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本編
艶めく竜が愛すは遁走猫人・2
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それでも何とか貞操帯に慣れ、クロシュは久々に‥‥本当に久々に、シルフィと離れて行動をしていた。
(貞操帯になんか、慣れたくはなかった‥‥!!)
語るも涙、のエロエロな日々を乗り越えてゲットした一人の自由時間。
たった二時間、という制限はあるものの、一時でも自由にこの南国を満喫したかった。
この国の次は、いよいよシルフィにとって、当初の旅の目的であった元婚約者がいる砂漠の国、ハワードザードに到着する。
そこからは気を引き締めて、シルフィの警護にあたるつもりだった。
不可抗力とは言え、クロシュがシルフィを奪った形になるのだ。
お互いに恋愛感情はなかったとしても、元婚約者が恋人を連れてやって来るなんて、気分は複雑だろう。
さて、何処か面白そうな店はないか?と、出店と出店の間の人混みの中を掻き分けて歩く。
因みに、マントコートの装着はシルフィが譲らなかったが、フードだけは外す事を許してくれた。
顔回りを覆う物がないだけ、幾分うざったさが和らいだ気がする。
上機嫌で、アクセサリー通りにてアクセサリーショップを覗いていた時の事だった。
「クロシュ?クロシュじゃねーか??」
こんなところに知り合いがいる訳ない、と思いながらも振り向けば‥‥同じ黒猫人の元衛兵、ブラックがそこにいた。
「ブラック‥‥!お前、こんなところで何をしているんだ?」
「はは、俺は流れの衛兵だからさ、今はこの国に雇われてんだよ」
「凄い奇遇だな!変わってなさそうだ」
「クロシュだって変わってねーなぁ。四年ぶり‥‥五年ぶりか?」
「そうだな、それくらいか?」
「なぁ、時間あるなら少し話さないか?酒がすげー美味い、穴場の店教えてやるよ」
あ、待て‥‥とクロシュは言おうとしたが、ブラックは人の返事も待たずにその場で高くジャンプし、体を捻りながら塀の上へ、更に屋根の上へと駆け出していく。
シルフィと約束した時間は、後一時間半程残っている。
(ガッシュ、すまない)
後ろから離れた場所でクロシュを護衛していたガッシュと他の仲間数人に「心配するな」という意味合いの合図を送り、クロシュはブラックの後を追った。
猫人の能力がなければ、後を追えない筈だからだ。
「やっぱりバレてたか」という表情をしたガッシュを尻目に、クロシュは忍者の様に姿を消した。
☆☆☆
「俺の奢りだ!まぁ飲め!!」
ブラックは、クロシュの前にドン!と大ジョッキを置いた。
「ああ、ありがとう。‥‥お前は飲まないのか?」
「俺は後少しで、仕事に戻らなきゃなんねーんだよ」
「そうか。酒好きなのに辛いな」
「全くだ」
「少しで酔えるのにな」
「全くだ」
ブラックは、酒好きだったが、酒には弱かった。
下戸ではないが、大ジョッキがあれば十分酔える程に。
対してクロシュは、ザルだ。
よくブラックに勝負にならない勝負を挑まれていた。
クロシュは「じゃ、遠慮なく」とグイグイ喉に流し込む。
ブラックが言うとおり、喉ごしが最高の美味しい酒だった。
しばらく、お互いの近況を語り合う。
小汚い店だが酒は美味しく、向かいには気の置けない仲間と馬鹿話。
シルフィと一緒にいすぎてすっかり忘れていたが、クロシュの日常はこうしたものだった、と改めて思う。
それにしても、確かにここの酒は美味しい。
ザルである筈のクロシュが、「酔うとはこういう事か?」と思う程には、アルコールが回ってきた気がする。
昔一緒に働いた時の懐かしい思い出が蘇ってきて、ふと思い出した事を聞いてみた。
「‥‥そう言えばブラック、長年の夢は叶ったのか?」
確か、昔からブラックは「俺の夢は億万長者だ」と言っていた。
「いや、まだだ。‥‥もう少し、と言えばもう少し、かな?」
てっきり、「まだまだだ」という回答かと思っていたので、むせそうになった。
「はは、億万長者になれば、もう衛兵からは足を洗うのか?」
「どうだろうな?」
「勿体ないな、ブラック程腕が良ければまだまだ現役でいけるのに」
「俺がどうして衛兵なんてしているか知ってるか?」
「稼げるからだろう?」
「なんで稼ぎたいのかは?」
「女にモテる為だったか?」
「あはは、間違いない。‥‥だが、それだけじゃない。俺が金持ちになりたい理由はな‥‥竜人の血が欲しかったからだ」
ぶほっ!!
今度は見事にむせた。
「‥‥そ、そうだったのか‥‥」
何でだ、と続け様としたが、目の前がグラリと傾いだ。
「あれ?すまないブラック、酔ったらしい‥‥」
頭に手を当て、必死でこの酔いをやりすごそうとする。
こんな状態でシルフィの元に戻ったならば、良くて酒禁止。悪くて外出禁止になってしまう。
「いや、謝るのはこっちだ」
「‥‥?」
「ハスラー王国にはないからな、猫人でもクロシュは知らないだろう、『タタラ』のせいだ」
「なん、で、‥‥」
そんな事を、とは続けられなかった。
今度こそ視界がグニャリと曲がり、クロシュは前後不覚に陥った。
そして机にそのまま突っ伏す。
「悪いな、クロシュ」
ブラックはそのままひょいとクロシュを軽々と肩に担ぐと、勘定を済ませて店を後にした。
☆☆☆
「‥‥ん‥‥」
クロシュは寝返りをうち、そのままガバッと起きた。
帯刀していた筈だが、腰にやった手に、馴染んだ剣の感触は掴めなかった。
「起きたか」
仕方なく、先程から感じていた気配のする方へと目をやる。
まだ、拘束されていない分だけマシと考えるべきか、それとも拘束する必要もないと思われているのを悔しがるべきか、悩むところではある。
「ブラック。これは何の真似だ」
怒りを抑えて問えば、ブラックはそれに対する返事をせずに水の入ったコップを渡してきた。
「今度は何も入っていない。安心しろ」
「‥‥」
クロシュは素直に受け取り、飲み干してから部屋の中を見回した。
ベッドに、時計。机と椅子。トイレすらも備え付けられていない質素な部屋だが、外からなかなかの轟音と身体に感じる揺れが凄い。
‥‥馬車ではない。トロッコでもない。では、何だ??
