異世界親父騒動記

マサカド

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第一章 親父たち追放される

親父たち、スタートの街に向かう

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 朝ご飯を食べながら、親父たちはこれからの事を相談し始めた。
「うむ、諸君。これからどこへ向かう?」
 教授が尋ねた時に事件は起きた。
「やはりここから一番近いスタートの街に向かうのが一番いいでござる」
「「「「」……」」」」
 影以外の親父たちは固まった。
「影。なんだその語尾は?」
 村正が影に尋ねた。
「わからないでござる。朝起きて独り言を言ったら、自然と出たでござる」
「職業が忍者だからじゃないのか?」
「いや、それなら職業が侍の拙者も語尾はござるになるはずだ」
「村正、お前自分ことを拙者と言っていたか?」
「いや、今まで自分の事をわしを言っていたはずだ。どうなっているんだ?」
「うむ、非常に興味深い現象だ。他に異常は無いのかね?」
「自分は大丈夫であります」
「ワシも異常はない」
「拙者も拙者と言う以外大丈夫」
「儂も語尾のござる以外は異常ないでござる」
 奇妙な現象だが、村正と影以外は異常が無いため、話を元に戻すのだった。

「うむ、村正と影の口調はおいておいて、今後の方針としてスタートの街を目指す事でいいかね?」
「それでいいと思う。スタートの街にはゲートと呼ばれる転移施設があるらしいからな」
「村正どの。それは本当でござるか」
「教授。他にも異常はあったみたいだな?」
「うむ、しかし今は転移施設であるゲートについての話を勧めた方がいい。村正それは本当なのか?」
「ああ、役所の書類の中に確かにそう書かれていた」
「具体的にゲートはどこに転移するのかね」
「この国の主な大都市と繋がっているそうだ。もっとも書類も破損が激しかったから、具体的な内容はわからなかった」
「うむ、もしもそのゲートを使って、大都市の図書館に行けば、色々なことがわかるかもしれないな」
「教授。なぜ図書館なんだ」
「簡単だよブドウ。我々はこの世界の事を何も知らない。わかっている事はこの世界は地球に似た地形をしている事と魔法がある事だけだ。この世界で生きるにしても、元の世界に帰るにしても、情報が必要だ」
「確かに、昨晩星を見たが、地球とはまるで星図が違っていたからな」
 軍曹が教授の意見に賛同した。
「軍曹。天体観測が趣味なのでござるか?」
「いや、同僚の趣味に付き合わされて覚えたんだ。北極星もみつからなかったからな。改めて、ここが異世界と言う名の別宇宙だと実感したな」
「うむ、話を元に戻すが、スタートの街に向かうことに決定でいいかね」

 こうして今後の方針は決定された。
 しかし村正から、全員にもう一つの重要な情報がもたらされた。
「教授。スタートの街に行く事は賛成だが、もう一つ情報がある」
「何かね。村正」
「スタートの街で勇者のパレードを行うらしい」
「本当かそれはかね?」
「所々破損していて、日時はわからないが、役所の書類に書かれていたから間違いなにだろう」
「あの学生たちが大丈夫か?」
「ゲームの世界と勘違いしている可能性が高いでごさるな」
「パレードの時、群衆に交じって様子を確認してみよう」
 今後の方針が決まった親父たちはデストロイの街をあとにして、スタートの街を目指すのだった。
 尚、デストロイの街が滅んだ事を国が知るのは、親父たちが旅立った一ヶ月後のことであった。
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