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二章
百四話 一方城では
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「王よ、只今戻りました」
「アルマか、ずいぶんと早かったな」
事態が一段落し、念の為に王座に留まっていた俺の前に、街へ向かわせていたアルマが膝をついていた。
正直、戻ってくるのはもう一日程かかるのではないかと思っていたのだが……
「ハティと言いましたか。あの狼の脚が想像を絶するものでしたので……」
「ほう、それほどまでか」
「おかげで、日が昇り切る前に詰め所の責任者に事態の程と『鬼』に対する対応の徹底をとの命令を無事伝えることが出来ました」
「うむ、ご苦労」
これで一旦は今回のゴタゴタについての対策を打つことは出来たか。
依然、城前には緋爪共が陣取っているが、異常なまでに面子にこだわる奴らは下手に追い詰めない限り街に手を出すような真似はしまい。
あとは体制が整い次第、緋爪の残党に圧力をかけ、その間にアレ等と契約した馬鹿どもを捉えればいい。
――まぁ、それが面倒なのだが。
「しかし、行きはともかく帰りはどうしたのだ。徒歩であれば昼前に詰め所を発ったとしてもここへたどり着くにはもう暫く掛かるであろう。そのうえ緋爪共の包囲を抜けてとなると尚更だ」
「その件なのですが、お耳に入れたいことが幾つか」
「ほう何だ、言ってみよ」
そこからアルマが口にした内容は我が耳を疑うものだった。
世論のために仕方なく不正に手を染めていなかった筈の貴族共が暴走して街に盗賊団共を招き入れたというのだ。
しかも、門戸を緩めたとかいうものではなく、貴族共が金銭で盗賊共を雇ったというのだ。
そして、それに反発した緋爪が貴族と手を切ったこと。
これはまぁ、理解できる。
連中は荒事担当の傭兵団であるが、清廉潔白を売りにしており自称「正義の戦」にのみ参加すると公言している。
貴族共が正義の戦とやらを起こしていたのかと問われると疑問では有るが、そう言い張れるだけの何かはあったのだろう。
だが、民間人に向かって盗賊を放ったとなれば話は別だ。
この首都は街と城がはっきりと切り分けられている。
普通であれば、城の周りを街と壁で覆い、要塞化するのが大都市の一般なのだが、この街を築いた初代国王は街を戦に巻き込まないように城と街を切り離していた。
そのかわり、守るに有利な森に囲われた丘の上に城を作られているという事だ。
そんな街に対して盗賊を放ったとなればもはや緋爪にとって言い訳は不可能だろう。
貴族と一緒になって無辜の民へ悪辣な盗賊共をけしかけたなど、あの傭兵団の存在意義に関わる。
契約を破棄して貴族共と手を切るしか道は残っていないだろう。
問題なのは貴族共が盗賊共を街へ招き入れた事だ。
そんな事をすれば緋爪が反発するなど、大した知恵など無くても素人考えにも分かるはず。
にも関わらずそのような暴挙に走った理由がわからない。
貴族連中の首魁はアスバル家の次男坊だという。
特筆するほどの能力はないが、それなりに頭が切れ、父や兄の失権に対して巻き添えにならないように上手く立ち回るだけの知恵を持っているという資料が上がってきている。
そんな奴が、この様なミスをするとは思えないのだが……
まぁこの際理由は置いておくとしよう。
盗賊共が既に街中に解き放たれているとなると厄介だ。
民間人に紛れられれば盗賊など容易に見分けられるものではない。
野盗に身を落とす程度の者達なので、ある程度の馬鹿は間引くことは出来るだろう。
堂々と犯罪に手を染めるような力自慢の連中もまぁいいだろう。
騎士達に命じればその場で一網打尽にできる。
だが、ある程度の知恵の回るやつは、ある程度の稼ぎを上げた後は無理をセず機を見て街中に身を潜めると考えられる。
となると、早々尻尾を出すことはないだろう。
街の中に犯罪組織なぞ作られては目も当てられん。
