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九 望遠の楯
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そんなことがあったので僕は梓に、真奈さんが会いたがっているということを伝えた。梓はといえば真奈さんがどういう子なのか以前から興味があったらしく、二つ返事で承諾してくれた。
そして今、梓と真奈さんは僕の部屋で対峙している、というわけだ。
「……梓さん、本当にせんせーが言ってた通りの人なんですね」
「えっ、せんせーって、楓のことだよね? 私のことどんな風に言ってたの?」
梓からの問いかけに、真奈さんは恥ずかしさと悔しさが入り混じった声で、
「……理想の女性だ、って言ってましたよ」
そう答えた。それを聞いて梓の頬が桜の色に染まる。
「か、楓が、そんなこと、言ってたんだ」
「はい。確かにそう言ってましたよ」
そう言うと真奈さんは明らかに負の感情のこもった視線を僕へと向けた。どうしてそのような視線を向けられなければいけないのか。いや、そもそも何故初対面のはずの梓と真奈さんがここまで険悪な雰囲気になっているのか。
「……真奈さん、聞いてもいいかな」
「なに? せんせー」
「……梓に何か、気に入らないところがあるのかな。さっきから、その、どうも気になって」
僕の質問に真奈さんは一瞬考え込んだ後、
「梓さんに気に入らないところなんて一つもないよ。気に入らないとしたら――せんせーの方」
今度ははっきりと、睨みつけられた。
(……どういうことなんだ)
真奈さんに頼まれたからこうして真奈さんと梓が話をする席を設けたのに、何故睨まれなくてはいけないのか。
どうして真奈さんの気分を害したのか、その理由を考えていると、
「――梓さん、私、初対面ですけど、梓さんにはっきり言っておきたいことがあるんです」
真奈さんがそう切り出した。
「え、何、かな?」
「私――せんせーのことが好きです。恋人になりたいって思ってます」
その瞬間、確かに、いや、飽くまで僕の体感でしかないだろうけれど、それでも確かに、時間が止まった。
そして今、梓と真奈さんは僕の部屋で対峙している、というわけだ。
「……梓さん、本当にせんせーが言ってた通りの人なんですね」
「えっ、せんせーって、楓のことだよね? 私のことどんな風に言ってたの?」
梓からの問いかけに、真奈さんは恥ずかしさと悔しさが入り混じった声で、
「……理想の女性だ、って言ってましたよ」
そう答えた。それを聞いて梓の頬が桜の色に染まる。
「か、楓が、そんなこと、言ってたんだ」
「はい。確かにそう言ってましたよ」
そう言うと真奈さんは明らかに負の感情のこもった視線を僕へと向けた。どうしてそのような視線を向けられなければいけないのか。いや、そもそも何故初対面のはずの梓と真奈さんがここまで険悪な雰囲気になっているのか。
「……真奈さん、聞いてもいいかな」
「なに? せんせー」
「……梓に何か、気に入らないところがあるのかな。さっきから、その、どうも気になって」
僕の質問に真奈さんは一瞬考え込んだ後、
「梓さんに気に入らないところなんて一つもないよ。気に入らないとしたら――せんせーの方」
今度ははっきりと、睨みつけられた。
(……どういうことなんだ)
真奈さんに頼まれたからこうして真奈さんと梓が話をする席を設けたのに、何故睨まれなくてはいけないのか。
どうして真奈さんの気分を害したのか、その理由を考えていると、
「――梓さん、私、初対面ですけど、梓さんにはっきり言っておきたいことがあるんです」
真奈さんがそう切り出した。
「え、何、かな?」
「私――せんせーのことが好きです。恋人になりたいって思ってます」
その瞬間、確かに、いや、飽くまで僕の体感でしかないだろうけれど、それでも確かに、時間が止まった。
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