視線を戻して時計を見たクロシュは、血の気が引いた。
(‥‥しまった!!シルフィと約束した時間を大幅に過ぎている!!)
これでは、良くて外出禁止、悪くてお仕置きと言う名の羞恥プレイがそれにプラスされてしまう。
クロシュが焦って小窓へと視線をやれば、直ぐに気付いたブラックに止められる。
「そこから飛び降りるのはやめておけ。いくらお前でも、死ぬ」
クロシュが飛び降りて死ぬ程の建造物は、実は余りない。
(まさか‥‥!!)
慌てて小窓から外を見れば、そこには一面雲が広がっていた。
「そうだよ。飛空船の中だ」
クロシュは(これは最悪な事に、外出禁止+オプションコースだ)と考えて頭が痛くなった。
「‥‥ブラック、悪い事は言わない。速やかに、私を元の場所へ‥‥いや、それは危険過ぎるから、何処でもいい、直ぐに私から離れて遠くへ行ってくれ」
「何故だ、と聞いていいか?」
「それは、お前も知っているんだろう?」
「‥‥いや、知らない。俺は、竜人の血が報酬、という仕事を引き受けただけだ。その条件が、お前を連れ去る事だった」
「そうか。だから、初めて会った時にお前はハスラーにいる筈の私が何故ここにいるのか聞かなかったんだな」
他にも、ブラックと偶然出会うには、アクセサリー通りというブラックが凡そいないであろう場所で会ったという違和感。
人の返事も待たずに飲み屋に連れて行こうという強引さ。
極めつけは、仕事中は酒を確かに一滴も飲まないが、仕事の直前迄は平気で酒を飲む厚顔無恥さを持ち合わせていたブラックが、昔馴染みにあったにも関わらず今回は飲まない理由等がはっきりした。
ブラックもガッシュ達が尾行している事に気付いていたのだ。
そしてブラックは既に仕事中で、狙いはクロシュだった。
「‥‥兎に角、今、お前はとんでもなく危険な事を犯しているんだ。竜人を敵にまわすな」
「もう、俺にも時間がない。最後のチャンスなんだ」
「最後のチャンス?」
「これで無理なら、俺の幼馴染も、妹達も、皆、死ぬ」
「‥‥」
「紫扇病なんだ。現在の医学では治らない。‥‥唯一の望みが、竜人の血だ」
「‥‥残念だが、今私を解放しなければ、お前は間違いなく殺される」
クロシュの脳裏に、蛇人に相対したシルフィの姿が浮かんだ。
相手の要望や話すら聞こうともせず、クロシュを拐った者は一欠片の情けもかけなかった、美しい竜人。
「お前が死ねば、当然、お前の幼馴染や妹さんも‥‥」
「俺が死ぬだと?お前、俺を何だと思っている?」
「世界でも名だたる衛兵のひとり、だな」
「良くわかってんじゃねーか。で?まだ俺が死ぬと言うつもりか?」
クロシュは歯噛みした。
竜人がどれ程強いのか、ブラックは知らない。
実際、つい先日までクロシュも護衛を真剣にする程、竜人とは尊いだけだと思っていたのだ。
あの、竜人を騙した国が滅びたお伽噺も「竜人国と世界国家連合軍がその国に裁きを下した」と脚色されているが、シルフィの話からすると、ほぼ間違いなく、竜人国単体か下手したら一人の竜人がやった話だ。
世界も、知らない。若しくは世界が、隠蔽している。
ブラックにシルフィの話をする事は簡単だ。
しかしクロシュの雇い主は、シルフィだ。雇い主の情報を話す護衛が、何処にいる?
ブラックの命を助ける為だと考えたとしても、万が一ブラックから誰かに情報が漏れたら?
「私からは、何も言えない。兎に角、早く私を自由にしろ」
「まあ、そんなに焦るなよ。ここは、飛空船の中だ。誰もこんなところまでは来られない」
それはそうだ。
「‥‥普通、竜人は飛べないよな?」
「勿論だ。竜人は、どうやら竜の能力をひとつだけ受け継ぐらしいが、それも竜の血が薄れてきている為に、最近では能力を受け継げない竜人もいるみたいだ」
シルフィは、能力を持たない竜人なのだろうか?そんな話を聞いた事はなかった。
ブラックは続けた。
「普通の竜人は、飛べない‥‥が、そういや竜人国の王は代々飛べるらしい。血ではなく、飛ぶという能力を持っているかいないかで王が選ばれるらしいからな」
クロシュは、何となく嫌な予感がした。
あの時‥‥年老いた蛇人は、何と言っていた?
『今すぐ!今すぐここから全員避難するのじゃ!!』
『え?こいつは‥‥?』
『勿論、ここに置いてゆくのじゃ!!早くせい!!しかも、白銀の鱗とは‥‥怒り狂った竜の王が来よるぞ‥‥!!』
竜の王が来よる
確かに、そう言っていた。
クロシュの顔色が悪くなっていく。
「しまった‥‥ブラック。念のため聞くが、お前、私に触ってないよな?」
「担いだから触ってるけど?」
「ああ‥‥そうじゃなくて、私の素肌に‥‥この、マントの上からしか触ってないよな?」
「ああ、今日は。何だ?襲われたくなったか?」
「死にたくなければ聞け。これから、この飛空船は恐らく攻撃されて墜落する。さっさとパラシュートを身に付けろ」
「は?何を‥‥」
「良いから聞け。後、竜人の血の話は今回だけは特別に何とかする。だから身を引け。血を届けて欲しい場所だけ、今すぐ紙に書いて私に渡せ」
「お、おう‥‥」
クロシュの焦りが伝わったのか、ブラックはクロシュの言う通りにパラシュートを身に付け、紙とペンを探した。
「後、これが一番大事だ。お前と私は、赤の他人だ。一緒に仕事はした事があるかもしれないが、あくまで仕事上の付き合いだった。いいな?」
わかったな、と聞こうとしたその時。
ドッゴオオオオン!!!!