住民たちの反発はあるだろうが、暫くは街の治安を強化する必要があるか……
「ううむ……このクソ忙しい時に面倒なことを仕出かしてくれる。本当に貴族共は……」
「王よ、口調が崩れております。ここは王の間です」
「おっと」
つい苛ついて口に出してしまっていたか。
「それで、ですが……恐らく緋爪から何らかの接触が予想されます。詰め所を守っていたジルクリフ卿も停戦交渉、あるいは協力を申し出てくる可能性が高いと見ているようでした」
「で、あろうよ。奴らが名声を取り戻す……のはまぁ無理だとしても、傷口をこれ以上広げない為にはそうするしか無い」
緋爪の連中も相当な被害を出していたから今は表立った動きを見せては居ないが、恐らく既にその路線で動き始めているはずだ。
遅くても日没前には俺のところに話が届くだろう。
「わかった。そちらの方はすぐに対応できるように整えておこう。街に関しても今回の戦でほぼ無傷で残っている近衛の3隊を盗賊共の討伐と街の治安維持に当てるとしよう」
万全を期すなら城の守りを確保できる最低限を残して、全ての騎士を向かわせたいところでは有る。
後々のことを考えれば、安全面でのリスクを負ってでも、盗賊対策をしておきたい。
だが、主力である第一と第二大隊の損害があまりに大きすぎる。
特に主戦場で戦っていた第一大体は主力隊がほぼ全員死亡、他も壊滅状態と言っていい。
流石に今動かす訳にはいかないだろう。
後々、騎士団の再編成を行わねばなぁ……
本来であれば騎士長に任せるのだか、その騎士長は意識不明、副騎士長も全員死亡となれば、俺が動かざるをえんだろう。
まったく、好き放題暴れてくれたものだ、あの『鬼』は。
「所で、あの『鬼』の姿が見えないようですが、どうなったのでしょう? それに錬鉄傭兵団のお二人も居られないようですが」
「ああ、それか……」
アルマとしては、あの状況で現場を離れたのだから気になっているところだろう。
とはいえ、なにか特別なことがあったという事もない。
「あの後、暫く中庭辺りをウロウロとしていたのだが、自分に武器を向けてくるものが居なくなったからからなのか、まるで興味を失ったかのように去っていったよ」
それこそ本当に唐突な動きだった。
動きを止めたと思った瞬間、冗談のような跳躍力で城壁を越え飛び去っていったのだ。
すぐに追手を出したが、誰一人として追跡することは出来なかった。
「錬鉄の二人はそれを見届けてからここを発った」
「そうですか……何処へ向かったのかが分からなかったのは痛手ですが、アレ以上被害が広がらなかったようで何よりです」
「本当に、何よりだった。まさかあのような強力な魔物が実在するとは思いもよらなんだわ」
アレを万全の体制で迎え撃てるとして、ではどうすると問われれば、武器を手放させるとしか言えん。
現状、手持ちのコマで思いつくどの様な方法であってもアレを倒せるとは考えられん。
こんなどうしようもないという感覚はヤツとの戦以来だな。
「出鱈目はあの戦狂いだけで良いのだがなぁ」
「錬鉄の団長ですか」
「ああ、奴は『鬼』と痛み分けだったという事だが、あんな怪物と戦いが成立するとかマトモじゃないぞ。どっちがバケモノか解ったもんじゃない」
依然戦場でぶつかった時も人の形をしただけのバケモノだと、あの理不尽な強さを呪ったものだが、比較対象がよりによってあの『鬼』とか、アレは本当に人類なのかと疑いたくもなる。
「私は、かの戦狂いの戦場は目にしたことはありませんが、あの『鬼』と戦って撃退したと聞いてようやく王が『アレとは絶対に戦うな』と口癖のようにいう理由を理解しましたよ」
「だろう? ああいうバケモノ共相手には戦いになって時点で負けなんだ。
痛み分け……というからには、互いに傷を追ったということだから、決して倒せない相手ではないのかも知れない。
傷を負えば動けなくなるし、戦い続ければ疲れもしよう。
だが、疲れを誘うまでに一体どれだけの兵が餌食になるのか?
