラリスを招いて、二人で女子会という名の飲み会をしていた。明日は二人とも非番だから、彼女は泊まっていく予定だ。
職場も寮も変わったせいで最近会えずにいたから、こうして会うのは随分久しぶりだ。私が会いたかったのは、あの天敵の事を相談したかったからだ。
あれ以来、天敵からのアプローチが始まって、私はそれに対処するために無駄に神経をすり減らす日々に陥っていた。どう考えても釣り合わないし、今更結婚しようなんて思えない。一生仕事に生きると決心した誓いは、そう簡単には覆す事など出来ない。女にだって誰に何と言われても譲れないものがある。
第一、私は奴を天敵認定している。そんな相手と致してしまったのは一生の不覚だけど、記憶がないので私の中ではノーカンだ。そりゃあ純潔は失ったけど、元より結婚する気がないから問題はない。子供が出来たら困るけど…あの後、来るものが来たので最悪の事態は免れた。だったらこのままなかった事にしたい。
それに私がプロポーズされたなんて知られたら、どんな嫌がらせが待っているか…想像するだけで怖いし、無事でいられる自信がなかった。今だって嫌がらせの手紙が届くのだ。
どうしたら奴を回避出来るかと悩んだ私だったけれど、仕事と違って全く解決策が思いつかなかった私は、クラリスに相談する事にしたのだ。
「はぁあ?プロポーズされたぁ?!!」
「クラリス、声が大きい!」
食事を終えていい感じで酒が進んだ頃、私はクラリスにこれまでの経緯を話したけれど…彼女も想定外だったらしく、暫く呆然としていた。
「…はぁ。よりにもよって、彼がねぇ…」
そう言ってクラリスはしみじみと言った風に私を眺めた。
「それで、どうする気なの?」
「どうするもこうするも…断っているのに納得してくれないから相談してるのよ」
「意外ねぇ。彼、アリソン様と婚約するって噂もあるのに」
「ええっ?あの王女殿下と?」
そんな噂があったのか…驚きしかなかった。いや、あれだけ好条件の詰め合わせなのだ、当然と言えば当然かもしれない。では、そんな彼が私に求婚しているのって…
「もしかして…王女殿下との婚約が嫌で私をダシに?」
恐ろしくて考えたくもないが、王女殿下との縁談を断るために使われたのだろうか?そんな事をして王族から恨まれるのは私なんだけど…
「その話があるのは確かよ。ただアリソン様はまだ十六歳で今は学業に専念したいと仰るから、話は進んでいないのよね」
「そうなんだ…」
「実は王弟殿下のご子息も、アリソン様に求婚なさっているの。でもその方の事はよく思っていらっしゃらなくて」
そう言えば王弟殿下は野心家で、王位を狙っていると噂されている。その息子は王族の証の紫の瞳を受け継いでいないから、王位には就けない。紫瞳を持つ王女殿下を妻に迎え、紫瞳を持った子を王に…と考えているのだろうか…
「こうなるとちょっと面倒な事になるわね」
「…もう十分に面倒よ…」
なんて事だ、本当に王女殿下との婚約回避のために利用されているのだろうか…でも、王女殿下だって王弟殿下の息子よりも奴の方がいいだろう。色々釣り合うんだから殿下と婚約すればいいのに、と思う。
(はぁ…もう、どうしたらいいの…)
相談しても答えが見つからないどころか、益々厄介な事になっている事を自覚するばかりだった。王女殿下が相手では、下手に動く事すら出来ないではないか…それでなくても最近脅迫の手紙の中身が過激になっているのに…私は得体の知れない何かに真綿で締め付けられるような息苦しさを感じた。
職場も寮も変わったせいで最近会えずにいたから、こうして会うのは随分久しぶりだ。私が会いたかったのは、あの天敵の事を相談したかったからだ。
あれ以来、天敵からのアプローチが始まって、私はそれに対処するために無駄に神経をすり減らす日々に陥っていた。どう考えても釣り合わないし、今更結婚しようなんて思えない。一生仕事に生きると決心した誓いは、そう簡単には覆す事など出来ない。女にだって誰に何と言われても譲れないものがある。
第一、私は奴を天敵認定している。そんな相手と致してしまったのは一生の不覚だけど、記憶がないので私の中ではノーカンだ。そりゃあ純潔は失ったけど、元より結婚する気がないから問題はない。子供が出来たら困るけど…あの後、来るものが来たので最悪の事態は免れた。だったらこのままなかった事にしたい。
それに私がプロポーズされたなんて知られたら、どんな嫌がらせが待っているか…想像するだけで怖いし、無事でいられる自信がなかった。今だって嫌がらせの手紙が届くのだ。
どうしたら奴を回避出来るかと悩んだ私だったけれど、仕事と違って全く解決策が思いつかなかった私は、クラリスに相談する事にしたのだ。
「はぁあ?プロポーズされたぁ?!!」
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食事を終えていい感じで酒が進んだ頃、私はクラリスにこれまでの経緯を話したけれど…彼女も想定外だったらしく、暫く呆然としていた。
「…はぁ。よりにもよって、彼がねぇ…」
そう言ってクラリスはしみじみと言った風に私を眺めた。
「それで、どうする気なの?」
「どうするもこうするも…断っているのに納得してくれないから相談してるのよ」
「意外ねぇ。彼、アリソン様と婚約するって噂もあるのに」
「ええっ?あの王女殿下と?」
そんな噂があったのか…驚きしかなかった。いや、あれだけ好条件の詰め合わせなのだ、当然と言えば当然かもしれない。では、そんな彼が私に求婚しているのって…
「もしかして…王女殿下との婚約が嫌で私をダシに?」
恐ろしくて考えたくもないが、王女殿下との縁談を断るために使われたのだろうか?そんな事をして王族から恨まれるのは私なんだけど…
「その話があるのは確かよ。ただアリソン様はまだ十六歳で今は学業に専念したいと仰るから、話は進んでいないのよね」
「そうなんだ…」
「実は王弟殿下のご子息も、アリソン様に求婚なさっているの。でもその方の事はよく思っていらっしゃらなくて」
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「…もう十分に面倒よ…」
なんて事だ、本当に王女殿下との婚約回避のために利用されているのだろうか…でも、王女殿下だって王弟殿下の息子よりも奴の方がいいだろう。色々釣り合うんだから殿下と婚約すればいいのに、と思う。
(はぁ…もう、どうしたらいいの…)
相談しても答えが見つからないどころか、益々厄介な事になっている事を自覚するばかりだった。王女殿下が相手では、下手に動く事すら出来ないではないか…それでなくても最近脅迫の手紙の中身が過激になっているのに…私は得体の知れない何かに真綿で締め付けられるような息苦しさを感じた。
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