どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第三章 嫌われた王子様と呪われた乞食

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「そういえば、イヴァンを殺していいか訊くのを忘れていた」

 ノアの機嫌もすっかりよくなって、庭で二人話していたときだった。
 すっかり油断していた私は、えっと後退ってしまった。
 それが気に入らなかったらしく、ノアがずいっと体を近付けてくる。

「『カリオストロ』と関係してる。内通者ではなかったみたいだというのは理解できた。本物はもう死んでるんだよね? でも、側にいるのは危険」
「そ、そのことに関しては話し合って解決してるわ」
「解決? どんな風に」
「どんな風にって」
「カルディアには前科があると思うけど。誤魔化されるのは、もうごめんだ」

 この話にはなりたくなかった。ノアに内通者を知らないかと問われたことがある。あのときは誤魔化したが、この反応から察するにノアは私の隠し事を知ってしまっているのだろう。
 口籠もりながら、軽くイヴァンが語った内容を話す。ノアは警戒する猫のように険しい顔をしていた。

「……それは解決ではないと思うけど」
「と、とにかく。私のものは私が責任を持つわ。イヴァンには今のところ酷い目に合わされてはいないし」
「酷い目に遭わされる前に対応しておくものだと思うけど。……カルディア、従者は何人?」

 どうしてそんなことを訊くのだろう。
 訝しみながら、数を数える。
 テウ、トーマ、……それとイヴァン。

「三人」
「そのうち、この間の戦いに参加していない人間はいない? きちんと身元がはっきりしている?」
「全員参加しているわよ。イヴァンだって、作戦に乗ったから音楽会を開いた。身元は……」

 テウは、使用人として育てられていたが、歴とした貴族。
 トーマは、清族。ギスランやダンの血縁だ。
 イヴァンは処刑人の家の生まれ。出自ははっきりしている。

「階級は違うけれど、どいつもはっきりとした出自だわ」
「……そのなかに貧民はいない?」
「いないけれど」

 探るように見つめられる。
 イルやリュウのことを言っているのだろうか。だが、ギスランの剣奴とサガルの従者だ。私のものではない。

「そう。ならば、いい。貧民の出自を辿るのは難しい。『カリオストロ』の人間は、貧民の人間が過半数を占めているようだった。今後、身の回りに置く人間にも気をつけるべきだ」
「イヴァンは貧民の出ではないわよ。イル達は私のものではないし、危害を加えられる心配を、今はしていないわ。……それに」

 貧民の出自を辿るのは難しい、か。出自がはっきりしていないことが危険なのはわかる。だが、貧民のことだけを言われると違うのではないかと思ってしまう。『カリオストロ』の人間の過半数が貧民だったとしても、だからといってそれを理由に警戒しろというのはおかしい。貧民のほとんどは『カリオストロ』になんの関係もないのだろうから。
 疑問は口の中で溶ける。ノアに言ってもどうしてそんなことを言うのと問いかけられるだけだろう。

「イヴァンはとても綺麗な音を奏でるの。美しいピアノを耳にした。あいつはとても優れた音楽家なのだと思う」

 無難に繋げる。ノアは違和感を抱かなかったようで、少し不機嫌そうに頷いた。

「『カリオストロ』はカルディアに危害を加える、反女神主義の集団。カルディアは殺しのリストの頂点にいる。まだ、残党がいる。力をかき集めて抵抗をしてくるかもしれない。いま、この瞬間、力を貯めているかも。イヴァンはこの間は敵じゃなかった。でも、次は? 敵に回るかもしれない」
「脅している?」
「脅さないと、実感しない」

 だから、イヴァンを殺すべきだというのだろうか。あるいは遠ざけるべき?
 従者として使うべきではないのか。
 ……でも、あいつらは私の言うことを一切聞く気がないだろう。
 来るなと言っても気ままに寄ってくるに決まっている。
 どうして、言うことをきかなくては? と首を傾げる。
 三人ともそういう図太さを持った連中だと勝手に思っている。
 だって、そうでなければ私に何も知らせずに戦ったりしない。どこかに隠れてやり過ごせばいいのに。そうはしなかった。

「決して、心を許してはいけない人間に心を開かないで。心を粉々にしても、守るべきものがあると知っていて欲しい。イヴァンを残すのは危険だ」
「心配してくれるのは嬉しいけれど。イヴァンのことは私が責任を持つと言っているでしょう」

 これだ毛は譲れない。だって、私の従者ではなくなった途端、イヴァンは殺されるかもしれない。あいつは『カリオストロ』の一員だったのにも関わらず、この間の戦いで助力していない。『カリオストロ』からして、裏切り者の立場だ。あいつが私の近くのいることで、少しでも『カリオストロ』の奴らの目を欺くべきだろう。
 もどかしそうに口を開いたり、閉じたりして、ノアは結局口を閉ざしてしまった。