そう考えれば、ただヤツを疲弊させるだけの事に対する費用対効果はあまりにも悪すぎるといえる。
とてもではないが王としてそんな事に人材を浪費するなど認めることは出来やしない。
つまり、俺が兵士達に伝えるべき言葉は『バケモノには手を出すな』だ。
「それで、キョウ達はどうした?」
「彼らとは詰め所での一件を見届けて頂いた後、その場で別れました。彼等であればあの狼もおります。無事この事態を乗り切るでしょう」
「確かにあのハティはとびっきりだ。単体で一軍に匹敵すると言っていい。あの『鬼』を見た直後では霞むというものだが、それでもその強さはそこらの弱国であれば蹂躙してのける程の力の権化だ。だが、それであっても前は保護するものだと思っていたのだが」
キョウは確かにそこそこ強い。
格上の怪物を一人で撃退できるのだから、協会所属の冒険者連中と比べてもいい線いくはずだ。
だが、荒事に慣れているかと言われるとそうは思えない。
戦いに慣れてるだけで殺し合いに慣れている訳ではないのだ。
あのハティが一緒にいればよっぽどのことがない限り大丈夫だとは思うが……
「……あの狼だけであればそうしたのかも知れません。確かにあの狼は第一級指定の魔物並の力があると思いますが、どういう訳かあの兄妹に付き従っています。まるですべてを委ねるようにして意図的にその力を縛って」
「そこまで解っていて何故放置した? 俺はそのためにお前を付けたつもりであったのだがな」
「キョウというあの彼を見て気が変わりました。必要ないのではないかと」
「キョウを? アレは確かにヤル男だ。あの貧弱な身体でバジリコックを倒すほどの戦勘をもっている。だが今回のような荒事に向いている男には見えなかったが」
戦えるだけの力を持ってはいるが、かと言って戦い好きという訳ではない。
むしろ一緒に居たあの娘のほうがよっぽど戦に向いた性格をしているだろう。
「何と言いますか……そう、何かチグハグな違和感を感じたのです。基礎の基礎である身体作りがされていないのに、妙にスキがないように感じたのです。彼は、何か実力を隠しているのではないですか?」
「あぁ、なるほどなぁ。そこで判断したか。確かにアレの戦における勘働きは普通ではない何かを感じさせる。実力とセンスが噛み合っておらんでな」
俺が彼奴を見て気になったのもそこだったからな。
「恐らくだが、アレは何も隠し立てするようなことはしておらんと思うぞ。単に自覚がないだけだ」
「……? 体が出来ていないのに歴戦の強者の技術だけを持っていると?」
「技術ではないな。アレは戦勘……センスの類だ。その仕掛けを俺は……余はある事情でなんとなく知ってはいる。だが、アレだけのセンスを持っていてもあの者はは戦いに慣れていないのだ。」
それが何故かは俺も知らない。
聞けば答えてくれるような気もするが、なぜか聞こうという気になれなかった。
まぁ、少しは謎があったほうが見ていて面白そうというのもあるがな。
「戦いに慣れていないのに妙な安定感が有るせいで、お前は過大に見誤ったのだろうよ」
「……どうやら、そのようですね。ならば、彼等を探し出し合流してまいります」
「いや、別れてしまったものは仕方がない。事前に説明しなかった余の落ち度だ。それにお前にもやってほしい仕事はいくらでもあるからな。俺が呼び出した手前、援助してやろうとは思うが、あまり個人にかかずらっている時ではない」
今は正直猫の手も借りたい状況なのだ。
彼等を呼び出した上に戦に巻き込んでしまった手前、危険な城からの退避と、保護者を付けてやるつもりでアルマを
をつけたのだが、あのアルマが珍しく読み違えるとはな。
戻ってきてしまったものは仕方ない。
今から街の中を探し回らせるのも非効率でもあるしな。
「まぁ、アレも戦士の身体に育ったなら化けるだろうが、今はまだただ勘の良いだけの若造にすぎんよ」
「確かに、戦士としての地力であれば、むしろチェリーブロッサム殿の方が上だと感じます」
「だろうな、あの娘は強さに貪欲なようだった。だが、俺が気になるのはやはりキョウの方だ。ハイナ村でアイツの戦闘を見ていたのだがな、何より印象的だったのはその目だった」
「目? 何か魔眼のたぐいを……?」
「いいや? 至って普通のただの目だ。だが、相手が何か一つ行動を起こすたびその目が動くのだ。敵は次に同行動を起こすのか? 今自分を狙っているのは敵だけなのか? 見落としている何かが無いか? そう、視線が動く」
目は口ほどに物を言う……という言葉は奴の、プレイヤー達の世界の言葉であったか?