ドオン!!
ドオン!!
物凄い轟音と共に、何人かの悲鳴が聞こえた。
ーーーーーー来た。
クロシュはブラックから紙を奪い取り、小窓を指差して指示する。
「いいか!今すぐ一緒に飛び降りるぞ!!」
「は!?お前、パラシュートつけてないじゃねーか!!」
「私はいいんだ!!早く!死にたくなければ飛べっっ」
クロシュだけが飛び降りれば、シルフィは必ずクロシュを助けに飛空船を後にする。
しかし、その際に飛空船を‥‥ブラックを殺していくかもしれない。
ブラックが先に飛び降りれば、シルフィはクロシュの誘拐犯を取り逃がさない為に、見つけた時点でやはり殺すかもしれない。
一緒に飛び降り、クロシュをシルフィが助けた後のタイミングならば、もしシルフィがブラックを殺そうとしてもそれを止める事が出来る。
それが一番、友人が生き延びる可能性が高く思えた。
☆☆☆
クロシュはブラックに続いて、直ぐに飛び降りた。
風の音と、物凄い風圧がクロシュの身を包む。
「シルフィ!!ここだ!!」
あらん限りの声で叫んだが、それより前に、飛空船から1体の大きな影が猛スピードでこちらに向かってくるのが見えて、クロシュは心底ホッとした。
‥‥ああ、シルフィだ。
少ししか離れていなかったのに、懐かしさと愛しさが込み上げてくる。
見た事もない、蝙蝠の様な(本当は竜なのだろうが、竜の羽を見た事がない)羽を広げて滑降してくる。
空中でシルフィに手を伸ばせば、その手を宝物の様にふわり、と下から持ち上げられた。
シルフィはそのまま身体の距離を縮め、クロシュの腰にグッと腕を回す。
そのままバサリ、と大きな羽音がしたかと思うと、クロシュの身体は宙に浮いたまま停止していた。
シルフィが、クロシュの肩に顔を埋めてその香りを大きく吸い込んだ。
クロシュの存在を確かめる様に。
「‥‥クロシュ、約束の時間を大幅にオーバーしていますよ?」
シルフィは怒っているとばかり思っていたが、泣きそうな声だったのでクロシュは「すまない」としか言えなかった。
シルフィの肩越しに、飛空船が空中分解をしながら燃え落ちていくのが、見えた。
☆☆☆
「クロシュ、無事で良かったです」
最高級宿屋に着くと、シルフィは抱き抱えていたクロシュをようやく手放した‥‥というよりベッドに寝かせた。
「怪我とかはしていませんか?」
「ああ」
「事の顛末を聞きたいのは山々ですが‥‥ひとまず後にして、クロシュの無事を確かめさせて下さい」
「‥‥」
するりとマントコートを脱がされ、タンクトップに短パンという軽装過ぎるクロシュの姿が現れた。
「期待しているのですか‥‥?乳首が立ち上がっていますね?」
シルフィはタンクトップの上からぱくりと乳首を食み
「しかし、外出中は下着を付けて下さいね?」
と、小言を言う事も忘れなかった。
「素肌には、何の匂いもしませんね。良かったです」
しばらくそのままクロシュの全身を舐め回したシルフィが安心した様に言うので、クロシュもホッとした。
どうやらマントコートの上からしかクロシュを触れなかったというブラックの言い分は正しかった様だ。
シルフィは次に、短パンを両手で脱がす。
「貞操帯も、外されそうになった形跡がありませんね」
「ああ。大丈夫だ」
シルフィの瞳からようやっと不安が消え、余裕が生まれてきた。
丁寧な手つきで、貞操帯を外していく。
「んっ‥‥」
膣に埋まっていたディルドがぬぷ、と音を立てて抜かれた。
「ずっと埋まっていたから‥‥物足りないみたいですね」
シルフィはクロシュの膣がくぱぁ、くぱぁ、とひくつくのを楽しそうに眺めながら言う。
その通りだった。
「シルフィ‥‥早く、埋めて、欲しい‥‥」
クロシュがシルフィの両肩に手をあてて懇願すれば。
ズンッッ‥‥‥‥‥‥!!!!
