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目覚めと現状把握
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(疲れた…)
目覚めた私が最初に感じたのは、そんな事だった。物凄く深い眠りだった気がする。夢すらも見なかったし、深い水底まで届くような眠りだったと思うのに、最初に感じたのは言いようのない疲労感だった。
「…っ」
身体を起こすと、全身が筋肉痛になったような痛みと、高熱を出した後のような強烈な倦怠感を感じた。頭も動かないし、ぼ~っとする。辺りを見渡すと、副団長の屋敷の自分の部屋で、窓の外の陽はかなり高い様に思えた。
(え?ち、遅刻っ?)
いつもの条件反射で出勤時間がとうに過ぎたと感じて慌てて跳ね起きたけど…私はそのまま床にへたり込んだ。足に力が入らないし、腰も痛い…そして…今まで感じた事のない痛みが足の間にあった。
(こ、これって…まさか…?)
考えたくないけれど、これはもしかして…思い当たった予感に軽く絶望していると、ドアが開いた。
「エリアーヌ様?」
私がへたり込んだ音を聞きつけたのか、侍女が慌てた様子でやってきた。見知った顔にホッと安堵する自分がいた。
「まだ起き上がらないで下さい。さ、ベッドへ」
侍女に支えられてベッドに戻った私は、そこでようやく事情を聞き、現状を理解した。帰宅途中に馬車の事故に遭った事、替わりの馬車に乗って意識を失った事、廃墟に連れ込まれて襲われそうになった事、そしてジョエルが私を庇って…
「ジョエルは?ねぇ、彼の傷は…」
「エリアーヌ様。今、旦那様に遣いをやりますわ。詳しい事は旦那様にお聞きください」
侍女にそう言われて、私はそれ以上尋ねる事は出来なかった。きっと彼女も詳しい事は知らされていないだろう。幸いにも仕事は休暇申請を出してあると言われてホッとした。無断欠勤は私の信条に反するから。
それから何とか簡単に湯あみをして軽い食事をした後、私は一人でこれまでの事を思い返していた。色んな事があり過ぎてまだ混乱している自分がいた。
アリソン王女殿下の事は驚きしかなかった。彼女がラドン伯の残党と言われていた事、ジョエルに私の純潔を散らした後で地獄を見せるように命じていた事は、全く想定していなかった。彼女はラドン伯の孫との結婚を嫌がっていたから、彼と手を組むなど考えられなかったのだ。
それに、高貴な王女殿下がジョエル達と一緒にいた事もだ。ジョエルは騎士だけど今は平民だし、一緒にいたほかの二人も似たような感じに見えた。更に後で現れた男たちはどう見ても平民の、それも破落戸と呼ばれる質の良くない連中だろう。そんな男たちと一緒にいたなんて、一体彼女に何があったのか…
そしてもう一つ、ジョエルの事もだ。彼が伯爵家の跡取りから外されたのは私への暴言が原因だと聞いていた。だから私の事を恨んでいると、ずっとそう思っていた。そう思わせるくらいには、あの時の彼の言い分は失礼で非常識だったからだ。
なのに彼は私に謝りたいと言っていた。少し前に騎士団の前で会ったけど、何かを言いたげだったようにも思う。それが謝罪だったのだろうか…そして彼はその言葉を証明するように、私を庇ってくれた。その結果は…
(どうして…)
特に親しくもなかったし、私はこの前会うまではその存在すら忘れていた。なのに彼は命がけで私を助けてくれた。先入観で彼が私を恨んでいると思い込んでいた事に、言い知れぬ後悔に襲われた。
思えば副団長の事だって、私は何も知らずに一方的な思い込みで逆恨みしていたのだ。自分が出来た人間だとは思わないけれど、それなりに常識は持っていると思っていた。なのに現実は随分と狭量で思い込みが激しく、そんな自分にこれまでに感じた事のない嫌悪感が湧いた。
(それに…この痛みって…)
考えたくなかったけれど、飲まされた怪しい液体とその後身体に起きた異変、そして心当たりのない普通ならあり得ない場所の痛み。そこから思いつく過程に、私は一層頭を抱えた。
目覚めた私が最初に感じたのは、そんな事だった。物凄く深い眠りだった気がする。夢すらも見なかったし、深い水底まで届くような眠りだったと思うのに、最初に感じたのは言いようのない疲労感だった。
「…っ」
身体を起こすと、全身が筋肉痛になったような痛みと、高熱を出した後のような強烈な倦怠感を感じた。頭も動かないし、ぼ~っとする。辺りを見渡すと、副団長の屋敷の自分の部屋で、窓の外の陽はかなり高い様に思えた。
(え?ち、遅刻っ?)