例え法則の違う別世界でも、理解の通ずる言葉もあるということだな。
「それは別に何も特別なことではないのでは? 戦いに身を置いているものであれば、それが出来ねば生き残れません」
「そうだな。だがそれがほんの一工程の間に、五度となるとどうだ?」
「五度……ですか?」
相手の攻撃を見て、その攻撃を避けた先に何が有るのか。
ただ反射的に避けるのではなく、自分の避けた先の安全の確認ができて一人前といえるだろう。
戦場に慣れた熟練者であれば更にそこから、右に避けたらどうなるのか、左に避けた時の危険度はどうかと選択肢を増やせるようになる。
だがキョウはそこからさらに二つ何かを見ていると思われる。
そうなると、話は変わってくる。
相手の攻撃を見てから対処するその一瞬で五つの可能性を考慮して、その中から一つを選ぶという行為を当たり前に行っているという事だ。
行動の可能性を五つ考えることは、もしかしたら出来るかも知れない。
だが、そこから様々な可能性を考慮して、その5つの中から自分の行動を選ぶというのは、凡人の思考速度でこなせる思考量ではない。
「キョウを特異たらしめているのはその思考と判断速度の速さだと余は感じておる。本人はどうやら全く気づいていないがな」
どれだけの手練であろうと、相手が自分と伍するだけの実力を持っていたのなら、余程の自信家でも無い限りは警戒や様子見による膠着が起きる。
対等なら膠着、相手が格上であれば後手に回らされるのがまぁ普通だろう。
が、キョウはその思考速度から初見の、しかも格上の怪物を相手に行動の先取りをしていた。
『よく相手を見ていた』と言葉にしてしまえば簡単に聞こえるが、常に目まぐるしく状況が変わる中でそれを落ち着いてできる新兵などそうそう居るものではない。
俺がチグハグだと感じるのはそのせいだ。
つい最近戦いを覚えたかのような体捌きのぎこちなさを見せるくせに、彼奴の観察眼と割り切りがまるで数百、数千という戦いを経験した者のような、未来予知的な先読みの領域にまで踏み込んでいるような気がするのだ。
「戦いを当然として育った者達にとっては当然の思考かもしれんし、程度の差はあれ高速思考というのはありふれた、といっていい技能では有る。強くなるだけなら運動して体を鍛えたほうが手っ取り早く、かつ確実に強くなれるだろう。だが……」
「そこに戦闘のセンス、ですか」
どれだけ才能があったとしても、技術というのは何らかの方法で磨かねば顕在化しない。
だが、センスというのは生まれてから一度も触れたことのない作業で唐突に結果を出す事がある。
理論建てた説明がつかない、潜在的な適正を人はセンスと定義する。
しかし、キョウの戦闘センスは唐突に見出されたものとは何か違う……ソレこそ磨かれ洗練された何かを感じるのだ。
「今はそれに身体が追いついていないがな。アレが五年も戦場で鍛えれば、錬鉄の主力にも届きうる可能性を秘めているのではないかと思うぞ」
「まさか……それ程までですか」
「あくまで俺の勘によるところだがな。そもそも、キョウが強くなることにそれ程積極性がないようだから、所詮は机上の空論なのだが」
怠惰に過ごしているような身体つきではなかったが、武器を使った訓練も日課の運動程度だろう。
キョウの手を見た感じ、まるでつい最近武器を扱い始めたかのような柔い手のひらをしていた。
普段から武器を使い慣れている者特有の硬質な皮の厚みが無かったからな。
「強くなるために訓練する訳でもなく、にも関わらず高速の思考技術と戦闘センスですか……宝の持ち腐れというやつですね」
「まぁ、そんなもんだ。要らない才能に恵まれたくせに、ほしい能力に限って自分に備わらないなんてのは良くある話だろう」
「ですね」
俺にももっとこう、王としての凄い権能があったらと思うからな。
「さて、これ以上喋っていては大臣達から睨み殺されかねん。そろそろ仕事に戻るとしよう。お前には緋爪が接触してきた際の対応を任せたい。行けるか?」
「は、問題ありませぬ。本交渉の際に将軍閣下の顔をお借りしても?」