「ぁひぃっっ‥‥‥‥‥‥!!!!」
着衣を脱ぐ事もせずに、自分の肉棒を自ら出したシルフィに、クロシュは最奥まで一気に貫かれた。
☆☆☆
クロシュは、シルフィの顔の上で淫らな躍りを繰り広げている。
「今日は、お仕置きです。私の言う通りにクロシュが動いて下さいね?」
と、命令されてしまったからだ。
埋められた、と安心した膣は程々に擦られただけで直ぐにシルフィのペニスは出ていってしまい、変わりにシルフィの舌を使って一人で自慰するように求められた。
極力、いやらしく。
寝ているシルフィの顔を跨ぎ、膝は浮かせたまま腰を落とす。
バランスを取りながらシルフィの舌に自分のクリトリスと肉襞がしっかり当たる様、前後にスライドする。
前に腰を突き出す時は、より膝を左右に開いて、シルフィに秘所が丸見えになる様意識した。
後ろに下がる時は、お尻を突き出してそこにシルフィの両手で触らせる。
自らの右手は胸を鷲掴みにし、荒々しく乳首も弄る。
左手は、前から秘豆の皮を剥いてそのまま押さえていた。
気持ち良さで鼻息も荒くなり、また羞恥が快楽を呼ぶ。
「ん。上手ですよ、クロシュ」
シルフィにそう誉められるだけで、蜜がどっと溢れるのを感じた。
そうしてしばらく前後に動いていたが、もっと直接的な快感を得たくなり、シルフィの舌が膣に入る様に、今度は上下に動いた。
左手は後ろに回して、自らの後門を撫で擦る。
「あっ‥あっ‥‥あはぁっっっ‥‥‥!!!」
しかし、シルフィの舌では到底届かないところに、刺激が欲しい。
「シルフィ、も、う‥‥欲しい、お願い、おねがいぃ‥‥‥!!」
「ご自分で入れて下さい。‥‥出来るでしょう?」
クロシュがシルフィの顔面から下がりながら懇願すれば、シルフィはクロシュの頭をグッと近付けて口角を優美に上げて意地悪く囁く。
シルフィの吐息がクロシュのピンとした黒耳にかかり、そこからもゾクゾクとした痺れが脳へ、鱗紋へと波及した。
「‥‥っ」
潤んだ瞳でシルフィを見つめながら、自らの胸を揉んでいた右手を、シルフィの下半身へとそっと移動する。
秘豆の皮を剥いていた左手は、膣へと移動し、肉襞を広げた。
すぅ、と深呼吸してから、右手を添えたシルフィの猛りに、自ら身体を落としていく。
「ーーーーーーっっ!!ぁ、はぁ‥‥」
深々と奥まで刺さったシルフィのペニスを、クロシュの膣道は貪欲に求めて蠢いていく。
「気持ち、い‥‥」
「クロシュ、動いて下さい」
シルフィの顔にも淫楽の表情が読み取れ、安心したクロシュはゆっくりと動き始めた。
「んっ‥‥!!」
今は仮初めのペニス一本だったが、シルフィが慣らしていない後ろの蕾に手を伸ばし、両手の中指と人差し指を付き入れ、さらに左右に押し開く。
「お仕置きが終わるまでは、こちらには入れてあげません。それにしても‥‥こちらもトロトロに溶ける様ですね。指も食べられてしまいそうです」
ずぶずぶ、と指を動かされれば、後ろの穴でも快感を拾う身体に開発されてしまった事を、嫌でも思い知らされる。
「ん‥‥ん!!あ、はぁっ‥‥!!」
シルフィの薄くて、けれども筋肉のついたお腹に両手をあてて、腰を振る。
ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ
ぬっちゅ、ぬっちゃ、ぬじゅう‥‥‥
黒耳が卑猥な水音を拾う度にピクピクと動き、クロシュが感じている事を如実に語ってしまう。
「にゃん!も、動いてぇ‥‥?」
シルフィの先走りに含まれる媚薬がクロシュの欲望を解放し、クロシュはシルフィのペニスを貪りながらおねだりをする。
「‥‥っ、わかり、ました。クロシュの、そんな姿を見せられたら、私ももう‥‥」
ずるっ
「いやにゃぁ、抜かにゃいでぇっ!」
「違いますよ。仮初めでなく、繋がろうと思いまして」
「にゃん♪シルフィの、いぼいぼ、大好きにゃー!!」
「いぼいぼ、だけですか?」
「うにゃ?にゃ!お尻も、気持ちくて、大好きにゃ!!」
「‥‥」
ずぶずぶずぶずぶぅ‥‥
「にゃーーーーーーっっ!!凄、にゃ、おく、ついてる、ぅ‥‥」
「好きです。愛してますよ、クロシュ」
互いに夜が明けるまで貪りあって、何度も何度もオーガズムに達した。
☆☆☆
(こ、腰が‥‥喉が‥‥‥‥!!!)
翌日の夕方。
目覚めたクロシュは、多少覚悟していたものの、全身筋肉痛になるまで責め立てたシルフィをジト目で見てしまった。
シルフィは普段通りの様子でなんら不都合はないらしい。
「さて。クロシュ、事の顛末をお窺いしても?」
因みにクロシュの失態を忘れてもいなかった。
どのみち、ガッシュによってシルフィに報告されるのだし、自分にはシルフィに、ブラックの件でお願いしなければならない話もある。
クロシュは覚悟を決めた。
「実はな‥‥‥」
相手を庇わず、シルフィに語りかけ、お願いをする。
しかし、今回ばかりは気が引ける。
ガッシュに伝授された『おねだりすればご機嫌up』スキルの、おねだりの内容が‥‥それこそ、単なる黒猫人がして良い内容ではないと感じるからだ。
「‥‥そこで、お願いがあるんだ。私に出来る事なら、何でもするから‥‥‥その‥‥‥‥」
「私の、血でしょうか?」
「‥‥ああ‥‥」
シルフィの顔が見れない。
シルフィの血を望む者に対して、シルフィが「浅ましい」と軽視している事を知っている。
私は、自分で思っていたよりも、シルフィに嫌われたくない様だった。
ブラックと約束した手前、話したが‥‥今すぐシルフィの前から逃げ出したかった。
「‥‥良いですよ」
「‥‥え?ほ、本当かっ!?」
長い沈黙の後に、シルフィから貰えた回答に喜んだのも束の間。
シルフィは、黒い顔で笑っていた。
つまり、何処をどう考えても、良からぬ事を考えている。
「ただし、ひとつ条件があります。クロシュ、貴女にしか、出来ない事が」
「それを聞けば、友人の命も保証してくれるか‥‥?」
「ええ。二度と貴女の前に現れない限りは」
「わかった。で、条件というのは‥‥」
「私との婚姻です。貴女はハスラー王国には帰らず、竜人国に私と一緒に住む事となります」
「‥‥は?」
「‥‥クロシュは、私の最愛の番なのですよ?まさか、旅が終わるまでの期間限定、等と思ってはいなかったですよね?」
思ってた、とは言えない状況だった。
「ふふふ、楽しみですね。竜人国に帰国したら、蜜月のやり直しと‥‥クロシュと死ぬまで離れない、という生活が待ってます」
シルフィは、口に手をあてて優美に微笑んだ。
(あれ?今のってプロポーズとやらか?脅しに近い、プロポーズとやらか!?!?)
あはは、とクロシュも頬をひきつらせて笑う。
(逃げ出したい‥‥が、もう逃げられない気がする‥‥)
上機嫌でガッシュに採血の指示をするシルフィを見ながら、クロシュは何処か遠い目をした。
(手紙に書いておこうかと思ったが、やめておこう‥‥)
万が一、下手に読まれたら藪蛇だ。
大分昔に一度だけ、ブラックと関係した事は、墓場まで隠し通そうとクロシュは心に固く誓った。
(貞操帯になんか、慣れたくはなかった‥‥!!)