いつもの条件反射で出勤時間がとうに過ぎたと感じて慌てて跳ね起きたけど…私はそのまま床にへたり込んだ。足に力が入らないし、腰も痛い…そして…今まで感じた事のない痛みが足の間にあった。
(こ、これって…まさか…?)
考えたくないけれど、これはもしかして…思い当たった予感に軽く絶望していると、ドアが開いた。
「エリアーヌ様?」
私がへたり込んだ音を聞きつけたのか、侍女が慌てた様子でやってきた。見知った顔にホッと安堵する自分がいた。
「まだ起き上がらないで下さい。さ、ベッドへ」
侍女に支えられてベッドに戻った私は、そこでようやく事情を聞き、現状を理解した。帰宅途中に馬車の事故に遭った事、替わりの馬車に乗って意識を失った事、廃墟に連れ込まれて襲われそうになった事、そしてジョエルが私を庇って…
「ジョエルは?ねぇ、彼の傷は…」
「エリアーヌ様。今、旦那様に遣いをやりますわ。詳しい事は旦那様にお聞きください」
侍女にそう言われて、私はそれ以上尋ねる事は出来なかった。きっと彼女も詳しい事は知らされていないだろう。幸いにも仕事は休暇申請を出してあると言われてホッとした。無断欠勤は私の信条に反するから。
それから何とか簡単に湯あみをして軽い食事をした後、私は一人でこれまでの事を思い返していた。色んな事があり過ぎてまだ混乱している自分がいた。
アリソン王女殿下の事は驚きしかなかった。彼女がラドン伯の残党と言われていた事、ジョエルに私の純潔を散らした後で地獄を見せるように命じていた事は、全く想定していなかった。彼女はラドン伯の孫との結婚を嫌がっていたから、彼と手を組むなど考えられなかったのだ。
それに、高貴な王女殿下がジョエル達と一緒にいた事もだ。ジョエルは騎士だけど今は平民だし、一緒にいたほかの二人も似たような感じに見えた。更に後で現れた男たちはどう見ても平民の、それも破落戸と呼ばれる質の良くない連中だろう。そんな男たちと一緒にいたなんて、一体彼女に何があったのか…
そしてもう一つ、ジョエルの事もだ。彼が伯爵家の跡取りから外されたのは私への暴言が原因だと聞いていた。だから私の事を恨んでいると、ずっとそう思っていた。そう思わせるくらいには、あの時の彼の言い分は失礼で非常識だったからだ。
なのに彼は私に謝りたいと言っていた。少し前に騎士団の前で会ったけど、何かを言いたげだったようにも思う。それが謝罪だったのだろうか…そして彼はその言葉を証明するように、私を庇ってくれた。その結果は…
(どうして…)
特に親しくもなかったし、私はこの前会うまではその存在すら忘れていた。なのに彼は命がけで私を助けてくれた。先入観で彼が私を恨んでいると思い込んでいた事に、言い知れぬ後悔に襲われた。
思えば副団長の事だって、私は何も知らずに一方的な思い込みで逆恨みしていたのだ。自分が出来た人間だとは思わないけれど、それなりに常識は持っていると思っていた。なのに現実は随分と狭量で思い込みが激しく、そんな自分にこれまでに感じた事のない嫌悪感が湧いた。
(それに…この痛みって…)
考えたくなかったけれど、飲まされた怪しい液体とその後身体に起きた異変、そして心当たりのない普通ならあり得ない場所の痛み。そこから思いつく過程に、私は一層頭を抱えた。
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