艶めく竜が愛すは…

イセヤ レキ

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本編

艶めく竜が愛すは遁走猫人・1

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単なる護衛だった筈の黒猫人クロシュが、気付けば稀有で高貴な種族である竜人のシルフィに(勝手に)番にされた日から、一週間が経とうとしていた。

その日から、クロシュは護衛から護衛対象へと(本人にしてみれば)格下げされた。
しかも、シルフィより厳重に強固に守られている感がある。


‥‥シルフィとガッシュ。それ以外の人と話したのは、いつが最後だ?


退屈な馬車に揺られながら、クロシュはぼんやりと思った。
護衛をしていた時は良かった。
皆で馬に乗り、自由に会話し、旅の景色を楽しめた。
それが今や、窓を開ける事すら許されないとか、何の罰ゲームなんだ、これ。
暇すぎる。


蛇人に対して、確かに浅い考えで動いてしまった自覚はある。
どうやらあれで、シルフィは恐怖してしまったらしい。
クロシュを自由にさせる事に。

確かに、心配は掛けたのだろうが‥‥


「クロシュ?考え事ですか?」 
「いや、別に」

(番って‥‥なんて面倒な‥‥)

馬車に揺られながら、本来自由気ままな性質の猫人としてはそう思わざるを得ない。

(‥‥逃げ出したい‥‥)

そうクロシュが思ってしまうのも、仕方がない事であった。




☆☆☆




その日の夜。
なかなかに大きな街についたので、クロシュとシルフィは街で一番高級な宿屋で部屋を取った後、街の探索に出掛けた。

クロシュは見知らぬ街、久しぶりの活気と喧騒を心地よく感じながら、全身を覆うフード付きマントコートを邪魔に思う。
シルフィに、「街を見たいならこちらを羽織って下さいますか?」とお願いという名の命令をされてしまったのだ。

これまた最高級生地で作られた、夏は涼しく、冬は暖かい、というリバーシブルタイプの素晴らしいマントコートではある。
が、軽装を好むクロシュに至ってはうざったくてたまらない。

(確かに、南国ここマントこれを着ていても暑く感じないのには驚いたが‥‥)
気のせいかもしれないが、このマントが、自分と外界を遮る物としか感じられないのである。
何と言うか、せっかくの外の空気を肌で感じられない、という感じがする。

ハッキリ言えばこのマントコートは、クロシュがシルフィ以外のオスとの接触を一切しないようにする為‥‥の様に思える。
別にこちらから適当なおとこをナンパする訳でもあるまいし、街で誰かと肩がぶつかったりする位許して欲しい。


(不自由だ‥‥理不尽だ‥‥)

「そこの黒マントの人!新鮮な魚は要らないかい?」

魚屋の前で、威勢の良いオジサンに声をかけられる。
頭からくるぶしまで真っ黒のマントコートを羽織っているなんて、この南国では皆無であり、どう考えても不審人物としか思えないが何とも恐れ知らずのオジサンだ。
いや、何も考えていないのかもしれない。

「何がオススメなんだ?」
つい返事をすると、真横から物凄い冷気が吹き出した。
見なくてもわかる。シルフィだ。

「お客さん、旅人だよな?ならさ、調理済みのデッカのフライとか、アクルーの塩焼きとかどうだい?この場でも食べられるし、食べ歩き出来る様に串に刺してるからよ!」

ご機嫌が氷点下まで下がっているシルフィに、クロシュは最近身に付けたスキル『おねだりすればご機嫌UP』を発動させた。

「シルフィ、私は魚が好物なんだが、デッカもアクルーもハスラーにはなくて食べた事がない。それぞれ一つずつ買って、半分こにしないか?」

ニッコリ笑ってシルフィに問えば、冷気をサッと引っ込めた竜人は、それはもう綺麗に笑みを返してきた。

「えぇ、クロシュが望むなら勿論」
「お、いいねぇ熱いねぇお二人さん!毎度ありっ!」

お金を差し出すシルフィに向かってニカッと笑った店主は、何も感じる事なくシルフィに品物を2つ渡し、直ぐに次の客に声を掛けていた。

(ガッシュの教えてくれたこの技は凄いな‥)

竜人の嫉妬深さは折り紙つきで、それはひたすらクロシュの想像を超えるものだった。
最初扱い方がわからず困り果てる事が多かったのだが、不憫に思った熊人のガッシュが「もし万が一何か間違いをおこしてシルフィの様子が怪しくなったら、兎に角シルフィにだけ話しかけろ!下手に相手を庇うな!んでもって、その時に何かシルフィにおねだりしろ!」と教えてくれたのだ。