「構わぬ、交渉に関する全権限をお前に委ねる。ただし、交渉の席での判断は全て将軍に任せること。良いな?」
「はっ!」
さて、これであの煩いおっさんに花を持たせてやることが出来る。
これ以上、くだらんことであの愚痴を聞かされる心配もないだろう。
表も裏も、これで『切り札』を除いた今打てる手札は全て切った。
あとは大臣たちの働きに任せるしかない。
仕込みは上々、後は結果を御覧じろ……といったところか。
「アルマか、ずいぶんと早かったな」
事態が一段落し、念の為に王座に留まっていた俺の前に、街へ向かわせていたアルマが膝をついていた。
正直、戻ってくるのはもう一日程かかるのではないかと思っていたのだが……
「ハティと言いましたか。あの狼の脚が想像を絶するものでしたので……」
「ほう、それほどまでか」
「おかげで、日が昇り切る前に詰め所の責任者に事態の程と『鬼』に対する対応の徹底をとの命令を無事伝えることが出来ました」
「うむ、ご苦労」
これで一旦は今回のゴタゴタについての対策を打つことは出来たか。
依然、城前には緋爪共が陣取っているが、異常なまでに面子にこだわる奴らは下手に追い詰めない限り街に手を出すような真似はしまい。
あとは体制が整い次第、緋爪の残党に圧力をかけ、その間にアレ等と契約した馬鹿どもを捉えればいい。
――まぁ、それが面倒なのだが。
「しかし、行きはともかく帰りはどうしたのだ。徒歩であれば昼前に詰め所を発ったとしてもここへたどり着くにはもう暫く掛かるであろう。そのうえ緋爪共の包囲を抜けてとなると尚更だ」
「その件なのですが、お耳に入れたいことが幾つか」
「ほう何だ、言ってみよ」
そこからアルマが口にした内容は我が耳を疑うものだった。
世論のために仕方なく不正に手を染めていなかった筈の貴族共が暴走して街に盗賊団共を招き入れたというのだ。
しかも、門戸を緩めたとかいうものではなく、貴族共が金銭で盗賊共を雇ったというのだ。
そして、それに反発した緋爪が貴族と手を切ったこと。
これはまぁ、理解できる。
連中は荒事担当の傭兵団であるが、清廉潔白を売りにしており自称「正義の戦」にのみ参加すると公言している。
貴族共が正義の戦とやらを起こしていたのかと問われると疑問では有るが、そう言い張れるだけの何かはあったのだろう。
だが、民間人に向かって盗賊を放ったとなれば話は別だ。
この首都は街と城がはっきりと切り分けられている。
普通であれば、城の周りを街と壁で覆い、要塞化するのが大都市の一般なのだが、この街を築いた初代国王は街を戦に巻き込まないように城と街を切り離していた。
そのかわり、守るに有利な森に囲われた丘の上に城を作られているという事だ。
そんな街に対して盗賊を放ったとなればもはや緋爪にとって言い訳は不可能だろう。
貴族と一緒になって無辜の民へ悪辣な盗賊共をけしかけたなど、あの傭兵団の存在意義に関わる。
契約を破棄して貴族共と手を切るしか道は残っていないだろう。
問題なのは貴族共が盗賊共を街へ招き入れた事だ。
そんな事をすれば緋爪が反発するなど、大した知恵など無くても素人考えにも分かるはず。
にも関わらずそのような暴挙に走った理由がわからない。
貴族連中の首魁はアスバル家の次男坊だという。
特筆するほどの能力はないが、それなりに頭が切れ、父や兄の失権に対して巻き添えにならないように上手く立ち回るだけの知恵を持っているという資料が上がってきている。
そんな奴が、この様なミスをするとは思えないのだが……
まぁこの際理由は置いておくとしよう。
盗賊共が既に街中に解き放たれているとなると厄介だ。
民間人に紛れられれば盗賊など容易に見分けられるものではない。
野盗に身を落とす程度の者達なので、ある程度の馬鹿は間引くことは出来るだろう。
堂々と犯罪に手を染めるような力自慢の連中もまぁいいだろう。
騎士達に命じればその場で一網打尽にできる。
だが、ある程度の知恵の回るやつは、ある程度の稼ぎを上げた後は無理をセず機を見て街中に身を潜めると考えられる。
