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第十二章 あの頃の初恋は今、本当の音色を奏でる。
第六十二回 あの日から一年の時を経て、……遂に時来たる。
しおりを挟む――午前の九時!
その距離は近い!
僕のお家は、その待ち合わせ場所のドラッグストアの、すぐ裏手に位置している。
梨花と二人、足取りも軽く。
……されど、本来なら人との接触を避けなければならないけど、大目に見てあげてほしい。僕にとっては必要な、――マジで重要な再会なのだ。
……梨花も公認。
お母さんだって……「千佳、頑張るのよ」と、言ってくれた。この上なく嬉しくて笑ってられなくなって……「千佳、笑顔笑顔!」と、梨花は促した。
――うん! と、涙と笑顔のミックス。
と、そんな出来事がつい先刻、あったばかり。そして視界に、
このドラッグストアの出入口、……その付近。
赤いチャンピオン帽子に、黒縁の眼鏡……ポロシャツ、白のツーラインのジャージも黒くて、マスクまでもが黒色。――が、僕らを見ているようで……見ている、明らかにそういう素振りで、窺っている。怪しい、怪しいまでに怪しすぎる。足が向いてしまう。
そして何故か、
何故か歩み寄ってしまう。何故だろう?
磁力……そう、まるで磁石のように。
不思議だけどそんな感覚。僕の目から入る情報、そして脳への道程を経ても、まだその男が『霧島太郎君』と認識したわけではないのに、もしそうなら一年前と似ても似つかないスタイルなのに……華奢というのか、スマートというのか? B&Bの眼鏡とマスクが隔ても、僕の女の勘としては幼いのだけど、初恋の、その恋心と同じような鼓動が、
再び、――再び、この再会という名のもとに蘇る。
そして「千佳、その子は?」と、その男……その男の子は、そう僕に問うのだ。
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