聞いた時は(特におねだりの)意味もわからず、そんな事で上手くいくのか?と半信半疑だった。
しかし、その後非常に有効である事が判明したのだ。

隊の中でうっかり誰かの落とし物を拾い、落とし主を探してしまった時→「私では誰のものかわからないから、シルフィに聞いて貰えると助かるな?」

宿屋のルームサービスを頼んだ時の酒で見慣れない物があり、ついそれを持ってきた男のスタッフに声を掛けてしまった時→「シルフィが頼んでくれたのか?凄く楽しみだ、ありがとう。もし好みだったら、道中用に買ってもいいか?」

ある街の道端で迷子っぽい男の子(推定6歳)を保護して警らの人間に声を掛けようとした時→「やはり慣れていない土地では他人ひとの面倒を見る事が出来ないな‥‥私にはその点、シルフィがいるから安心だ。何時でも見つけてくれるだろう?」


等々。

ひとまずシルフィに話しかける事にしたら、たちまち彼はご機嫌になり、「勿論です、クロシュ」とそのまま事なきを得る事、数え切れない。


シルフィの事は、好きだ。
多分、今まで関係した異性の中でも、一番好ましく思っている。
シルフィに大事にされるのは心地好いし、今まで誰にもここまで大切に扱われた事などない。

少し前に、あれだけ膣内ナカに放っているのに妊娠しないというのは、自分が番ではないからだ、と思い至って多少凹んだ事もある位には、好きだ。
だが実際、番になってみたらば種族の壁をひしひしと感じる。

シルフィの事は、好きだ。
けど、今までの関係‥‥シルフィと毎日繋がっても、他の人ともバカやって、適当に離れる時間もあって‥‥位が、自分にとっては好ましい。
まだ耐えられるレベルではあるが、束縛これが一生続くのかと思うと、多少‥‥いやかなり、気が滅入る。


「デッカのフライ、美味しいぞ。食べてみるか?」
「アクルーの塩焼きも、脂がのっていて上質な個体ですね。クロシュもどうぞ、交換致しましょう」

ぷらぷらと食べ歩きながら、食べた物の感想をあーだこーだ言い合う。
気楽なデートみたいで、凄く楽しい。


物凄い束縛と嫉妬さえなければ、最高なのだが‥‥


クロシュはそんな事を考えながら、シルフィとその後も夜の街の賑わいを楽しんだ。




☆☆☆




「クロシュ、今日は久々にはしゃいでいましたね?楽しかったですか?」
「ああ。とても楽しかった」
「では一緒に‥‥」
「待てシルフィ。私は今日は、大事な話をしたいと思っているんた」
「はい、クロシュ。何でしょうか?」

街での探索を楽しみ、クロシュの提案により屋台で夕飯を食べ、宿屋に戻ってきた二人は、普段ならこのまま一緒に風呂コースかベッドコースと決まっている。

そこに連れ込まれると、クロシュは何故か発情状態みたいになるので(本人は知らないが、シルフィの精液には媚薬成分が入っており、毎回強制的に発情させられている)、その前に何としてもシルフィと今後について話し合いをしよう、と心に決めていた。


シルフィは、こうした時にはクロシュの話を必ず流さずに受け止める。
受け止めた後は、お互いに譲歩しあうのだが、そこもとても好ましく感じていた。


「あの、な。‥‥もう少し、前みたいに、出来ないだろうか?」
「前みたいに、と申しますと?」
「前みたいに、自由にさせて欲しい。護衛という仕事もしたい。馬だって乗りたいし、旅のメンバーとも普通に話したい。店では店主とやり取りしたいし、買い物も仕事外の時間で気楽に行きたい。‥‥シルフィは‥‥どう思う?」

クロシュが希望を言えば言う程、シルフィはその美しく整った顔を曇らせていく。
最後の方は尻すぼみしたものの、何とか伝えきる事が出来た。
クロシュは黒耳をペタンと閉じて、シルフィを窺い見る。

