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第八章 そして『二〇二〇年の夏物語』を、僕は描きたいから。
第四十一回 ……前回の補足も含めた追記。
しおりを挟む――と、いうことで、
四畳半の僕の部屋で、前回のエッセイが鮮やかに表示されている僕のNPCの画面を見て梨花が、「もう更新しちゃったの? 話が飛躍してて意味わかんないよ」……と、怒るものだから、僕は急遽、このエピソードを執筆する運びとなった。
その執筆は、梨花も手伝ってくれる。
「お願い」
と、甘えた口調をもって僕は甘える。妹の特権をフル活用する。
卓袱台の上、一台のNPCに向かう僕たちを、『木に上に立って見る』というイメージのように、お母さんは見る。今はもう……見守るといっても過言ではなかった。
そして、暫しの間……
時間にして一時間、ようやく執筆も終盤を迎える。
沈黙……いやいや、聞こえるのは僕の呟き、梨花の呟き……二人合わしても、呼吸ピッタリな、あくまで二人一役の独り言。その末に、またはその果てに、
「……執筆って大変なのね、いつもそんな感じなの?」
と、独り言のようだけど、決してそうではないお母さんの質問に、
「うん、まだスムーズな方だね」
「そうだね、梨花が手伝ってくれたからだよ」
との、二人の会話をもって答えた。
そしてフッと……または「クスッ」と、そのような表現をもって、
「二人とも手伝ってくれるかな? お母さんの初めての執筆……ブラインドタッチもできないし、PCもあまり使い方も知らないけど、いいかな? 千佳、梨花ちゃん……」
と、お母さんは頭を下げる思いで、そう言ったのだ。僕らに……。
もう去年の夏とは違う。違うんだ。今年の夏はきっと、お母さんと、これまでになかった楽しいイベントを、梨花も一緒に、きっときっとエンジョイできる、そう信じる。
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