婚約者と別れたら、五年後ヤンデレになって戻ってきてしまった!!

トリファンの留学、そして別れ

フェアラside

リファンとの婚約が成立してから一年が経った。相変わらず意地っ張りになってしまい、上手く話せない。話す内容と言えば、よくある世間話ぐらいだ。そんな中突然リファンから公園に呼び出され言われた。

「フェイ、すまない。婚約破棄をしてくれないだろうか…」と…。

私は、驚いたが
「あ、あの理由をお伺いしてもよろしいでしょうか？」とかろうじて言えた。

「父から遥か遠くの国へ留学しなさいと命令されたのだ。」と落ち込む様子のリファン。
続けて
「それに何年かかるか分からないと言われて、婚約破棄しなさいと…。」と言った。

何年かかるか分からなくても、リファンのことならいつでも待てますよ…
と心で一人考えたが

「トリファン様、婚約破棄の件了承致しましたわ。」と言ってしまった。

「っ…！！ 本当にすまない…、こちらからの申し出だったのに…。」とリファン。

「あの、借金の件は、きちんとガンダーレ公爵家へ完済させていただきます。」と私が言うと、

「いや、それはいいよ。こちらの都合だし。」と言ってから
「こちらの我儘になるから。完済は、いいから慰謝料受け取ってくれよ。」と言われてしまった。

「そんなことできませんわ。」と私。

「お願いだ。」と真剣な瞳で見られたので

「では、借金の件だけお言葉に甘えさせてもらいます。なので、慰謝料は要らないです。それでよろしいでしょうか？」と言った。

「あぁ、慰謝料受け取って欲しかったが、貴方がそれでいいなら大丈夫だ。」と返してきた。

私は、立ち上がってから
「短い間、ありがとうございました。留学頑張ってください。」と泣くのを堪えながら、笑顔で言った。

「フェイ、最後にハグだけしてもいいですか？」と突然言われた。

私は、驚きながらも
「はい…！リファン…」と言った。
  
リファンが私を自分の胸の中に引っ張った。

そして、
「フェイ、ありがとう…」と言われた。

「リファン……こちらこそありがとう…」と私は、我慢していた涙が少し頬を伝った。

それから私たちは、実に三十分の間ずっと公園でハグし続けていた。

「リファン、そろそろ離してください……」と言うと、

「っ！！ すまない…」と謝られた。

「いえ、大丈夫です。」と私は、言ってから

「留学頑張ってくださいね。では、さようなら…。」と言った。

「ああ、ありがとう。じゃあな。」とリファンに返された。

私は、お辞儀をしてその場を離れた。

ｰ家ｰ
自室に着くと、ファルがいた。
「おかえり、フェイ。大丈夫？」といつもとは違う真剣な声で言われた。

我慢していた涙が一気に溢れて
「ファル…、私一生婚約も結婚もできない……」とファルに言った。

私は、リファンみたいな人に好きになれる人に巡り会えないと確信していた。
リファンが私の事、少しでも好きでいてくれてるか知ることが出来たら良かったのかな……？

ファルは、私の頭を撫でながら、
「フェイは、僕の可愛い妹だよ。だから、大丈夫だよ。」とファルは励ましてくれた。

そのまま泣き疲れてファルの腕の中で眠ってしまった。