となると、早々尻尾を出すことはないだろう。
街の中に犯罪組織なぞ作られては目も当てられん。
住民たちの反発はあるだろうが、暫くは街の治安を強化する必要があるか……
「ううむ……このクソ忙しい時に面倒なことを仕出かしてくれる。本当に貴族共は……」
「王よ、口調が崩れております。ここは王の間です」
「おっと」
つい苛ついて口に出してしまっていたか。
「それで、ですが……恐らく緋爪から何らかの接触が予想されます。詰め所を守っていたジルクリフ卿も停戦交渉、あるいは協力を申し出てくる可能性が高いと見ているようでした」
「で、あろうよ。奴らが名声を取り戻す……のはまぁ無理だとしても、傷口をこれ以上広げない為にはそうするしか無い」
緋爪の連中も相当な被害を出していたから今は表立った動きを見せては居ないが、恐らく既にその路線で動き始めているはずだ。
遅くても日没前には俺のところに話が届くだろう。
「わかった。そちらの方はすぐに対応できるように整えておこう。街に関しても今回の戦でほぼ無傷で残っている近衛の3隊を盗賊共の討伐と街の治安維持に当てるとしよう」
万全を期すなら城の守りを確保できる最低限を残して、全ての騎士を向かわせたいところでは有る。
後々のことを考えれば、安全面でのリスクを負ってでも、盗賊対策をしておきたい。
だが、主力である第一と第二大隊の損害があまりに大きすぎる。
特に主戦場で戦っていた第一大体は主力隊がほぼ全員死亡、他も壊滅状態と言っていい。
流石に今動かす訳にはいかないだろう。
後々、騎士団の再編成を行わねばなぁ……
本来であれば騎士長に任せるのだか、その騎士長は意識不明、副騎士長も全員死亡となれば、俺が動かざるをえんだろう。
まったく、好き放題暴れてくれたものだ、あの『鬼』は。
「所で、あの『鬼』の姿が見えないようですが、どうなったのでしょう? それに錬鉄傭兵団のお二人も居られないようですが」
「ああ、それか……」
アルマとしては、あの状況で現場を離れたのだから気になっているところだろう。
とはいえ、なにか特別なことがあったという事もない。
「あの後、暫く中庭辺りをウロウロとしていたのだが、自分に武器を向けてくるものが居なくなったからからなのか、まるで興味を失ったかのように去っていったよ」
それこそ本当に唐突な動きだった。
動きを止めたと思った瞬間、冗談のような跳躍力で城壁を越え飛び去っていったのだ。
すぐに追手を出したが、誰一人として追跡することは出来なかった。
「錬鉄の二人はそれを見届けてからここを発った」
「そうですか……何処へ向かったのかが分からなかったのは痛手ですが、アレ以上被害が広がらなかったようで何よりです」
「本当に、何よりだった。まさかあのような強力な魔物が実在するとは思いもよらなんだわ」
アレを万全の体制で迎え撃てるとして、ではどうすると問われれば、武器を手放させるとしか言えん。
現状、手持ちのコマで思いつくどの様な方法であってもアレを倒せるとは考えられん。
こんなどうしようもないという感覚はヤツとの戦以来だな。
「出鱈目はあの戦狂いだけで良いのだがなぁ」
「錬鉄の団長ですか」
「ああ、奴は『鬼』と痛み分けだったという事だが、あんな怪物と戦いが成立するとかマトモじゃないぞ。どっちがバケモノか解ったもんじゃない」
依然戦場でぶつかった時も人の形をしただけのバケモノだと、あの理不尽な強さを呪ったものだが、比較対象がよりによってあの『鬼』とか、アレは本当に人類なのかと疑いたくもなる。
「私は、かの戦狂いの戦場は目にしたことはありませんが、あの『鬼』と戦って撃退したと聞いてようやく王が『アレとは絶対に戦うな』と口癖のようにいう理由を理解しましたよ」
「だろう? ああいうバケモノ共相手には戦いになって時点で負けなんだ。
痛み分け……というからには、互いに傷を追ったということだから、決して倒せない相手ではないのかも知れない。
傷を負えば動けなくなるし、戦い続ければ疲れもしよう。
だが、疲れを誘うまでに一体どれだけの兵が餌食になるのか?