「……クロードディオス」
「クロードがどうかした?」

 クロードの名前をノアが口にするのは珍しい。
 ノアとクロードは接点こそあるだろうが、気が合わないのか、あまり、一緒にいるところを見たことがない。
 クロードはあの性格だし、ノアは進んで人と接触するような人間じゃない。
 どうしたのだろうと首を傾げる。

「名前に、違和感を覚えたことは?」
「違和感? ああ、あいつの名前ちょっと変な響きよね」

 きちんと呼ぶとしっくりこないというか。
 クロードディオスという名前自体がどこか仰々しくて、おかしな感じがする。
 無理矢理、言葉をつけたしたよう、と言えばいいだろうか。

「レオン様より、クロードディオスの方が歳が上」
「同年代だと聞いていたけど」
「一歳だけだから。でも、名前には意図がある」
「意図? ああ、父王様が、自分の名前から与えたから」
「名前を与えるというのは、それだけ凄いこと。カルディアはそれを少し軽んじている」
「どんな意味があるっていうのよ」

 ただ、弟の初めての息子に自分の名前を少し分けて祝福を授けた。それ以外に何の意味があるというのだろう。
 父王様と宰相の関係は複雑だが、けれど、仲はそこまで悪くはないらしい。血の繋がった兄弟だからか、たまに夕食を共にすると聞いた。一度も父王様と同じ机で食事をしたことがない私とは比べるまでもないだろう。
 彼らの間には血の繋がった絆がある。
 ノアは不思議そうに私を見つめると、きゅっと眉根を寄せた。

「……この話、頭の片隅に置いておいて」
「名前に意味があるというのは、分かったけれど、いったいどういう意味だっていうのよ」
「きっと、俺が説明すると、情報が歪む。だから、きちんと説明出来る人間がやるべき」

 どういう意味だろう。
 きちんとノアが説明して欲しい。これじゃあ、読みかけの本を取り上げられたみたいだ。先が気になるのに、読ませてくれない。
 気になったものの、そのあといくら問いただしても、ノアは答えなかった。
 悶々とした気持ちを抱いたまま、ノアの後ろ姿を見送ることになってしまった。


「ノア・ゾイデック辺境伯と仲良しなわけぇ?」

 長ったらしいフルネームに嫌味を感じつつ、まあと適当にかえす。
 リュウは気分を害したのか、眉を上げて睥睨してくる。気が付かないふりをして、庭のベンチに寄りかかる。
 レオン兄様が窓から私を見下ろしていた。軽く手を振ると、振り返してくれた。

「元婚約者だからでしょ。でも、一番はギスラン様」

 イルがベンチに手を置きながら、言った。

「は? サガル様は、この女のお兄様なんだけど? 女ったらしの婚約者とは立っている土俵から違うと思うけどぉ?」
「女ったらし? 凄いや、よくもまあそんなことが言えるものだね。そっちの主人は来るもの拒まずの魔性だろ。自覚症状がないなら、重症だね」
「何か言った? ごめん、俺の耳には犬の遠吠えにしか聞こえなくてさあ」
「へえ! 人間の言葉が犬の言葉に聞こえてるの? 耳、大丈夫? この間の戦闘で、壊れちゃったんじゃない?」

 ばちばちと二人の間で火花が散る。
 舌戦は二人の一風変わった親睦の深め方だ。気を揉んで割り込む方が割りを食う。

「――それで、何話してたの?」

 それからしばらく二人で応酬していたが、いきなりこちらに話題が返ってきた。言い合いに飽きたのだろうなと思いながら口を開く。

「気をつけて、とは言われたけれど。……というか聞いてなかったの?」
「近寄らせて貰えなかったので。危害を加えたらすぐに殺せる位置にはいましたけど、声までは聞こえませんでした」
「警戒心ありすぎ。獣を見守ってる感じだった。よくあんたあんなのを相手に出来るよね」

 あんなのって、貴族の一人だぞ。

「加勢して貰えたので一言だけでも言葉を交わせたら、なんて思っていましたけど。案外、典型的なお貴族様って感じですよね、あの人」

 俺達のこと、害虫みたいな目で見てましたよ。
 イルのこぼした言葉に頬を掻く。
 トヴァイスも、ノアも、大四公爵家と並ぶほど力を持っている。ゾイデックは土地柄、階級が暴力に押し潰される。
 力により、権力は腐敗する。だがそれでも領主として君臨している家だ。
 貴族らしい。そんな言葉が相応しいのは当たり前だろう。

「案外って、どう見ても貴族でしょう」
「いや、加勢して下さった時はもっとこう……こっち側に見えたもので」
「こっち側?」
「戦っているのが、当たり前と言うんですかね。死ぬのことが当たり前な感じというか。お貴族様では珍しいんですよね、そういうの。……ゾイデックだと殺し合いって当たり前なんですっけ? マフィアが仕切る街、ちょっと行ってみたいな」