語るも涙、のエロエロな日々を乗り越えてゲットした一人の自由時間。
たった二時間、という制限はあるものの、一時でも自由にこの南国を満喫したかった。
この国の次は、いよいよシルフィにとって、当初の旅の目的であった元婚約者がいる砂漠の国、ハワードザードに到着する。
そこからは気を引き締めて、シルフィの警護にあたるつもりだった。
不可抗力とは言え、クロシュがシルフィを奪った形になるのだ。
お互いに恋愛感情はなかったとしても、元婚約者が恋人を連れてやって来るなんて、気分は複雑だろう。
さて、何処か面白そうな店はないか?と、出店と出店の間の人混みの中を掻き分けて歩く。
因みに、マントコートの装着はシルフィが譲らなかったが、フードだけは外す事を許してくれた。
顔回りを覆う物がないだけ、幾分うざったさが和らいだ気がする。
上機嫌で、アクセサリー通りにてアクセサリーショップを覗いていた時の事だった。
「クロシュ?クロシュじゃねーか??」
こんなところに知り合いがいる訳ない、と思いながらも振り向けば‥‥同じ黒猫人の元衛兵、ブラックがそこにいた。
「ブラック‥‥!お前、こんなところで何をしているんだ?」
「はは、俺は流れの衛兵だからさ、今はこの国に雇われてんだよ」
「凄い奇遇だな!変わってなさそうだ」
「クロシュだって変わってねーなぁ。四年ぶり‥‥五年ぶりか?」
「そうだな、それくらいか?」
「なぁ、時間あるなら少し話さないか?酒がすげー美味い、穴場の店教えてやるよ」
あ、待て‥‥とクロシュは言おうとしたが、ブラックは人の返事も待たずにその場で高くジャンプし、体を捻りながら塀の上へ、更に屋根の上へと駆け出していく。
シルフィと約束した時間は、後一時間半程残っている。
(ガッシュ、すまない)
後ろから離れた場所でクロシュを護衛していたガッシュと他の仲間数人に「心配するな」という意味合いの合図を送り、クロシュはブラックの後を追った。
猫人の能力がなければ、後を追えない筈だからだ。
「やっぱりバレてたか」という表情をしたガッシュを尻目に、クロシュは忍者の様に姿を消した。
☆☆☆
「俺の奢りだ!まぁ飲め!!」
ブラックは、クロシュの前にドン!と大ジョッキを置いた。
「ああ、ありがとう。‥‥お前は飲まないのか?」
「俺は後少しで、仕事に戻らなきゃなんねーんだよ」
「そうか。酒好きなのに辛いな」
「全くだ」
「少しで酔えるのにな」
「全くだ」
ブラックは、酒好きだったが、酒には弱かった。
下戸ではないが、大ジョッキがあれば十分酔える程に。
対してクロシュは、ザルだ。
よくブラックに勝負にならない勝負を挑まれていた。
クロシュは「じゃ、遠慮なく」とグイグイ喉に流し込む。
ブラックが言うとおり、喉ごしが最高の美味しい酒だった。
しばらく、お互いの近況を語り合う。
小汚い店だが酒は美味しく、向かいには気の置けない仲間と馬鹿話。
シルフィと一緒にいすぎてすっかり忘れていたが、クロシュの日常はこうしたものだった、と改めて思う。
それにしても、確かにここの酒は美味しい。
ザルである筈のクロシュが、「酔うとはこういう事か?」と思う程には、アルコールが回ってきた気がする。
昔一緒に働いた時の懐かしい思い出が蘇ってきて、ふと思い出した事を聞いてみた。
「‥‥そう言えばブラック、長年の夢は叶ったのか?」
確か、昔からブラックは「俺の夢は億万長者だ」と言っていた。
「いや、まだだ。‥‥もう少し、と言えばもう少し、かな?」
てっきり、「まだまだだ」という回答かと思っていたので、むせそうになった。
「はは、億万長者になれば、もう衛兵からは足を洗うのか?」
「どうだろうな?」
「勿体ないな、ブラック程腕が良ければまだまだ現役でいけるのに」
「俺がどうして衛兵なんてしているか知ってるか?」
「稼げるからだろう?」
「なんで稼ぎたいのかは?」
「女にモテる為だったか?」
「あはは、間違いない。‥‥だが、それだけじゃない。俺が金持ちになりたい理由はな‥‥竜人の血が欲しかったからだ」
ぶほっ!!
今度は見事にむせた。
「‥‥そ、そうだったのか‥‥」
何でだ、と続け様としたが、目の前がグラリと傾いだ。
「あれ?すまないブラック、酔ったらしい‥‥」
頭に手を当て、必死でこの酔いをやりすごそうとする。
こんな状態でシルフィの元に戻ったならば、良くて酒禁止。悪くて外出禁止になってしまう。
「いや、謝るのはこっちだ」
「‥‥?」
「ハスラー王国にはないからな、猫人でもクロシュは知らないだろう、『タタラ』のせいだ」
「なん、で、‥‥」
そんな事を、とは続けられなかった。
今度こそ視界がグニャリと曲がり、クロシュは前後不覚に陥った。
そして机にそのまま突っ伏す。
「悪いな、クロシュ」
ブラックはそのままひょいとクロシュを軽々と肩に担ぐと、勘定を済ませて店を後にした。
☆☆☆
「‥‥ん‥‥」
クロシュは寝返りをうち、そのままガバッと起きた。
帯刀していた筈だが、腰にやった手に、馴染んだ剣の感触は掴めなかった。
「起きたか」
仕方なく、先程から感じていた気配のする方へと目をやる。
まだ、拘束されていない分だけマシと考えるべきか、それとも拘束する必要もないと思われているのを悔しがるべきか、悩むところではある。
「ブラック。これは何の真似だ」
怒りを抑えて問えば、ブラックはそれに対する返事をせずに水の入ったコップを渡してきた。
「今度は何も入っていない。安心しろ」
「‥‥」
クロシュは素直に受け取り、飲み干してから部屋の中を見回した。
ベッドに、時計。机と椅子。トイレすらも備え付けられていない質素な部屋だが、外からなかなかの轟音と身体に感じる揺れが凄い。
‥‥馬車ではない。トロッコでもない。では、何だ??