「‥‥ガッシュが」
「ん?ガッシュ?」
「ガッシュが、恐らくそのうち、貴女がそう言ってくるだろう、と言っていたのですよ。‥‥その時には、貴女に逃げられない為にも、貴女の願いを聞く様にと」
「そうなのか」
「実は、今の時期は竜人で言うところの『蜜月』にあたりまして‥‥それこそ本来なら、一歩も外に出ずで二人きりの時間を楽しむものなのです。竜人は、その時期は特に、番を他人の目に触れさせる事を殊更嫌がるものでして‥‥」
「‥‥成る程」
「私としては、最大限譲歩していたつもりだったのですが‥‥そうですか」
曇った顔を覆う様にして悲しむシルフィを見ていると、こちらの理解が足りなかったのではないかという気になってくる。

「そうだったのか‥‥そうとは知らず、申し訳なかった」
「いえ。私も、配慮が足りませんでした。では、お互いの折半案としてですが‥‥ひとつは、竜人の国に戻った際には、『蜜月』のやり直しをする事」
「‥‥わかった」
「もうひとつは、クロシュが護衛時代と同じ行動を望むなら、私を安心させる事、が条件です」
「シルフィを安心させる‥‥?」
「簡単です。少しお待ち下さい」

シルフィは、「ガッシュから話を聞いた時に、買っておいて良かったです」と言いながらおもむろに荷物をゴソゴソ漁る。
そして、目当ての物を見つけると、その袋をクロシュに差し出した。




☆☆☆




盛大に頬をひくつかせながら、クロシュはシルフィに問う。


「‥‥これを‥‥日中付けていろ、と‥‥?」
「はい」
「これは‥‥」
「貞操帯です」
シルフィは、聞かれた花の名前を答えるかの様にサラリと言った。
綺麗な笑みを浮かべて。

「‥‥何故、私が貞操帯こんなものをつけなければならないのか、わかりやすく伝えてくれ‥‥」
クロシュは頭が痛くなったとばかりに右手を頭部にあてた。
「クロシュが私と離れている時に、その貞操を守る為です」
「‥‥いや、用途はわかっている」
「クロシュの質問の意図は何でしょうか?」
シルフィは、逆に頭を傾げて聞いてきた。

「あのな、シルフィ。私は今まで生きてきて、暴漢にあった事もなければ貞操の危機に晒された事もない。ましてや、乱暴を働いてくる様な者では、私より腕の良い者はなかなかいなかったから、むしろ全員返り討ちにしている。‥‥つまり、経験上、貞操帯これの必要性を感じない。却下だ」
「それは、今までクロシュが幸運だったのですよ」

シルフィはそう答える。

「クロシュ、貴女は確かに普通の女性よりは、強いのかもしれません。しかし、これからも暴漢に遭わないという可能性はないし、ましてやその暴漢が必ずしもクロシュより弱いという保証もありません」
「いや、そうかもしれないが‥‥」
「昔、竜人が小さな国をひとつ潰したお話をご存知ですか?」
「ああ、結構有名な話だしな。確か、その国の王が国賓である竜人を騙して、血を受け取ったにも関わらず正当な対価を払わなかったとか?」
「あの話の発端は、血ではありません。あの国の王でなく、王子が、竜人の妻に乱暴を働いたのです。国としてはとても良い国でしたが‥‥たった一人の愚者によって、滅びました。‥‥クロシュ。私達は、番の事となると、冷静な判断が出来なくなります。その衝動性が、抑えられないのです」
「‥‥」
「どうか、この南国くにを守ると思って‥‥私のお願いを叶えて下さいませんか?」
クロシュは、余りの話の大きさに、とてもついていけなかった。

遠回しに、私が危ない目にあうと国がひとつ滅びるかもしれない、と言ったか??‥‥冗談だと、言って欲しい。

「‥‥クロシュ?」
シルフィは、冗談だとは到底思えない、真摯な瞳でクロシュの様子を窺っていた。
「‥‥わかっ、た」

クロシュは、それでも自分の自由を選んでしまった。




☆☆☆




シルフィは絶倫だ。まず一回で終わったためしがない。
夜はねちっこく何度も何度もクロシュを高みへ昇らせてぐずぐずにさせてから、2本のぺニスで前の穴も後ろの穴も同時にじっくり可愛がる。
馬車の中でも情事が始まる事など日常茶飯事なのだが、その時は仮初めのぺニスでいたすので、後ろの穴は埋めて貰えない。
それが当たり前であるのに、最近では前の穴だけだと物足りなそうに菊門がひくひく動いている。

