【完結】会社をクビになったら異世界で追放魔術師に性処理係として拾われました

夜曲

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第二章ーー招かれざる客

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 して、手が早いと噂の王様は、本当に手が早かった。
 なんと、陽向とネオが滞在している部屋になんの先ぶれもなく自ら来たのだ。

「そなたがヒナタか!
 おぉ! 鴉羽色の髪! 黒真珠の如き美しき瞳!  なんという神の奇跡だ!」

 息子を無視していきなり抱き着いてくる始末である。おかげで陽向は、交渉する前にネオがいきなり強硬手段に出るのではと、冷や冷やする羽目になった。

「陛下! ヒナタは私のものです! 何卒ヒナタからお離れ下さりますよう!」
 一年前、恐竜保護区への赴任を言いつけられてからはじめての父子の会話がこれである。

「ハハハハ。我は美しいものには目がないのだ」
『聞いた通りだった……』と陽向は苦笑いをした。
 
 陛下は金髪碧眼の美丈夫で、目鼻立ちは大変ネオに似ている。つまり、とてつもなくイケメンだった。

 もしネオが四十手前になったらこんな容姿になるのだろうなと思い、陽向はつい見とれてしまった。
 陛下にお会いしたら跪こうと思っていたのに。陽向はそのタイミングを失ってしまうほどに。


 三人はそのままその部屋にある応接セットに腰かけることとなった。ロイヤルファミリーに対し平民の陽向は、自分も同じ卓について良いか解らず、ネオの後ろに立とうとしたところを捕縛され、ネオの横に座らされている。

 ブルエがドアの外から陛下が見える位置に陣取っている以外に、特に護衛がいなかった事は意外だった。

「ネオ相手だ。護衛が何人いても意味はないだろう?
 ブルエは風魔法は使えない上に若干耳が遠いから、ここでの会話は聞こえん」
 とは、陛下の弁だ。確かに、ネオは陽向が懐いているブルエを殺さないだろうし、ブルエが何が起きたかを証言できればそれで事足りる。

 陛下のその合理的な考え方に、陽向はこの交渉はうまくいくと確信した。

「先ほど、ヒナタはネオのものだと言ったな? ということは、そなたらは報告通り、恋仲ということで良いのか?
 それともヒナタ、もしネオに武力で嫌々言うことを聞かされているのなら今ここで言いなさい。
 古今東西、英雄は美を救うものだと相場が決まっている。この覇王たる我が総力を挙げて助けてやろう」

 陛下は顔ではニコニコとしているが、陽向の微妙な表情の変化を見逃さない様に、陽向に注視している。

 陽向は、ネオの手を取ってから応えた。

「いえ、陛下。私はネオ殿下のことを心より好いております。願わくば、このまま恐竜保護区にて一生を添い遂げたいと考えております」

「私も同じ考えでございます。
 陛下、もしまだ私を息子と思ってくださるのなら、一生に一度のお願いです。ヒナタと私が静かに添い遂げることをどうか認めてくださりませんでしょうか」

 二人揃って頭を下げた。

「ふむ。その世にも珍しい色は惜しいが、自ら”悪魔”に捧げる供物となってくれるのならば、臣下の中で反対するものは少ないだろうな」

 陽向は、つい“悪魔”という単語に反応してしまった。
「ネオは悪魔では——」
「ヒナタ!」
 それを、ネオは陽向の手を引っ張って止めてくれる。

「ハハハハ。問題ない。わざとだ。

 しかし、王家の秘”玉”とはよく言ったものだな。宮廷言葉、ここに極まれりだ。
 なんでも反対の意味になってしまう」

 陛下は、皮肉げに笑った。陽向がまた反撃の言葉を発せようとすると、陛下は手を上げてそれを遮った。

「だが、そなたがネオのことを大切に思ってくれていることは伝わった。

 しかし、そなたはいったいどこから湧いて出たのか。その合理的な理由を聞けるまで、我は承諾しかねる」
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