視線を戻して時計を見たクロシュは、血の気が引いた。
(‥‥しまった!!シルフィと約束した時間を大幅に過ぎている!!)
これでは、良くて外出禁止、悪くてお仕置きと言う名の羞恥プレイがそれにプラスされてしまう。
クロシュが焦って小窓へと視線をやれば、直ぐに気付いたブラックに止められる。
「そこから飛び降りるのはやめておけ。いくらお前でも、死ぬ」
クロシュが飛び降りて死ぬ程の建造物は、実は余りない。
(まさか‥‥!!)
慌てて小窓から外を見れば、そこには一面雲が広がっていた。
「そうだよ。飛空船の中だ」
クロシュは(これは最悪な事に、外出禁止+オプションコースだ)と考えて頭が痛くなった。
「‥‥ブラック、悪い事は言わない。速やかに、私を元の場所へ‥‥いや、それは危険過ぎるから、何処でもいい、直ぐに私から離れて遠くへ行ってくれ」
「何故だ、と聞いていいか?」
「それは、お前も知っているんだろう?」
「‥‥いや、知らない。俺は、竜人の血が報酬、という仕事を引き受けただけだ。その条件が、お前を連れ去る事だった」
「そうか。だから、初めて会った時にお前はハスラーにいる筈の私が何故ここにいるのか聞かなかったんだな」
他にも、ブラックと偶然出会うには、アクセサリー通りというブラックが凡そいないであろう場所で会ったという違和感。
人の返事も待たずに飲み屋に連れて行こうという強引さ。
極めつけは、仕事中は酒を確かに一滴も飲まないが、仕事の直前迄は平気で酒を飲む厚顔無恥さを持ち合わせていたブラックが、昔馴染みにあったにも関わらず今回は飲まない理由等がはっきりした。
ブラックもガッシュ達が尾行している事に気付いていたのだ。
そしてブラックは既に仕事中で、狙いはクロシュだった。
「‥‥兎に角、今、お前はとんでもなく危険な事を犯しているんだ。竜人を敵にまわすな」
「もう、俺にも時間がない。最後のチャンスなんだ」
「最後のチャンス?」
「これで無理なら、俺の幼馴染も、妹達も、皆、死ぬ」
「‥‥」
「紫扇病なんだ。現在の医学では治らない。‥‥唯一の望みが、竜人の血だ」
「‥‥残念だが、今私を解放しなければ、お前は間違いなく殺される」
クロシュの脳裏に、蛇人に相対したシルフィの姿が浮かんだ。
相手の要望や話すら聞こうともせず、クロシュを拐った者は一欠片の情けもかけなかった、美しい竜人。
「お前が死ねば、当然、お前の幼馴染や妹さんも‥‥」
「俺が死ぬだと?お前、俺を何だと思っている?」
「世界でも名だたる衛兵のひとり、だな」
「良くわかってんじゃねーか。で?まだ俺が死ぬと言うつもりか?」
クロシュは歯噛みした。
竜人がどれ程強いのか、ブラックは知らない。
実際、つい先日までクロシュも護衛を真剣にする程、竜人とは尊いだけだと思っていたのだ。
あの、竜人を騙した国が滅びたお伽噺も「竜人国と世界国家連合軍がその国に裁きを下した」と脚色されているが、シルフィの話からすると、ほぼ間違いなく、竜人国単体か下手したら一人の竜人がやった話だ。
世界も、知らない。若しくは世界が、隠蔽している。
ブラックにシルフィの話をする事は簡単だ。
しかしクロシュの雇い主は、シルフィだ。雇い主の情報を話す護衛が、何処にいる?
ブラックの命を助ける為だと考えたとしても、万が一ブラックから誰かに情報が漏れたら?
「私からは、何も言えない。兎に角、早く私を自由にしろ」
「まあ、そんなに焦るなよ。ここは、飛空船の中だ。誰もこんなところまでは来られない」
それはそうだ。
「‥‥普通、竜人は飛べないよな?」
「勿論だ。竜人は、どうやら竜の能力をひとつだけ受け継ぐらしいが、それも竜の血が薄れてきている為に、最近では能力を受け継げない竜人もいるみたいだ」
シルフィは、能力を持たない竜人なのだろうか?そんな話を聞いた事はなかった。
ブラックは続けた。
「普通の竜人は、飛べない‥‥が、そういや竜人国の王は代々飛べるらしい。血ではなく、飛ぶという能力を持っているかいないかで王が選ばれるらしいからな」
クロシュは、何となく嫌な予感がした。
あの時‥‥年老いた蛇人は、何と言っていた?
『今すぐ!今すぐここから全員避難するのじゃ!!』
『え?こいつは‥‥?』
『勿論、ここに置いてゆくのじゃ!!早くせい!!しかも、白銀の鱗とは‥‥怒り狂った竜の王が来よるぞ‥‥!!』
竜の王が来よる
確かに、そう言っていた。
クロシュの顔色が悪くなっていく。
「しまった‥‥ブラック。念のため聞くが、お前、私に触ってないよな?」
「担いだから触ってるけど?」
「ああ‥‥そうじゃなくて、私の素肌に‥‥この、マントの上からしか触ってないよな?」
「ああ、今日は。何だ?襲われたくなったか?」
「死にたくなければ聞け。これから、この飛空船は恐らく攻撃されて墜落する。さっさとパラシュートを身に付けろ」
「は?何を‥‥」
「良いから聞け。後、竜人の血の話は今回だけは特別に何とかする。だから身を引け。血を届けて欲しい場所だけ、今すぐ紙に書いて私に渡せ」
「お、おう‥‥」
クロシュの焦りが伝わったのか、ブラックはクロシュの言う通りにパラシュートを身に付け、紙とペンを探した。
「後、これが一番大事だ。お前と私は、赤の他人だ。一緒に仕事はした事があるかもしれないが、あくまで仕事上の付き合いだった。いいな?」
わかったな、と聞こうとしたその時。
ドッゴオオオオン!!!!