‥‥しっかりと、既に躰はシルフィに陥落させられている。


じゅぶじゅぶと激しい水音をたてながら、クロシュは今日も対面座位でシルフィと交わっていた。
シルフィは、男性としては細い腕を上下に動かし、クロシュの動きを完全にコントロールしている。
クロシュがぐったりと力を入れられない状態である事を鑑みると、その全体重を支えている様であるが、一切の疲れや重たさを全く見せない動きであった。

膣内のポイントを、ぺニスに存在するゴツゴツと突出した瘤が捉えてはゴリゴリと突き、クロシュは善がり狂いそうになる。
「そこ、もぅ、らめにゃぁ‥‥‥っっ」
顔は紅潮し、その瞳はとろんと力が抜けて、眦にはいく筋もの涙の通った跡が残っている。
「クロシュ、可愛いですね。駄目といいながら、私のモノが抜けそうになると必死で絡み付いてきますよ?」

シルフィはクロシュの両膝を両腕に引っ掛け、前後に思い切り揺さぶった。

「にゃああああーーーーーーっっっ!!!」

前後の穴に突き刺さった肉棒が一番奥深くを抉りながら、それぞれがナカで擦れあう様な、怖いくらいの強烈な快感をクロシュの全身へ波及させていく。
クロシュの黒く艶やかな尻尾が、ピン!と伸びてびりびりと痙攣をおこした。

「あぁ、そんなに締め付けないで、クロシュ。良すぎてイッてしまいます」

その綺麗な顔を、今は妖艶さを滲ませながら、シルフィは少ししかめて耐えた。

ぐっ!!!ずっちゅ!!

ぐっ!!!ぬっちゅ!!

一瞬動きは止めたものの、直ぐに律動を開始する。その動きは容赦なくクロシュを攻め立てた。

「にゃあ!!イッた、からぁ!待って、にゃあん!!にゃん!!」
「ふふ、クロシュの膣内なかが痙攣していてよくわかります。なんて‥‥美味しいのでしょうね、貴女は」

シルフィは恍惚とした表情を浮かべながら、それでもなお、挿送を続け、むしろスピードを速めていく。

ずん!!ぬちぃ‥‥
ずん!!ぬぽっ‥‥
ずん!!ぬちゅ‥‥

とどめとばかりに、シルフィはそのままクロシュの胸元へ口を近づけ、その乳首に痛いくらいに吸い付いた。

「‥‥にゃん、ん、ぁん!にゃはあーーーーーーっ!!」

ぷしゃあーーーーーーっっっ‥‥‥‥ぷしゅっ‥‥‥‥

クロシュが盛大に潮を吹いて気を飛ばすとようやくシルフィは満足し、クロシュの膣道や菊門が搾り取ろうと動くのに任せて、大量の白濁液を前後の穴に注いだ。




☆☆☆




クロシュは次の日、シルフィとの二人部屋の中で、ひょこひょこと挙動不審な動きをしていた。
(‥‥歩き、にくい‥‥!!)

諸悪の根源は、股だ。いや、正確に言うと、股に取り付けられた貞操帯だ。

(‥‥貞操帯って‥‥こんなん、なのか??)

クロシュは貞操帯を見た事もなければ、付けた事もない。
結局、何の羞恥プレイよろしく、シルフィが付けてくれた。

貞操帯にどんな種類があるのかは知らないが、トイレの心配はなさそうなので、それだけはホッとしている‥‥が。


膣にはディルドが突き刺さり、クリトリスにはゴム性?の突起の様なものが常に当たっている。

それらが歩く度に刺激を送ってくるものだから、始めは感じ過ぎてまともに動く事など出来なかった。

「アクンチャール(ワニみたいな生き物)革で作られていますからね、頑丈且つしなやかです。鍵は私の鱗になりますので、安心して下さい」

と全くどの辺が安心要素なんだかわからない事をシルフィは言っているが、兎に角これさえ付ければ今までと同じ生活が出来るとあって、クロシュは必死で貞操帯に慣れようとしていた。


(あ、そうか‥‥足を閉じないようにして‥‥)

一生懸命感じない様にコツを掴もうとするが、シルフィがいきなりクロシュの短パンの裾から手を差し込んで、太腿の内側の付け根をなぞる。

「‥‥‥っっ!!」
「クロシュ。蜜で濡れて、腿まで垂れてますね?そんな甘い香りをさせたままでは、私といたとしても、外出の許可なんて出せませんよ?」

蜜がついた指を舌で美味しそうに舐めとりながら、シルフィはニッコリと笑う。


それを見てクロシュは再び思った。


(‥‥やはり、逃げだしたい‥‥!!)
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