そう考えれば、ただヤツを疲弊させるだけの事に対する費用対効果はあまりにも悪すぎるといえる。
とてもではないが王としてそんな事に人材を浪費するなど認めることは出来やしない。
つまり、俺が兵士達に伝えるべき言葉は『バケモノには手を出すな』だ。
「それで、キョウ達はどうした?」
「彼らとは詰め所での一件を見届けて頂いた後、その場で別れました。彼等であればあの狼もおります。無事この事態を乗り切るでしょう」
「確かにあのハティはとびっきりだ。単体で一軍に匹敵すると言っていい。あの『鬼』を見た直後では霞むというものだが、それでもその強さはそこらの弱国であれば蹂躙してのける程の力の権化だ。だが、それであっても前は保護するものだと思っていたのだが」
キョウは確かにそこそこ強い。
格上の怪物を一人で撃退できるのだから、協会所属の冒険者連中と比べてもいい線いくはずだ。
だが、荒事に慣れているかと言われるとそうは思えない。
戦いに慣れてるだけで殺し合いに慣れている訳ではないのだ。
あのハティが一緒にいればよっぽどのことがない限り大丈夫だとは思うが……
「……あの狼だけであればそうしたのかも知れません。確かにあの狼は第一級指定の魔物並の力があると思いますが、どういう訳かあの兄妹に付き従っています。まるですべてを委ねるようにして意図的にその力を縛って」
「そこまで解っていて何故放置した? 俺はそのためにお前を付けたつもりであったのだがな」
「キョウというあの彼を見て気が変わりました。必要ないのではないかと」
「キョウを? アレは確かにヤル男だ。あの貧弱な身体でバジリコックを倒すほどの戦勘をもっている。だが今回のような荒事に向いている男には見えなかったが」
戦えるだけの力を持ってはいるが、かと言って戦い好きという訳ではない。
むしろ一緒に居たあの娘のほうがよっぽど戦に向いた性格をしているだろう。
「何と言いますか……そう、何かチグハグな違和感を感じたのです。基礎の基礎である身体作りがされていないのに、妙にスキがないように感じたのです。彼は、何か実力を隠しているのではないですか?」
「あぁ、なるほどなぁ。そこで判断したか。確かにアレの戦における勘働きは普通ではない何かを感じさせる。実力とセンスが噛み合っておらんでな」
俺が彼奴を見て気になったのもそこだったからな。
「恐らくだが、アレは何も隠し立てするようなことはしておらんと思うぞ。単に自覚がないだけだ」
「……? 体が出来ていないのに歴戦の強者の技術だけを持っていると?」
「技術ではないな。アレは戦勘……センスの類だ。その仕掛けを俺は……余はある事情でなんとなく知ってはいる。だが、アレだけのセンスを持っていてもあの者はは戦いに慣れていないのだ。」
それが何故かは俺も知らない。
聞けば答えてくれるような気もするが、なぜか聞こうという気になれなかった。
まぁ、少しは謎があったほうが見ていて面白そうというのもあるがな。
「戦いに慣れていないのに妙な安定感が有るせいで、お前は過大に見誤ったのだろうよ」
「……どうやら、そのようですね。ならば、彼等を探し出し合流してまいります」
「いや、別れてしまったものは仕方がない。事前に説明しなかった余の落ち度だ。それにお前にもやってほしい仕事はいくらでもあるからな。俺が呼び出した手前、援助してやろうとは思うが、あまり個人にかかずらっている時ではない」
今は正直猫の手も借りたい状況なのだ。
彼等を呼び出した上に戦に巻き込んでしまった手前、危険な城からの退避と、保護者を付けてやるつもりでアルマを
をつけたのだが、あのアルマが珍しく読み違えるとはな。
戻ってきてしまったものは仕方ない。
今から街の中を探し回らせるのも非効率でもあるしな。
「まぁ、アレも戦士の身体に育ったなら化けるだろうが、今はまだただ勘の良いだけの若造にすぎんよ」
「確かに、戦士としての地力であれば、むしろチェリーブロッサム殿の方が上だと感じます」
「だろうな、あの娘は強さに貪欲なようだった。だが、俺が気になるのはやはりキョウの方だ。ハイナ村でアイツの戦闘を見ていたのだがな、何より印象的だったのはその目だった」
「目? 何か魔眼のたぐいを……?」
「いいや? 至って普通のただの目だ。だが、相手が何か一つ行動を起こすたびその目が動くのだ。敵は次に同行動を起こすのか? 今自分を狙っているのは敵だけなのか? 見落としている何かが無いか? そう、視線が動く」
目は口ほどに物を言う……という言葉は奴の、プレイヤー達の世界の言葉であったか?