 そういえばイルは王都からあまり出たことがないのだったか。

「あ、でも、姫は駄目です。護衛に気を張って楽しめなさそう」
「……お前ね」
「イルはいいよねえ。のんびりしててさ。俺は絶対に行きたくないけど。厄介ごとに巻き込まれそう」
「確かに、厄介ごとに巻き込まれるのは勘弁して欲しいな」

 そう言いながら、私をちらちら見ないで欲しい。こら、目線が不遜だぞ。

「……そういえば、イルって名前はどういう意味?」
「なんですか、いきなり」
「私、普通の名付けられ方じゃないのよ。だから、他の人の名前の付けられ方ってどんなものかと気になって」
「そういえばカルディア姫はなんか神託が降ったどうたらって聞いたことあるような……。……というか、俺の名前なんて、どんな意味もありませんよ。言葉の羅列です」
「そうなの?」

 そんなに適当な感じで名付けられるものなのだろうか。
 ノアが言っていた感じだともっと深みがありそうだったけれど。
 イルという名前、私は好きだ。こいつに似合っている。呼ぶときにしっくり来て、何度も呼びたくなる。
 ノアの言っていたクロードの名前の意味の参考にならないものか。

「適当に付けた名前なので。昔の男の名前をもじったとかは言ってましたけど」
「男の名前を……」
「でも、本当かどうかは分かりませんよ。リュウはどうなの?」
「俺?」

 我関せずというような態度でいたリュウが面倒臭そうに話を振ったイルを見つめる。

「名前。捨て子だろ、誰につけられた?」
「……ああ、なんだ。そんなに俺のことが気になるわけぇ?」

 ベンチに寄り掛かって、空を見上げながらくだらないとリュウが溢す。

「名前なんてどうでもいいでしょ」
「サガル様に名付けられたとばかり思ってたけど、違うの?」
「違わないけど……」
「じゃあ、嫌いなのか、自分の名前」

 いやとも違うともリュウは言わなかった。ただ、空を見上げている。

「別に。サガル様が名付けて下さったんだから、素晴らしい名前だと思っているけど」
「煮え切れない反応ね」
「リュウって名前、好きだけど。でも、どうしてこの名前なのか、俺は知らない」

 泣き出す前兆のような震えた声だった。
 ちょっとだけ意外だった。なんだか、感傷的だ。リュウはそんな人間ではないと思っていた。

「リュウって、どんな意味があるわけ?」
「……もしかして、不安になったのか? 変な意味だったらどうしようって」
「ば、馬鹿じゃないの!? 俺が不安になるわけない。サガル様のことだから、きっと何か壮大な意味があるに決まってるでしょ!?」

 慌てて始めたリュウを生温い目で見てしまう。
 私やイルのことを聞いて、そういえば自分にはどんな意味があるのだろうと考えてしまったのだろう。
 嫌な意味ではないはず。だが、自分は意味を知らない。悶々としてしまったのか。

「はい、この話はおしまい。……ニヤニヤしないでくれる!? むかつくんだけど!」
「次、サガル様に訊いてみたら?」
「うるさい、顔も声もうるさい」

 苦笑しながら、また言い合いを始めた二人を見守る。
 結局、ノアの言っていたクロードディオスの謎は解けそうにない。
 イルの名前は、昔の男の名前をもじった名前だと言っていた。クロードの境遇と似通っているといえるが、名付けた意味はどうにでも解釈が出来そうだ。イルが言っていた通り、意味なんかないのかもしれないし。
 こういうのは名付けた方に話を訊くべきなのだろう。名付けられた方に訊くのではなく。

 ノアの言葉を思い出す。きちんと説明人間から聞かないと情報が歪みそうだと言っていた。
 それだけ、重大な話、ということなのか。それとも複雑で、立場によってくるくると意味が違ってみえるのか。
 というかきちんと分かっている人間って誰だ。クロードか?
 でも、クロードだって意味を知らないかも。そうだとしたら、宰相か? 
 でも、まず会ってくれないだろうな。クロードに訊くほうが現実的だろう。
 クロードに頼らなければならないかと思うと気持ちが萎える。何か別のことを考えよう。

 そうだ、もし本当にゾイデックに行くとなったら、結婚式が終わったあとだろうか。
 ならば、それまでにギスランを長生きさせるすべを見つけなくてはならない。
 そうしたら、ゆっくりゾイデックに遊びにも行けるだろう。

 ーーでも、本当に見つけられるのだろうか。

 見つけられないと思っているから、レオン兄様の近くで時間を浪費しているのか。クロードの名前のことを考えているのも、現実逃避をしているだけなのではないか。
 心臓を掴まれたような感覚がした。よく分からない焦燥感に駆られて立ち上がる。

「カルディア姫?」
「書斎の本を漁るわ」

 ずんずん進むと、二人が後ろをのったりとついてくる。こっちは急ぎ足をしているのに、ゆっくり足を動かしても私について来れるのはずるいと思う。
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