ドオン!!
ドオン!!
物凄い轟音と共に、何人かの悲鳴が聞こえた。
ーーーーーー来た。
クロシュはブラックから紙を奪い取り、小窓を指差して指示する。
「いいか!今すぐ一緒に飛び降りるぞ!!」
「は!?お前、パラシュートつけてないじゃねーか!!」
「私はいいんだ!!早く!死にたくなければ飛べっっ」
クロシュだけが飛び降りれば、シルフィは必ずクロシュを助けに飛空船を後にする。
しかし、その際に飛空船を‥‥ブラックを殺していくかもしれない。
ブラックが先に飛び降りれば、シルフィはクロシュの誘拐犯を取り逃がさない為に、見つけた時点でやはり殺すかもしれない。
一緒に飛び降り、クロシュをシルフィが助けた後のタイミングならば、もしシルフィがブラックを殺そうとしてもそれを止める事が出来る。
それが一番、友人が生き延びる可能性が高く思えた。
☆☆☆
クロシュはブラックに続いて、直ぐに飛び降りた。
風の音と、物凄い風圧がクロシュの身を包む。
「シルフィ!!ここだ!!」
あらん限りの声で叫んだが、それより前に、飛空船から1体の大きな影が猛スピードでこちらに向かってくるのが見えて、クロシュは心底ホッとした。
‥‥ああ、シルフィだ。
少ししか離れていなかったのに、懐かしさと愛しさが込み上げてくる。
見た事もない、蝙蝠の様な(本当は竜なのだろうが、竜の羽を見た事がない)羽を広げて滑降してくる。
空中でシルフィに手を伸ばせば、その手を宝物の様にふわり、と下から持ち上げられた。
シルフィはそのまま身体の距離を縮め、クロシュの腰にグッと腕を回す。
そのままバサリ、と大きな羽音がしたかと思うと、クロシュの身体は宙に浮いたまま停止していた。
シルフィが、クロシュの肩に顔を埋めてその香りを大きく吸い込んだ。
クロシュの存在を確かめる様に。
「‥‥クロシュ、約束の時間を大幅にオーバーしていますよ?」
シルフィは怒っているとばかり思っていたが、泣きそうな声だったのでクロシュは「すまない」としか言えなかった。
シルフィの肩越しに、飛空船が空中分解をしながら燃え落ちていくのが、見えた。
☆☆☆
「クロシュ、無事で良かったです」
最高級宿屋に着くと、シルフィは抱き抱えていたクロシュをようやく手放した‥‥というよりベッドに寝かせた。
「怪我とかはしていませんか?」
「ああ」
「事の顛末を聞きたいのは山々ですが‥‥ひとまず後にして、クロシュの無事を確かめさせて下さい」
「‥‥」
するりとマントコートを脱がされ、タンクトップに短パンという軽装過ぎるクロシュの姿が現れた。
「期待しているのですか‥‥?乳首が立ち上がっていますね?」
シルフィはタンクトップの上からぱくりと乳首を食み
「しかし、外出中は下着を付けて下さいね?」
と、小言を言う事も忘れなかった。
「素肌には、何の匂いもしませんね。良かったです」
しばらくそのままクロシュの全身を舐め回したシルフィが安心した様に言うので、クロシュもホッとした。
どうやらマントコートの上からしかクロシュを触れなかったというブラックの言い分は正しかった様だ。
シルフィは次に、短パンを両手で脱がす。
「貞操帯も、外されそうになった形跡がありませんね」
「ああ。大丈夫だ」
シルフィの瞳からようやっと不安が消え、余裕が生まれてきた。
丁寧な手つきで、貞操帯を外していく。
「んっ‥‥」
膣に埋まっていたディルドがぬぷ、と音を立てて抜かれた。
「ずっと埋まっていたから‥‥物足りないみたいですね」
シルフィはクロシュの膣がくぱぁ、くぱぁ、とひくつくのを楽しそうに眺めながら言う。
その通りだった。
「シルフィ‥‥早く、埋めて、欲しい‥‥」
クロシュがシルフィの両肩に手をあてて懇願すれば。
ズンッッ‥‥‥‥‥‥!!!!