例え法則の違う別世界でも、理解の通ずる言葉もあるということだな。
「それは別に何も特別なことではないのでは? 戦いに身を置いているものであれば、それが出来ねば生き残れません」
「そうだな。だがそれがほんの一工程の間に、五度となるとどうだ?」
「五度……ですか?」
相手の攻撃を見て、その攻撃を避けた先に何が有るのか。
ただ反射的に避けるのではなく、自分の避けた先の安全の確認ができて一人前といえるだろう。
戦場に慣れた熟練者であれば更にそこから、右に避けたらどうなるのか、左に避けた時の危険度はどうかと選択肢を増やせるようになる。
だがキョウはそこからさらに二つ何かを見ていると思われる。
そうなると、話は変わってくる。
相手の攻撃を見てから対処するその一瞬で五つの可能性を考慮して、その中から一つを選ぶという行為を当たり前に行っているという事だ。
行動の可能性を五つ考えることは、もしかしたら出来るかも知れない。
だが、そこから様々な可能性を考慮して、その5つの中から自分の行動を選ぶというのは、凡人の思考速度でこなせる思考量ではない。
「キョウを特異たらしめているのはその思考と判断速度の速さだと余は感じておる。本人はどうやら全く気づいていないがな」
どれだけの手練であろうと、相手が自分と伍するだけの実力を持っていたのなら、余程の自信家でも無い限りは警戒や様子見による膠着が起きる。
対等なら膠着、相手が格上であれば後手に回らされるのがまぁ普通だろう。
が、キョウはその思考速度から初見の、しかも格上の怪物を相手に行動の先取りをしていた。
『よく相手を見ていた』と言葉にしてしまえば簡単に聞こえるが、常に目まぐるしく状況が変わる中でそれを落ち着いてできる新兵などそうそう居るものではない。
俺がチグハグだと感じるのはそのせいだ。
つい最近戦いを覚えたかのような体捌きのぎこちなさを見せるくせに、彼奴の観察眼と割り切りがまるで数百、数千という戦いを経験した者のような、未来予知的な先読みの領域にまで踏み込んでいるような気がするのだ。
「戦いを当然として育った者達にとっては当然の思考かもしれんし、程度の差はあれ高速思考というのはありふれた、といっていい技能では有る。強くなるだけなら運動して体を鍛えたほうが手っ取り早く、かつ確実に強くなれるだろう。だが……」
「そこに戦闘のセンス、ですか」
どれだけ才能があったとしても、技術というのは何らかの方法で磨かねば顕在化しない。
だが、センスというのは生まれてから一度も触れたことのない作業で唐突に結果を出す事がある。
理論建てた説明がつかない、潜在的な適正を人はセンスと定義する。
しかし、キョウの戦闘センスは唐突に見出されたものとは何か違う……ソレこそ磨かれ洗練された何かを感じるのだ。
「今はそれに身体が追いついていないがな。アレが五年も戦場で鍛えれば、錬鉄の主力にも届きうる可能性を秘めているのではないかと思うぞ」
「まさか……それ程までですか」
「あくまで俺の勘によるところだがな。そもそも、キョウが強くなることにそれ程積極性がないようだから、所詮は机上の空論なのだが」
怠惰に過ごしているような身体つきではなかったが、武器を使った訓練も日課の運動程度だろう。
キョウの手を見た感じ、まるでつい最近武器を扱い始めたかのような柔い手のひらをしていた。
普段から武器を使い慣れている者特有の硬質な皮の厚みが無かったからな。
「強くなるために訓練する訳でもなく、にも関わらず高速の思考技術と戦闘センスですか……宝の持ち腐れというやつですね」
「まぁ、そんなもんだ。要らない才能に恵まれたくせに、ほしい能力に限って自分に備わらないなんてのは良くある話だろう」
「ですね」
俺にももっとこう、王としての凄い権能があったらと思うからな。
「さて、これ以上喋っていては大臣達から睨み殺されかねん。そろそろ仕事に戻るとしよう。お前には緋爪が接触してきた際の対応を任せたい。行けるか?」
「は、問題ありませぬ。本交渉の際に将軍閣下の顔をお借りしても?」
「構わぬ、交渉に関する全権限をお前に委ねる。ただし、交渉の席での判断は全て将軍に任せること。良いな?」
「はっ!」
さて、これであの煩いおっさんに花を持たせてやることが出来る。
これ以上、くだらんことであの愚痴を聞かされる心配もないだろう。
表も裏も、これで『切り札』を除いた今打てる手札は全て切った。
あとは大臣たちの働きに任せるしかない。
仕込みは上々、後は結果を御覧じろ……といったところか。
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