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自業自得
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(…眠れなかった…)
翌朝の目覚めは最悪だった。元から寝つきが悪いし、考えると眠れない性質だからこうなる予感はあったけれど、案の定殆ど眠れなかった。気が付けば色々な自分のやらかしの記憶が芋づる式に蘇ってきて、余計に眠れなくなってしまったのだ。恥ずかしくて死にたいと思ったのは、生まれて初めてかもしれない。
既に謝る時期は過ぎているだろうし、彼も謝って欲しいなどと思っていないだろう。だからこそ昨日、私にはっきりと気付いていたと突きつけたのだ、と思う。これまではもしかしたら猶予期間だったのかもしれない。
でもそれも、彼の立場なら仕方ないだろう。発端は実に下らないやっかみで、彼には何の瑕疵もないのだ。まさか首席になった事でその後何年も恨まれるなんて思わなかっただろう。私だって彼の立場だったら呆れるし、馬鹿だと思う。その馬鹿は私なのだけれど…
気が重いけれど、朝はやって来るし仕事も待ってはくれない。あまり眠れなかったせいか頭も痛いけれど、これで休む理由になる筈もない。私は重い足取りで職場に向かった。
「お願いがございます」
朝、一通りこの日の予定を確認して手を付ける書類を受け取った後、私はそう切り出した。
「ん?どうかしたか?」
さっきから気になっていたけれど、昨日の態度が嘘のように今の彼は穏やかな表情をしていた。その落差にヒヤッとしたものを感じた。これは…あの一夜の前の態度と同じ?
「…あの…」
予想外のその態度を前に、直ぐには言葉が出てこなかった。完全に一線を引かれたのだろう。昨日までの雑な態度の方が彼の素に近く、あの時の方が距離が近かったのだとこの時になって気が付いた。その事に…ショックを受けている自分がいた…そんな資格などないのに…
「どうしたんだ、ミュッセ嬢。いや、婚約するのだから他人行儀かな。これからはエリアーヌ嬢と呼…」
「その婚約の事で、お話が…」
雑な態度は私が彼の内側に入っていたからで、昨日、とうとう追い出されてしまったのだ。その事実に気付いたら、一層婚約など考えられなかった。
「婚約は…結構です。お気にかけて下さって、ありがとうございます。でも…」
「却下」
「え?」
急に不機嫌な声になって、またその落差に驚いた。何なのよ、一体…そう思うけれど、この情況を生み出したのは自分だから、文句も言えない。
「婚約は絶対だ。殿下の命令だからな」
「でも…」
「他にも色々と計画が進んでいるんだ。婚約はその中の一つ。今更それだけを無しにする事は出来ない。他の計画にも影響が出る」
何がどうなっているのかはわからないけれど、婚約を無しにするのは無理らしい。申し訳ないから取りやめて欲しいと思ったけれど、それも許されないなんて…心苦しくて居た堪れなかった。
「俺が相手では不本意だろうが、これも国のためだと思って我慢して欲しい。すまない」
再び温和な態度に戻った彼に頭を下げられてしまった。違う、そんな事をして欲しかったんじゃない。頭を下げるべきは私で、不本意なのは彼の方だろうに…そう思うのだけど、それを言う事も今の私には許されない気がした。
(自業自得、よね…)
その日も食欲がわかなくて、それでも食べたら胃に重かった。自分がした事が自分に返ってきただけとはいえ、この状況は気まずくて居心地が悪い。これはもう、私が彼に敵意を向けていたのと同じ期間、この状況を甘受するしかないのだろうか…
(早く終わって欲しい…)
甘えだとわかってはいるけれど、こんな事を言える立場じゃないんだけど、殿下の暗殺計画の早期解決を願うばかりだった。
翌朝の目覚めは最悪だった。元から寝つきが悪いし、考えると眠れない性質だからこうなる予感はあったけれど、案の定殆ど眠れなかった。気が付けば色々な自分のやらかしの記憶が芋づる式に蘇ってきて、余計に眠れなくなってしまったのだ。恥ずかしくて死にたいと思ったのは、生まれて初めてかもしれない。
既に謝る時期は過ぎているだろうし、彼も謝って欲しいなどと思っていないだろう。だからこそ昨日、私にはっきりと気付いていたと突きつけたのだ、と思う。これまではもしかしたら猶予期間だったのかもしれない。
でもそれも、彼の立場なら仕方ないだろう。発端は実に下らないやっかみで、彼には何の瑕疵もないのだ。まさか首席になった事でその後何年も恨まれるなんて思わなかっただろう。私だって彼の立場だったら呆れるし、馬鹿だと思う。その馬鹿は私なのだけれど…
気が重いけれど、朝はやって来るし仕事も待ってはくれない。あまり眠れなかったせいか頭も痛いけれど、これで休む理由になる筈もない。私は重い足取りで職場に向かった。
「お願いがございます」
朝、一通りこの日の予定を確認して手を付ける書類を受け取った後、私はそう切り出した。
「ん?どうかしたか?」
さっきから気になっていたけれど、昨日の態度が嘘のように今の彼は穏やかな表情をしていた。その落差にヒヤッとしたものを感じた。これは…あの一夜の前の態度と同じ?
「…あの…」
予想外のその態度を前に、直ぐには言葉が出てこなかった。完全に一線を引かれたのだろう。昨日までの雑な態度の方が彼の素に近く、あの時の方が距離が近かったのだとこの時になって気が付いた。その事に…ショックを受けている自分がいた…そんな資格などないのに…
「どうしたんだ、ミュッセ嬢。いや、婚約するのだから他人行儀かな。これからはエリアーヌ嬢と呼…」
「その婚約の事で、お話が…」
雑な態度は私が彼の内側に入っていたからで、昨日、とうとう追い出されてしまったのだ。その事実に気付いたら、一層婚約など考えられなかった。
「婚約は…結構です。お気にかけて下さって、ありがとうございます。でも…」
「却下」
「え?」
急に不機嫌な声になって、またその落差に驚いた。何なのよ、一体…そう思うけれど、この情況を生み出したのは自分だから、文句も言えない。
「婚約は絶対だ。殿下の命令だからな」
「でも…」
「他にも色々と計画が進んでいるんだ。婚約はその中の一つ。今更それだけを無しにする事は出来ない。他の計画にも影響が出る」
何がどうなっているのかはわからないけれど、婚約を無しにするのは無理らしい。申し訳ないから取りやめて欲しいと思ったけれど、それも許されないなんて…心苦しくて居た堪れなかった。
「俺が相手では不本意だろうが、これも国のためだと思って我慢して欲しい。すまない」
再び温和な態度に戻った彼に頭を下げられてしまった。違う、そんな事をして欲しかったんじゃない。頭を下げるべきは私で、不本意なのは彼の方だろうに…そう思うのだけど、それを言う事も今の私には許されない気がした。
(自業自得、よね…)
その日も食欲がわかなくて、それでも食べたら胃に重かった。自分がした事が自分に返ってきただけとはいえ、この状況は気まずくて居心地が悪い。これはもう、私が彼に敵意を向けていたのと同じ期間、この状況を甘受するしかないのだろうか…
(早く終わって欲しい…)
甘えだとわかってはいるけれど、こんな事を言える立場じゃないんだけど、殿下の暗殺計画の早期解決を願うばかりだった。
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