「ぁひぃっっ‥‥‥‥‥‥!!!!」
着衣を脱ぐ事もせずに、自分の肉棒を自ら出したシルフィに、クロシュは最奥まで一気に貫かれた。
☆☆☆
クロシュは、シルフィの顔の上で淫らな躍りを繰り広げている。
「今日は、お仕置きです。私の言う通りにクロシュが動いて下さいね?」
と、命令されてしまったからだ。
埋められた、と安心した膣は程々に擦られただけで直ぐにシルフィのペニスは出ていってしまい、変わりにシルフィの舌を使って一人で自慰するように求められた。
極力、いやらしく。
寝ているシルフィの顔を跨ぎ、膝は浮かせたまま腰を落とす。
バランスを取りながらシルフィの舌に自分のクリトリスと肉襞がしっかり当たる様、前後にスライドする。
前に腰を突き出す時は、より膝を左右に開いて、シルフィに秘所が丸見えになる様意識した。
後ろに下がる時は、お尻を突き出してそこにシルフィの両手で触らせる。
自らの右手は胸を鷲掴みにし、荒々しく乳首も弄る。
左手は、前から秘豆の皮を剥いてそのまま押さえていた。
気持ち良さで鼻息も荒くなり、また羞恥が快楽を呼ぶ。
「ん。上手ですよ、クロシュ」
シルフィにそう誉められるだけで、蜜がどっと溢れるのを感じた。
そうしてしばらく前後に動いていたが、もっと直接的な快感を得たくなり、シルフィの舌が膣に入る様に、今度は上下に動いた。
左手は後ろに回して、自らの後門を撫で擦る。
「あっ‥あっ‥‥あはぁっっっ‥‥‥!!!」
しかし、シルフィの舌では到底届かないところに、刺激が欲しい。
「シルフィ、も、う‥‥欲しい、お願い、おねがいぃ‥‥‥!!」
「ご自分で入れて下さい。‥‥出来るでしょう?」
クロシュがシルフィの顔面から下がりながら懇願すれば、シルフィはクロシュの頭をグッと近付けて口角を優美に上げて意地悪く囁く。
シルフィの吐息がクロシュのピンとした黒耳にかかり、そこからもゾクゾクとした痺れが脳へ、鱗紋へと波及した。
「‥‥っ」
潤んだ瞳でシルフィを見つめながら、自らの胸を揉んでいた右手を、シルフィの下半身へとそっと移動する。
秘豆の皮を剥いていた左手は、膣へと移動し、肉襞を広げた。
すぅ、と深呼吸してから、右手を添えたシルフィの猛りに、自ら身体を落としていく。
「ーーーーーーっっ!!ぁ、はぁ‥‥」
深々と奥まで刺さったシルフィのペニスを、クロシュの膣道は貪欲に求めて蠢いていく。
「気持ち、い‥‥」
「クロシュ、動いて下さい」
シルフィの顔にも淫楽の表情が読み取れ、安心したクロシュはゆっくりと動き始めた。
「んっ‥‥!!」
今は仮初めのペニス一本だったが、シルフィが慣らしていない後ろの蕾に手を伸ばし、両手の中指と人差し指を付き入れ、さらに左右に押し開く。
「お仕置きが終わるまでは、こちらには入れてあげません。それにしても‥‥こちらもトロトロに溶ける様ですね。指も食べられてしまいそうです」
ずぶずぶ、と指を動かされれば、後ろの穴でも快感を拾う身体に開発されてしまった事を、嫌でも思い知らされる。
「ん‥‥ん!!あ、はぁっ‥‥!!」
シルフィの薄くて、けれども筋肉のついたお腹に両手をあてて、腰を振る。
ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ
ぬっちゅ、ぬっちゃ、ぬじゅう‥‥‥
黒耳が卑猥な水音を拾う度にピクピクと動き、クロシュが感じている事を如実に語ってしまう。
「にゃん!も、動いてぇ‥‥?」
シルフィの先走りに含まれる媚薬がクロシュの欲望を解放し、クロシュはシルフィのペニスを貪りながらおねだりをする。
「‥‥っ、わかり、ました。クロシュの、そんな姿を見せられたら、私ももう‥‥」
ずるっ
「いやにゃぁ、抜かにゃいでぇっ!」
「違いますよ。仮初めでなく、繋がろうと思いまして」
「にゃん♪シルフィの、いぼいぼ、大好きにゃー!!」
「いぼいぼ、だけですか?」
「うにゃ?にゃ!お尻も、気持ちくて、大好きにゃ!!」
「‥‥」
ずぶずぶずぶずぶぅ‥‥
「にゃーーーーーーっっ!!凄、にゃ、おく、ついてる、ぅ‥‥」
「好きです。愛してますよ、クロシュ」
互いに夜が明けるまで貪りあって、何度も何度もオーガズムに達した。
☆☆☆
(こ、腰が‥‥喉が‥‥‥‥!!!)
翌日の夕方。
目覚めたクロシュは、多少覚悟していたものの、全身筋肉痛になるまで責め立てたシルフィをジト目で見てしまった。
シルフィは普段通りの様子でなんら不都合はないらしい。
「さて。クロシュ、事の顛末をお窺いしても?」
因みにクロシュの失態を忘れてもいなかった。
どのみち、ガッシュによってシルフィに報告されるのだし、自分にはシルフィに、ブラックの件でお願いしなければならない話もある。
クロシュは覚悟を決めた。
「実はな‥‥‥」
相手を庇わず、シルフィに語りかけ、お願いをする。
しかし、今回ばかりは気が引ける。
ガッシュに伝授された『おねだりすればご機嫌up』スキルの、おねだりの内容が‥‥それこそ、単なる黒猫人がして良い内容ではないと感じるからだ。
「‥‥そこで、お願いがあるんだ。私に出来る事なら、何でもするから‥‥‥その‥‥‥‥」
「私の、血でしょうか?」
「‥‥ああ‥‥」
シルフィの顔が見れない。
シルフィの血を望む者に対して、シルフィが「浅ましい」と軽視している事を知っている。
私は、自分で思っていたよりも、シルフィに嫌われたくない様だった。
ブラックと約束した手前、話したが‥‥今すぐシルフィの前から逃げ出したかった。
「‥‥良いですよ」
「‥‥え?ほ、本当かっ!?」
長い沈黙の後に、シルフィから貰えた回答に喜んだのも束の間。
シルフィは、黒い顔で笑っていた。
つまり、何処をどう考えても、良からぬ事を考えている。
「ただし、ひとつ条件があります。クロシュ、貴女にしか、出来ない事が」
「それを聞けば、友人の命も保証してくれるか‥‥?」
「ええ。二度と貴女の前に現れない限りは」
「わかった。で、条件というのは‥‥」
「私との婚姻です。貴女はハスラー王国には帰らず、竜人国に私と一緒に住む事となります」
「‥‥は?」
「‥‥クロシュは、私の最愛の番なのですよ?まさか、旅が終わるまでの期間限定、等と思ってはいなかったですよね?」
思ってた、とは言えない状況だった。
「ふふふ、楽しみですね。竜人国に帰国したら、蜜月のやり直しと‥‥クロシュと死ぬまで離れない、という生活が待ってます」
シルフィは、口に手をあてて優美に微笑んだ。
(あれ?今のってプロポーズとやらか?脅しに近い、プロポーズとやらか!?!?)
あはは、とクロシュも頬をひきつらせて笑う。
(逃げ出したい‥‥が、もう逃げられない気がする‥‥)
上機嫌でガッシュに採血の指示をするシルフィを見ながら、クロシュは何処か遠い目をした。
(手紙に書いておこうかと思ったが、やめておこう‥‥)
万が一、下手に読まれたら藪蛇だ。
大分昔に一度だけ、ブラックと関係した事は、墓場まで隠し通そうとクロシュは心に固く誓った。
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